2018/05/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にネーヴェさんが現れました。
■ネーヴェ > (吠える。鳴く。酷い喧噪だった。
到底人の声とは思えぬ――当然の事。実際相手は人ではない。
檻に入れられ首輪を填められ、差し出される餌に群がるだけの――犬達なのだから。
貴族の住まう、とある屋敷。
ずっとずっと裏に在る家畜小屋。
猟を嗜む主の為に、犬が、鷹が、馬が――飼われている。
たっぷりと肉汁の滴る、ともすれば最底辺の貧民の食事などより、余程栄養価の有りそうな餌。
それを頭数分与え、一息。…己を犬だと任じつつも。
正真正銘本物、生物学上に於ける食肉目犬科の世話は、疲れるものだ。
――特に。主の好む「狩り」というのが。
必ずしも狐や兎とは限らない、時に人を狩り愉しむ、貪る、そんな場合も有るのなら。
用いられる猟犬の瞳にすら、同じ色を見てしまう。)
――次。良いから、次。
(己自身に言い聞かせた。未だ、使用人の仕事は。ごまんと残っているのだから。)
■ネーヴェ > (そう、仕事は多い。
肉も要れば飼い葉も要る、水や干し草も相応に要る。
喰わせるだけでは仕事と言えず、貴族の持ち物に相応しく…
清め、設え、人様の目に恥ずべき所のない姿形を、維持させる。
それは家畜その物だけでなく、この場所自体にも言える事。
という事で、次は…広い建物全体を、掃除せねばならないだろう。
動き易い恰好で来させて貰って良かった、と安堵の吐息を一つ。
それさえ吐けば、後は不平も弱音も漏らすまい。
全ては犬の――己の、やるべき事なのだ。)
よ、し――――
(頬を張り、気合いを入れ。
清掃用具を取りに行こう。
今夜も、長い仕事になりそうだ――)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からネーヴェさんが去りました。