2016/06/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の薔薇園」にヴァイルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の薔薇園」にツァリエルさんが現れました。
■ヴァイル > 富裕地区の片隅にある薔薇園。
日が落ちると、この場所は華やかさだけではなくどこか昏い輝きに満ちる。
人はとうに去ったはずなのに、耳を澄ませば風に乗って誰とも知れぬ囁きが聞こえてくるような気さえする。
そんな場所を、ヴァイル・グロットは人と落ち合うのに利用していた。
白いテーブルに着いて彼を物憂げに待つ。
■ツァリエル > 薄暗い中をおぼつかない足取りで一人の少年が薔薇園を訪れる。
マントで深く顔を隠しているがツァリエルその人である。
王城をこっそり抜けだしてヴァイルとの密会にでかけたのだが
物珍しそうにあたりを見廻している。
白いテーブルを目印に目的の人物を見つけるといそいそと対面に座った。
「……こ、こんばんは……。
このあたりにこんな薔薇園があったのですね」
マントを脱いで物珍しそうに数々のバラが咲き誇っている様子を眺めている。
■ヴァイル > 目当ての人物が訪れて、ぎし、と背もたれを揺らす。
いつもの人を嘲るような薄い笑い。
以前に会った時とヴァイルの姿はそう変わらない。
「ここは最近“友好関係”を築いた貴族の所有でね。
快く使わせてもらった。おれたち以外の者は入れない」
テーブルの上のティーポットを傾けて、紅茶を淹れる。清涼な香り。
「まあ、飲め。最近あまりゆっくり話せる機会もなかったな。
しばらくぶりだが、何か面白いことはあったか?」
■ツァリエル > ヴァイルのいう”友好関係”が本当の友好であるかどうかは怪しいものだが
その点を口にするほどの勇気もツァリエルにはなかった。
変わりない様子のヴァイルに控えめに微笑み、淹れてくれた紅茶を口にする。
美味しい、夜風に冷えた体にはちょうどよい温度だ。
最近何か面白いことはと尋ねられれば、なにやら気落ちして顔をうつむかせる。
この間、貧民街で会った少女との一件にひどく衝撃を受けて、未だにそれが尾を引いているのだ。
「……いえ、面白いというほどのことは……。
でも、ちょっといろいろ考えることはたくさんありました」
ティーカップを両手で包み、じっと紅茶の水面を見つめる。
■ヴァイル > 「こちらは、仲良くなってくれそうな連中を探すのに忙しかったよ。
ここで権力を握ろうと思うと、何かしら汚れた仕事に手を染めざるを得ない。
そういうことについての話で、盛り上がったりしてね」
要はゆすりである。
薄闇の中に浮かんだ憂鬱そうな表情を目ざとく捉える。
椅子を鳴らして、自身のカップを手にしたまま立ち上がった。
「ほう。話してみろ。
おれにとっては愉快な話かもしれん」
乾いた土の地面を踏みしめて、座するツァリエルのそばを横切るようにして近づく。
■ツァリエル > 「いえ、本当に大したことじゃあ……」
そう言いつつも横に立つ相手の圧に押されて
しぶしぶと口を開き始める。
「この間、貧民街で奉仕活動をしていた時に
顔なじみの女の子に会ったのだけれどその子に
王子の立場にあるくせに奉仕活動なんかしてどうするんだ
もっと思い切り利用して王様になってくれればいいのにって言われてしまったのです」
もう一度思い出すように話すとうなだれた。
「彼女の言うとおりだと思います。
僕、わけがわからないまま王子に担ぎだされてしまったから
そのせいで今ひとつ本当は乗り気じゃないというか
自分の選択じゃないからというところで甘えていたんです。
彼女の怒りはもっともで、きっと貪欲なまでに王座を欲しがる人の前では
僕なんか負けてしまうし、志も低い……。
本当に彼女たちを助けたいのなら、慈善活動ではなくてもっと
大きなことで助けるべきなのかもしれないと思い始めたんです。
それができる立場の人間だから……」
こう口にするものの、まだ決意を新たにしただけに過ぎず
自分に何ができるのかはまだ不明瞭なままなのだが。
■ヴァイル > ツァリエルの述懐に黙って耳を傾ける。
満足そうに頷いては見せるが、表情が変わらないために内心を推し量るのは難しい。
「その娘はまったく正しいな」
こつ、と相手の額を指で叩く。
「おれはツァリの出自を知っていたが……もともとは利用してやろうなどというつもりはなかった。
なにしろきさまは、そのときはめくらの羊でしかなかった。
だが今はそうではないだろう。欲望がある」
に、と唇の端を歪める。
「彼女らを助けたいと望むのなら、では、具体的にはどうすればいい。
口に出してみろ。稚拙でいい。願いは言葉という形にしてこそ、認識できる。
この国に、貧しい者、身寄りのない者が、蔓延ってしまうのはなぜか……わかるな?」
王城に入ったきさまなら知っているはずだ、と。
■ツァリエル > 額に指をつきつけられても今は悪い気はしない。
ヴァイルが満足そうに続けろと促すと、たどたどしく言葉を紡ぐ。
生徒が難しい問題を答える際に自問自答しながら正解を導き出すように。
「それは……ええと、この国を治める人たちは自分たちのことばかりを考えていて
他の人々に眼差しを注ぐことがないからだと思います……。
皆私利私欲と権力争いばかりで、本当はこの国がどうなってしまうかなんて大して気にしていないから。
それにこの国には皆をまとめ上げて、多くの人を見守る王がいません……。
きっと誰かがその役割を担わないと、いけないのに……」
そこまで言いながら、戸惑うようにツァリエルはヴァイルを見た。
「本当は、もっと王にふさわしい器と能力に秀でた人がいるかもしれません。
僕は今ひとつ、自分にその資格があるかどうか自信がないです。
でも他の誰もやらないのならば……僕がやるべきなのかも……」
そこまでいうと、自分の大それた発言に自分で驚いて慌てて口を両手で塞いだ。
■ヴァイル > 湯気の立つ紅茶をぐい、と傾け飲み干してしまう。
「上出来だ。
そう、問題があるのは、この国の社会の構造だ。
魔族の到来が堕落させたのか、堕落が魔族を呼び寄せたのか……
それがどちらかはおれも知らぬが、それはどうでもいい」
ツァリエルと視線が合っても、ただ黙して続きを促すのみ。
だが、未だ権力を持つことにためらいを抱いている素振りを見せると、目つきが鋭いものになる。
傍らのテーブルにカップが音を立てて置かれた。
「神はとうに棺桶の中で眠りに就いた。
ならば我々のすることは神に祈るのではなく、
自らが救世主となるほかにない。
良いか、ツァリエル。必要なのは資格ではない。ナイフとフォークだ。
飢えた者が死なぬため肉を口にする時に、手にするような、な。
他者を救うばかりが王ではない。
きさまは弱い。ただ喰われるのを待つだけのめくらの羊では、いけない。
王となることできさま自身を救うのだ、ツァリエル」
ツァリエルの肩に手が置かれる。指に力が入り、食い込んだ。
■ツァリエル > ヴァイルの神はとうに眠りについたという物言いに思わず眉をひそめる。
くさっても元は修道士であったが、だが彼の言うとおり
神なるものがこの国におわすのならばどうして未だ救われぬものたちが街にひしめき
報いを受けるべき人々が甘い汁を吸っているのだろうか。
現実の残酷さをツァリエルは王城の中でいやというほど見てきたのだから
彼の言葉を否定することもできずただ悲しそうに目を伏せた。
「僕は……」
ヴァイルは自分に牙を持てというのだろう。
めくらの羊には似合わぬ牙を持って、喰われる側から喰う側へと回るべきだと。
その力のこもり具合が自らの肩にかかって痛み出す。
「……僕は別に、自分は救われなくともいいと思っています。
ただ、他の人を救わねばならない時になにも持っていないのは
とても歯がゆいのもわかっています……。
王になることがあの女の子や他の人々を救う手立てになるのなら、
僕は……」
控えめな物言いではあったが、眼差しにはすこしばかり強い光が灯る。
やがて、痛い、離してとヴァイルの手を外すように呻いた。
■ヴァイル > 一瞬だけ目が伏せられ、元に戻る。
「いいや。おれが許さない。
きさまは誰よりも強くなり……誰にも傷つけられぬ者となるのだ」
肩を掴むヴァイルの表情はただただ冷淡で、甘えを許そうとはしない過酷さがあった。
ツァリエルが呻くと、それに応えて滑るような動きで肩から手が離される。
「少し歩こう」
テーブルを離れ、一度ツァリエルを振り返り、庭園の中を歩き始める。
ついてこいと言っているようだった。
■ツァリエル > 離れた手にほっとしたのもつかの間、ヴァイルを怒らせてしまったのではないだろうかと恐れて
彼のほうを伺うが相変わらず表情は読みづらいものがあってわからなかった。
促されるままティーカップを置いて立ち上がり、ヴァイルに続いて歩いてゆく。
ちょうど咲き頃らしいバラたちが華やかに花弁を開いている。
くらい中でも明るい色味はそれなりにうっすらと見えるものだった。
「誰にも傷つけられないってそんなこと、できるのかしら」
ふいにそう問うてみる。
誰にも傷つけられない強さというのがどんなものかはわからないが
確かにそれを得てしまえばもう何者にも怯えることはない。
だが、傷つかないということはそれだけ何者も気にかけることがなく
傲慢で弱いものを見下してしまいそうだとツァリエルはなんとなく思うのだ。
傷つくことで学べるものも、得られるものも無視して本当に強くなれるのだろうか。
■ヴァイル > 「できるよ」
どこか中空に投げられたような問いに返ってきた答えはすみやかで、
しかし、力強さに欠けた呟くようなものだった。
生け垣の迷路の中、薔薇の香気に包まれながら、二人で連れ立って歩く。
途中でヴァイルは立ち止まり、一輪摘むと、ツァリエルの背に立って、
後ろからその胸元に挿して見せた。橙に近い黄の薔薇だ。
「望むなら、この薔薇だってすべてツァリのものさ」
そっと寄り添うように立って、耳元で囁く。
■ツァリエル > 簡素な返答にヴァイルらしくはないなぁと思いながら
特に反論もせずに黙って聞いている。
長く生きているヴァイルならそういう人物の一人や二人見たことがあるのかもしれないし
魔族の中には人間よりも秀でた強靭な精神や肉体を持つものを指して人間であるツァリエルにもできると言っているのだろうか。
そっと胸元に挿されたバラを改めて手にとって眺める。
鼻先を花の香りがくすぐり、鮮やかな黄色が心を励ます。
ヴァイルの温度のない吐息が耳元にかかるがもう慣れたものだ。
すべて自分のものにできると囁くヴァイルに、しかしツァリエルは首を横に振った。
「もしこの薔薇を手に入れても、僕では手入れができないからきっと枯らしてしまう。
薔薇は美しく咲いてこそ薔薇として生きていけるんじゃないでしょうか。
むやみに摘み取って手元においても、可哀想なだけかも……」
だが言葉とは裏腹に薔薇を愛おしそうに手元に持って
「ヴァイルさんは、その”すべて”に入る?」
悪い冗談を言う時の、バツの悪そうな顔でそう尋ねた。
■ヴァイル > 「野や生け垣に咲くことと、誰かに摘まれること。
薔薇がどちらを幸せと感じるかなど、わかりやしないさ。
……あるいは、薔薇によるのかもしれないな」
冷たい指がそっとツァリエルの髪に触れる。
尋ねられれば、一度瞬きをする。
「そう欲し、命ずるのであれば、なんなりと」
微笑すると、貞淑な仕草で膝を折って跪き、手の甲に口づけを落とし――
その指を甘く噛んだ。
■ツァリエル > 「それもそうですね」
素直に同意して頷く。薔薇に意志があるのならどちらが幸せかを選ぶ権利があるのだろう。
それは人間も変わらないことだし、それぞれの幸せはそれぞれの胸のうちにあるのだ。
「命令とかじゃなくて、いつか自ずと好きになってそばに居てくれたらいいなって……
ごめんなさい、なんでもない」
ヴァイルに苦い笑みで答える。こう言えばたぶん相手を困らせるだけだろう。
やがて自分の手をとられ、指にヴァイルの鋭い歯の感触を感じると
さっと頬に朱が走った。
その先の行為を想像して、あまりの淫らさに己を恥じたのだが
期待とともに熱が押し寄せてくるのを止められそうもなかった。
手に持った薔薇が動揺で震え、ぽたりと地面に取り落としてしまう。
「……ヴァイルさん、お腹空いている?」
■ヴァイル > 「謙虚なようで、注文が多い」
ヴァイルは苦笑し返す。
うやうやしく膝をついたまま、意地汚くツァリエルの指を食みつづける。
「それなりの餓えはあるよ。
いやしかし、やがて王となる大事な身体を、この卑しい魔族が許しも得ずに傷つけるわけにもいかない。
ああ、残念だ」
一度口を離し、らしくもなく殊勝なことを言うと、また咥える。
たしかに、歯が当たるだけで、未だ皮膚を突き破り傷つけることはない。
ただ指の形を歯で確かめるだけに飽いたか、
やがて舌が指の上で這い始める。
指の腹、爪、指と指との間を濡らしながら……。
■ツァリエル > 自分では謙虚さを心構えていたのだけれど、どうやらそれでもわがままの種には事欠かないらしい。
困らせてしまった申し訳無さから苦い笑みを浮かべたままだったが
ヴァイルが調子づいて指を食みつづけるものだから
やがて笑みを浮かべる余裕もなくなって、もじもじと落ち着かなさそうに体を揺する。
まるで動物に甘えられるように舌が指を這う感触に否応なく情欲の炎が掻き立てられる。
とうとう先に根負けしたのはツァリエルだった。
「お、お腹空いているんだったら……、僕で良ければ……」
反対の手でヴァイルの顔を押しとどめ、指を口から離すと
自分の襟元をくつろげ首筋を差し出す。
よく磨かれた琥珀のすべらかな肌をヴァイルの目の前に晒すと
「お、お口にあうかわかりませんが、どうぞ召し上がれ……」
そういって熱っぽく潤んだ眼差しを恥ずかしそうにヴァイルに注ぐ。
■ヴァイル > 透明な糸を引いて手から唇が離される。
立ち上がると、首を晒したツァリエルの身体に体重をかけ、地面に押し倒す。
先程までの遠慮するような素振りはまったくどこかへと行ってしまった。
毎度行儀よく首筋を噛む必要はないのだけどね――
そう嘯くと、正面から褐色の首筋に顔を埋め、牙を立て、血を啜っていく。
空いた手は、相手の脇腹をくすぐるように撫でる。
「……それとも、好きになって、というのがツァリの命令かい?」
底意地の悪い笑い方。
■ツァリエル > 押し倒された地面にはすでに散ってしまった薔薇の花弁がそこら中に落ちていて
随分と色鮮やかな敷物となっていた。
自分の上に乗って首筋に牙を突き立てるヴァイルの重みを感じながら
じっとツァリエルは目を閉じて、自分の中から血潮が抜け出ていく官能を震えながら感じていた。
やがて血を吸うだけにとどまらずヴァイルの手が自分の体に触れられればはしたなく喘いで身悶えた。
「王様だからなんでも命令なんてしてたら……
みんなに嫌われてしまうし……っ、そういうのは、
僕の思う本当のこととは違うと思う……」
とろりと心地よさに溶けながらヴァイルを見上げ熱い吐息をこぼす。
「ヴァイルさんは、命令しても……意地悪だから、っ……いうこと聞いてくれなさそうだし……」
そういってヴァイルの袖口を掴んで引っ張ると、みずからの胸元に引き寄せる。
触って欲しがっているのがまるわかりな仕草。
■ヴァイル > 「命令なんて、一度もしたことがないくせに」
肌と肌、服と服とがこすれ合うかすかな音が夜闇に響く。
ツァリエルの首から溢れたものをすべて飲み下して、血の匂いの混じった息を吐く。
その唇で、ツァリエルの唇を塞ぐ。
「おれは命令されるのは、割りと好きだ。性分が犬だからな。
ツァリの言うことなら、なんだって聞いてやるよ。
おれはツァリに摘まれた薔薇なのさ」
軽薄な言葉を唇に乗せると、引き寄せられた手で、ツァリエルの胸元の蕾を、
軽くさすったかと思うと、強くつねり上げる。それを繰り返す。
■ツァリエル > 血なまぐさいはずの口づけも嫌がることなく受け入れると
少女がするような控えめさで唇に吸い付いた。
「ほんとう……?
そうなんだ、でも……犬っていうのは良くないと思う……。
じゃあ、その……犬じゃなくて本当のヴァイルさんと接してみたい……。
命令じゃないけど、お願い……」
自分の胸元を相手の冷たい手指でいいように弄ばれれば刺激に喘いで体を震わせる。
「は、ぁっ……ぼく、ヴァイルさんの手、あ、冷たくて…気持ちいっ……
やっぱり、いちばんすき、かもっ……」
擦られつねりあげられるたびにツァリエルの体に熱と朱色が乗ってゆく。
体中の力をすっかり抜いて、ヴァイルに身を任せたまま目の端に快感の涙を浮かべた。
■ヴァイル > 「本当のおれ、か。
さて、そんなものは一体どこに行ってしまったのか……
もし見つけられるなら、きっとツァリのものだろう」
とぼけたような口ぶり。
そんなものは無理だと言っているようにも、見つけて欲しいと言っているようにも取れる。
「ほぉう。誰ぞと比べられたか。
いったい、二番目から下には誰が並んでいるんだ?」
愉快げにそう言って、ひときわ強くつねる。
指を離すと、今度は口で咥え、舌先で転がし、音を立てて吸う。
空いた手がツァリエルの下肢――脚の間を、衣服の上から探るように動いた。
■ツァリエル > ヴァイルの言葉に宝探しみたいだと思う。
いつぞやヴァイル自身も宝を探していると言っていたように
ツァリエルもまたこの魔族を手に入れるために彼自身を探さなければならないのかもしれない。
目の前にいる相手なのにその魂や心のなんと遠いことか。
問いかけにはしまったという顔と恥じらいを浮かべ
なかなか言葉にはしなかったがやがて観念したように
「ほ、ほかのひと……っ、今までいっぱい、さわってきた人たちみんな……」
自らの経験した数を告白しているようなやましさを感じてそっぽを向いた。
ヴァイルの責め手が緩むことなければ、下半身にその手が伸びると
内股気味に閉じていた脚をゆるやかに広げる。
しっかりと立ち上がったツァリエルのものが窮屈そうに下履きを押し上げて、布地にシミを作っていた。
「ヴァイルさんのも、さわる……?」
彼がしてくれていることと同じようなことを自分もしたいと思っての発言だ。
■ヴァイル > 「けしからん話だ。
なに、きさまが淫らな男だというのは知っている。今更恥じることはない。
ツァリは触りたくなる身体をしているからな」
慰めているのか詰っているのかわからない口調。
くつくつと笑い声を立てる。さほど腹を立てている様子はない。
自分が一番だというなら、それでいいということなのだろうか。
「好きにすればいいが。
そっちがそのままだと、苦しいんじゃないか?」
息苦しそうに主張している彼の象徴を目にして、そう言う。
直接触れることはまだせず、太ももをつうと上から下に指でなぞった。
覆いかぶさるのをやめて、横に寝そべって、自身の服を緩める。
■ツァリエル > 自分が淫らだということに大いに反論したかったが
反論出来るだけの根拠が示せないことに大いに打ちのめされて黙りこくる。
だが元を正せば自分をこんなにしたのは目の前の相手であるので
若干恨みがましいきもちはあったがいやではないので結局黙ったままであった。
許可が出たようなのでいそいそと横に並んだヴァイルの下肢へと手を伸ばす。
ヴァイルが脱ぐのを手伝うように服をはいで、現れた男根に指を絡めた。
「い、一緒に気持ちいいほうが……いいかなって……
だって、ひとりだけいいのは後ろめたいし……」
肝心な部分に直接触れない相手の手に焦らされながら、ぎこちなさそうにヴァイル自身をゆっくりと刺激し、扱いてみる。
■ヴァイル > 「殊勝な話だな。
おれは自分の快楽にはあまり興味がなかったからね」
悠然と笑う。
今ひとつぎこちないツァリエルの手管だが
露出したヴァイルの徴は、刺激しているうちに徐々に手の中で硬度を増していく。
「なら、一緒に満たし合うとしようか」
腕を地面に付くと、くるりと俊敏に向きを変え、
ツァリエルに再び覆いかぶさる。さっきと違うのは、双方の頭と足が互い違いになっていることか。
ツァリエルの眼前に、硬く膨らんだヴァイルの雄茎が揺れる。
すん、と鼻を鳴らしてツァリエルの下履きに顔を近づけ、
その上から口先で突いて刺激する。
■ツァリエル > 硬くなりつつある手の中の雄にほっとするも
本人からあまり快楽に頓着することがないと聞かされれば
少々自信なさそうに手を動かし続ける。
お情けでこうなっているのなら恥ずかしいことこの上ない。
ヴァイルと自分の体が互い違いになると顔の前に互いの股ぐらがくることとなる。
質量が増したそれを顔の近くに持ってこられると多少怯むし
なによりこの体位が恥ずかしいもので、しばらく戸惑っていたが
やがてそろそろと両手でヴァイルの幹を抑えるとちろちろと小さく口で舐め始めた。
同じ頃、自分の性器にもヴァイルが布越しに触っているのがわかれば
じれったそうにももをすり合わせる。
「……あの、そろそろ……」
直接触ってとは言いづらくて言葉の終わりは途切れて消えた。
■ヴァイル > 「互いに顔が見えないんだから、こっちのほうが恥ずかしくないんじゃあないか?」
もじもじとしているツァリエルに、もっともらしいのかわからないことを言う。
消え入りそうな声で催促されて小さく笑い声を漏らすと、
焦らすことはやめて、一思いに肌着を脱がしてしまう。
外気に触れた陰茎を手で支え、そう間を置かずにぱくりと口の中に収める。
口の中で元気さを増していくそれを、ぐにぐにと唇と頬肉で挟んで位置を調整する。
下は下で、控えめな調子で口淫をするツァリエルの顔に
もっとしっかりやれと腰を動かしてそれを乱雑に押し付け始めた。
■ツァリエル > 「そんなこと言われても、恥ずかしいところを触り合っていたら恥ずかしいし……んんっ」
言い訳を口にしようとしたところにヴァイルが腰を動かして口の中に性器を押し込んだものだから
仕方なく、噛まないように飲み込んでもごもごと舌と顎を動かす。
無理やり押し付けられることは多々あれど自分からこうして誰かのものに奉仕するのはそう数あることではない。
ツァリエルとしては懸命に働いているつもりだが、たどたどしさは相変わらず変わらない。
逆に自分のものがヴァイルに咥えられればその口内の熱さにびくりと体が引きつった。
自分とは違う巧みさで動くヴァイルに、思わず口から相手の性器を外しそうになりながらこらえた。
「ん、くふ、っ……」
ちゅうちゅうと音を立てて吸ったり舌先でくすぐってみたり、喉奥に飲み込んでみたりとヴァイルの真似をしてみるがどれもうまく行かず
自分のほうが先にへばりそうになるし、無意識に快感を求めてもっともっとと腰を突き出してしまう。
■ヴァイル > 「んっ……」
暴れるツァリエルの獣を、しかし口腔から外すことはしない。
うまく手綱を取るように首を動かしてそれに合わせる。
時折口に空気を含ませて、強弱を込めて竿を口で揉みしだく。
指先や舌、口腔の肉、そして吐く息に細やかに愛撫させながら、
ひどく美味そうにしゃぶり上げ、気持ちよさを煽る。
相手の奉仕の多少の拙さにも構わず、ヴァイルのもののほうも更に力強くなっていく。
より気持ちよくなる場所を探して奥へと突き、口内を陵辱する。
■ツァリエル > 口内に押し入られるのは自分の中を割かれるのとはまた違った苦しみがあるが
しいて耐えながら必死にヴァイルの雄へとむしゃぶりつく。
息継ぎがうまくできなくて、みっともなく咳込んだりもするがそれでも口から離すことはせず
押し込まれたものを健気に受け入れる。
やがてヴァイルの手管にあっけなく屈して張り詰めた己の性器がいよいよ大きさを増して弾けた。
「んぐ、ぁ…っ~~!んぶ、……っ…!」
体を大きく震わせてぐっと相手の脚にしがみつくように体を丸めて痙攣させる。
ヴァイルの口内に生暖かい体液がこぷこぷと注がれた。
絶頂に震えながら、それでも相手のものを離さず噛まないように気を遣う。
■ヴァイル > 断続的に精を放出する竿を舌先で撫でながら、逃さず飲み込んでいく。
ツァリエルに一拍遅れて、ヴァイル自身も好き勝手暴れたあと
彼の口の中で脈打ち、熱液を放つ。口から外れなければすべてそこに注がれるだろう。
終わってからも少しの間、口の中で転がしていたが、
やがて口を外す。ぶるりと震えるそれの敏感な先端を、指先で包むように持って弄ぶ。
腕を相手の身体に回し、脱力して横に臥せた。
「……ふう。随分と満足してくれたみたいだな」
からかうような声。
■ツァリエル > けふり、と咳込み口内に吐き出されたヴァイルの精を口の端からこぼしたが
残りはぐっとこらえて飲み込んだ。
喉に絡まる熱さと生臭さだが決していやではないものではあった。
「あ、……やだ、だした、あとっ……やだぁ……」
脱力した様子でその場に伏していたが相手が敏感なものをいじり続けるものだから
甘ったるく鳴いて弱々しく抵抗する。
ひとしきり相手がいじり終えて体の向きを改めるまで小刻みに震え続けていた。
「……あ、ぅ…………」
虚脱したままヴァイルの顔を見つめ、汗ばんだ肌を彼の体に擦り付ける。
■ヴァイル > 甘い喘ぎ声を上げて身悶えし、肌を擦りつけてくるのを静かに笑んだまま甘受する。
ツァリエル同様に激しく動いたはずだが、こちらは汗一つうかべていない。
いたわるように、背中をさすってやる。
しばらくともに横たわってから、身を起こして土埃や花弁を払い落とし、着衣を整える。
未だ虚脱しているようなら、彼の身だしなみも直してやる。
「ご馳走様。
立てるか?」
開いた口には、注ぎ込まれたはずの白濁の痕跡は欠片もない。
ゆっくりと立ち上がり、ツァリエルに手を差し伸べる。
■ツァリエル > ヴァイルに起こされながら、しばし放心したように宙を見つめていたが
やがて身づくろいをされれば少しばかり意志を取り戻してこっくりとうなずいた。
お互いの髪に絡まった花弁を名残惜しそうにつまんで落とす。
ほうとため息を吐きながら立ち上がり、ヴァイルの横に立つ。
先ほど落とした薔薇を拾い上げ、ヴァイルの茶色の髪へと挿して飾ると
伸べられた手へ手を重ねた。
温度のない白い手と、情事の後のぬくもりが残る手。
「……お粗末さまでした」
弱々しく相手に微笑みかける。
■ヴァイル > 「おや」
自身の髪に花を添えられ、瞬きしてはにかんだような笑みを作った。
常に貼り付けている人を喰ったような笑みとは、異なる類。
反応はそれきりで、薔薇を外すことも、礼を言うこともしない。
「途中までは送っていこう」
相手の手をやわらかく包んで、共に薔薇園の外へと向かって歩んでいく。
■ツァリエル > なにか物珍しいものを見たように驚いてヴァイルの顔を何度も見つめたが
結局それきりその表情は見ることもなかった。
「はい、ありがとうございます」
少しだけ嬉しそうに息を弾ませると、二人して薔薇の茂みのその奥、外へと通じる道を静かに歩きさっていった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の薔薇園」からツァリエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/夜の薔薇園」からヴァイルさんが去りました。