2017/05/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にジェイコブさんが現れました。
ジェイコブ > 「さて…参ったな…」

様々なドレスや礼服を纏う貴族や王族が行き交うホールを、居心地悪そうに大男は歩いて回る。
さる貴族の邸宅で、何かのパーティーが急に開かれることになって人手が足りなくなったらしく、
戦場から帰ってきた大男はその警備に有無を言わせずに組み込まれてしまった。
一応の作法は身に着けていて、こういった雰囲気を嫌うわけではなかった。
ただ、一点大男にとって困ったことがあったのだ。

「なんだってまた、あんな美味そうなものばかり…」

旨そうな料理や酒、それらが並んでいても警備という立場上それらに手を付けるのはよろしくない。
それらが、特に自分の気に入った銘柄の酒であったり、好んでいる料理であって、
それを当然意にも介さない者たちが食べて飲む様を見せられるのは、想像を絶する苦痛だった。
それらの匂いをせめて嗅ぐまいと気にしないように努めるほど、むしろそれらへの意識は向いてしまうもので。

ジェイコブ > 「あ、ああいえ、失礼しました、何でもございません。どうぞお楽しみください」

料理の匂いに気を配らないように努めていて周囲の歓談は殆ど耳に入らず、
何か異常がないか見回っていると、何かに気づいてふと足を止めた。
特に好物である鳥を香草で丸焼きにしたらしい料理を皿に取っている者には、
自分でも気づかないぐらいに視線を注いでいたようで、やや機嫌を損ねたように問いかけられた。
それには頭を下げて謝罪し、足早にその場を辞していく。

「警備とはいえ、流石に辛いものがあるな…」

宴の様子は非常に気になるものの、参加者が増えて賑わってくる頃になれば、
流石に気を引き締めて周囲の警戒は行っていく。
やってくる賓客たちは、その身分を尊重するために荷物に武具などがあっても、それを咎めることはできない。
だからこそ、何かあれば大事に繋がりかねないため、周囲から頭一つ大きな視界で、
問題が起きていないかを注意深く見渡していた。