2017/07/09 のログ
アルテア > 建国を祝うこの祭は貴族や市民にとってだけでなく、金を稼ぎたい冒険者にとっても大きな催しだ。

長期間の馬鹿騒ぎが続けば当然治安の低下が懸念される上、そちらに衛兵のリソースが割かれる。
そうなると貴族の護衛や外部からの魔物の討伐はその分ギルド――ひいては冒険者へと多く回ってくることになる。
更に酒や料理は貴族達が様々な箇所で振る舞ってくれる、刹那的に生き浪費する者が多い冒険者にとってこれほど嬉しい施しはない。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にチューベローズさんが現れました。
チューベローズ > 賑わう富裕地区。
一人の少女がスカートの裾を軽く摘まみながら息を乱しながら走ってくる。

走らす元凶は少女の背後少し離れた場所からテンプレートのようなならず者が少女を追いかけていた。

「はぁっ…はっ…」

その折り目にしたのはギルドに所属するようないでたちの人。
つい助けを求めるような視線を相手に向けた。

アルテア > 「…はぁ」

肩を小さく竦め、息を吐くと視界の隅で開かれるパーティに目を戻すことなく通りをゆっくりと歩き始める。

アルテアもまた富裕地区の依頼を請け負っている身であって、それには団欒とした宴の様子は毒でしか無くて

アルテア > どれだけ見回りを行っていただろうか、ふっと荒い息遣いが女の耳に飛び込んで来た。

「……ッ!」

武器を構え、神経を尖らせて見れば縺れた足取りで必死に走り回る少女の姿が視界に映る。
何かに追われているのだろうか?度々後ろを気にする様子を見せる少女が一瞬こちらへ縋るような視線を向けたことを感じとって。

「急いでッ!こっちだッ!」

全速力で少女へ向け疾走しながら彼女を追っている者達の注意も引くようにわざと大声で叫んで見せて。

チューベローズ > 「はっ はぁっ… はいっ!」

息を乱しながら、駆ける少女。
貴族たちと言っても戦時下の貴族は少ないのか…、
少女を助けるものはいない。

その折り武器を構える女性がこちらに気づけば少女は相手の脇を掛け背後で止まる。

そして、少女を追いかけていたならず者二人は舌打ちをしながら、数の利に目をくらませ、こん棒を構え左右に分かれると一人は上、もう一人は中段に向け、アルテアに同時に攻撃を仕掛けた。

「「チッ…!」」

アルテア > 「あら、いかにもチンピラって風体の癖に連携はしっかりしてるのね。」

少女を狙っていた追手2人組がこちらの姿を確認するとすぐさま作戦を替えてた事に嘆息する。
王が空位の今、この建国を祝う催しは格好の政の舞台でもある。
市民や他の貴族に自らの力を示すと同時に、騒ぎに紛れライバルを物理的に潰すというのは別に今に始まった話ではない。
この2人組も金目当てのチンピラなどではなく雇われた刺客の類だろう。

「でも……」

刺客が2手に別れた瞬間、アルテアは徐に天へと手をかざした。
そのまま刺客の棍棒がアルテアへと迫る旬感、上空から大剣が何本も降り注ぎ、石畳をびっくり返しながら地面へと突き刺さる。
肉厚な大剣はアルテアと少女の囲う檻のように刺客と彼女達の間に存在する空間を分断して。

「ちょーっと相手が悪いんじゃないかしら?」

チューベローズ > 連携をしても動じることのない相手。
契約では護衛もいない簡単な小遣い稼ぎだったはずなのに。
よもや、手ごわい傭兵に当たるとはついていない。

どちらかの男が考えたかもしれないが、賽はすでに投げられた。

「なっ…!」
「くっ!」

一人は何とか身をひねり後ろに下がり、上空から降り注ぐ大剣を避けるも、もう一人は気づくのが遅れたのか肩口から太腿を切り裂かれ血が舞う。
一瞬の間。
相手の言葉に舌打ちをして、無傷の男はこん棒を少女に、黒塗りのナイフをアルテアに投げつけた。

「きゃっ!!」
響く少女の甲高い悲鳴。鋭く投げつけられた棍棒、少女は身をひるがえして避ける動作をする。


男が作りたかったのはそんな一瞬のスキ。
傭兵がそれ以上深入りをしなければ、無傷の男は傷を負った男を回収し、夜の闇に紛れ消えていくだろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアルテアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からチューベローズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシェイアさんが現れました。
シェイア > 富裕地区にある一角。
通りの一等地にあるその店は高級品専門。嗜好品や宝石、反物。一級品のみを扱う店。
その店内を女は一人巡っていた。
ゆとりを持った店内には夜も深まる時間だというのに数名の貴族の姿。
揃って暗い色の衣服などを着ている所からすればお忍びという事もあるだろう。

ふ、と唇が小さく笑みを描く。
別に隠さなくてもいいでしょうに、という風に思った。
店の表向きに出されている商品は隠し立てするようなものはないのだから。

「…店主と直接取引するなら別なのでしょうけれど、ね。」

ぽそりと呟く。
今も奥にある部屋で商談が行われているかもしれない。
と、視線をちらりと向けるが……すぐに手元に目を落とした。

華美に彩られた装飾品。
護符という事ではあるが…女の目には見てくれだけに映った。
これはハズレね、と内心で呟きつつ次の品を見て回る…。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシェイアさんが去りました。