2019/02/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 カフェバー」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 音楽堂や博物館、美術館がいくつか存在する地域の、石畳が敷き詰められた広場。
昼間でこそ大小人種身分も様々な人出があるその広場も、深夜とともなれば時折通りかかる住民や衛兵が居る限り。聞こえて来るのも、中心に設えられた豪奢な噴水のさらさらという水音と、空を横切る夜鳥の鳴き声くらいで何とも寂しい。

その広場に面した深夜営業中のカフェバーも、ガラス張りの外壁から漏れて来る灯りは細々としたもので、静けさを際立てるの日一役買っている。薄暗い店内の客は酒の後のコーヒー一杯を求める数人連れが一組、深夜の密会を楽しんでいる様子の2人連れが数組ほど。時間にしては、混んでいるといって良いだろう。
そうして広場を横切って、そのカフェバーへと向かう灰色の人影が一つ。ガラスの扉を押し開けて足を踏み入れると、訪いを告げる微かな鈴の音が店内に響いた。

ジナイア > 足を踏み入れた人物は、店内に入るとフードを引き下ろす。黒髪が零れ落ちて、赤銅色の肌と緑の双眸を持った女の顔が薄闇で露わになった。
その視線が空席を求めて彷徨っていると、音もなく給仕が近寄ってきて一礼をする。その彼に気付くと、女はうっそりと微笑んで広場に面したソファ席を示した。

「やあ…あちらの席、いいかな?」

給仕が了承の頷きを返せば、女は満足そうに頷いてゆっくりと歩みを進めて行く。他の客は店内奥のカウンターにほど近いところにそれぞれ陣取っており、女の示した席の周りはごく静かだ…

ジナイア > ガラス越しに広場を眺めながら、マントを外し、給仕に預ける。代わりのように差し出されたメニューにありがとう、と微笑んでから、少し首を傾げて彼を見た。

「何か、食事は出してもらえるかな?ごく軽いもので、いいんだが…」

昼間から食べ損ねていてね…と付け加える女に、給仕は調理場に訊いて来る、と頷いて去って行った。
残された女は、微かなため息を付いてからソファへと身を沈める。

「今日はちょっと、歩きすぎたな…」

少し仰向けになって、眠るように目を閉じるとそう、独り言ちた。

ジナイア > 給仕が再び近づいて来る音にゆっくりと瞼を上げる。女を見下ろす彼に問うような上目を向けると、サンドイッチ程度なら、と少し済まなそうに給仕が伝える。

「ああ…助かるよ、十分だ」

お願いするよ、と笑みを返して、食後にホットサングリアをと追加で頼む。給仕の彼が再び頷いて去っていくのを視界の端で捉えると、再び瞼を降ろした。

ジナイア > 今日は何があったという訳ではないが、ひたすら考え事をしながら歩いていた。知らぬ間に午を逃し、疲れ切っていたらしい…次に瞼を上げたのは、お持ちしました、との給仕の声に依ってだった。

「ああ…ありがとう。…悪いけど、ホントサングリアもすぐに持ってきてくれるかな?」

意外と体力が持ちそうにないんだ、と給仕に笑いかける。彼がまた了承の頷きを返して去るのを見送ると、テーブルへと置かれたサンドイッチへと手を伸ばした…わざわざバケットで作ってくれたようで、申し訳なかったな、と少し苦笑いをする。

ジナイア > サンドイッチを半分ほどこなした所でサングリアが届けられる。
また戻って行こうとする給仕を呼び止めて、その彼に紙幣を差し出した。

「先に勘定をしてしまうよ…もうこちらを、気にしなくていいから」

足りるかな?と問うと、また差額を持ってこようとする彼を呼び止めた。

「いや…いいよ、取っておいてくれ」

また来た時、よろしく頼むよ…と微笑む女に、給仕は深く礼をして去っていく。
今度こそその背を見送って、女は一人暗い広場を眺めながら、ゆっくりと深夜の食事を続けた…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 カフェバー」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/屋敷裏口」にカインさんが現れました。
カイン > とある貴族の屋敷の裏門。富裕層の集う地区の一角にしては小さめの路地に面した場所に陣取るその場所に、
短めの槍を片手に腰に剣を履いた大柄な男が突っ立っている。
門を跨いだ先から聞こえるのは、宴も闌といった様子の喧騒である。
それを横目に見ながらだらしなく突いた槍に寄りかかれば自然と嘆息が漏れる。

「全く、ここに居るのは結構なリスクなんだがなあ。
 弱みを握られてるってのは困りもんだな」

その屋敷の持ち主の貴族とは随分古い付き合いになる。貧民地区の娼館にお忍びで来ていたのを、
悪さして叩きのめしてできた縁だがあれよあれよと口車に乗せられて偶に護衛を引き受ける間柄だ。
今日は大事な賓客が訪れるとかで駆り出されたのだが…

「魔族を徹底的に排斥唱えてる様な連中を呼ぶ宴に俺を使うなよ、っと。
 別にバレる要素はないとは言えバレたら面倒臭いことこの上ない」

ぼやいて視線を表通りに向けると賓客として迎えられていた一部の騎士達が去っていく所である。
直接の知り合いに心当たりはないが、かと言ってリスクも冒す必要もないと裏手に回ってきたのがつい先程。
賓客の案内に笑顔を振りまく必要のなくなったことに安堵の息を吐きながら体を伸ばす。
傍から見ると完全に衛兵がサボって気を抜いている図である。

カイン > 「しかしこの手の正装ってのは動きにくくていけないな。
 騎士とかはこんな格好が常で良く戦えるもんだ」

元より甲冑を身にまとっての戦い方などが元来性に合わない手合である。
自分の豪奢な、言い換えれば余計な飾りのついた衣装を見下ろした後、
遠目に見える恐らく護衛だろう甲冑姿の騎士の姿を遠く見送りながら不思議そうな声が漏れる。
勿論町中で見る騎士達が常にその様な格好ではないのはよく知っているのだが。

「このに衣装引っ掛けて賊を取り逃がしたなんて笑い話があったら、
 クレーム入れてやる。…そろそろ終わりじゃあるようだが」

気がつけば宴の音もかなり遠く、客足が去っていくのが裏門からも気配でわかる。
メインの賓客がいの一番に帰った後は好きに離れていいと言われて居る以上、
もう仕事としては終わって居るのだがこのまま根城に戻るのも何となく憚られ手持ち無沙汰の様子で衛兵を続け。