2016/03/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にリドさんが現れました。
■リド > 席もそう数の無い、小さな酒場で寛ぐ女が一人。
自分のほかには年老いた男が一人酒を楽しんでいるだけだ。
隅のひとつに腰かけて、何本目かもわからぬ酒瓶を片手で揺らしていた。
「………うーん、暇ねぇ」
吐いたため息には、明確な酒気が纏わり付いている。
誰かしらの元へ訪ねてみようか、あるいは娼館にでも足を運ぶか――
思案は尽きない。
■リド > 「毎度の如く訪ねるのも良いのだけれどね……」
そう呟きながらクイッと瓶を傾ける。
瞬く間に中身は空になった。それを手近なテーブルに置いて――転がして。
「………このままだと、娼館コースね」
それはそれで良い。浮かべる笑みは見るからに好色で、この娘の性質を表している。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシズハさんが現れました。
■シズハ > ギィ……と、あまり立て付けのよくない木製の扉が軋む音。振り返ればリドは珍しいものを見ることになるだろう。
一枚布から仕立てた、ボタンもフックもない奇妙な装束、左腰に差している細身で湾曲した剣のようなもの。
遠く東の果ての武芸者の装束であると、リドは知っているだろうか。
「強めの蒸留酒はあるかな。あと、肴に炙った干物か何か。」
若い横顔は性別を判じがたいが、リドの嗅覚に何か触れるものがあるかもしれない。
■リド > 扉が軋む音が新たな来客を知らせる。
振り向けば其処には、どうやら此方の国には無い装束を身につけた若者の姿。
あまり詳しくは知らないが、東方の衣服だった筈だ。
中性的な外見ながら、何かひきつけられるものがある。
幾度も女を抱いてきた身には男装を見破ることも容易だ。
「………ねぇ、そこの人。一緒に如何?」
気がつけば初老の男は店を出ていくところだった。
ならば誰に遠慮する必要もなかろう。
■シズハ > 「……うん? 私……しかいないか、もう。」
声が投げられた方向に振り向いて、人差し指で自分の顔を指差しかけて……さして広くもない店内にもう自分と相手しか客がいないことを察してその手を下ろした。
振り向いたときに大半の肌が露になったリドの身体に一瞬目を奪われかけたことに気づかれていなければいいのだが。
「そうだなあ……まあ、袖摺り合うもなんとやら、だ。せっかくだしご一緒させてもらおうかな、お嬢さん。」
それほど考えることもなく無警戒に近寄って、対面の席に腰掛ける。
■リド > 此方は肌が露わになっているだけでなく、酒気で微かに紅潮している。いわば色気が出ている。
テーブルに頬杖をつきながらシズハを迎えて、店主にもう一つ酒瓶を注文。
「光栄ね……まぁ仲良くしましょ。私はリド……よろしくね」
簡単に自己紹介をしながら、その凛々しい顔立ちを眺める。
■シズハ > 「こちらこそ、誘ってもらえるのは嬉しいよ。私はシズハ……遠い遠い東から流れてきた冒険者だよ。」
こうして小さなテーブルを挟んで対面に座っていると、酒がある程度回って血色がよくなったリドの肌にどうしても視線が寄せられてしまう。
そのたびにメニューを見たりして誤魔化しているのが、リドには分かりやすい。
自己紹介を返して笑いかけると、男性にはないある種の愛嬌が出てくる。
■リド > 「遠い遠い東……その服装も、東から?」
視線が寄せられ、誤魔化そうとメニューに落とす。
その一連の仕草が見ていて微笑ましい。
やがてお互いが注文したものが来れば、グラスを合わせようと軽く掲げた。
「そういえば貴女、宿は取っているの? この辺かしら」
■シズハ > 「そうさ、このあたりではめったに着ている人間はいないが……その分こう、ハクがつくというかインパクトがあるから冒険者としては有利なんだ。」
リドにバレていることなど露知らず、しばらく挙動不審な視線の動きが続く。これもごまかしの一環なのか、やや早口に語って見せたりもして。
注文した酒が来れば、リドに続いてグラスを掲げてちりん、とぶつかった涼しい音を鳴らす。
「宿? 今夜はまだ決まってないな……急に入った仕事がさっき終わったところで、宿を決める時間もなくて。」
■リド > 「そう。まぁインパクトはあると思うけど……人目も引くかもね。珍しいし」
涼しい音が耳に心地好い。
グラスを傾けながら、問いに対する答えを聞けば笑みを深くした。
「なら、私の泊まってる宿に来ない? 借りてる部屋が少し広めでね、一人じゃ持て余すのよ」
どう?と首を傾ぐ。その拍子に、半ばほど肌が露わになった乳房が揺れた。意図的にだが。
■シズハ > 「そういうこと。まあその分良くない標的になることもそれなりあるから……まあ着てる人間の腕次第かな。」
グラスを傾けて酒が回るうち、少し口調も砕けてきて、おどけたようにそう言ってみせて。
そのうちに、リドから思わぬ提案が出てくる。
揺れた乳房に無意識に喉が鳴る。テーブルの下で太腿がもじり、と擦れた。
「……い、いいのかい?」
リドの雰囲気に呑まれた上に酒で緩んだ理性は、それを怪しむとか遠慮するとかいう結論を出せない。
■リド > 「腕にも自信があるのね。まぁそれを下げているだけで、威嚇にもなると思うけど」
言いながら相手の腰にある剣を指差す。
次第に緩んできた口調を見計らっての誘い。どうやら受けてくれそうだ。
「ええ、勿論。貴女さえ良ければ歓迎するわ」
言いながらグラスの中身を一息に飲み干す。行きましょ、と酒に濡れた唇で囁いた。
■シズハ > 「あ、ああ……助かるよ、ありがとう。」
囁かれるのに弱いのか、声と息が耳に当たるとぞくぞく、と背筋が震える。
彼女より少し遅れてグラスの中身を飲み干して、酒とこれからの一夜の期待に顔を赤くしながらリドと並んで席を立った。
店員への支払いに出した財布の重みを見る限り、宿に困りそうな懐具合には見えないだろう。
「ええ、と……その宿は、どこかな?」
迷ったらいけない、とかなんとか口の中でごにょごにょ言い訳を捏ねながら、リドに恥ずかしげに白く細い手を差し出す。
■リド > 財布の重みからして、きっと誘わなくとも宿は易々と見つけられたに違いない。
微笑みながら、差し出された白く細い指に褐色の細い指を絡めた。
「こっちよ。さぁ……」
シズハの手を緩く引きながら、自身が取っている宿へと向かう。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシズハさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からリドさんが去りました。