2018/05/28 のログ
■テオドール > 次の候補はエプロンドレス。
やはり可愛らしくはあるが、何となくメイド服の印象と近いので意外性は少なかった。
メイドもそう感じているのか、今までの中で一番落ち着いた反応である。
これはこれで悪くはないのだが、厳選された一着として選ぶにはインパクトが足りないといったところ。
「悪くはないけど、他のも試してみよう」
それから更に何着か、取っ替え引っ替えしてみるものの結局は最初の二着のどちらかを超える物は無かった。
最終的には二つのどちらを選ぶか、メイドに決めさせる事に。
選んだほうを着て屋敷まで一緒に帰る旨を伝える。
数分後、出てきたメイドが着ていたのは白いワンピースであった。
「ああ、やっぱりそれだね。
可愛い姿を見せてくれたご褒美にキスをしてあげよう」
言うなりメイドの顎を持ち、身をかがめて唇を重ねる。
人目があるというのに気にした様子はなくごく自然にやってのけた。
唇を離してからも平然としたものだがメイドの方はといえば、顔を真っ赤にして手で覆っていた。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にミリエスさんが現れました。
■ミリエス > ゆらり、ゆらり見かけないメイド服の少女の姿。
何処から、何時から来たかも分からないがいつの間にかそこに現れていればゆっくりと男の人…にも似つかないその姿に近づいていく。
「――こんにちは、始めまして、ご主人様?」
そんな言葉を優しく告げる。悪乗りと言うべきか、どこまで本気か分からない笑顔と共に軽くスカートを摘んで挨拶をする。
これまでの経緯は見ていた様で、それを知った上でからかっているのか、それとも素なのか、それを悟る術は恐らく無いだろう。
そんな不思議な空気を醸しながら小さくお辞儀も交わしていく。
■テオドール > 自分のメイドは既に着替えてワンピース姿。
今日は一人しか連れてきていない筈だが、見覚えのないメイドが挨拶をしている。
まず疑うべきは暗殺者だが、ここまで怪しい偽装は逆に度胸がありすぎて怖い。
油断はしない程度に、しかしこの怪しい存在に興味がある。
多少の危険は切り抜けられる自信もあり、折角だからこの悪ふざけのような挨拶に乗ってみる事にした。
「ふふふ、始めまして。
僕に仕えたい気持ちは分かるけれど、評価は厳しいよ?」
念の為ワンピースに着替えたメイドは先に店の外へ出しておく。
何かあれば伝令として屋敷に戻り報告をするはずだが、そういった事態になる前に自分で片付けてしまえばいい。
不敵に笑い堂々としながらも、謎のメイドの一挙一投足を油断なく観察する。
■ミリエス > 「――では、貴女のお気に召すようなメイドになれるように精進いたしますね?」
まだまだ余裕の表情。と言っても、この余裕も何時無くなるか。
自分自身がどうなるかなんて想像もしていない、が…恐らくその状況すら楽しんでいるのが見て取れる純粋な瞳。
透き通るように…それでも底の知れない不気味な感覚、それだけでなく少し可愛らしくも見えるその眼差し。
そのままゆるりと一歩近づいて、改めてお辞儀を交わして。
「今はこうして私は余裕もありますが…この先このような事を自分の口から言える程の余裕も無くなってしまいますからね。
なので、先に言わせて頂きますね?
"本日は貴方様の仰せのままに"」
そんな言葉を発してしまえば、後は目の前の主人の意に従うしか無くなってしまう事を誓ってみたり。
■テオドール > 「早速忠誠心のアピールかい?
それなら……、まずはその服を全部脱いでみてくれるかな」
相変わらず意図は不明。
ただのメイド志願なら構わないのだが今も暗殺者の可能性は捨てていない。
とはいえ、ただ何も分からないだけで必要以上に恐れるような態度を見せるのはプライドが許さない。
こう言っている事だし、本当に言うことに従うというのであればついでに武器を隠していないかもチェック出来る命令を下してみる。
拒絶したなら拒絶したで、反応から少しは意図を探れるかもしれない。
■ミリエス > 「分かりました、ではその前に」
さっと目の前に石を一つ胸元から取り出し、主人と呼んでいる物に差し出す。
「私が少しだけ、変わってしまって驚かないでくださいね?
そうですね、これはおまじないです。今から…ご主人様がこの石を所有する限り限り私自身が"見かけ相応の力と性格"になってしまうでしょう。手に取るかは…お任せいたします。」
恐らく誰が聞いても理解できないであろう言葉を投げ掛ける。
しかし嘘をついているわけでも無いようで…
本当に石を取れば 見かけ通り初心でか弱い少女 になってしまうだろう。
そんな話を一通り話しながら、ゆっくりと衣服を脱いでいく。
今この状態であれば衣類を脱ぐ事に抵抗もなく…あっという間に下着姿にまでなっていた。
■テオドール > 露骨に怪しい石。
護衛がついていたらこんな怪しいものを受け取ってはいけないと払い除けていたかもしれない。
だがテオドールは躊躇なくその石を手にとった。
警戒をしていない訳ではないが、得体が知れないからといって必要以上に恐れる事は美意識が許さない。
「何か、特別な物なのかな?」
石を受け取り確認してみるが、今のところ危険はなさそうである。
おまじないという意味もよくは分からないが命令には素直に従っているようだ。
眼前に下着姿を晒す少女。
ブティック内の店員達もどうなる事かと二人の様子を見守っている。
「命令が聞こえなかったのかな?
僕は服を全部、と言ったんだよ」
下着姿になっただけではまだ不十分。
それすらも脱ぐよう念を押す。
そして外に逃したメイドを呼び戻すと、今脱がれたメイド服を回収させる。
「下着も脱いだらその子に預けるんだ。
いいね?」
■ミリエス > 「えぇ、その石は――」
と、再び説明をしようとしたが、その時には既に手に取られていた。
そして、一度手にしてしまえばそれは所有者となり…
「あ、え? あ…その、これは?」
きょとん、先ほどの透き通る目とは違う。
完全に少女の仕草、少し前まで堂々としていたその姿は見る影も無い。姿そのものは変わらないものの本当に"年頃の女の子" のようになってしまっていた。
それでも、直前の命令や大事な事だけを覚えているようで…顔を赤くしながら必死に首を振って。
「あ、その、石を返し、え? 全部、ですか…?」
石が大事なものだと言う認識だけは残り…それを主人が持っている限りその大切なものは戻らない。そして…その主人は脱げと命令していた。それだけ理解すればもはや自分に選択肢は残っていなかった。
「ぅ、わ、わかり…ました」
か細い声を返すと、顔を赤くしながら…ゆっくり、何度もためらいながらブラジャーのホックを外し…ぷるんと少し目立つ胸が…その先の綺麗な桃色の突起も露わに。
「こ、これも…」
何度も息を整え…意を決して最後の一枚…下着を引きおろす。
そうしてしまえば…周囲のメイドにも、目の前の主人にも自分の裸体…後ろから見ればつるりと可愛らしいお尻。
前から見たら毛も生えていない秘裂がぴっちりと閉じたまま露わになっていく。
「あ、ぅ、でもこれは流石に…」
そんな言葉を返しながら、もじもじと胸と下腹部に手を添えて隠すような仕草をしてしまっていた。
■テオドール > 石を受け取ってから態度が豹変した。
正直凄まじく怪しい。
だが不思議な事に、怪しくはあるが妖しさはもう感じられない。
意味は分からないもののそれほど害のある存在には見えなくなっていた。
これが演技なら大したものだが、いくらなんでもまどろっこしいやり方にすぎる。
とりあえず石は胸のポケットにしまっておくとして、下着も含めて服を預けたメイドには先に帰らせる事にする。
これで文字通り少女は丸裸。
「ふふふ、綺麗な体をしているじゃないか。
もっと自信を持って見てもらっていいと思うよ?」
少女の周りをゆっくり周りながら、裸体をじっくりと眺める。
こうしているともうただの少女にしか見えない。
一体何のつもりなのかは不可解だが、もう少し揺さぶりをかけてみるか。
「そのまま体は隠さないように。
質問に答えたら服を着させてあげるからね。
まずは、君の名前から教えて貰おうか」
にっこりと笑いかけながら、未だに名前も知らない少女に尋ねた。
■ミリエス > 何故こんな事をするのか。
なんて恐らく自分以外誰もわからないだろう、しかし一度自分追い詰めてしまえばもうどうすることも出来ない。
主人が意図的に石を返してくれない限りか弱い少女のままである。
もじもじとしながら、衣類は別のメイドに預けてしまう。
正直、服を着ている同姓に見られるのも恥かしい姿。
自分だけ素っ裸の状態、恥かしさに首を何度も振っていた。
「自信なんて、その…うぅ」
後ろに回ればお尻を見られ…更にもう一度前に戻ってくれば隠すのを禁止されてしまう。
「う、ぁ…。は、はい。ミリエスと申します…な、名乗りました!あの、服を早く…」
そんな言葉を小声で返す、しかし両手は隠す事もない。必死にその気持ちを抑えるようにお腹に両手を当てて震えていた。
■テオドール > 「ミリエスちゃんか。
可愛らしい響きだね、よく似合ってる」
出会いの不穏さがなければ素直に愛でていたいところだ。
しかし今はまだ簡単に気を許してはいけない。
震えるミリエスの顎を持つと、そのまま頬にキス。
「今のキスはちゃんと命令を聞けたご褒美。
それと、約束通り何か服をあげないとね」
体を隠さないという命令にも律儀に従っていて、その上で恥ずかしがり方も本気のようにしか見えない。
真意を探る必要はまだあるが、とりあえず約束の服である。
店内のソックスから、黒のくるぶしまでのソックスと腿まで届く白いハイソックスを手に取りミリエスに見せる。
「それじゃあ、どちらか好きな方を選んでいいよ。
そこの店員さんに選んだ方を履かせてもらうといい」
選ばせはするが、今与えるのはこれだけである。
■ミリエス > 「あ、りがとうございます…」
相変わらず語尾が小さい、抵抗したいのだけど、服もなければ逃げ出すことも出来ない。
もし逃げたら石は主人の手の中のまま…素っ裸のまま街中に出る羽目になる。
流石にそれは嫌なのか、そのキスを受け止める。
唇は柔らかく暖かい、しかし抵抗できないこの状態では羞恥心の方が圧倒的に強かった。
涙が出そうな目をきゅっと閉じてもじもじしながら堪えていた。
しかしそれもつかの間、主人の言葉が聞こえれば…本当に洋服が着られる安心感に目をぱっと開け…再び絶望の淵に立たされたような表情に。
「え、それだけ…?」
目の前に渡されたのは、2足の靴下…自分が選べるのはそれだけらしい。
結局抑えきれなくなった涙で目を潤ませながら…白いハイソックスを選び、履く事に。
「うぅ、そんな…これ、洋服じゃ…無…」
それでも律儀に履いていく、その途中片足を上げれば割れ目がくにゅりと歪んだり、恥かしいポーズを隠せない。
それを必死に考えないようにしながら…素っ裸に白いハイソックスだけと言う姿になってしまった。
「あの、メイドって、こう言うのじゃなくて、お使いとか…ほら、その…ぅ」
お外に出てお使いやらを申し出れば、外に出る為の服が着れるのではないか、なんて考えも過りふと言葉に出てしまった。
■テオドール > 色の好み、というよりも少しでも面積の広い方をという選択か。
仕方なく靴下だけを身に着けたようだが、やはりもうただの羞恥に震える少女にしか見えない。
いや美少女と呼んで差し支えないか。
そんな事を考える辺りテオドールの警戒心は段々と薄くなっていっている。
無害そうな裸の少女相手に警戒心を持ち続けるというのも中々難しいものである。
「ああ、お使いね。
しかしそんな格好でお使いにいかせる訳にはいかないからねえ」
まさか裸で外に行くつもりなのであろうか?
テオドールは訝しがった。
ミリエスが目論むような、外に出るなら服をくれるなどという甘い考えはハナから持ち合わせていない。
「それに今特にお使いも思いつかないし。
だが、まあ準備をしておくに越したことはないか」
少し考えて、今度は二種類の靴を持ってきた。
片方は作りのしっかりしたブーツで足首を覆うもの。
もう片方は簡素な作りのローファー。
「次は他の服を、と考えていたんだけれど、外に出る準備はやっぱり必要だからね。
好きな方を選ぶと良いよ」
にこりと、悪意を感じさせない涼し気な笑顔。
■ミリエス > 本当に何も出来ない、力でも負けている上に…今はこんな格好。
石を返して貰うまでは言い成りだという事は頭では理解している。
ただそれを受け入れきれないだけだった。
先ほどから顔は真っ赤に紅潮して…小刻みに体は震えている。
一人裸の状況に何時までも慣れる事はなく、次の主人の言葉を待ち続ける間も目を閉じて何も考えないようにしていた。
そして、その言葉が聞こえれば…
「はい、ですから、お使いにでもなんでも…――え?」
自分自身の目論見が完全に透けていたのか、主人の答えに目を見開いて。
「あの、待ってください、準備って普通そういう事じゃありませ――」
流石にこれをすぐに選ぶことは出来なかった。しかし、選ばないと話も進まない。
仮に本当に素っ裸でお使いをさせられる事になっても素性もわからない少女。後を引くような大事にはならないだろうが…だからと言ってそれを受け入れるのは…年頃の少女としては到底無理な話だった。
と言うより、流石に其処まではないという願いも込めていた。
「あ、違うんです。その、そうじゃなくて…!」
まごまごしながら涼しげな顔を上目遣いで必死に首を振る…が、全く話を聞いてくれない主人。
結局2足の靴のうちにしっかりしたブーツを選ぶしかなかった。
■テオドール > 「おや、そっちかい。
ローファーも似合うと思ったんだけどね」
戸惑いながらもブーツを選んだミリエス。
裸なのに足回りだけしっかりと固めて非常にアンバランスだ。
「ふむ、このままだとバランスが悪いね。
それじゃあ次はこれをあげようかな」
今度はミリエスに選択させるまでもなく、テオドールが新しい衣装を決めて持ってきた。
衣装といってもまたもや末端、手首から上腕を覆う白いアームカバーである。
ソックスに合わせたような形となる。
「さて、少し横道にそれたけど次の質問といこうか。
また質問に答えたら新しい服をあげるよ。
何が目的で僕に近づいてきたのかな?」
出会った当初からの疑問。
ミリエスの目的が全く見えないということである。
態度や雰囲気が急に変わった事は不可解だが、それ以前にそもそもどうして接触してきたのか。
■ミリエス > 裸でブーツにハイソックス。
これ以上無い屈辱と言っても良い。中途半端に足が隠れるものだから、逆にその上の足の付け根…女の子の部分がしっかり強調されてしまう。
それに靴を履く特に手間取り屈んでる間はまた恥かしい姿を見られる。
そういう意味で履くのに手間取る少しブーツ選びは後悔していた。
更に主人の言葉が飛んでくれば、今度はアームカバー。徹底的に隠して欲しい部分は丸出しのままにしたいらしい。
そうして再び立ち上がれば、不恰好な姿でうつむいていた。
「その質問は、その…分からないんです。なんで私がこんな事しちゃったのか…、ほ、本当にわからないんです。」
恐らく元の姿なら「ただ遊びに来た」なんて言葉が平気で出るだろうが、今はそんな答えが出せない。本当に目的が無く恥ずかしい目に合わされてるだけだった。
それでも目は本気で…納得するかもわからない答えを必死に訴えかけるように言葉を返していた。
■テオドール > 納得の行く回答ではなかったものの、少女の必死さは本気に見える。
これで嘘をついているのなら大した演技力である。
ほぼ裸の羞恥を煽る姿で尋問すれば何か情報が引き出せるかもと思っていたが、それもここまでか。
とりあえずこれまでの推論として、ミリエスは今の処無害として扱っても問題がなさそうという事だ。
そうなると、ただの羞恥に震える裸の少女である。
興が乗ってきた事だし暫く遊んでいくとしよう。
「分かった、信じるよ。
それじゃあ約束通り、次の服を選ばせてあげようかな」
そうして取り出したのは、一つは白いCストリングス。
服というよりは下着で、ギリギリ大事なところを隠せるといったところ。
もう一つは高価そうなスカーフ。
それほど大きくはないが工夫して巻き付ければ体のどこかは任意に隠せそうだ。
もっとも、非常に薄手で畳んで重ねたところで完全には隠せるか怪しいところだが。
どちらも服と呼ぶにはあまりにも頼りない代物。
しかしミリエスはどちらか片方しか選ぶ事が出来ないのだ。
■ミリエス > 首を振っても何度もいやいやとジェスチャーはするものの、体は隠さない。
言いつけはちゃんと守っていた。
その上で…更に質問にはちゃんと答えるように…していた。
しかし、次の選択は流石に悩んでいた。
かろうじて下着のようなものか…下着ですらないスカーフ。
普通ならギリギリでも体を隠す下着を選ぶだろうが面積が明らかに少ない。それ見て選んだのは…
「す、スカーフを…お願いします」
少しでも面積が広いスカーフ。それを手に取れば…
「えっと、これは何処に使っても良いんですよね?」
主人と二人きりと考えれば少しだけ裸の羞恥心が麻痺してくる。
最後の確認をする前にスカーフを受け取れば…とりあえず何処を隠そうかと悩んみながらあれこれ…胸を隠してみたり、下の部分を隠そうとしてみたり…絶妙に足りない長さを生かそうとしていた。
■テオドール > 「ああ、そうだよ好きに使っていい。
あげられる服はそれで最後だからね」
にこにことしながら、さらっとそう言い切る。
何とか工夫して頼りないスカーフで体を隠そうとしているミリエスにはとんでもない宣告であろう。
「準備が出来たら外に行くから、精々納得の行くコーディネートにしておくんだよ」
羞恥に震える少女を見ているとどんどん嗜虐心が湧き上がってくる。
当初は警戒心で抑えられていたが、それも今はない。
当然外に出るまでも、まだ意地悪な仕掛けを残している。
■ミリエス > 「ありがとうございます、それじゃあ…」
と、そこまで聞くと更に驚いた表情に。
何処まで驚けば良いのか、なんて今はわからないけど。本当に言葉が出なかった。
「あ、え?冗談ですよね…?」
これ以上の洋服は無い。このまま外に出るなんて信じたくなかった。
しかし主人の様子を見るに、冗談やおふざけ等ではなさそうで、薄れていた羞恥心が再び頭に戻ってくる。
「あ、まって…このスカーフ思ったより小さ…」
下腹部に巻こうとしても届かず、胸を隠すのが精一杯。
その上巻きつけるほどの長さが無いゆえに隠すだけで片手がふさがってしまう。
これでは結局手で隠すのと殆ど代わっていなかった。
前から見れば辛うじて胸をスカーフで押さえ、下腹部は手で隠した状態。それでも後ろから見れば白いお尻は丸出しのままだったり。
■テオドール > 店の扉の前まで来た。
店員達も様子を注目している。
「ふふふ、苦労しているようだね。
それじゃあ最後に一つチャンスをあげよう」
そう言って取り出したのは、リード付きの革製の首輪。
こういった商品も取り扱っている店なのだ。
「この首輪をつけるなら手を使って体を隠す事は許可してあげよう。
首輪を拒むなら、体を隠す事は外でも禁止だ。ああ、スカーフは好きに使っていいけどね」
外に出る前の最後の選択。
裸体を晒す羞恥か首輪をつける屈辱か、選ぶのはどちらだろうか。
この羞恥心の強さからすると首輪をつける方を選びそうに見えるが、ミリエスの選択はどちらか楽しみである。
■ミリエス > 扉の前に来てしまえば、主人がいかに本気かはわかった。
そこまで必死にスカーフを使い手で抑えていたが、此処からは更に苦渋と言うべき選択を強いられる。
「首輪…ですか…?」
更にトーンが下がる、しかし選ぶならどっちだろうか。
首輪は確かに屈辱的…だけど、外は普通に人が歩く町、それも富裕地区、着飾った老若男女がいるだろう。
そんな中首輪は考えるに耐えなかったし、実際外に出る前だからだろうか。首輪の方が恥ずかしいようにも思えてしまった。
そして、主人の思考とは裏腹に。
「それじゃあ…スカーフだけでも…」
そういうと、そのスカーフを握って…再び巻きつけようと必死になっては、手を離すと滑り落ち、それを拾えば手を使わないでも隠れるように巻きつけようと必死だった。
この選択は…自分でもあっているかはわからなかった
■テオドール > どんな意図かまでは分からないが予想と違う、しかし面白い選択だ。
だがこれでは外で不特定多数から裸体を見られてしまうという事を本当に分かっているのだろうか。
「さて、それじゃあ屋敷まで案内しよう。
歩いていける距離だしそれほど遠くはないから安心したまえ」
扉を開けると、外へと踏み出す。
得体の知れない相手を屋敷に招くというのは心配がないではないが、調べるにしても拠点の方がやはり都合がいいだろう。
日は高く正午を少し過ぎたところか。
人通りも当然多い。
ブティックの中から出てきた貴族と、それに続いて出てきた半裸の少女は注目を集めるに十分な素材だ。
好奇心、哀れみ、侮蔑、周囲の視線がミリエスに突き刺さるようだった。
それでもテオドールはお構いなしに、屋敷に向かって足を進める。
「ああ、そうだ。
メイドになりたいようだったし早速仕事をしてもらおうかな」
連れてきたメイドに預けず持っておいた日傘。
それをミリエスに手渡す。
主人に侍るメイドが傘を持たされたということは、当然やる事は一つだ。
基本的にメイド達は小柄な為日傘の柄は長めに作らていて、少し嵩張り支える力も必要だが背の低い従者でもテオドールに影を作るのに不自由はしない。
今のミリエスにとっては片手では支えきれないかもしれない傘というのはあまりありがたくはないのだろうが。
■ミリエス > 頭では分かっていたつもりだった、しかし実際に扉が開かれれば想像とは違う。
昼日中に殆どすっぽんぽんと言うべき状態。
スカーフで辛うじて下を隠すようにギリギリで巻きつけただけ。これがもし衝撃で落ちてしまえばもう全てが丸見え。
日光に照らされながら胸を隠す事も出来ない状態に更に首を振る。
「あ、あやっぱり首輪が…」
遅かった、想像よりはるかに人が多かった。そして…自らの少し膨らんだ胸も隠せず、胸元で左手の甲を右手で握りお祈りの様なポーズ。
本当に老若男女。 女の人から侮蔑や冷たい視線…男の人からは好奇心。中には女性でも哀れみや、男性でも見てはいけないものなのかと目を逸らす者。
晒し者になる惨めさは想像を超えていて…余りの恥かしさに泣き出しそうになっていた。
更に…自分より小さな男女の子供に『なんで裸のなのー?』なんて囃し立てられれば、その親御さんのような存在にそれを止められる。『こら、見ちゃいけません』
なんて痛々しい会話を聞かされ、周囲の笑いや哀れみの声も全て耳に入っていく。
真っ赤な顔のまま体が無意味に熱くなっていく中、次の指示が来る。
「お仕事…は、ぃ…」
堪えるような咽び声を混ぜながらその傘を手にする、しかし予想以上に重く、両手で支えることに。
更に胸を強調するような姿勢になりながら、スカーフが腰から落ちないようにゆっくりと日傘を差しながら歩いていた。
■テオドール > 速度の出せないミリエスに合わせ、ゆっくりとしたペースで進む。
親切でそうしている訳ではなく、その方がより長く晒し者になるからだ。
ほぼ裸で往来に連れ出され、羞恥で泣きそうになっている少女というのは実にそそる光景である。
そんなミリエスを引き連れていると、三十代ぐらいの品の良さそうな婦人がテオドールに話しかけてきた。
なぜ従者にそんな格好をさせているのか、と。
「彼女が選んだんですよ。
僕としては、別の物も勧めたのですけど、あれがいいようで」
質問に対してしゃあしゃあとよどみ無く答える。
詳細を置いておけばその言葉に嘘はない。
そして、嘘は言ってないかミリエス本人にも聞いてみせる。
「そうだよね?ミリエス」
ミリエスが弁明するのも自由だが、果たしてそんな事のために足を止めるのが得策であろうか。
だがやはり最終的に選ぶのは彼女である。
■ミリエス > ゆっくりと歩けばそれだけ時間が長くなる。
かといって早歩きにしようものならあっという間にスカーフは落ちてしまう。
辛うじて大事な部分だけを隠して歩きながら、主人は目の前の婦人に話を掛けられたようだった。
そして、その内容に否定することも出来ない。かといって無視すれば主人の機嫌を損ねてしまうかもしれない。
結局足を止め…
「はい、その通り…です」
半分泣いている少女がそれを言っても全く説得力は無い。
しかしある程度状況や空気を察しているのだろうか、同情の目も多かった。
…とはいえ、同情なんてされてもしっかり皆少女の裸は見ているので自分としては笑われる程ではないが辛いのは代わらなかった。
結局、主人がお話を終えるまでその話を否定せず。立ち止まって更に多くの人に体を晒していた。
■テオドール > 釈然としないようだが、本人が同意している以上特に何もせず去っていく婦人。
お節介を発揮したようだが赤の他人に対してはこんなものだろう。
再び屋敷に向かって足を進めていく。
「ところでミリエス、そんな顔をしてるのはあまり感心しないね。
僕の従者ならもっと楽しそうに、笑って笑って」
時折後ろを振り返り、ミリエスに話しかける。
元々ゆっくり歩いている事もありこのぐらいで速度を落とす事はない。
そして屋敷ももうじき見えてくる頃だ。
ミリエスの辛抱も後少し。
■ミリエス > 日光に晒され、白い肌はより強調される。
結局先ほどの婦人は不信に思いながらも去ってくれた。
異性だけでなく同姓にこの姿を見られるのがこれだけ惨めだとは思っていなかった。
そんな心を知ってか知らぬか、更に次の指示が飛んでくる。
「笑顔…ひぐっ、あ、ぅ…わ、わかりました」
その言葉に必死に口角を上げて…涙を堪え引きつった笑顔を作る。
そんな状態に更に間近を通る人には不思議がられたり…そもそも関わりたくないのか遠回りする人もいたり。
そんな状態でも頑張って笑顔を作っていた。
しかし、それももう少し…もう少しで目的地に着くらしい。
あと少し堪えれば…開放される。そう思えば、笑顔も少し自然になっていく。
■テオドール > いよいよ屋敷が見えてきた。
門の前で数人のメイドが出迎えようと待っていたが、ほぼ裸の少女を引き連れて主人が帰ってくると若いメイド達は動揺し恥ずかしがって顔を見合わせている。
「やあ皆お待たせ、心配かけてしまったかな?」
メイド達の頬に順番にキスをしながら、屋敷の門をくぐる。
ミリエスも一緒に中に入るように促し、更にその後をメイド達がついてくるような形となる。
とりあえず客間に案内しよう。
案内はメイドに任せてしまってもいいのだが、ほぼ無力を確信しているとはいえ根本的に謎の存在である。
屋敷内で最も腕の立つ自分がつきっきりでいる方が安心である。
「ご苦労さま。
まあとりあえずくつろいでいておくれ。
その子達も君に興味があるようだし、何かお話しでもしたいんじゃないかな?」
年は13歳前後の若いメイド達。
半裸の客人に興味津々であるが、事情はやはりよく分かっていない。
直接話しかけず、仲間たちで顔を突き合わせて何やらひそひそ話をしているだけだった。
■ミリエス > この短い時間が何時間にも思えた。
漸く屋敷につく。そこでも若いメイドが数人、当然と言うべきだが、普通に服も着ており、裸で連れまわされる待遇は自分ひとりだけだとわかった。
何人かが動揺して恥かしがっているのを見たら目を背けたくなる。
裸を見てる側と見られている側。
見ている方が恥かしがると言うことは、見られてる側はその非では無いことは明白だろう。
何度ももじもじと目を逸らしていたが、結局大勢のメイドと一緒に一人裸で屋敷に入っていた。
「ありがとう…ございます。その、お話も私は何を話せば良いか…」
なんて、服を着たメイドに囲まれると、それだけで劣等感も生まれてしまい中々話しかけられず…ただただ赤い顔を俯けていた。
恐らく…他のメイドにはこんな仕打ちはした事無いだろう事は先ほどからの反応でわかっていた。
結局、次の指示があるまで沈黙が続く事になるのだった。
■テオドール > 興味はあるようだが、結局誰も話しかける事が出来ずミリエスに気まずい時間を与えただけだったようだ。
暫くすると比較的年長の、といっても16歳程度のメイドがミリエスが身につけていた服一式を持ってやってきた。
一応何か不審な点がないか皆で調べてみたそうだが、特に何も見つからなかったらしい。
だがそれらはすぐにミリエスに返される事なく、一旦テオドールが預かる。
「ヒルデさんは留守みたいだね。
いや、君たちだけでよくやってくれたよありがとう」
ミリエスには分からない名前を出しながら、メイドたちを改めて褒め、手や頬に口づけていく。
テオドールの頼りにしている執事の名だが、屋敷内に待機していれば既にやってきていておかしくない頃合いだ。
忙しい身であるしまた何か急用が出来て出かけているのだろう。
と思っていると実際その通りだと今来たメイドから報告された。
主人という立場であるが、この勤勉さには頭が上がらない。
報告を聞くと再びミリエスと向き合う。
「では改めて、ようこそテオドール邸へ。
さてミリエス君、流石にそろそろ服を着たいよね?
心配せずともちゃんと返してあげるけれど、その前に幾つか」
そう言うと、彼女から手渡された石を胸ポケットから取り出す。
「きっかけは、多分これだね?
一体これは何なのかな?それも答えられないとなると、君の処遇は少々考えあぐねる」
この露骨に怪しい石。
これを受け取る前後から特にミリエスはおかしくなった。
■ミリエス > 結局周囲を見渡し、メイドさんに顔を合わせれば再び目を逸らし。
お部屋を見たり俯いたり…そんな時間だけが過ぎていれば、漸く進展していく。
自分の服が漸く…と思ったがやはりそれも回収されてしまう。
そのまま知らない名前が出てくる会話に…メイド達にはスキンシップをしている。
そんな姿を見ながら、こんな時でも言いつけ通り。胸を隠す事もなく待っていた。
と言っても…町を歩かされた時に比べれは大分マシな状況に少し息も整えていた。
「はい、そろそろ服を…」
と、その石が出てくれば言葉が一度詰まる。しかし…流石にその石まで忘れていることは無かったようで。
「その石は…私の力が封印されています。
力だけなく、本当の性格…いわば私自身がその石に収まってると言っても過言ではありません。何故私自身がそんな事をしてるかは…元に戻れば説明は出来ます。この状態で私がお話出来るのは此処まで、です…」
と、そこまで。結構冷静には答えていた。
■テオドール > ミリエスの発言をじっくりと吟味する。
本当だと信じると色々と腑に落ちるのだが、結局謎はかなり残っている。
とにかくその本来のミリエスとやらの目的が不明すぎるのが怖いところだ。
眼の前にいるミリエスはやはりただの少女にしか見えないが、石を返さずこのままにしたら一体どうなるのだろうか?
「ちなみに、この石を返さなかったらどうなるかは分かるかい?」
彼女自身の事はあまり情報を引き出せなかったが、石の事となると違うかもしれない。
大分薄れていた警戒心を再び呼び起こしながら、彼女の言動を観察するため見据える。
■ミリエス > 石を見つめながら小さく頷くと。
「そうですね、わかってる事は。恐らく…ご主人様がその石を保持し続ける限りは私はずっとこのまま…になるでしょうか?」
半疑問系、でも…多分そうなるだろうと言う結論だった。
そして、その一見何を考えているか分からないその行動には一同ついていけないことも重々承知でいた。
そうこう考えてる間は少しだけ心も落ち着いていた。
裸でいることに慣れてきた…訳ではないが。やはり考えている間は気を紛らわせることが出来た。
■テオドール > 今の彼女の言い分にはかなりの疑問が残る。
本来のミリエスというのは、どうしてわざわざそんな意味のない事をするのか?
そんな事をする彼女はそもそも何者か?
今のミリエスには分からないだけで何かしら意味があるのかもしれないし、この得体の知れない石を持ち続けるのは果たして得策かという懸念も出てくる。
ちなみにメイド達はといえば、主人以上に状況が分からないため二人の会話には完全に置いていかれて首を傾げている。
「僕としては、別にこれを返しても返さなくてもいいのだけれどね」
返した瞬間襲いかかってくる、といった可能性もないとはいえない以上彼女に石を返すのは屋敷ではない方がいいだろうか。
とりあえずこれ以上はあまり情報も引き出せそうにないし判断のしようもない。
現状分かりやすい考え方としては、何らかのトラップであるという事だが結局何らかが分からない以上どの程度合っているかも推理しようがない。
意外に厄介な拾い物をしてしまったなと今更頭を抱えたくなる。
「君は、どうしたい?」
真剣にミリエスを見つめる。
そういえば、石を返したら今目の前にいる彼女はどうなるのだろうかとふと頭をよぎったが言葉にはしなかった。
■ミリエス > まぁ、自分自身整理がついていないお話を周囲に理解してもらおうなんて元々無理な話。
それがわかっていたからこそ出来るだけ素直に答えていた。
「あ、の、出来れば返していただけると…それと。少し語弊がありました。
石に封印されたのは…私の本当の性格、元々の性格は知っての通り、ですよね?
それと…本来の力、魔力も封印してしまっている状態です。だからこそ私が今この様な状態なんです」
やっぱり一呼吸、更に言葉を続ける。
「結局、その石を返していただければ全ての話は憶測でなく、私の思考としてお話出来るのですが、今のままでは…」
自分自身を洗脳…というより催眠なのか、こうして性格を変えて、元の自分の性格も力も封印している。
それだけは説明できたが…やはりその理由まではこの状態では理解出来なかった。
「少しの間でも良いので、石を返していただけませんか…?」
■ミリエス > いえいえ、此方こそ、延々とありがとうございました。
それではまた私書で…ですね
■テオドール > 【中断】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からテオドールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からミリエスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にテオドールさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にミリエスさんが現れました。
■テオドール > 「悪いけれどここで渡す事は出来ない。
万が一でも僕の可愛いメイドたちに何かあってはいけないからね」
殆どが武術に関して素人なメイドたち。
本来のミリエスの掴みどころのないところを思うと警戒は必要だ。
とはいえ、この石もその得体の知れない存在の核のようなものらしいので所有し続けるのは御免こうむりたいところ。
落とし所としては安全な場所で本人に返すといったところか。
一時的に返す場合でもその方がいいだろう。
それと、念の為他の予防線も張っておきたいところではある。
「そういう訳だから、お出かけの準備といこうか。
流石にその格好のまままた外に行くのは嫌だろうからね」
真剣な顔をしていたテオドールだが、ここで表情を和らげる。
そしてメイドに命じて幾つか衣装を持ってこさせた。
その中の一つを手に取り、ミリエスの前に広げてみせる。
一見すると細い黒い紐だが、よく見ると辛うじてショーツの形をしている。
紐に見えるのも無理のない面積の狭さで、深さもない。
一応素材はしっかりとしていて透けるような事はないだろうが、これを履いたところで大事なところが何とか隠れるかどうかといったところ。
「いやあ済まないね。
我が家にはご婦人用の着替えが少ないものでね。
こんなものぐらいしかないけれど、嫌ならそのままでも構わないんだよ?」
しゃあしゃあと言い放ち、ミリエスにその紐のような下着を渡す。
今度の選択は履くか履かないかだけだ。
■ミリエス > 「っ…はい」
痛いところを突かれる。確かに主人からすればその懸念はもっともで、今それを言い返した所で全く説得力が無い。
結局今は従うしかなく、小さく頷く。
「あ、の…またお出かけですか?」
折角落ち着きを取り戻していたのも束の間、再び外を意識すれば体中が熱くなる感覚に苛まれ顔を高潮させる。
さらに今回は…着るか着ないかの選択肢。あまりにも面積が薄い下着。もしかしたらスカーフの方がまだ隠れる面積があったかもしれない。
しかし、結局どちらを選ぶかと問われれば…
「わかりました…それでは、その、下着を…」
何度も言葉を詰まらせながら下着を受け取る。
やはりと言うべきか…スカーフで隠していたより布が小さい。
これでもちゃんとした衣類よりマシだと思っていた…が。
「あ、あのこれ…細すぎて…」
そう、面積だけではなく、縛る紐の部分が異様に細い。
そのせいでしっかり縛りきれず、途中でずり落ちたり解けてしまう危険もあった。
そんな状態で悪戦苦闘しながら下着を着けようとしている間、何度もずれる布にちらちらと割れ目も見える状態になってしまいその都度周囲のメイドに笑われたりしてしまっていた。
■テオドール > 「おや、着付けには不慣れみたいだね?
それじゃあ誰か……、ユリアン、手伝ってあげなさい」
名前を呼ばれたメイドが一人、ミリエスの前に跪くとショーツの結び目に手を伸ばした。
歳は見た目はハイティーンぐらいで、最初に出迎えたメイド達と比べると目つきも顔立ちも凛々しい。
身長も170行くかどうかといったところで比較すると随分大きく見える。
そのメイドが、ミリエスが苦戦していた紐も手慣れた様子で結び、結び目の形も綺麗に整える。
無駄口もなく淀みのない洗練された所作だ。
結びが仕上がると立ち上がり、ミリエスににこりと笑い一礼。
そして主人の後ろに控えるように立つ。
「履き心地はどうかな?
よく肌に馴染むと評判らしいけれど」
感想を聞きながらも、次にまた何やらミリエスに差し出してくるテオドール。
今度は服や紐のような下着ですらない、ただの白い絹糸だ。
長さはそれなりにあるが、これだけでは何も体は隠せそうにない。
ただし、スカーフと組み合わせれば何かしら使いみちはあるかもしれないし、工夫次第では他にも何かに使える可能性はある。
■ミリエス > 「お、お手数をおかけします…」
ユリアンと呼ばれていたメイドに手伝って貰うと、漸くしっかりと着用する。
と言っても、こんな事を同じ女性にやってもらうのも中々恥ずかしいものがあった。
それでもきっちり着付けが終われば多少マシに、しっかり前は隠れるように。
「肌に馴染むと言うか、その、やっぱりこれは…」
中途半端な面積のせいで前の部分は食い込むように形がくっきり。これはこれで変な気分である、それでもかろうじて隠れてるのでこれ以上文句も言えずもじもじながらスカーフを手に取っていた。
「あ、あ…これ、手で押さえても良いですか…?」
先ほどまで下腹部を隠していたスカーフを胸元に…流石に膨らんだ胸を押さえつけて巻くほどの長さも無いので手で押さえるか…脇の下で両側を挟みぴったり隠すぐらいしか思いつかなかった。
どちらも手動かす動作を強要されたら駄目なのだけど、本当に他の方法が模索できないほど必死だったのだ。
■テオドール > 「ああ構わないよ。
ところで、これは必要ないのなら片付けるけれど」
一度与えた物なら好きに使えばいい。
まあ使い方も限られるのだが。
そして先程差し出した絹糸は細すぎて目につかなかったのだろうか、手付かずである。
それをつまんでピンと伸ばしてみせるテオドール。
糸の細さしかないが、強度自体は中々ありそうである。
強度があるといっても糸にしてはという事で、無理をすれば簡単に切れる程度でしかないのだが。
だが、こんな物でも今のミリエスには貴重なのではないだろうか。
「まあ手を離した時に曝け出したいというのなら、そのままでもいいけどね」
小さく、愉快そうに笑うテオドール。
そして絹糸はまたミリエスに差し出された。
■ミリエス > 「あっ、それ…」
本当に忘れていた、下着で頭がいっぱいだった。
しかし親切心なのかからかっているのか、どちらにせよもう一度その糸を差し出してくる。
「使います、使わせてください…!」
そうして…スカーフの端と端に糸を結びつけるようにすれば…簡易的なブラジャー…と言って良いかもわからないが、ぎりぎり胸を隠す事は出来る様になった。
「お手数をお掛けしました…その、ぅう…この格好で外に出るんですよね…?」
最後に確認のように言葉を返してみたり。
■テオドール > 大事なところは辛うじて、本当に辛うじてとしかいえない程度にだが隠す事が出来たミリエス。
手足の露出だけは控えられているものの、お尻もお腹も背中も殆ど丸出しといっていい露出度であった。
「おや?
別にそれでもいいけど、本当にそんな格好で外に行くつもりなのかい?」
まだ最後に一つプレゼントを残していたが、まあこれでいいというのであればテオドールとしても問題はない。
だが一応それをミリエスに見せてみる事にしよう。
メイドに命じてそれを広げて見せる。
今までの服とは呼べない下着などとは違い、ちゃんとしたワンピースが出てきた。
飾りのないシンプルなこしらえで色は純白。
ただし普通の服と比べた場合、非常に薄いのが特徴になっている。
中は透けやすく、光の加減によってはほぼ半透明といっていい程度に透けてしまう。
一応遠目からは透けているのは分かりづらいので服を着ているようには見える程度か。
「こういうものが残っているのだけれどね。
着たいのなら、そこのメイド……、ミナカタ、着付けを手伝ってあげて」
今度はまた別のメイド、先程までは居なかった長い黒髪の、見るからに異国人といった顔立ちのメイドが名前を呼ばれて前に出てくる。
これも歳は16か17といったところで、先程のユリアンよりもわずかであるが長身である。
目つきも鋭くメイドというよりも戦士のような雰囲気を纏わせている。
だがメイドとしても十分に働けるようで、主人の命令に従いミリエスの返事があるまで側に控えて待機している。
■ミリエス > 最後のプレゼント、と聞けば縋らない手は無い。
自分自身別に露出なんてしたい訳でもないのは今までの対応で十分分かってるだろう事なのに反応待ちなのはからかわれているのか。
からかわれていた所で言い返すことも出来ないので素直に従うしかないのだけど。
「あ、ありがとうございます…!お願いします」
そういってワンピースを着付けてもらえば…かなりまとも。
もちろん透けてしまう…なんて事もあるけど有るのと無いのとでは天と地の違いだった。
「あ、ありがとうございます」
本来はお礼を言うほどの事でもないのだろう、しかし今はこんな服でも有り難くて。兎に角機嫌を損ねないようにもしていた。
そして…ワンピースを着たおかげで少し気持ちも楽になり落ち着きを取り戻していた。
■テオドール > 「ふふふ、喜んで頂けて何よりだよ。
よく似合ってる。
それじゃあ、出かけようか」
今度こそ準備はおしまい。
テオドールも席を立ち、その前をユリアンとミナカタと呼ばれたメイド二人が先導する。
ミリエスを隣に呼び、メイド二人の後を歩きながらこれからの予定を説明する。
「これから平民地区の方まで歩きで向かうのだけれど、道中こちらの予定にちょっと付き合ってもらうからそのつもりで。
詳しくは秘密だけれど君に危害は加わらないと思うから、そこは安心しておいておくれ」
含みを残した説明。
だが今質問されても答える気はない。
そして屋敷の門まで来ると来た時には無かった箱のような鞄のような物が置いてあり、それをユリアンが肩にかついでいる。
「これは試作の魔導機械で、映像を残すための道具だそうだ。
今は記録水晶が主流かもしれないけれどそれよりも映像の複製が楽だとかで……。
まあとにかくこれの試用をしながらの道のりという訳さ」
知り合いの工房からの説明をそのまま口にするが、結局は専門家でないので詳しい事は分かっていない。
一応使い方は把握しているので今はそれで十分だ。
■ミリエス > 「あ、はい…」
一見まともな服、少し前にほぼ裸で歩かされた時に比べたら全然マシ。
準備が出来てしまえばもう外に出るしかない。
とはいえ心構えも出来ていればかなり楽な格好だった。
しかし、主人の言葉を聞けばまた少しだけ不安が増えてしまう
「それは、結構な距離を移動する…ということですか…?」
その言葉を返しても無視されてしまう、仕方なく後についていけば門までつき…よく理解できないことを話しながらそのかばんをユリアンと呼ばれるメイドが担いでいた。
兎に角…その後をちょこちょことついていく事になる。
外から見れば、銀色の髪がさらさらと…少し小柄で可愛らしくもある。そんな美少女にも見えるかもしれない。
■テオドール > 外に出て日光を浴びると服の透けは更に際立つ。
隣にいるとワンピースの下の素肌もしっかりと見えてしまう。
だがあえてここでは指摘せず、出発の準備を進める。
他にも色々と準備がされていたようで、ミナカタは記録水晶を片手に持っていた。
ユリアンの担ぐ箱と比べると随分軽そうであるが、ユリアンはそれで文句を言う素振りもない。
「もう準備は良さそうだね。
それじゃあミリエス、ミナカタが先導するから君はそれについていくんだ。
僕は後ろからユリアンと一緒についていこう」
目的地は平民地区とは言ったが場所によっては徒歩だと数時間単位でかかる場所もあるだろう。
ミリエスにとってはこれがいつ終わるかというのは大きな懸念であろうが、やはりその辺りはあえて伏せておくテオドールであった。
そして今屋敷の前は人通りが少ないものの、すぐに大通りに出て多くの視線に晒される事となる。
ミリエスに心の準備が出来ていようがいまいが、既に先導のミナカタは大通りへと向かっているのであった。
■ミリエス > 日光が触れれば、白い肌が目立つ。
少し透けるのは気にならない訳ではなかったが意識すれば余計恥ずかしくなりそうで出来るだけ考えないようにしていた。
しかしそれでも薄いワンピースの下ははしたない格好になっている。
風が吹けばすーすーと肌に触れて、普段触れないところに風があたればぴくりと体が反応してしまう。
そのまま、ゆっくりと後ろを歩いていく。
どこまで歩くかは分からないが、今のところは、平民地区とは言っているがどこまで行くかは分からない。
「はぁ、は…あの、これは本当にどこまで…?」
そんな言葉は聞き入れられないと分かってても声を漏らしながらゆっくり進んでいく。
周囲の視線をあまり気にしないように必死に取り繕って歩く姿は返って滑稽に見えてしまうかもしれない。
■テオドール > 平静を装おうとしているのだろうが、動揺は見て取れる。
こんな格好では無理もない事だが。
人通りが増えてくると富裕地区らしくやはり身なりの良い人間が多い。
すれ違いざま、殆ど服が透けている事に気づいて驚く者もいるがそれでどうこうされるという事は今のところなかった。
何だかんだで貧民地区や平民地区と比べれば治安が良いのだ。
だがこのまま平穏に終わらせるつもりは勿論ない。
ミリエスの後ろから、命令を下す。
「あそこの衛兵が見えるかな?
ちょっと彼と話してきて欲しい。
挨拶をしたら、最近不審者がいなかったかとか、聞いてみるといいかもね」
視線を向けた先には、軽装だが武装した衛兵が街角に見張りのように立っている。
遠目からだがミリエスの服装に違和感を感じたのか、衛兵の視線もこちらを向いていた。
■ミリエス > 何度か不審な目で見られるが、その都度出来るだけ何時も通りにしていた。
それが返って自身が好きでやってるように思われてしまったかもしれないけど…ばれてない素振りをしてる方が楽。
変に恥らえばまた周囲が皆気づいてしまうかもしれない。
そこに更に下された命令は…
「――え、私一人で…?」
驚いた表情を隠すことも出来なかった、しかし主人の命令は絶対。
否定することは無く…衛兵の方にゆっくり歩いていく。
「こ、こんにちは…あの、さ、最近この辺に不審者とか、そういうのは出てませんでしたか?」
普通に声を掛けているが、衛兵は間近で見ている。この格好がばれていないわけも無く…じろじろと体を見ていた。
これでは此方が不審者に見えてしまうだろうし…元々その手の妖魔なのだ。ルックスに関しては頭ひとつ抜けてると言っても過言ではない。そんな少女が目の前で怪しい格好をしてるのは嫌でも目に付いてしまうだろう。
それに気づけばあからさまにもじもじと動揺しながら会話を続けている様子は主人からどう見えているのだろうか。