2017/07/28 のログ
エアルナ > 風の魔法で音楽を生み出しながら、一方で擬人化した兎たちの幻影を躍らせる。
うまく踊りと音を合わせないと、見物人にも違和感をしょうじさせてしまうあたりは、当然。
すれだけ緻密で細やかな魔法を奏でる必要があるが、うまくいけば、こうしてみているものを喜ばすこともできる。

「さぁ、兎さんたちも。皆さんにご挨拶をお願いします」

踊り手にあわせタンバリンを鳴らしていた兎たちが、乙女たちに合わせ、可愛らしく頭を下げる。
魔法だとわかっていない小さな子供は、キャッキャッとはしゃいで喜んでいて…
思わず仮面の下の口元に、こちらもほっこり、笑みが浮かぶ。

マティアス > ようは、どれだけのものをどれだけの力を割り振って動かすか、である。
技巧と情報量を凝らして、精緻さを窮めるか。
うまく不要なものを削って、より多くの何かを演出できるようにするか。

その点で云えば、自分はまだまだである。
劇の場面場面に応じてそれらしい演出を出すことはできるが、一から十まで全部幻影でこなすというのはやはり、使える。

最後の締めまで済ませてゆけば、宙に浮いたままの霧をぱっと昇華させる。
中空に残る夏の夜の熱を冷ますように熱を奪いつつ、濡れないように蒸発させて消してゆく。

そうして、一旦分かれて流れてゆく観客たちを見送って――。

「…………――ぁぁ、うん。やはり、真面目にやると疲れるね」

仮面を外して、額に浮いた汗を拭う。云わば、両手両足を使って似顔絵や一筆書きをやっていたような気分である。
魔力の消費云々よりも、精神的不可や疲労の方が大きく身に掛かる。

持参していた飴玉をぽいと口の中に放り込んで、冷たい水を飲もう。

エアルナ > パチパチパチ、と結構盛大な拍手を受けて、霧のスクリーンが消えていく、
それを見届ければ、兎たちも霧に溶け込むようにその姿を消していき、幕は下りて、

それなりに反響はあったと安堵しながら、観客を見送れば。
聞こえたセリフに、くすっと笑みを零して。

「それだと、ふだんは不真面目だーっていう風に聞こえませんか?」

などと突っ込みながら、自分も仮面を外す。
仮面のせいで汗が余計流れた感じなのは、仕方ない。

レモン水の水筒を傾け、水分の補給。飴もいい。
それから、冷たい水で絞ったタオルを、師匠でもある彼のほうへとさしだそう。

お疲れさまでした、とねぎらいの言葉を添えて。

マティアス > 「もちろん、そうだとも。不真面目な位が丁度いい。なぜなら、徹底してしまいたくなるからね」

何事も程々が一番だ。
魔法使いも戦士も何かと窮めたくなる生き物と思うが、其れが過ぎると人間ではなくなってしまう。
目的のための手段ではなく、手段のための目的に変じてしまうからだ。
ただただ、窮めるために人間であることをやめてしまった何かには、なりたくない。

外した仮面をローブのポケットに仕舞い、目深にかぶったフードを脱ぎながら差し出されるタオルを受け取ろう。
負荷を減らす触媒の類を演出道具として用意しても、少なからず疲弊はある。
逆に云えば、長時間演に集中できる役者の体力には敬意を表せずにはいられない。
舞台もまた、一種の戦場であるとも言える。生も死も、その壇上で表現するのであるから。

「エアルナ嬢もお疲れ様。中々いいお手並みだったよ」

賛辞と共に顔を拭い、改めて一息をつく。摂取する糖分が巡れば、頭の中に張った疲労の靄も晴れる。

エアルナ > 「徹底しすぎるのも、大変だと思いますよ?そういう意味では、…不真面目、というのもわからなくはないです」

中庸や中道、というのか。偏りすぎれば、それに集中しすぎれば、却ってよくないのは道理だ。
バランスが崩れれば、天秤も傾くし、壊れてしまう。
…煩雑すぎるのもまた、よくはない、のだけど。

祭りもそろそろ、終わりに近づいている頃合いだ。
人々の賑わいを見ながら、誉め言葉が聞こえてつい、うれしそうな笑みが浮かんでしまう。

「どういたしまして、です。…あの竜の再現度には、まだまだですけど」

うん。見事なまでの迫力を思い出し、感嘆の言葉を返す。
兎と竜では、そも見る回数も違うが、それであれだけ凄いものができるのは、と。

マティアス > 「だが、徹底しないといけない時もあってね。
 自分がどれだけできるかどうか、試す意味で真面目になるのもたまには悪くないと思うんだ」

いつもいつもとなると、本当にやってられなくなる。
ひょいと肩を竦めて笑おう。土壇場で、自分に秘められた力が開花するなんて、都合が良すぎる。
だから、適度に試す位が丁度良いのである。不慣れな事を不慣れなままにしておくのも、逆に問題である。
腰に帯びた剣の位置を治しつつ、路肩の丁度いい置き石の上に座そう。
少し温くなったとはいえ、まだまだ冷たさを残した水が心地良い。

「それほど、でもないよ。精々演出に使う位だ。本当ならばもう少し手を抜いたほうが、他にできることも増える」

たとえば、同じような色違いの竜を現出させて、戦わせるといったことも。
此方の方が自分としては好みである。同じクオリティをどれだけ手を抜いて、かつ、気楽に操作できるか。
今後の課題である。同じことをそれ以下の労力を以て、為せるようにすることこそが至高である。

エアルナ > 「遠い国では、難しい試験に受かるかどうかでどれだけ出世できるかが決まるとか?
そういう肝心な時に、どれだけできるかは…普段の修行と。
後、限界を試したことがあるかどうか、…じゃないかな、と」

たぶん、だが。
あとはその、運とか、度胸なんかも関わってはいるが。
頷いて、笑みを返そう。

「んー、竜と竜の対決にして見せるとか、です?」

それだと、実際見たことのない状況の再現になるぶん、難しいのでは?
と、思わず首をかしげて、訪ねてみよう。

マティアス > 「カキョ、とかいったかな其れは。……違ったかな。

 少し補足しよう、エアルナ。――積み重ねだよ。最終的にものを言うのはね。
 限界とは常に足を踏み出した先にあるものだ。
 であるなら、後先考えない限界ではなく、常に踏み出した先に進む努力ができているかどうかだ」

努力が常に報われるとは限らない。成果が実を結ぶ保証はない。
だから、要は石を積み重ねて家の土台を作るように、自力を養うことができているかどうかである。
あやふやな限界踏破という賭けよりも、遠回りでも確実にことを為すことを優先すべきである。
少なくともそう考えて、解く。そうでなくては、一人で旅をすることなんて無茶はできない。

「そうそう、そういう事も出来る。
 別に見たことなくても構わないよ。明確に思い描いたものをどんな風に動かせるかどうか、だ。ものをいうのはね」

ほら、このとおり。
小さく呪文を紡いで、ぬいぐるみの如く、小さな戯画された白と赤の竜の幻影を作って子供の喧嘩のようにじゃれつかせよう。
ぽかぽか殴ったり、噛みついたり、互いに炎の吐息を吐いて牽制しあったり、と。一通りの演技をさせて。

エアルナ > 「限界は、足を踏み出す先にあるーーですか。」

考えてみて、想像をめぐらす。
それはそうだ、まず足を踏み出す努力をしてこそ、先へ進む。
足元もわからなくては、進むこともままならない。
地道に、堅実に、それからはじまる。
なるほど、と共感したように頷いて。

「…ええと。なんだか、すごく可愛く見えるんですけど…」

子供というか、子犬同士がじゃれあうような、そんな感じか。
竜の幻影の喧嘩?を見て、素直な感想をぼそり、と。

マティアス > 「そうだよ。

 ……勢いをつけて飛び込んでみるな、とは言わないよ。
 しかし、飛び込んだ先が奈落の穴であるとしたら、死ぬしかない。だから、僕としてはお勧めしない」

より端的に云うとすれば、生存のためのリスクの回避やコントロールができているかだ。
魔法使いという生き物は時に容易く、自身の限界等に挑みたがるものだが、分不相応な術はその身を亡ぼす。
自分とて、例外ではない。身の丈をはるかに超えた術は、ともすればあっさりと命を奪いかねない。
故に道具により負荷の軽減、補佐に頼ることもする。勿論、日ごろの修錬だってかかせない。

「いや、エアルナ程うまくはないよ。僕にそういう可愛いらしいセンスは期待しないで欲しい位だ」

喧嘩して、泣いてぐずって、そっぽ向いて、しかし、また仲良く傍に寄る。
そんな一連の子供にありがちな光景を力を使って演出してみるものの、他人受けするのか少し悩ましいものである。
可愛らしいものについては、やはり分かっている人間が描いて、動かす方がとてもいい。

頭の中で術式を組んで、もう暫し中空に続きとなる風景を動かして、描かせよう。
程々に力を抜けば、こんなこともできるのだと。そう示しつつ、後片付けにかかる。

エアルナ > 「飛び込むなら、その先がどんなところかは、予測しておくべきですね」

底なしの沼や切り立った崖など、実際の自然の中にも脅威は目白押しだ。
踏み込んだ先に毒蛇がいれば、それだけでも命とり。
基本、ムチャはするものではない。
そして、危険が予想できるなら、予想できるものなら、対処はしておく。
冒険者の基本姿勢に通じるそれに、改めて頷いて。

「子供をイメージした、というのはわかりますよ?ちゃんと」

なんとなくやんちゃ小僧同士のじゃれあい、に見えはするがと、演出にほほえましいものを感じてくすっと笑う。
こんな感じの子供時代だったのか、とは聞かないけれど。

「ともあれ、今日の依頼はこれで果たせた、ですね?」

後片付けを手伝いながら、そう確かめて。
だったら、このあとどこかで食事でも?と誘ってみよう。
祭り限定の料理が出る店も、多いのだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 シックなバー」にボブさんが現れました。
ボブ > (質が良い材木を卸している材木商人に連れられて、富裕地区のバーへとやって来た若き木こりの男。
男をここに連れてきた商人はカウンターの隣に座っていた女性と仲良くなり、今はフロアでその女性とダンスを踊っていて
男は一人、カウンターでグラスを傾けていて)

「う~ん……正直、あまり落ち着かないかな…。
場違いだって事は俺自身、重々感じてる事だけど、同行者が居たからこそその違和感も緩和されていたんだけどな」

(育ちは良くも無く、悪くも無い男はちょっと居心地の悪さを心の内に抱えながらも
ここに連れてきてくれた商人の気持ちも考えて、帰る事も出来ずにグラスを重ねてしまっていて)