2015/12/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 路地裏」に魔王サタンさんが現れました。
魔王サタン > 既に日は沈み辺りを闇が包む頃
富裕地区の表通りは魔力灯の灯りが仄かに闇を照らし、行き交う人々は家路へと向う。

そんな中とある貴族の屋敷より出てくる人影が一つ。
黒尽くめな男が後にした屋敷には、夜が訪れたにも関らず灯りの一つすら無く、人の気配すらも『今は』無い。

今宵の仕事を終えた男の脚は急ぐ事も無く、ゆったりとした足取りのまま、表通りから奥まった路地裏へとその姿は消え行く。

「――…貴族というのは、中々に狂った者も多いのだな…。」

ポツリと零す独言。
男の仕事の内容はともかく、また一つ自らの糧となるべき物は手に入る。
表通りに比べ聊か怪しげな灯りが灯る館の前を通りつつ、上着の懐へと右手を潜らせれば、革のケースから一本のシガリロを取り出し、口許へと運び咥えた。
その指先からは小さな火種を魔力で灯し、燻らせれば紫煙が一筋、寒空の中空へと立ち昇った。