2017/04/29 のログ
リス > 「収穫なしか。」

 新たなパイプと言えるような貴族はいなさそうだ。
 お金の匂いはしないし、興味を引くような人もいない。
 仕方がないか、少女はため息をひとつ大きく吐き出して。
 その場を去ることにする。

 ああ、ちゃんと、主催者には先に上がることをお詫びしてから。

 あまり目立つ訳でもなく、それでいいか、と、会場をあとにした。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/パーティ会場」からリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にマリー・テレーズさんが現れました。
マリー・テレーズ > 「チェチリアにも困ったものです……ここは彼女のご実家にも相談するほかありませんね」

毎日のように男遊び(女遊びも)を繰り返している淫乱な若い修道女……彼女の両親はていよく修道院に入れてしまったわけだが、急にセックスへの執着がなくなるわけではなく……

「そういえば、昨日修道院内で妙な話を聞きましたね。チェチリアが聖堂騎士らしい男とまぐわったと……」

まぐわる、という言葉で思わず嫌悪感のあまり眉をしかめるマリー・テレーズ。しかし本当に相手が教会関係者ならこちらも指をくわえているわけにはいかない。

さて、チェチリアの自宅はこの辺のはずだけど……と彼女は豪勢な邸宅が立ち並ぶ一角を見て再び歩き出し……と道すがら中年の男性貴族に危うくぶつかりそうになり、慌てて頭を下げる。

「申し訳ございません!」

すると男は謝るには及びませんとわずかに微笑んでみせたので彼女はほっとした。……そうだわ、この方にチェチリアの実家を教えてもらいましょうか。

「旦那様、恐れ入ります。このあたりにチェチリア……はい、私どもの修道院にいるチェチリアです。彼女のご自宅はどの辺かご存知ですか?」

すると彼はいささかギョッとした表情で「チェチリア……昨日、たぶん貴女のお言いつけでしょうな、寄付金を集めて回ってましたよ……いやあ、実に感心だ」

その言葉とは裏腹に表情はこわばっている。そう、確かに寄付金については自分が命じたものだが……目の前の男のおよそ貴族らしくない振る舞いはどうしたことだろうか?

「そうでしたか、あの子もしっかりやるときはやるのですね……それで、チェチリアの自宅は?」

内心違和感を覚えつつまた尋ねる。すると男はさらに狼狽した様子で「実は彼女の自宅は私も知らないんだ。娘……チェチリアが修道院に入れられてからは、ご両親もまったく顔を見せなくなって。貧民街など別の場所で訊くのがいいと思うよ、たぶんチェチリアが【救った】人間も多いだろうからね」

そう口早にいうと男はさっさと彼女を追い越していった……その背を見送りながら、マリー・テレーズも貧民街へと足を向けるのだった。それが彼女の運命を狂わせる第一歩とも知らずに。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 「チチェリア……ああ、あいつか」

口の中で言葉を転がすように一人ごちる。
あれを訪ね回っている女がいるというので、男は耳聡くその場へ来てみた。
見れば修道院の関係者か、男は思案して……声を掛けた。

聖堂騎士の顔で笑みを浮かべて。

「失礼ミセス、誰かお探しかな?」

にこやかに、だが有無を言わせぬ形で彼女を道の端に寄せながら。
その身体に密着するように。

マリー・テレーズ > 思案していたマリー・テレーズはいきなり声を掛けられハッとそちらを見た……恰好からして聖堂騎士だ、間違いない。彼は神に仕える者としては理想的な笑みを浮かべ彼女を見ている……ふと、チェチリアと聖堂騎士との情事の噂を思い出したが、なに単なる噂だ。少なくとも目の前にいるこのダヴィデのように逞しい男がチェチリアの相手とも思えなかった。
マリー・テレーズは人を疑うことを知らない。親切に声を掛けてきた神に仕える騎士の邪念に気付くはずもなく……

「こんにちは勇敢なる騎士様。私は聖マルグリット修道院の院長でマリー・テレーズと申します。実はうちの修道女でチェチリアという娘の実家に行きたいのですけれど……先ほどお会いした男性貴族には知らないと言われ、貧民街にでも行ったらどうかと。でも、私一人で貧民街に行くのは少し怖くて……」

彼女と接した貴族の男とは当然グスタフとチェチリアの痴態の餌食になった者なのだが、そんなことはこの厳格な修道院長には想像すらできない。

「あ、あの……少し離れていただけると有り難いのですが」

聖堂騎士が思いのほか彼女に密着してきたのでおずおずと訴えかける。

「できましたら貧民街までご一緒してくれませんか?

グスタフ > 「なるほど、噂には。敬虔な修道院の手本だと。お目にかかれて光栄です」

親しげに、ボディタッチをしながら。歩きながら話しましょうと促す。

「はい、いいえ。ミセス。その話なのですが……。
 道端で人々に聞かせる話ではないかもしれませんよ。
 もっと近づいて話しましょう。そしてできれば歩きながら」

歩く速度は彼女に合わせるが腰を抱くように促すさまは手馴れている。
それこそ男の誘いも知らぬ彼女を歩かせることなど容易いように。

「ええ、一緒に探しましょうか。
 彼女とは私も会ったことがありますので……彼女の良そうな店なら、行きます?」

マリー・テレーズ > 「あ、こちらこそ騎士様にお助けいただくなんて……神様のお導きですね」

彼女はにっこりと微笑みながらグスタフとともに歩き出す。身体に触れられることに慣れていないせいでどうしても緊張の色が隠せないが、相手がまさか「そんなこと」をする者ではないという確固たる信仰心が彼女を騎士のされるがままにさせていた。そして何より……紳士的だった。まるで自分を良家の令嬢のように扱ってくれる男など初めてだ。

「そうですか! チェチリアをご存じなのですね……わかりました、どうぞ連れて行ってください」

ちょうどいい、修道院長と勇敢な聖堂騎士が揃っているのだ。流石にチェチリアも反省するだろう……そう楽観的にとらえた彼女は再び騎士を見上げ、穢れを知らぬ笑みを浮かべると「さあ行きましょう」と足取りも軽く後をついていった……

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマリー・テレーズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にチェチリアさんが現れました。
チェチリア > ふと見覚えのある人物を見かけ咄嗟に物陰に隠れる。

「あれは……忌々しい修道院長のマリー・テレーズとグスタフじゃない。二人で何してるのかしら?」

だが、二人の話を盗み聞きし彼女は邪悪な笑みを浮かべる。

「ふふ、あの厳格な修道院長様がよりにもよってグスタフにね! 修道院に帰ってからが楽しみだわ……ふふ、ふふふ……」

そしてそれ用の場所に向かうであろう二人を陰から見送る。

「頑張ってよグスタフ……女の喜びを知らない気の毒な修道院長様を助けてあげてね」

そして彼女は別の相手となる男を探すべくどこかへと去って行った……

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からチェチリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にチューベローズさんが現れました。
チューベローズ > ぽく、ぽくと響くのは石畳を打つ馬の蹄の音。
その馬の主は横座り専用の鞍ではないのに 馬の太い首にもたれかかる様に腰を下ろした少女。
今は富裕地区に戻ってきたので、横座りに変え、馬に身を任せていた。

「さて。 今日はこのまま帰るのもまだ早いわね…。」

そんな小さな呟きを漏らしながら、手綱も握らなければやや退屈そうに馬の鬣を細い指先に絡ませるようにくりくりと動かしていた。

チューベローズ > 「貴族というのも窮屈な時もあるのよね…」

手で口元を隠し、少女はふわりとあくびを一つ。
馬に揺られていれば、穏やかな気持ちにもなる。

そして少女は馬の首をするりと撫でおろしてから行先を変える気になったのかポンと馬の首をやさしくもう一度撫でた。

「まだ変えるには早いわ。 もう少しお散歩を続けましょう。そうね…たまには目的地も決めずに行くのも楽しいわね…」

静かに囁けば馬は応えるように一鳴きした。
いつも見慣れた景色でも馬に道を任せれば少しは違って見えるだろう。少女はそんな事を期待しながらいましばらく馬に行先を任せていく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からチューベローズさんが去りました。