2017/12/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にオーベさんが現れました。
オーベ > 富裕地区。貴族のお歴々の屋敷が並ぶ一角に曰く付きの館が一件ポツリと立っている
富裕地区の外れにあって、今は空き家となっていたが此処には面白い噂があった

此処には以前、とある王族筋の貴人が住まわっていたのだが、その主人がその屋敷に使えていた下女に手を出した
主人には嫉妬深い夫人がおりそのことを知った夫人は下女をイジメにイジメとうとう、その下女は
イジメに耐えかねて自ら命を絶ったそうな…それからと言うもの、夜な夜な下女の霊が屋敷の前に現れるのだという
毎夜の事のように、屋敷に面した通りに下女の霊が現れては通行人や屋敷に仕える者共を襲い、
耐えかねた屋敷の主人とその妻はとうとう逃げ出してしまったらしい

「…はあ、俺も噂話に踊らされた口かな…これは…」

屋敷の前の通りの角、こっそりと影から下女の霊が現れるのを待ち続けたが寒いばかりであった
共に見物に行こうとやってきた知己の騎士の男も、寒さに耐えかねさっさと引き上げていってしまった
しかし、噂は確かに広がっているらしく通りを挟んだ向こうの角では冒険者らしき人影が、
先程からチラチラと見え隠れしていた。霊を倒して名をあげようというのか、怖いもの見たさか、
そこまでは知りようがないのだけども

「何処にでもあるような話だしな…君はいったいどう考える?」

寒さに耐えかねて懐に抱き込んだふっくらとした猫に話しかける
貧民地区辺りをうろつく猫とは違い、ふっくらと太っていたから何処かの貴族の家の飼い猫だろう
知らぬ、とでも言いたげにあくびを零す猫の背を撫でながら冷たい夜風に身を震わせればその場にしゃがみ込み、
そっと角から顔を覗かせて屋敷の門の辺りを確認するのだけれど人影すら見えやしない