2016/06/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にテイアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にイーヴィアさんが現れました。
■テイア > 室内に、カリカリと羽ペンが羊皮紙を滑っていく音が響く。
富裕地区の建物にしては、地味な屋敷の石造りの壁には蔦が這い、その古さを物語っている。
屋敷の面積の倍ほどの庭には、様々な植物が植えられ鳥や獣達の憩いの場となっていたか。
「…ふぅ…」
最後の一文字を書き記して、羽ペンをペン立てへと戻す。
この間の報告書をまとめ終えて、吐息を零し。
ふたり分の命の重みは、通常の子よりも成長も早く既に腹が目立ち始めていた。
いつもの格好をするには、腹部がだいぶ窮屈になり今は部屋着も兼ねてゆったりとしたローブを羽織っている。
そっと、その胎を無意識に摩り。
「そろそろ、か…」
コチッコチっと規則的に時を刻む機械を見上げてつぶやき。
■イーヴィア > (職業柄、貴族や騎士の邸宅を訪れる事は良く在る
由緒在る家柄で在れば在る程に、其の建物は構えから歴史を感じさせたりする物だが
今宵訪れた家は、恐らく己が見てきた中でも、指折りの雰囲気を帯びていた
唯其れも、遥か昔よりこの王国を支えて来た一人である邸宅の主を思えば、当然か
決して曲者ではないと主張しつつ、ついでに身分も提示しつつに、進む屋敷の中
屋敷に使用人でもいるのならば、案内されるのだろうけれど
そうでないのなら、自ら其の場所を探し当てる事と為る
程なくして、邸宅の主の居る場所にまで、足音が近付く、か。)
―――……やぁ、居るかい?
(さて、響かせる声の先に、返答は在るだろうか
己も相手も、互いの立場と職務が在れば、中々気軽には逢えぬ――少なくとも、まだ、今は
久方ぶりに顔を合わせる機会が訪れた今宵、さて、女は元気で居るだろうか
響かせる、ノックの音)
■テイア > 男が呼び鈴を鳴らせば、一人でに扉が開いてサワサワとシルクの衣擦れの音が男を案内するように聞こえるか。
妖精に分類されるドワーフである男には、女性の姿が見えるかも知れない。
彼女がこの屋敷の管理全般を行っているシルキーという妖精だった。
「ああ、あいている。久しぶり、というのも微妙な感覚だが…。」
ノックの音に、椅子から立ち上がる。
男が扉を開き、顔を見せれば柔らかな笑みを浮かべて迎え入れて。
職務や雑務など、そんなこんなで前に会ってから少し間が空いていた。
女にしてはめずらしく、ゆったりとした格好をしているのが男の目に入るだろう。
応接セットのソファへと座るように促して。
■イーヴィア > (――成る程、確かに。 この邸宅を彼女一人で管理し切るのは流石に無理だ
と為れば、使用人が居るのは当然か。 其れが、シルキーと為れば尚の事
家の事を任せたら右に出る者は恐らく居ないだろう、一流のメイドたる彼女へと案内され
辿り着いた扉の前、空けて良いのかと隣を伺い、其れから、ゆっくりと扉を開いた其の先に
佇む女の姿を認めて、ふ、と笑おう。)
まぁ、久し振りといえば久し振りさ。 ともあれ…見た感じだと、元気そうで何よりだよ。
(部屋の中へと一歩足を踏み入れれば、背後で妖精が扉を閉めてくれた。
視線を目の前に戻し、促される儘に歩みを進めては、手荷物を入れた小さな鞄を、ソファの横へと下ろして
ゆっくりと座面に腰掛け、背凭れへと背を預ければ――自然、向かう視線は
以前よりも、緩やかな服装の女へと、そして、きっと其の理由だろう
膨らんだ、御腹へと。)
―――……双子だってのも在るだろうけど…やっぱり、早いもんだな。
(呟く、言の葉。 成長の早い己が血族、確かに其の血を受け継いでいるのだと言う証
無事に根付き、そして育っているのだと経過をこの眼に見る事適えば
少し、安堵した様に、表情緩めただろう)
■テイア > 以前の騎士団長職の時はこの屋敷を拠点としていたが、今は王都での職務や用がある時に滞在する位で、ほとんどを配属部隊のあるヤルダバオートで過ごしていた。
その間も、彼女は完璧に屋敷を清め、守ってくれている。
むしろ、余計な手出しをすれば彼女の機嫌を損ねてしまう事になる。
「ああ。そなたも元気そうでよかった。」
話しながら、棚からグラスとウイスキーの酒瓶を取り出すとソファに座る男の前のテーブルに置いて。その数は一つだけ。
「通常の妊娠で言う、五ヶ月程度の成長具合だと医師に言われた。おかげで、服が合わなくて少々困っている。」
ゆったりとしたローブに包まれた女の体は、以前よりも丸みを帯びている。それは、胎だけでなく乳房なども子を産む為に変化していて。
完全なひとつの命となった、二つの遺伝子はどちらも滞りなく子宮に根付き成長している。
おかげで、手持ちの服のサイズが合わないと苦笑して。
少しだけ、考えて男と同じソファ、その隣へと腰掛けていこうか。
■イーヴィア > (家人でさえも手出し無用だと言うのなら、きっと己の場合は余計に
機嫌損ねぬように気をつけようとは思いつつに、女が棚へ移動するのを見ては
嗚呼、と声を掛け。)
悪い、そんなに構わなくて良いから、ゆっくり座ってろよ。
――それに、俺だけ酒なんざ飲んでたら、御前に悪いだろうに。
(――流石に、妊婦を前にして一人酒を煽るのは、幾ら己でも気が引ける
女が元々酒を飲む類で在る事を知っていれば、余計にか
ひとつだけ用意されたグラスに、礼だけはちゃんと告げるけれど
其のグラスや酒瓶へと手を伸ばすよりも――今は。)
……なら、丁度折り返しってトコか。 ……嗚呼、其れはそうだろうな…もう、ちゃんとした妊婦用のを用意した方が良いな。
(確かに、今はまだ、ゆったりした服装で問題無い頃合だけれど
もう、然程時間を置かずに、胎の子達は大きく育つ事だろう
隣へと腰掛ける女の、其の腰元へ片腕を滑らせれば、ゆるりと抱き寄せ
其の膨らんだ下胎に――そっと、掌で、触れようとする、か
包み込む様に、其の丸みを、優しく、穏やかに)。
■テイア > 「此れくらい、どうという事はないぞ?
ふふ、私は別に構わないが。折角用意したんだから、飲んでくれた方が私は嬉しいが?」
言いように笑う。体がなまらないようにこの体でも鍛錬は怠っていないぞと冗談めかして。
妊娠した時から、酒を断っている女。
けれど、もともと好きな部類ではあるけれど、飲まなければいられないという程でもなく。
こん、こん、こん、と三回のノックの後、シルキーがハーブティーの入ったティーセットとお茶請けのクッキーを持ってきてくれた。
それに礼を言うと、彼女は音もなく下がっていく。
「…もう性別が分かるらしい。そうなんだが、腹が大きくなるのが早すぎてな…。どういったものを準備したものやら、と。」
聞きたいか?と胎の子の性別について男に問うて。
抱き寄せられるのに、そっとその体に体重を預けて下腹部を撫でる手に穏やかに瞳を閉じる。
穏やかに、優しく撫でられるのに下腹部がぴくんと内側からその手を蹴ったのが伝わるか。
確かに、男からその種族の成長の速さは聞いていたが初めての妊娠の上、その速さに準備が追いつかない。
つわりがないことを良い事に、仕事にかまけてしまっていた結果とも言える。
■イーヴィア > ―――……そうか? ……なら、気が向いたら頂く事にするさ。
つーか、まぁ、運動しない方が良くないとは言うけど…そろそろ、気を付けろよ?
(――まぁ、己が一族の女も、身重だろうが何だろうが、ガンガン動き回ってたのを見ているクチだから
元々、子宮へと確り繋がれる胎の子が、多少活発に動いた位で如何こうなるとは思わないけれど
この女であれば、存外鍛錬くらい普通にしそうだと思っては、小さく笑って
シルキーが扉を開き、茶を運んで来るのなら、一応は招かれた客人として、軽く礼を紡ぎ。)
――マジか、早いな。 ……そうだな、是非聞きたいね。 そうすれば、産まれた後の用意も色々捗る。
取り敢えず…、……そうだなァ…妊婦用の、腹を締め上げない服か。 其れだけ用意して、暫く大人しくしてるってなら
其れこそ生まれる時と、産まれた後の準備を考えりゃ良いさ。
(妊娠の期間が短い、と言う事は、逆に楽な部分も在る
其の辺りは考えようだと、一緒になって思案しつつ――ふと、思う
寧ろそう言うのは、シルキーの方が良く知っているんじゃなかろうか、と。
既に彼女の気配は遠くかも知れないが、聞いてみたら? と彼女の消えた方向示して見つつ
――その、刹那。 掌へと伝わった、微かな、けれど確かな衝撃に、一寸瞳を瞬かせた。
其の箇所を、そっと、掌で撫ぜては…ふ、と口元に弧を描く
滲み出る様な喜悦を、笑みを、如何しても押さえ切れずに
ゆうらり、ゆうらり、女の胎へと宿る命を、優しく愛でる、か)
■テイア > 「ああ。遠慮しなくてもいい。人間で言うと安定期に入る時期らしいし、平気だとは思うが…。」
とはいうものの、初めての経験であるからはっきりとは言い切れずに、気をつけると頷いて。
とりあえずは、酒を辞した男と、自分、ふたり分のハーブティーをカップへと注ぐ。
抽出時間も、温度も完璧に調整されているそれは、ふわりといい香りを部屋に漂わせ。
「透視魔法で見た医師の見立ててでは、男と女の双子。だそうだ。どちらがどちらに似ているのだろうな?
…大人しく、か…。」
二卵性の双子だから、男女の双子ができたようで。恐らく顔立ちや性格なども、一卵性の双子とは違い兄弟姉妹のように一人ひとり違ってくるのだろう。
大人しく、と言われるのにむーん、と眉根を寄せて難しい顔で考え込んでしまう。どうにも大人しくしているのは性に合わないというか、落ち着かないというか。
「最近、よく動くのがわかるようになった。元気に蹴飛ばしてくれている。」
男が感じた衝撃を、女もしっかりと感じて。今胎の中の子達は起きているらしく活発に動いている。
最初は、うにうにと違和感のような感覚だったが、日が経つにつれてそれはしっかりとした衝撃となって胎の中から伝わってくるようになったと話して。
喜びを滲ませるように笑みを浮かべる男の表情を、愛おしげに眺めながら優しく胎を撫でる手を感じて。
「ああ、シルキーは確かに詳しいかもしれないな。」
彼女は家事のプロだ。そういった方面の事も詳しいかも知れないと頷き。
――と、再び扉が三回ノックされる。
その手には、妊婦の腹の出具合に合わせた、しかも双子である事を考慮したマタニティドレスが持たれており。
正直女も、彼女の事を甘く見ていたのかその様に驚き。
聞けば、森やヤルダバオートのシルキー達も産着やスタイ、布おむつなど着々と準備をしてくれているのだとか。
■イーヴィア > ……あー、何かあるとってのは、そう言う意味じゃないさ。
散々今まで、何かと面倒に巻き込まれて来てんだろ?
…どっちかって言えば、そう言うのに気を付けろって事さ
(寧ろ、女がお転婆をして如何こう、と言うよりも余程懸案事項なのが其れだ
普段の彼女で在れば一蹴出来るだろうそんな面倒ごとも、今は多少勝手が変わる筈だ
そう考えれば、人間の様に十月十日、悩まなければならないのに比べて、大分マシだとは思うけれど。
ともあれ、気を付けるに越した事はない。 ただ、かと言って悩み過ぎるのが良くないのも確かだ
だから、舞い上げたもう片方の掌を、ハーブティを注ぎ終えた女の頭へと乗せては
大丈夫だと、柔く髪糸を撫ぜてやり。)
……一人づつ、か…! 成る程なァ…、……さぁて、良く、男は母親に似て、女は親父に似るって言うけど…如何だろうな?
案外、どっちも御前に似てるかも知れないぜ。
(性格は――如何だろう。 割りと似た所が在る御互いの事を考えると
其処まで区別が付かない様な気もする。 恐らく負けん気が強く育つのは間違いない、と思う。
女に似て産まれるのなら、きっと美しい顔立ちと為るだろう
逆に、己に似て産まれたら……如何なのだろうか、自分の事は、イマイチ想像出来ないモノだ
何れにしても、掌の下、母親の胎を蹴飛ばし続けている様子を見る限り
どちらも、有り余って元気に育つ筈だ。 それだけは、確か。)
―――……アンマリ蹴飛ばし過ぎると、うっかりお母さんの弱いトコ蹴っちまうぞー…?
―――……っと…、……? ……おおう、やっぱりか。 ……こりゃ、俺が気を使う隙間は無さそうだなァ。
(――こっそり、ひそひそと囁き掛ける様な声で、御腹の中の子供へと、何か言った。
多分、シルキーにはタイミング的に聞こえて居なかった、筈
直後に開いた扉の向こう、振り向けば、妖精の手に在るのは、丁度求めて居ただろうマタニティドレス
当然です、と言わんばかり、既に着々と為されている準備の事を知らされれば
流石だ、と感心した様に声を響かせた)。
■テイア > 「ああ…。一応、黒幕とそれに連なる貴族の捕縛は完了したから騒動も一段落したとは思うのだが。…まあ、今はもう一人の体ではないからな、十分に気をつける。」
改めて、相手の心配事の意味を理解すると少し考えてからしっかりと頷いて。
柔らかく髪を撫でつけられるのに、目を細めてその肩に頭を凭せ掛け。
本当に、ついこの間の自分からは想像が出来ないほどに相手に心を許している。
髪を撫でられるだけで、安心感が胸の内に広がっていく。
「もしかしたら、女だと言われている方は男の可能性もあるらしいが…。影になっていて見えないことがあるそうだ。
どうだろうな。赤い髪の女の子というのも可愛いと思うぞ。瞳は…恐らく紫だろうな。」
女は、男のこの紫の瞳が好きだった。
つい、とその目元を指先で撫でて。優しい眼差し。もし娘が男に似たらきつく見られがちな自分よりも柔和な顔になるだろうと想像して。
おそらく、柔和と感じるのはその表情にも大きく起因するのだろうけれど。
「――っんな?!そんなわけあるかっ
いや、私もシルキーの管理能力を甘く見ていた…。けれど、そなたが子の為に何か用意してくれるのは嬉しいからな?」
こっそりとだろうが、ひそひそ声だろうが腹に向かって囁きかけられればしっかりと自分の耳に入る。
それに顔をカァっと赤らめて抗議して。そこを弱みに変えた上で孕ませたのは誰なのだ、と。
まさか、子に蹴られて快楽を感じるような事はないと思いたいが…。
シルキーの準備の良さに、当の本人は呆気にとられている。
合計で三つ、女名義の屋敷や城を持っているわけだが、そこに住まうシルキー同士でそんなネットワークがあったことにも驚きだった。
けれど、シルキーの周到な準備に遠慮はしなくていいとだけは、男にしっかりと伝えて。
■イーヴィア > ひとつの騒ぎが終わって、世界は平和に為りました…で済むなら苦労はしないだろうよ。
腐った貴族なんざごまんと居る、だから今はそう言う輩が
この子達が産まれるまでは、大人しくしててくれる事を願うのみ、だなァ。
(けれど、願いなんて物は基本あてに為らないと知っているから、気を付ける様にと紡ぐのだ。
ゆるり、片掌は、子の為に。 片掌は、女の為に。
多少なりと、子を孕む緊張や不安が解れれば良いと、穏やかに撫ぜ続ける。
シルキーが部屋へと訪れれば、頭を撫ぜる掌位は離すけれど
其の最中の穏やかな表情には、くす、と小さく笑みを深めて。)
……赤い髪か…俺はもう見慣れてるが、如何なんだろうな。 御前みたいに綺麗な銀色の方が、俺としては好きかも知れない。
……、…眼の色は…、……御前さんのは、子供にも受け継がれるモンなのかね。
(普段見慣れている分、自分の色よりも、相手の色の方がきっと鮮やかに見えるんだろう
美しいと、世辞無く心からそう思うからこそ、伝えてみるけれど
実際、どちらの特徴を受け継いだ所で―――たぶん、可愛い。
シルキーなら、きっと産まれた子に合わせて服の仕立て直しもお手の物だろうと
そんな事を考えては――ふと、一寸何事か思案。
少し間を置いてから、シルキーネットワークに加えてくれとか言い出すだろうか
準備とか、ぜひ参加したい、クリエイター根性。)
――――……本当かァ? ……案外、弱いトコは弱い儘かも知れない、ぜ。
……まぁでも、取り敢えず…そんなバタバタ焦る必要は無さそうだ。
流石はシルキーって言うか…、……ちゃんと部下に慕われてる証拠、だな。
(シルキーと言う種族は、確かにとても献身的に働く事に定評が在る
けれど、其れとは別に、とても気難しい事でも有名なのだ
雇う主や家主が気に入らなければ、屋敷から追い出そうとする位には。
其れを考えれば、こうして何を言わずとも主の事を気遣ってくれるのは
彼女が相応に、主として慕われていると言う証でも在る
――助かるよ、と。 己からも、シルキーへと感謝を伝えて)。
■テイア > 「まあ、な。この程度の事で溜まった膿を出しきれれば苦労はしないんだが…。そうだな、せめて生まれるまでは、何事もなく行って欲しい。」
自身の職務を思えば、そういった輩を相手にしなければならないのはわかっているが、せめて生まれ出る無垢な赤子は、そういった汚いものに晒されたくはないと思う。
そう考えて、騎士として職務を貫く事しか頭になかったそう遠くはない過去の自分と比べて、また笑が浮かぶ。
初めての経験ばかりで、不安が全くないといえば嘘となる。
幾ら男の種族の子が、早産などの心配がないと知っていてもエルフとの混血たる子にそれが完全に当てはまるわけでもない。
けれど、こうやって男と話をして、触れられるだけでそんな不安が和らいでいく。
「ふふ、私はその色が好きだ。深く、落ち着いた焔の色だ。
…どうだろうな。左右の色が違うというのも、エルフの中でも珍しい方だったと思うが…。」
熱く激しく燃え上がる鮮やかな赤ではなく、深く、けれどその内に高温を抱く焔の色。
結局は、お互いがお互いの色がいいと言い合うばかりになるのだろうけれど、そんな会話が楽しい。
女の瞳は、恐らくは劣性遺伝になるのだろう。少なくとも一族では女しかこんな目を持っていなかった。
男の申し出に、シルキーは少し驚いた表情をしたけれど、ついで笑みを浮かべると快諾したか。
「…誰のせいだと思ってるんだ。赤子に腹を蹴られて悶えていられるか。
そうだな、私が抜けている分しっかりと準備をしてくれていたようだ。部下、というよりも家族かな。」
今はまだ、内側から腹を蹴る感覚も弱いからこれがもっと強くなった時にどうなるかは分からない。
分からないが、もし子が蹴って快楽を感じるなんてなったら変態もいいところだ、とじとっと男を睨んで。
荒事などに関しては、女の専門とするところだが家庭の方面となると疎い。
そんな自分をフォローしてくれる彼女たちとは、長い付き合いだと、家族だと相手とシルキーに伝えて笑みを浮かべ。
男からの礼と、女の言葉にシルキーが笑みを浮かべ、部屋を出ていこうとするか。