2016/08/13 のログ
ご案内:「富裕地区 小さな教会」にアナスタシアさんが現れました。
■アナスタシア > ―――――深更の、夜。
蒼白い月明かりが窓から差し込み、寝床を煌々と照らし出す所為なのか。
寝つかれず、小さなベッドの上で寝返りを数度繰り返し、諦めて起き出した己は、
踝まで隠れる、薄い白絹の夜着一枚。
布製の室内履きへ足を入れ、長い髪を肩から背へ解きほぐした儘に、枕元の小卓から手燭を取り上げる。
揺れる仄明かりを携え、小屋を出て聖堂へ向かう己の姿は、傍目には幽鬼のようにも映るだろうか。
―――嘗て、己の生まれ育った屋敷が在った場所。
現在、己が日々、一心に磨き上げ、祈りを捧げ続けている、天鵞絨張りの祭壇の前。
何処と無く母に似た面差しの、美しい聖女の像が祭壇の正面に。
其方を眩しげに振り仰ぎ、ぼんやりと―――吐き出した溜め息すら、蒼白く霞むようで。