2018/11/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 路地裏」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 富裕地区の石畳で舗装された通りを、青い闘牛士服の男が一人、駆けていく。
武術家特有の軽い足音。そして、それに追従するかのように、重い足音が三つ、ドタバタと響く。
ちらと後ろを見渡すと、衛兵のような格好をした男が三人程、こちらを追いかけてきている。

「くそっ!」

角を曲がり、周囲を見渡すと、丁度木箱やがらくたが置かれている路地裏を見つけた。
飛び込むようにその路地裏に入り、木箱の陰に身をひそめる。
狭い所に潜り込むような姿勢で隠れたクレスの耳に、追手の怒声が聞こえる。

『あのクソ坊ちゃまは何処行った!?』

『手分けして探すぞ!まだ遠くには――』

遠ざかっていく足音。それを聞いて、ほっと溜息をつく。
実家の連中が、こちらが王都に来るタイミングを何らかの方法で察知し、差し向けてきた追手。
それを何とか撒いたはいいが、さて、これからどうしたものか。
取り敢えず、暫くは此処にいようと、男は一人、物陰に隠れている。

「クソ、折角の休みが台無しだ畜生……」

クレス・ローベルク > 元々が、家から逃げ出した身。
それも、ローベルク家の秘伝などを身につけた上での出奔だ。
追手を出すのは寧ろ当然。今までそれを見かけなかったのは、ダイラスからこちらに来る際、細心の注意を払っていたからに過ぎない。

「くそー、浮かれすぎていたかな……」

最近、恋人ができたりして、気がそぞろになっていたのは確かだ。
とはいえ、反省の気持ちよりは、ついてないという気持ちのほうが大きい。最近、表に裏に働きづめだったのもある。
しかし、今日の所は、貧民地区の目立たたない所の宿を取って、明日ダイラスに帰るしかあるまい。流石に追手に追われながら、カフェや図書館に行くわけにもいかない。

「身から出た錆なんだけど、がっくりだ」

クレス・ローベルク > にゃーん。

「ん?」

後ろを振り向くと、そこには猫が居た。
男は、人並みには可愛いものが好きで、そして人並み以上にそういうものに対して可愛いという気持ちを表すのに遠慮がない質だ。
とはいえ、流石に今は不味い。

「ほら、あっちにいきなさい」

と追い返そうと手をしっしと振るが、富裕地区には猫を虐待する程余裕のない人間は少ないのか、寧ろその手に頬で擦り寄られる始末。こうなってしまうと、クレスはどうする事もできない。
とはいえ、脅かしてまで追い出す必要も別にないので、仕方なくクレスは、猫の頭を撫でてやる。

「まあ、猫と遊べただけましか……」

そんな風に、無理矢理ポジティブな出来事に変換しながら