2017/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
■カタナ > 実際、常に瞳は閉じているのでその印象は間違いではない。あとは…せいぜい、髪の毛が斑模様くらいしか特徴は無い、多分。
口調がジジ臭いのは癖のようなものだ。若干彼女の喋り方と似ている所もあるかもしれない。
「…んー…そうなると儂は変わり者の部類か。…うん、悪くないのぉ。
それに、お嬢さんが只者じゃないのは見た目でも分かるが…だからこそ面白い。」
変わり者大いに結構!とばかりに呵々と笑って。無個性な輩よりよっぽどマシだ。
実際、周囲からちらほらと視線を感じるが…だからどうした、とばかりに少女のお隣に座したままで。
昨日、王城の貴族ばかりに囲まれた居心地の悪さに比べれば何とマシな事よ。
「まぁ、何となく予想は付くからのぉ…了解じゃ。…おっと、これまた…ずっしりじゃのぉ」
渡された大きな袋。中身を覗き込めば小さく苦笑気味に。とりあえず、まずは軽めのサンドイッチを取り出す。
それを早速頬張りながら、『ほぉ…』とか『流石に平民地区よりいいパンを使っておるのぉ』と、呟き。
「おぉ、そういえば自己紹介が遅れてしもうた。儂はカタナという。そちらは?」
サンドイッチをまずはきっちり完食してから笑みのままノンビリと尋ねる。
良くも悪くも変な壁は無く、馴れ馴れしいと思うか怖いもの知らずと見るかは相手次第か。
■タマモ > 正直、外見で何かを判断するとかはしない。
理由?そんなもの、いちいち気にしていたら苦労するだけだからだ。
それに、異種族とかも含めて知り合いは居る、髪の毛の色程度は大きな特徴になりはしなかったりする。
まぁ、だから、一番分かり易い特徴にしか目がいかないのだが。
「そうじゃのぅ、さすがにその成りで子供とは見られんか。
………まぁ、確かに見た目だけで分かるじゃろうな?」
うん、どうやら相手は引かなかったようだ、良かった良かった。
己の事を指摘されれば、そう答えつつ、ゆらりと九本の尻尾を揺らしてみせた。
間違いなく、これだけで普通に見られないのだから。
それ以外の要因も男の言葉にはあるのだろうが、そこは気にしなかった。
「ふふんっ、そのパンは美味じゃぞ?
しっかりたっぷりゆっくりと堪能するが良いじゃろう」
色んな種類のパン類ではあるのだが、食べていて分かるのは一つ、辛味が感じるものが一つもない事である。
少しでも辛いものは、少女は大の苦手なのだから仕方ない。
呟きを聞けば、自分が作った訳でもないのに、自慢げに胸を張った。
「お、おぉ…すっかり忘れておったのじゃ。
………うん?カタナ?カタナとは、あの刀じゃろうか?
むむむ…覚え易くはあるが、そう名付けるのも何とも…
おっと、妾の名はタマモ、覚えておいて得も損も無い、覚えるも忘れるもお主次第じゃろう」
名前を聞けば、その名前の安直さに少々唸る。
こう、もう少しぱっとした名前とか、付けてやれば良いものを…とか、考えてそうな雰囲気だ。
そして、続いて名乗り返しておいた、いつもの言葉を添えて。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
■カタナ > 瞳を普通に開いていたらそれこそ特徴らしい特徴が無くなってしまうだろう。
没個性、とまでは行かないが…あとは、単純に男は気配が薄い。存在感が無いという意味ではないが。
強いて言うなら、雑踏や自然環境にサラリと混ざり込めそうな類、というべきか。
「まぁ、身長は少々成人男性にしては足りぬがなぁ。…ふむ、触り心地が良さそうじゃの」
ジーッと、瞳は閉じたままで九尾を見遣る。無論、勝手に触るなんて事はしないが。
サンドイッチをペロリと平らげれば次は…このボリューミーなお肉辺りを攻めてみよう。
「…んむ…これも美味い。…しかし、こういうパンにしては刺激的な味付けの類は控えめなのじゃな」
つまり、辛味が少ない。とはいえ、男も多少なら平気だが基本的に辛い物はやや苦手だ。
だからこそか、美味いだけでなく彼女からお裾分けされたこれらはどれも食べ易い。
が、ボリューム満点なのもちらほらあるので、これを彼女は一人で平らげようとしたのだろうか…。
「その刀じゃ。…んー本名は捨てたからのぉ。一応、「ヒバシリ」という苗字があるにはあるが。
…ん、タマモ殿か。独特の良い響きじゃな…ともあれ、好きに呼んでくれていい」
よっぽど珍妙じゃなければ、正直あまり呼ばれ方にこだわりが無い。
覚えるも忘れるもこちら次第。だが良い響きだし男と違い彼女は外見も特徴的だ。
つまり、記憶力までジジィでなければまぁ忘れる事はまず無いだろう。
思い出したように、酒瓶の蓋を開けて軽く一口。異国の酒だがだからこそ口に合う。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
■タマモ > まぁ、確かにこれで男が普通に目を開けていたら、これという特徴で覚える事は出来なかったのは事実である。
が、気配に関しては別だろう。
鋭敏な感覚ゆえに、その大小は違和感となって少女に伝わる。
つまり、あれだ、瞳の開閉が無くとも、少女にとってはその気配が特徴として覚えられたかもしれない。
今更だが。
「うん?そうなのか?身長なんてもの、そう気にするものでもないと思うんじゃが…
あ、いや、高い方が色々と便利そうではあるのぅ?
うむ、カタナよ、なかなか良い目の付け所ではないか。
もふもふしておって気持ちが良いと好評なのじゃ、自分で触れるのは虚しいからやらぬがな?」
そもそも、自分も身長は平均的に考えれば低い方なのだ。
なので、いちいち気にしたりはしない。
…気にしない事が多い気がするが、それも気にしたらいけないのである。
と、尻尾が気になるような仕草素振りを見せれば、触れるか?といった感じに首を傾げ問うてみる。
答えを聞くまでもなく、ゆらりと数本の尻尾が寄せられた。
触れれば、言葉の通りに心地良い感触を味わえるだろう。
「………そ、そういうパンが多いところなのじゃ。
決して、辛いのが嫌だから、そういったものばかりを選んだ訳ではないぞ?絶対じゃぞ?」
びしり、と指を差して答える。無駄に強調して答える。
余計な言葉を発していた、そんな事に気付いてもいやしない。
「本名を捨てるとは、余程変な名前じゃったのか?可哀想にのぅ…
ふむ…まぁ、カタナが呼び易い、それで良かろう。
馬鹿鴉の前で言うと、変に間違えそうではあるがな?」
難しそうな表情を浮かべ、答える。どうやら変に勘違いをしたかもしれない。
後の言葉は、それだけでは意味が分からないかもしれない。
その相手は刀の使い手ゆえに、それと間違えそうだ、という意味なのだが…言葉が足らない。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
■カタナ > むしろ、男の見た目より独特の気配の薄さの方が彼女の印象には残り易い、と言えるかもしれない。
存在感が無い程ではなく、さりとて自己主張するほどハッキリもしていない。
霞のような曖昧さを醸し出しながら、何かを覆い隠す程でもない。
”ただの人間”としての、ある種の極致の一つとも言える。
「…うーん、そうじゃなぁ。まぁ高い方が何かと便利ではあるなぁ。
とはいえ、多少小柄な方が小回りが利く、という点では今の方が丁度いいのかもしれぬ。
…確かに好評なのも頷けるのぉ。…お?良いのか?では失礼して…。」
世の中気にしたら負けだ!みたいな事は多い。少女だけでなく男だってそういうのは結構ある訳で。
彼女の方から提案してくれたので、お言葉に甘えて頷きつつゆさり、と寄せられた尻尾に触れてみる。
モフモフ…いや、それだけではない。この手触り、心地良さは凄い。
「これは……良いものじゃな」
何故か真顔で断言する。いや、心地よすぎると逆にこうなる!みたいな感じで。
暫く、こうしつこ過ぎない程度にモフモフ触っているだろう。…いかん、嵌まりそうだ。
「…そうかそうか。確かに辛味がなくても美味いものなぁ。
特に問題はあるまいて。」
内心でほほえましく思う男。実際の年齢は男の方が遥かに下だろうが、ここだけちょっぴり逆転現象が。
本名については、いやいやと苦笑気味に首を緩く左右に振って。
「なんというか、名前負けしてるというのかのぉ?本名は変ではない…とは思う。
ただ、それに儂が釣り合っていない…と、言うべきか。…馬鹿烏?」
知り合いか何かだろうか?と、内心で小首を傾げるが多分深くは突っ込んで聞かない。
ボリューミーな袋の中身をゴソゴソ漁り、会話の合間に少しずつ平らげて意気。
「…ああ、まぁ武器と同じ名前じゃから時と場合と相手次第では変に勘違いはされそうじゃなぁ。
…と、なるとその鴉殿には本名を敢えて名乗るべきかのぉ」
うーん、と苦笑気味に。儂はカタナじゃ、と名乗ったら刀の化身…”ツクモガミ”とかと間違われそうな気がする。
■タマモ > 気配を絶つ、それを無意識にしているのだから、少女からすればそうなるだろう。
ただ、それが意識し易いのは、先ほどに出た式神が同じ業をなせるからでもある。
もっとも、それを少女から説明するのは無理な話で、本人と出会うしかないだろうが。
「ふむ…まぁ、結局のところは自身が一番という事じゃろう。
高くなれようと、低くなれようと、今までの己と変わるのは違和感しかないじゃろうしな?
うむ、好きなだけ、妾の尻尾も堪能するが良いぞ?」
結果はやはり今のままが一番、これで収まった。
とりあえず、寄せた尻尾は好きに触らせてやる。
力の象徴として存在するものではあるが、その感触は母から受けたそれに似せたもの。
つまり、本物同様のもふもふ感、そしてどんな状態であろうとそれが崩れる事はないのだ。
いつでもどこでもどんな時でも、至福の感触をあなたに。そんな感じ?
パンに関しては、どうやら誤魔化し切ったらしい…誤魔化せてないが。
そう思い込められるならば、安心したように胸を撫で下ろすのであった。
「そんな風に思うから、実際に名前負けをしてしまう。
そのような名前を付けられたのならば、そう思うのではなく、その名前らしき自分となれば良い。
諦めてしまえば、それで終いじゃぞ?
あー………まぁ、妾に付いて来ておる者の一人じゃ。
呼び名は余り気にせんでも良い」
と、相手の言葉に、言いたい事を言い、後はあえて細かい説明を省く。
単に、少々長くなりそうで面倒なだけである。
そうした中、着々とパンを減らす姿に、何とも頼もしいものを感じているかもしれない。
「ふむ…そうじゃな、その辺りはお主に任せよう」
多分、男が思っている通りの結果となるだろう、出会い、そう名乗る事があるのならば。
その式は、相手によって言葉を変に捉えるかもしれないから。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
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■カタナ > たかが100年、されど100年。不老体質な男だが人間の範疇故の限界はある。
ただ、多少なり式神級の業に近付けているならば、それはそれでまぁ…少しはマシなのだろう。
その式に出会う事があれば、さてさてどうなるやら。今はまだ分からない。
「そうじゃなあ。他者を思う事も大事じゃろうが、まず自分自身を思う事が大事じゃろうて。
…ん?あまり触りすぎるのも失礼かと思ったのじゃが…まぁ、タマモ殿が良いなら」
自身を思えぬ者が他者を思えるだろうか?なんて、小難しい哲学的な事を考えてしまいそうだ。柄ではない。
ただ、モフモフで手触りや心地よさがあるだけでなく、ある種の象徴じみた尻尾。
ただの人間だからこそ、逆に力の象徴という一端を悟る事が出来る。
…が、それよりも至福の感触の方が重要だ!飽きずにモフモフを続行中な男。…魔性の女ならぬ魔性の尻尾だ。
ちなみに、誤魔化せてないと指摘しないのは優しさである。微笑ましく思っても顔には出さないようにしておこう。
「…とはいえ、儂の本名のあやかり元が強大な存在らしいからのぉ。
只人には少々大仰な名前なんじゃよ。まぁ、今の名前も安直じゃが性に合っておるし。
…ふむ、タマモ殿は凄いのじゃなぁ」
凄い、と簡潔すぎるが彼なりに彼女の何かを十分に感じ取っているようで。
が、それはそれ、これはこれ。こうして食事しながら雑談を楽しむ事にそれは関係ないのだ。
そして、何時の間にかもう袋の中身は残り僅かな所まで平らげていた。
大食漢、という程でも食事のペースが速いという程でもなく。だが何時の間にかそこまで減っている。
「うむ、そうするよ。これまた楽しみが増えたのぉ。人生退屈より辛いものは無いものじゃ」
と、呵々楽しげに笑いながら酒も合間に煽り、モフモフも楽しむ。ああ、と雑談のついでに思い出したように。
「タマモ殿には必要ないとは思うが、一応儂は用心棒とかしておってな?
もし、必要とあらば気軽に頼んでくれて良い。まぁ護衛とか付き添いみたいなものじゃな」
うん、必要ないとは本当に思うが。まぁ暇潰し相手の一人くらいに思って貰えればいいだろう。ちびちびと酒を煽りつつ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にカタナさんが現れました。
■タマモ > さて、自分はどれほどの年月を生きていたか…もはや、数えるというレベルではないかもしれない。
それでも、それを感じさせないのは、それを深く考えないからだ。
面倒だ、疲れる、他にもあるが理由は何でも良い…ただ単に子供っぽい性格が治らないだけ、という突っ込みは受け付けない。
「うむ、やはり根っこの部分をまず大事にせねばな?
構わんぞ?さすがに、無断で触れれば妾も怒るがのぅ?」
大丈夫、自分はそれ以前の問題だから。その考えが聞こえるならば、そんな答えが返る事だろう。
主張はするし、そう思ってもいるが、その感触は経験済み。
だからこそ、自分も相手がそれを感じたいと願うならば、感じさせてやるのだ。
…明らかに、変な事を狙ったりすれば、怒りを買うのは当然だが。
そうでなければ、この尻尾は良い尻尾である、うん。
「そうかそうか、妾の名とて同じようなものじゃ。
だからこそ、それとは違えど、近い存在となろうとする。
まぁ、何者かを従わせる事自体ならば、誰でも出来る事じゃろう?
そう凄い事かどうかは、いまいち分からんのぅ」
そう、目指していたのは母のような大妖怪。
しかし、目指しているのはその巨大な力、母そのものを目指していた訳ではない。
もしそうしていたならば、今のような他の種をも好むような自分は居ないのだ。
己と同じ妖以外は何とも思わない、そんな風にだけはなりたくなかった。
と、褒められて嬉しくない訳ではないのだが…正直、凄いか、と言われると微妙。
何せ、付いて来てはいるが、素直に従ってくれているかと問われれば…まぁ、そんな感じなのだ。
「ふふ…何事も、楽しめるのが一番じゃ。
しかし…用心棒か、やはり妾としては、暇潰しに語り合い、共に飲み食いする相手として居る方が嬉しいものじゃのぅ。
争い事なんぞ、面倒でいかん」
実に思っていた通りだろう。
必要なのは、守ってくれる相手ではない。
共に楽しむ相手なのだ。
大きな袋の中身は消えた、小さな袋の中身も何とか…
残った二つの袋は残っているが、すぐ食べないといけないものではない。
「さて…少々長居をしてしまったか。
何とか持ち運びに何とも無いくらいにまでなった事じゃ、そろそろ戻らねばのぅ。
…カタナはどうする?もう少しのんびりしておるか?」
よいせ、と腰掛けた時のように立ち上がる。
そう大きくない二つの袋を手に、軽く首を傾げて問う。
■カタナ > もし、彼女の考えが読めるとしたら…男は多分共感する部分も多々あっただろう。
面倒、疲れる、その他あれこれ。子供っぽい部分があっても結構。
背伸びするのも勿論、”自分らしさ”がそこに残っていれば自分足りえる。
だから、彼女の子供っぽい性格も…うん、タマモという少女を構成する大事な要素なのだろう。
「そうじゃなあ。根がしっかりしていなければ葉も繁らぬし花も咲きはせん、と。
流石に儂も無断で触るほど不躾ではないつもりじゃ。そこは信用してくれていいぞ?」
まぁ、初対面の相手に信用してくれても良い、というのもアレだが嘘ではない。
モフモフの心地良さはもう言うまでも無く、手触りも楽しみながら思う事が一つ。
『…枕代わりに寝転がったら快適そうじゃなぁ』と。いや流石に口には出さないけれど。
いずれ機会があればお願いしてみるのもいいかもしれない。受けてくれるかは別として。
「…成る程のぉ。含蓄ある言葉じゃて。…従わせるにも色々とあるじゃろ?
強制か、契約か、はたまた慕って付いて行くか。いずれにせよ…じゃ。
タマモ殿に付き従う者達がどういう形かは儂には分からぬが…良い関係だといいのぉ」
小さく笑って。少し無遠慮すぎた発言かもしれないが、こういうのは口にして出した方が分かり易い。
勿論、彼女とその従う者達にあれこれ言うつもりは全く無い。
ただ、主従に色々とあれど…だからこそ、良い関係であればいいなと。
男はただの人間で、彼女と違って目指すものは大した事はなくて。
果ては剣の道のその極み。斬り捨てた者、物、モノは多いけれど。
誰かを好む自分は捨てたくない。他者をゴミクズ以下としか扱わないのは御免蒙る。
種族、経歴、環境など違いは数あれど。そこは彼女と似たものが少しあるだろうか。
「そうか、じゃあ用心棒関係なく暇潰しの相手の一人としてどうじゃ?
……んーむ、何か我ながら遠回しでいかんな。じゃあ「友」で行こう」
何か不躾だがそう言ってみる。暇潰し相手よりそっちの方が響きはいいし。
共に楽しむことが出来るならば、それは決して誇張した表現ではないと思いたくて。
それに、友云々にはアレだ、初対面とか関係ないのだ!多分!
ともあれ、大きな袋の中身は完食し、酒もほぼ飲み干してしまった。今日はここらが潮時だろう。
ゆっくりと伸びをしてから酒瓶を片手に立ち上がろうと。
「んー儂もそろそろ引き揚げるよ。一人で寂しく酒もつまらぬしな。
どうせなら途中まで喋りながらでもどうじゃ?」
と、笑って提案してみよう。もし拒まれなければ、きっと途中別れるまで和やかな会話でもしながら――…。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からカタナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアザレアさんが現れました。
■アザレア > 祭、というのが何かの祝いごとだ、ということは、流石に理解している。
けれど、そもそも何を祝っているのだか、祝う、とはどういうことなのか、
豪奢な屋敷の中、文字通りの乱痴気騒ぎを目の当たりにした後では、
もう、さっぱりわからなくなってしまっていた。
―――――敢えて、細かいことは考えまい。
兎に角も、はっきりしていることがただ、ひとつ。
今なら、屋敷の主人も賓客も、娼館の主も、誰も彼もが『祝いごと』に
夢中になっている今ならば、きっと逃げ出せる。
そう考えるが早いか、己は運ぶよう言われていた荷物を廊下の片隅へ置き、
裏口からそろり、夜の街へと抜け出した。
どれもこれも立派なお屋敷ばかりが立ち並んでいる界隈だけれど、
裏門から抜け出した先、細い路地は驚くほど静かで、暗い。
左へ、右へ、忙しなく視線を巡らせて、思案すること暫し。
――――何しろ、土地勘など欠片も無い場所だ。
どちらへ逃げるのが一番良いのかなんて、わかるものではなかった。
■アザレア > 考えなしに逃亡を図るなど、本当は一番愚かしいことなのだ。
どこへ向かえば良いのか、隠れ場所をどうやって見つけるのか、
なんの計画もない侭、闇雲に駆けずり回っても勝算は薄い。
しかも―――――捕まれば当然、酷い折檻が待っている。
今度こそ、主は己を許さないかも知れない。
「……だから、なんだってのよ」
低く嘯く声の語尾が、微かに震えてしまったのはきっと、
気のせいだ、と思っていたい。
ほつれた前髪を両手で乱暴にかきあげ、きっと顎を反らして、
行く手を飲み込む闇を睨み据える。
――――――兎に角、歩くことだ。どこかへ、ここではない場所へ。
こくりとひとり頷いて、上衣のポケットを探る。
白銅色のコインを一枚、取り出して虚空へ放り投げ――――ぱし、と。
伏せた右手の甲と、重ねた左掌の間へ捉えて、深呼吸。
そうっと左手を持ち上げて、コインの表裏を確かめようと。