2016/03/02 のログ
タマモ > 「………よし覚えた、アシュトンじゃな。
うむ、大丈夫じゃ、もう忘れぬ」

きっとこの言葉、相手はかなり疑いの視線で見てくるだろう。
どうしてもこの世界の名前というのは覚え難い。
そのせいで、今の相手のように間が空いてしまうとなかなか思い出せない、辛いところだ。

「………そんなものは分かっておる、故に、油断はせんのじゃ。
だからこそ、負ける気はせん。
あー…まぁ、そうじゃな、あれを例にあげたのは、その先の話じゃ。
別にあそこまでお主が劣っておるとは言わんぞ?」

返す言葉に間が空いたのは、油断とは違うが、一度だけ敗北を喫した人間が居たのを思い出したからだ。
あれがあったせいで、それ以降は表には出さないが、最低限の注意だけはどんな相手にでもするようにしている。
と、あれ、とか表現されてしまっている男達。
それを例にあげたのは、己の性格がもっと悪ければ、酷い目にあっている、という意味のものだと伝える。
実力的に目の前の相手の方が高いのは、分かっている事なのだから。

と、善処するとの言葉に、ぱっと表情を輝かせた。
まずは、といった感じに背負っていた風呂敷包みを地面に置いた。
どちゃり、となんか色々と詰め込まれたような音と共に、広げられた中からは細々とした魔導機械やら、魔術鉱石やら、魔力の込められた品々が見えた。
そう、売るに売れなかった収集品だ。
「一つ目は、これをちゃんと買い取ってくれる場所を教えるのじゃ。
どうもそこらの店では、安く買い叩こうとする連中が多すぎるでのぅ?
で、もう一つは…この付近で贅沢と言えば何があるのじゃ?
贅沢をしにここに来たのじゃが、何があるやら分からんかったのじゃ、それを教えるが良い」

さぁ!さぁ!と、なにやら急かすような雰囲気を醸し出す。
多分、その内容は相手の想像以上に拙い事だろう。

アシュトン > どうだろうねぇ、俺みたいなタイプは、足元の更に足元をすくうのが大好きだからな。
強者には想像しにくい手段を取るのが、生き延びる方法みたいなところもあるからな。
(口の端を上げるようなニヤッとした笑みが、覆う布地越しに微かと浮いて)

それならいいんだけどな。
まぁどちらかと言えば、ああなるまえにちゃっちゃと逃げる、という意図もあるが。
(ふすんと鼻を鳴らしてから、手を腰に当て。
一拍と置いてから顔を緩くと横に振った。
やられる前に逃げる、勝つのではなく死なない、そういう人種である)

随分と大量に溜め込んでるな、ふーむ……
(包みの中身を、値踏みするように暫しと眺めた後に。
腕を組むと首を微かに傾げ)

俺の使ってる買い取り屋を一つ、教えてやってもいい。
こっちは、それなりに適正価格って所だ、俺の名前を出せば問題も起こらないだろう。
面白いモノなら、俺が個人的に買うのもアリ、だな。
(一つ間を置き)

或いは、この手のモノが好きな知り合いがいるから、俺に任せてくれれば売ってきてもいい。
良い値がつくはずだ……こっちは、直接教える事はできながな。
お互いの為に。
(深く頷くと共に、知り合いのド外道魔術師の顔が浮かぶ。
いい値段で売れるだろうが、タマモが自分で行った場合、ロクな目に合わないのは確定事項である)

それと贅沢か、タマモの好みが分からんから、一般的な解釈になるが。
美味い飯を食べたり、良い酒を飲んだり。
女性なら後は、着飾る服やら、アクセサリーを買ったりって所か?
こっちも店の紹介は出来るが、裕福区だとドレスコード……以前に、人外だと厳しいだろうなぁ。
気楽な方がいいなら、平民区で見繕うがどうだ?
(言って見れば王都は地元である。
大概と何があるかは把握しているし、仕事柄、大体の区画に何らかの伝手はなる。
とりあえず自分で対応可能な要求を聞くと、案を提示した)

タマモ > 「むむむ…妾の想像し難い手段、のぅ…?」

確かに、戦術等といったものではないが己の苦手とするものは色々とある。
そういった事を考えれば、もしかしたら…というのもあるのだろう。
知らぬ事も多いだけに、その可能性は否定出来ない。

「なるほど、確かにまず逃げなんぞされたら手の施しようもないか。
…ただ逃げるだけなら捕まえるのも楽じゃが、そんなものでもないじゃろうしな」

ふむ、と思案顔。
呟く通り、ただ逃げを打つだけなら楽なのだが、色々と仕掛けをする面倒な輩も居る。
そういうのに当たれば、状況次第ではあっさり手を引いてしまう、そういう性格なのだ。

「なかなかに魅力的な…まぁ、普通に売れるより、良い値で売れるならばそちらを選ぶのじゃ」

ふと、そこで瞳の力を使いっぱなしなのに気付き、そこで切った。
実のところ、お互いの為に、の辺りの内容は分かってしまったが…こちらを思っての事、素直に気付かぬふりをした。
では、それはお主に任せよう。そう言えば、風呂敷包みを戻し、相手に渡すだろう。
渡した品々を懐に、という事をしないのがもう分かっているからだ。

「む…平民地区にも、贅沢が出来るところがあったのじゃな?
食べたり飲んだりも好きじゃが、何が良いのか悪いのか分からなかったのじゃ。
着飾るのは…うーむ…これ以外は人任せばかりじゃったからな、何が似合うかどうかいまいち分からん。
なんにしても、気楽な方が妾は好きじゃ、平民地区で頼もうかのぅ」

なるほど、物言いから相手はこの王都をよく知っているみたいだ。
これは期待出来る…!
それならば、と、もう全面的に相手に任せる気満々だ。
この時点ではもう表層心理は視ていない、きっとどこへでも付いていくだろう。
ちなみに、姿を誤魔化す程度ならば簡単じゃぞ?と、ぽんっと一瞬だけ耳と尻尾を消してみせた。

アシュトン > 無論、ここでぽろっと口にする、なんて事はないからな。
(くくっと、小さな笑い声を含めた。
手品のタネを明かしてしまっては、意味がないのだ)

ま、当然だな。
単純な足の速さじゃぁ勝てんだろうからな。
というかぶっちゃけた話、「魔族が現れた」って言いながら外に出るだけでも割と効果的なのだが。
(衛兵がゴロゴロとやってきて、追いかけるどころでなくなるのは確かだろう。
そして地の利は圧倒的に此方が、といった所)

分かった……出来れば、あいつに会いたくはないのだが。
交換条件でもあるし、仕方あるまい。
換金するまで数日かかるから、後で滞在場所を教えておいてくれ。
贅沢ついでに温泉宿に泊まるのも、悪くないんじゃないかな。
(風呂敷を受け取れば、肩に掛けて背負う。
ド外道なだけならまだマシなのだが、実力も英雄並みだから手に負えない相手である)

上もあれば下もあるからな、平民区は、幅が広い。
それなりに金を出すような店なら、裕福区の下から中位の贅沢は出来るさ。
流石に裕福区の上となると、桁が違うがね。
(ま、これは彼女に払えるようなモノではないだろう。
ちょいと肩を竦めた後、路地裏の奥を一瞥し。
平民区までの道のりを頭に描く)

店員に任せれば、それなりに合わせてくれるんじゃないか?
というか、今の格好は随分目立つから、一着位見繕っておくのもいいかもしれんな。
何だかんだ言ってもここは人間の都、なんでな。
目を惹かれると、それだけ人外とバレて、騒ぎになる可能性も高くなるんでね。
(魔族もちょこちょこ見かけるので、相手がどうやって入ってきたとか今更聞く心算もないのだが。
贅沢をする、つまりそれなりに金を表で使うとなれば、多少は気を使う必要もありそうだ
といった辺りで耳や尻尾が消えるのを見た、が)

甘い、弱者である人間は、異物に敏感なのだよ。
(ちっちっ、と指を左右に振った)

後は、……男なら、女を買ったりとか……は、関係のない話か。
それじゃ一先ず、裕福区から出るとしよう。
コッチだ。
(ヒラヒラと手を振ると、路地裏の奥にへと歩を進め始め。
グネグネと曲がりくねって、彼女に道が覚えきれなくなった辺りで、平民区へと。
その後は、知る限りで贅沢の出来る店を、紹介していくとしようか)

タマモ > 「なんじゃ、ケチじゃのぅ…ちょっとくらい教えてくれても良いではないか?」

まぁ、教えないのは当然と言えば当然だ。
さすがにそれは分かるだけに、残念そうにはするがそこまで追求をする気もなかった。

「あー………なんか、それと似たような事を聞いた事があるのぅ…
確かに、実際にやられると物凄く面倒そうじゃ」

ふと、どこかの路地で少女から読み取った表層心理を思い出す。
ニュアンスは少々違うが、周りを利用されるのは人外である自分にとってかなり厄介だ。

「よし、では任せたのじゃ。
温泉宿?ほほぅ、そんなものがあるんじゃな。
では、受け取るまではそこで部屋でも取るとしようかのぅ」

己の住処とした森林の中にも温泉はあったが、こんな場所にもあるのは意外だった。
となれば、興味を引くものであって。
受け取りの事も考えれば、その方が楽だろう、即決だった。

「ふむふむ…まぁ、平民地区でも十分贅沢出来るならば、別に上を目指す事もなかろうな」

うんうんと何度も頷く。
実際には住処に戻って漁るところを漁れば、十分支払えたりする。
だが、そこまでせずとも楽しめる場所があるならば、拘りはない。

「あー…その辺りは十分に見られておる気がするぞ?
最近ではあんまり変わった目で見られなくなってきたのじゃ。
慣れというのは助かるのぅ?
とはいえ、そうじゃな…そう言われると、一つ二つはあった方が良いのやもしれんか…」

この姿でどれだけ平民地区の大通りを歩いただろう?
どうやらミレー族の異種と勘違いされているか、幸運な事に騒ぎにはなっていない。
まぁ、服に関しては…少し考えれば、素直にあった方が良いと頷いた。

「そんなものかのぅ?…まぁ、実際にお主にはばれておった訳じゃが…」

さて、敏感であるかどうか?と疑問とするが、目の前の存在があるだけに、それに関しては強く否定は出来なかった。

「別に買わずとも、その辺りは適当に…いや、何でもないのじゃ。
うむ、では案内は頼むぞ?」

なにやら危なさそうな発言が零れそうになっていた。気にしない方が良いだろう。
後は前の男性について歩いて行くだけだ。
少女は地理に疎い、そう歩かぬ内に方角なんぞ分からなくなるだろう。
そうして、平民地区へと、後は色々と店を紹介されていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアシュトンさんが去りました。