2016/08/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の路地裏」にハナビさんが現れました。
ハナビ > まだ八卦山に行く前のこと。そろそろ旅立ちの準備をしてから荷物を手に屋根伝いを走る。
邪仙の力を得てからは邪な魔力が強まっているので、へたに勘のいい人に見つかって勘繰られると面倒だったから、人目のつかない時間、場所を選んで走っていた。
貴族街を抜けて、路地裏へと入ろうとした頃、どこかで何かが逃げるような音と声が聞こえてきた。

「んっ・・・? なんだろう、揉め事かな?」

助ける義理はないが、ふと興味本位で屋根から周囲を観察する。
するとあれはハーフジャイアントか、人間にしては随分と体格のいい男が走っていた。
その後方では衛兵の姿が見える。

「・・・あ、あの人散々ボクのことをエッチな目で見てた人だ」
巨人の少年を追いかけてきた衛兵の1人が見知った顔だったと見れば、ふっふーん、と意地悪な笑みを浮かべて。

そして路地裏に入り込んで安心したように腰を落とした巨人を奇襲しようと待ち構えた衛兵の頭にトンッ、と飛び乗って。

「旅に出る前に・・・お礼参りしなきゃ、ねっと♪」
衛兵たちが目を丸くしたのは一瞬のこと。その一瞬後には閃光のような回し蹴りが放たれて全員がパタパタと気絶していく。

「うっふふ、これでこうして・・・仕返し完了♪」
気に入らなかった衛兵の一人を裸にひん剥いて路地裏の入口に縛って放置すると、パンパンと手を払って無邪気な笑みを浮かべる。
巨人の少年がこちらを見れば、狐の尾を二本生やした小悪魔のような少女が背中を向けて立っていることだろう。
ハイレグカットのような獣毛で体を覆ってるだけであって、腰のくびれも肉厚で丸みのあるお尻も、胸の形すらも丸見えのような格好。

イグナス > 音。さすがに何かがあるならば、音には敏感になる。
物音に、ざっと立ち上がりながら視線を向ける。
―—どうやらこちらへと奇襲攻撃を仕掛けてきたわけではないようだ、が。

「なんだ?」

暗がりの中、目を細める。
そこに立つのはえらく煽情的な格好をした少女だ。
その奥に見えるのは――さっきこちらを追っていた衛兵か。
こんなところにまで来ていたのは驚きだが、
それ以上に、それが縛られ全裸で放置されてるのに目を丸めた。

「おい。
 ………それ、お嬢ちゃんがやったのか。」

どっちかっていうとまずは驚きで、彼女のほうへと声をかけた。

ハナビ > 「ん?」

くるりと振り返る。白い体毛に黒い毛がまざった少女。
目の周りは黒いアイシャドウで隈のように化粧され、黄色と青のオッドアイを向ける。その浮かべてる笑は敏感な人がみたらゾクッと背筋へ言いようのない恐怖を与えるものだが、修羅場をくぐっている人でなければ気づくのは困難であろう。

「ふふっ、そうだよ。この人嫌いだから、仕返ししてたの。ありがとう、君。どういう理由かしらないけど、連れてきてくれて嬉しかったよ。」

ゆっくりと振り返って、ツカツカと巨人の元へと歩き出す。
下から見上げるようにしてじっ、と品定めするように見つめていた。

イグナス > 一目でわかる。それは通常の様相ではない。
ぞく、と背筋が震えた。この感触は今まで何度も味わったことがある。
ついつい戦士としての貌が覗いて、口元が笑みを作った。

「いやあ、……俺も助かった。
 なにせ顔見られてるもんだからな、あんまり片っ端からぶん殴っても、後がめんどうくさい。

こちらを見上げて、品定めするような視線に瞬きを返す。
後、すぐにまた笑みを。

「…強いなあ、お嬢ちゃん。
 音がするまで、いるのにも気づかなかった。」

ハナビ > 「魔王と同じくらい強い人を超えたかったから・・・いつの間にかこうなってたよ。今は、自分がなんだったのか、ちょっと曖昧になってきちゃったけどさ」

軽い口調で話しつつ、尻尾を揺らす。
強い敵意もなければ仕掛けるつもりすらないのに、邪気が常に体の周囲へ体臭のように出てしまう。まだ尻尾をコントロール仕切っていない証であり、周囲の人へ不要な警戒を促してしまうものでもある。

「でも、貴方も強そうだよ。結構パワーあるんじゃない・・・? ねぇ、ほとぼり冷めるまで一緒に街の外いかない? 帝国目指して旅するんだけどさ、途中まで一人じゃ暇なんだよ」

イグナス > 「なるほど。
 魔王とやろうってンなら、そういうものになるんだろうな。」

魔王という単語に、どこか納得したように首肯を。
あれらは確かに、正気のまま挑むには強大すぎるのだ。
―—その邪気に警戒を露わにしつつも、提案には目を細めた。へえと笑って。

「……そうだなァ、少し居辛くなったし、帝国か。
 ああ、うん、構わねえよ。——俺はイグナス。
 そうだな、……確かにそれなりに、強い。」

にんまりと笑みを称えて、名を伝える。
彼女のそれを前にしても、軽く挑発を行うぐらいには自信。
それを裏付けるような力強い肉体もあって。

ハナビ > 「ありがとう、ボクは・・・えっと・・・そうそう、ハナビだよ。よろしくね」

とぼけた、というよりは素でど忘れしてたような仕草を見せる。
時折見せる純粋な笑みは、いまだしている邪気など振り払うほど純粋なもの。傍から見ても少女の強さと魔力に反比例した不安定さを感じさせるだろうか。

4種類もの魔力、しかもその過半数以上が他者から与えられたもの。
それに対応できるほど少女の精神も体も追いついておらず・・・。

「ふっふっふー、イグナスもこんな可愛い子と一緒に旅できて嬉しいでしょ」
まるで自分を他人であるかのように表現し、自画自賛なのかそうでないのか判断に困るような物言いをする

イグナス > 「…自分の名前忘れてどーすんだ、お前。」

呆れたような半目を向ける。邪気と反対に、純粋な笑みも見えるならば、そのアンバランサに目を細めて。
危険も大きそうな少女であるが――それも面白い。
く、と口元笑みのまま。

「ん?おー、もちろん。お前みたいに可愛いのと旅をできるのは、最高だ。」

からりと笑いながら、彼女の半端な言葉にノっていく。
さて、と改めて視線を路地の外に向ければ。

「そうと決まれば旅の準備だ。
 …宿に取りに行くものがある、どうする。ついてくるか。」

ハナビ > 「あはは、最近物忘れが激しくてさ・・・でも大切なことは忘れないから大丈夫だよ」
目頭を指で押さえて、軽く頭を振ってから視線の先を見やり。

「そうだね、今は衛兵もすぐには来れないし・・・まぁ来たところで衛兵長とかじゃなければ大したことないんだけど。今のうちに行こうか」

こくん、と頷くと一緒についていくことに。壁を蹴って三角飛びのように屋根の上に登れば、上から見下ろすようにしてついていくようだ。

イグナス > 「おいおい、頼むぜ。旅の相棒さん。」

やれやれと笑いながらも、もとよりそういった不安定なものと一緒に行くのは大前提ゆえに、さほど問題にもしない。
彼女の言葉にうなずくならば、そうそうに富裕地区を抜け出してしまおう。
上からついてくる彼女に、その身軽さに目を丸めるけども。
すぐに適応して、向かう先はひとまず宿屋へ。その姿は暗闇へと消えていく――

ハナビ > 「ごめんごめん、それじゃ行こうか」
上から声をかけると、暗闇を追いかけるように屋根を蹴る。
トントンと身軽に動きつつ、ともに闇夜の中に消えて行き。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区の路地裏」からハナビさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区の路地裏」からイグナスさんが去りました。