2017/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシュカさんが現れました。
シュカ > 「……―――痛っ。
…………あー…」

こつん、と右側頭部が何かに触れて、思わず声を発したのと重たい瞼が開いたのは同時のことだった。

自分の状況を把握したかのように声が零れ、石造りの塀に凭れていた身体が、右側に重心がずれ、
立ったままうとうとしていたのが原因だった。
そもそも立ったまま居眠り、なんていう器用なことをしてしまったことに苦く笑い、くあ、と人目もはばからず大きな欠伸をして。

富裕地区の一角にある豪奢なレンガ造りの建物は、手入れの行き届いた庭がウリらしく、門から周囲を囲む塀越しでもそれは良くわかる。
この屋敷まで貴族サマを護衛したはよかったが、出てこないのだからこうして律儀に外で待っている…のが現状であった。

「遅ぇな…ジジイ。どんだけ遅漏なんだっつーの」

依頼人に対して吐くには散々な台詞を、苦々しい表情で口にしたのは、ここが富裕地区随一の娼館だから、である。
辺りは街灯が灯るだけで、娼館以外の明かりは落ちていたから、もう深夜もずいぶんと過ぎた時間だろう。
ここまでくれば、待つつもりで動きはしないが、何しろ…居眠りから覚めれば暇なわけで。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にコニーさんが現れました。
コニー > 諸々の事情により……
国を追放されて修行中、という名目で特に目的もなく王都に滞在していたら、恐ろしく退屈だ。
高貴な身分を利用して金儲けや出世でも企もうとすれば、王族たちの争いの格好の餌である。
そういうわけで、暇つぶしに選んだのは娼館……それも、客ではなく、娼婦として働くことだった。
信用のおける店を選んだが、客とのトラブルになったら溜まったものではない。かくして、「自分で交渉した客に限る」との条件で、居並ぶ娼婦たちの仲間に受け入れられたのであった。

……といっても、さすがに好き勝手に振る舞うわけにもいかず。
ほかの娼婦が手を着けないような相手はいないか、と考えたところで目に入ったのは、店の入り口を見張るように立っている。ほかの客の護衛が待たされている、というところだろう。
興味を引かれて、青い瞳を輝かせながら近づいていった。

「こんばんは。退屈そうですね?」
細身の体を包むのは、透けた素材の、いかにもな衣装。胸元や腰元は厚手になっているが、うっすらと下着の色が浮かんでいる。
そうでない場所はさらに生地が薄く、白い肌がほとんど透けて見えていた。細い腿や、すらりとくびれた脇腹のあたりまで。

シュカ > 「きっと可愛いおねーちゃんたちに好き放題…。………ジジイめ、もうすぐ天国が近いっつーのに、今も天国じゃねぇか」

やっかみ塗れな台詞をぶつぶつと吐いて、依頼人の老人を思い出す。
依頼を受けて屋敷に出向いた時の印象は、枯れてる、であった。
だから、どこぞ教会に詣でるのか、薬師にでも逢うのかと思えばとんでもない、娼館への護衛なのだから、思わず絶句したものだ。
しかもこの時間まで、なのだから、何ラウンドしているのか、それともすでに事終えたり、なのか、
ともかく護衛の己をすっぽかして、おねーちゃんたちに囲まれているであろうことは想像に難くない。
…だから、やっかみの言葉も出てくるのだが。

こんなことなら、居眠りする前に、早々に引き上げて、おねーちゃんでも買えば、と今更悔いても仕方のないことを思い始めた時。
足音と気配に気づき視線が動く。

「お?」

思わず、と言った風に声が零れた。
現れた少女、と思しき影をはっきり見ようと目を細めては、何ともこの状況に舞い降りた女神か、と思うような出で立ち。
全て見えるよりこの程度の方がより扇情的と言えるその姿に、ほほう、と思わず見入ってしまった。

「よォ、おじょーちゃん。見ての通り、暇でしょーがねぇってとこさ。
………で、そんな俺に、おじょーちゃんは優しい手を差し伸べてくれたってことかい?」

漸く頭も覚醒してきたし、表情にも眠気は滲んでいない。
むしろ、にぃ、と笑った口元が弧を描き、八重歯が覗くから、少々悪人面かもしれないが、
手を差し伸べた、という含みのある言葉を続けて、首を傾げてみせながらも、ありがたくその肢体を堪能中。

コニー > 視線を感じると、嬉しそうに笑みを浮かべる。
いつもの、お姫様を演じる必要はない。これぐらいの方が、気が楽だ。
露出してさえ、少女のように見える細い体つき。そうはいっても、明るい場所でまじまじ見られれば、どこか違うことはわかるだろうけど……
店の入り口からのわずかな明かりだけでは、きっと気づかれることもないだろう。

「ふふ、そうですねえ……」
うなずくと、手入れされた長い髪が、さらりと流れる。
この場にふさわしく、甘い香りを振りまきながら、全身を見つめることができないほど近くに……そのまま、露わになっている肩を、男の胸に預けるように身を寄せた。

「この格好、寒くって。お客さんと一緒じゃないと、温かい部屋に入れてもらえないんです」
長いまつげの間からのぞくように、上目遣いの視線を向けて。
掌を下に向けて、相手の胸の前に差し出すと、
「手を取ってくれませんか? もう遅いから、半額でいいですよ♪」
最後は、こっそり、ささやくような小さな声。この時間から、新しい客は滅多に来ない。この時間までいる客は大抵泊まり込みだ。
……もっとも、自分の方は金に困ってなどいないのだから、いくらでもかまわない、のではあるが。

シュカ > 扇情的な姿とは対照的に微笑む姿は、まだ年若い少女らしさが伺えた。
…もちろん、少女だと認識しているし、薄暗い状況では、その身体つきもまだ未発達、と思えるだけだ。
それに、こうして身を寄せてくると、ふわりと鼻孔を擽る香りも娼館の少女だという認識を強くさせた。

「そりゃ寒いだろ。…まぁ、すぐに熱くなるかもしれねぇけど」

遠慮なくその素肌を覗かせる肩に手を伸ばす。
滑らかな肌の感触を味わうように、その肩を撫で、ちゃっかりこちらへと抱くように腕に力を込め。
上目使いでその台詞、はさすが心得てます、と思わず脱帽である。

「買いましょうっ!」

護衛なんてそっちのけ、半額という言葉にもつられて即答するも、恭しくその手を掬い取る姿は、それはそれで慣れているような仕草。
そのまま手を取ると、ごく自然に身を屈めるようにしてその手の甲に唇を寄せては、

「おじょーちゃん、名前は?…俺はシュカ。今夜一晩、あんたを好きにする男の名だからな、可愛い声で呼んでくれ」

ちょん、と唇をその手の甲に乗せて、吐息と唇とを触れさせながら呟いて。
この距離でも少女だと思っている風だし、違ったとしても構わない性質だから、さてどうするか、と顔を上げて娼館へと視線を馳せる。

コニー > 「嬉しいです。あ、んっ♪」
手の甲へのキスに小さく身を震わせて。ぽっと赤らんだ頬で顔を向けると、じ、っと視線を返す。
「シュカ様、ですね。私はコニー、って呼んでください」
ウキウキした声と表情。半分は演技だが、半分はどんな風に楽しませてくれるだろうか、という期待がにじんでいる。

重ねた掌、指を絡ませて握り直すと、こっちへ、とささやき。暗い門から、明るい店内へ向かっていく。
夜遅くになったせいで閑散としてはいるものの。慣れた態度の店員たちに目配せして、部屋を適当に選び……
「こっちへ。たくさん、暖めてくださいね」
ぴと、と寄り添ったまま。甘い香りが漂う部屋の中へ、二人並んで消えていく……。

シュカ > 思い切り鼻の下が伸びてしまうような少女の言動を眺めながら、

「おう、コニーちゃん、か。あぁ、よろしくな」

肩を抱き、手は取ったまま、にこやかに言葉を返した。
柔らかく滑らかなその指先が絡んできてもなお、少女と思えて、鼻の下は相変わらず伸びっぱなし。
煌びやかな娼館の中へと入ると、豪奢な造りに目を細めるも慣れているのか、導かれるままに歩を進めていく。

「もちろん。お互い温まろーぜ」

確り肩を抱き、甘い芳香漂う部屋へと二人して消えて………。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からコニーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシュカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > (王都への進出…つまるところ、二号店の構想
其れは同時に己が滞在する拠点が増えると言う事でも在り
ハイブラゼールの店が完全に安定した経営状態に落ち着いたからでも在る
特に、管理監督を担当出来る娘達が育ったのが大きい
己が此方へと出向くのか、其れとも娘達の幾人かを此方に廻すのか
其の辺りはまだ決めては居ないが――先ずは、土地の確保が当面の目標)

……しかし、政争に巻き込まれて一家離散の上、手放された邸宅とはね…。
ふふ、そう言った曰くの在る場所の方が、寧ろ似合いなのかも知れないがね。

(誰も居ない部屋の中、テラスへと進み出て、都を見下ろしながら
そんな事を呟いては、無為に数多に延びる路地へと視線を向けていた事だろう
この土地が、この建物が、他の場所からどう見え、他の地区から来易いか否か。
其の辺りを吟味する様に、暫し眺めて)

ルヴィエラ > (――悪くはない、選択肢のひとつにしても良いだろう
唯、別に急いで決める必要もないことではある、又、他に見回っては見る心算で

そうして、テラスの上から、ふ、と姿が消える
後には、また部屋主を失った建物が静かに佇むのみ)。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルヴィエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にエリーゼさんが現れました。
エリーゼ > 「ふむ、これは困りましたねぇ……」

大通りの一角、店仕舞いした服屋の軒下で少女はぽつりと呟いた。
市街の路地は降り注ぐ雨によって色濃く濡れて、どこか湿っぽい匂いが僅かに漂っていた。
雨足は駆け抜ければ濡れ鼠になりそうな程に強く、ぽつぽつとともっている明かりがぼんやりと丸く散って見えた。

「全く、傘を忘れてきたのは久しぶりの失策です」

嘆息しつつ、見上げる空は暗い曇天。
僅かに差す月明かりが、降り注ぐ雨粒を白い糸のように見せる。
このままここで雨宿り、と言うのは流石に避けたい所だが、それは少女の幸運次第だった。

エリーゼ > エルフの口伝で学んだ自然魔法には、雨を操る術式もある。
しかし、天候を変化させるほどの大規模な魔法は、おいそれと使えるものではない。
規模に見合うだけの準備をして、呪具や宝石等の触媒で魔力を増強し、初めて可能な術式である。
それは、儀式といっても過言ではないだろう。少女より高位の魔術師ならば、成しえる者もいるのだろうけれど。

「んー……矢避けは雨に使えましたっけ?どうなのでしょう?」

雨粒が飛来物ならば、矢避けの応用で傘の様に水を避けられないかしら、などと思いつく。
思考実験では出来そうな雰囲気だが、うっかりずぶ濡れになるのは避けたい所存。
結局最終手段にしようと日和見し、今は雨宿り。雨足が弱まるのをじっと待つ。
くぅ、と小さく鳴るお腹にエプロンのポケットを弄ると、取り出すのは小さな布の包み。
開けば出てくる、干した果物。小さな葡萄の粒を口に運ぶと、むぐむぐと咀嚼。
口一杯に広がる甘酸っぱさを楽しみながら、無聊を慰めていた。

エリーゼ > ひっそり待っていれば、そのうちに雨足が僅かに弱まる。
そのすきに、少女はえいやと飛び出すと、雨の中を駆け抜けていく。
結局やっぱり、矢避けの術は役に立たなくて、ずぶ濡れびっしょりだったのだとか――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からエリーゼさんが去りました。