2018/11/13 のログ
■クレス・ローベルク > 「……行ったか」
結局、猫と遊びながら、追手が諦めるのを待つクレス。
案外、悪くない休日だったのかもしれない。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 路地裏」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にリュシーさんが現れました。
■リュシー > (久方ぶりの王都、もっと久方ぶりの実家付近。
以前の身体が身に着けていたシャツとスラックス、ついでにぶかぶかのマントで
肩から膝下あたりまでを覆い隠し、長い金髪も目深にかぶったフードで隠して―――
ここまでしても、かつての自宅がほんの数分の距離であることを思えば、
ひと通りのない街路を辿る足取りは、どうしてもコソコソと挙動不審気味になる。
以前の悪友の一人に、とあるものを譲ってもらおうと訪ねるにあたり、
せめてあまりひと目に晒していない姿を、と、まだ慣れぬ大人の姿になった、のだが)
―――なんていうか、……バランス、バランスが、っ……
(あちこちふわふわぽよぽよしているし、以前だって決して太っていなかったはずだが、
それにしたって服のサイズもぶかぶかしていて落ち着かないし。
おまけに、やっとの思いで辿り着いた悪友の家で、さんざんセクハラをかまされたため、
すっかり疲労困憊でもある。
それもこれも、すべて、いま、胸に抱えている二冊の本のためであると思うと―――――)
……やっぱり、素直に金出して、新しいの買うべきだったかなぁ。
(無駄づかいはしたくなかったから、持ち腐れ気味の悪友から譲ってもらうほうを選んだけれど。
なんだか、―――――とにかく、とても疲れた。
悪友の家を逃げ出してから、もう何度目かのため息がこぼれる。)
■リュシー > ――――― あ、…あれ?
(ふ、と気づいた。
なけなしの金を入れてきた財布を、どうやら先刻の家に忘れてきたらしい、と。
道端にたたずんで、ぱしぱしとマントの胸元やら腰やらを叩く姿が、
ひとに見られたら滑稽である、とかは意識の外であり。)
やっぱり、ない……。
うーん…んー、どうするかなぁ……。
(道楽息子であったころとは違う、取りにいかない、という選択肢はない。
だがしかし、もう一度戻ってセクハラの続きをかまされるのは、全力で遠慮したい。
ならば―――――
ともあれ、此の辺りの地理ならば、少なくともほかの地域よりは明るい。
身を隠せる場所についても、心当たりがないわけでもなく。
とにかく、少し考えてから、ともうひとつため息をついて―――――
曇天の空の下、何処かへ、と。)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリュシーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール富裕地区/某邸宅」にリュシーさんが現れました。
■リュシー > (貴族たちの暮らしから遠ざかって久しく、忘れていたことがいくつかある。
そのうちのひとつが、これ―――――貴族たちはたいてい、昼より夜のほうが活動的だ。
昼間のうちは客人の姿もなく、静かで居心地のいい邸宅だった場所だが、
夜も更けたいまでは、階下の広間では夜会が催されており、
広間だけでなく廊下でも、庭園でも、上の階のあちこちでも、
貴族らしくふしだらで自堕落な夜を過ごす、紳士淑女の姿が見られる。
そんな中で己はと言えば、この家のお坊ちゃまの居室に一人。
ライティングビューロや箪笥の抽斗やら、ベッドサイドのテーブルやら、
己が忘れていった財布を探して、絶賛コソ泥の真似事中であった。)
うーん……暗くて、よく見えないなぁ……。
(曇り空では月明かりもあまり望めず、闇に目が慣れるまで少し時間がかかりそうで。
己とて、はじめは素直にお坊ちゃま本人に在り処を聞くつもりだったのだが―――――)
……あの酔っ払い、とっ捕まえてもまともな会話なんかできるわけないもんなぁ。
(それに、あまりひと目に触れたくない。
この姿では気づかれることもなかろう、と、思ってはいるけれども―――――。)
ご案内:「王都マグメール富裕地区/某邸宅」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「ケッケッケ。貴族ってぇのは。ど~してこう……。
宴会が好きなのかしらね。おかげで仕事がやりやすいったらねぇぜ」
富裕地区のとある邸宅に忍び込んだ男。
今回の目的は、ずばり窃盗。
なんでも、この屋敷の主人は、割とあくどい事をしているらしく。
痛い目を見せるように、シーフギルドに依頼が来たのだ。
「さて、ちゃっちゃと仕事しますかね」
屋敷のあちこちで行われる淫靡な行いを無視しつつ、様々な部屋に入り、価値のありそうなものを物色する男だったが。
とある部屋に入った時に、先客がいることに気付き。
「おっとぉ? ……やぁお嬢ちゃん。
こんな所で何してんの?」
薄暗い部屋の中、男は先客に声をかける。
お嬢ちゃん、なんて言ったが。実際は姿などハッキリとは見えていない。
なんとなく、女性であるということだけは分かっているので、そう声をかけただけだ。
■リュシー > (この屋敷の当主、およびお坊ちゃまの行状について、
似たような家のせがれであった身としては、弁護も言い訳もすまい。
しかしまさか、シーフギルドに狙われるほどだとは知らなかった。
相手がプロフェッショナルだとすれば、己のほうは完全なずぶのシロウトである。
その存在に気がついたのは、相手から声をかけられた瞬間、という体たらくで。
―――――ぎくん、とマントに包まれた双肩が、薄闇の中でわかりやすく跳ねた。)
―――――えっ…と、ぉ。
(ちょうど、箪笥の抽斗をひとつ、ガタガタと引き開けたところ。
それこそ弁明もできない有り様で、くるうり、と声の源へと振り返り)
……そのコトバ、そっくりそのままお返しします、とか、
言ったら、うまーくはぐらかされてくれる?
(声を聞いたし、闇に浮かぶ体格から言っても、相手は男であろう。
となれば、―――――できれば、腕ずく、力ずくの解決には持ちこみたくない。
というよりも、持ちこんで勝てる道理がない。
なので、ずばりストレートに―――――誤魔化されて欲しい、なんて引きつった顔で言ってみるが、果たして。)
■セイン=ディバン > 男とて、外道、小悪党の類。
別段この屋敷の貴族さんについては何も思わないし、正直どうでもいい。
しかし仕事は仕事。適度にお宝を頂いて、警告の意を示す。
無論褒められた仕事ではないのではあるが。
「えっとぉ、ときたか。おまけにその様子……」
なにやら、自分と同じく物漁りをしていたらしき女性。
シーフたる男の目は、すっかり闇夜に慣れ。相手の姿が分かる。
少なくとも、男より若い見た目なのは間違いなく。
お嬢さん、と呼んだのは間違いではなかったようで。
「いやぁ、それはできないなぁ。
こっちも、お仕事で盗みに入ってるからさぁ。
……もしもキミがこの屋敷の関係者なら……。
消さなくちゃいけないかもしれない」
相手に少しずつ近づきながら、笑う男。
しかし、最後の一言は凄みが滲み。男は、懐からリボルバーを取り出して見せる。
「さぁ聞かせてもらおうかな。キミ、何者だい?」
ヘラッ、と笑うものの、その気配はプロのそれであった。
■リュシー > (この屋敷の者、ではないけれど、少なくともここの家人と、
そうでない者の区別位はつくつもりだ。
もちろん、夜会に際して臨時に雇われた人間、というパターンもないではないが―――
きっと大声をあげたりしたら、都合が悪いのはお互い様だと思うのに。)
おし、…お仕事、で、盗み、デスカ。
(やっぱりそうなんじゃないか!と、全力でツッコミを入れたかった。
ぐっと堪えて後ろ手に、開けていた抽斗をそうっと閉めながら、
ひく、と口端をぎこちなく持ちあげるにとどめたけれど。)
え、……え、いや、ちょ、待っ、
ちがっ、違うから!
そもそもここん家の子だったら、こんな真似してないから!
(銃、だ。
本物だろうか、なんて、疑う心のゆとりはない。
偽物かも、と楽観するには、相手の凄味があり過ぎた、というのもある。
べったりと、腰あたりの高さまでしかない箪笥に後ろ手で取り縋るようにして、
ふるふる、勢い良く左右に頭を振ってみせる。
かぶっていたフードが滑り落ちて、長い髪と―――ついでに、
見咎められるべきではなかった素顔までも晒してしまいつつ。)
……とりあえず、あんたが泥棒さんでも、
悲鳴あげて訴え出たりは、できない立場の人間、です。
ていうか、……ソレ、しまってくれない、かな。
そんなものなくても、あんた、充分強いだろ。
(ソレ、と遠慮がちに指し示すのは、当然、黒光りする凶器である。
正直なところ、それを出されているだけで、背筋がぞくぞくして仕方ないのだ。
きっと、声だってほんの少し震えているはず。)