2015/11/28 のログ
ヴァイル > 立ち上がり、よろめく痩せぎすの少年の身体を支える。
羽織っていた外套をイアの肩にかけ、腕を絡めた。

「いい子だ」

そう耳元で囁いて、踊るような足取りで、人目につかない建物の陰へと彼を連れて行く。
ふいに腕を離し、背中から甘えるように抱きついた。
頬を寄せ、口を開く。
そこに覗く尖りすぎた犬歯が、首筋を狙っていた。

イア > よろめいた身体を、しなやかな腕に支えられる。
少年の羽織っていた外套は、ほんのりとあたたかい。
絡められた腕に、抵抗はなく。

「ああ……」

耳元に落とされた囁きに曖昧に頷き、促されるまま建物の陰へ。
ふいに背後から抱きつかれれば、突然のことにびくりと肩を震わせる。
視界に入らないそこで、鋭い犬歯が首筋を狙っていることなど知る由もなく。
抗う素振りもなく。

「なあ……俺はイア……。あんた、は?」

ただ、ぽつりと名を問うた。応えがあるかは、知れない。

ヴァイル > 「グリム・グロットの子、ヴァイル・グロット」

簡潔に名乗り返す声に、感情を伺うことはできない。

逃れるということを思いつかないような少年の首筋に、
容赦なく《夜歩く者》は牙を突き立てる。
かすかな痛み。流れる血を、抱きしめたまま舌で啜り上げる。
温度のないヴァイルの身体の、這う舌だけが熱い。
痛みと流血の代わりに流れ込むのは、得体のしれない、温かな快楽。
回した腕で、慰めるように優しい手つきで胸を擦った。

イア > 「ヴァイル……」

名乗られたその名を意味もなく口に乗せて、次に、何かを問おうと思ったはずの口は言葉を失う。
首筋に齎された微かな痛み。
っ、と小さく息を飲んで、肌を這う舌の熱さに吐息を零す。
吸血、などという思考のない少年には戸惑いが生まれ。
それ以上に得体の知れない、注ぎ込まれる温かな快楽に瞼を薄く閉ざす。
優しい手つきで胸を擦られれば、硬く尖った先端がひっかかる。

「ん、ぁ……はぁ……」

熱くなった吐息と甘く色づいた声が漏れる。

ヴァイル > ヴァイルの牙が穿った傷痕に、啄むように数度キスをすると、流血はおさまる。
胸を擦る指先につんとした感触が返ってくれば、
今度はシャツの隙間ヘと手を滑り込ませる。
突端の周囲を、焦らすように指で円を描いたかと思えば、
不意に爪先でつねりあげる。

腕に抱いたまま、地べたへと座る。イアを自分の上に乗せるようにして。
もう片方の手は胸から下腹部へと下り、太腿を指でつうとなぞる。
イアの裡に疼いた熱がヴァイルに奪い取られ、温度が近くなっていく。

イア > 首筋の傷痕に数度、口づけが落ちるたびにびくりと肩が震える。
痛みが遠ざかる代わり、注がれた快楽が体の内で育っていくようで。
シャツの隙間から滑り込んでくる手に、熱を持った肌の感触を返す。
焦らすような動きに、んん、ともどかしげに身を捩っていたが不意につねり上げられた痛痒に似た感覚にぴくりと跳ねる。

誘われるまま、少年の上へ腰を下ろしてしまう。
もう片方の手が太腿をなぞられて、下腹で半ば立ち上がっていた男根がむく、と反応する。

「ん、きもちい……」

触れてくる手の温度が、ひやりと肌を粟立たせるものから、温かみを感じるものになってくる。
熱を奪われているのだとは思い至らないけれど、その手にぞくぞくと快感を煽られていく。

ヴァイル > 首筋に寄せていた顔を離す。
胸先をくにくにと愛撫しながら、上げた顔、その唇で耳朶を柔らかく食む。
今度は噛み付きなどはしない。熱の篭った吐息が、耳を湿らせた。

小さく漏らした声に、くすりと笑った。
太腿を滑る手が、イアの下肢を包む下衣の中へと潜り、
主張をする少年の男性器を探り当てる。掌が、ふにふにと睾丸に触れる。
人差し指と親指で、根元をつまみ、軽くこねる。

イア > 胸先への愛撫が止まぬまま、耳朶にも甘い刺激が齎される。
耳を湿らせる熱っぽい吐息に知らず、んっ、と小さな声が漏れる。
微かな痛みの欠片もない、快感に上げた声に恥じらい、唇を薄く噛む。

「わら、うなぁ」

甘さの隠せない声音で、なんとか絞り出した不満。
しかし、太腿から下肢へと潜り込んできた手が、男根に触れれば、息を詰める。
陰嚢を弄び、根元を軽く捏ねられただけで、半ばほどだった屹立がさらに硬くなって。

「ふ、ぅ、んんっ」

快楽に零れる声を飲み込むことができなかった。
恥じらいと快楽に、頬を、耳朶を赤く色づけていく。

ヴァイル > 「馬鹿にしたわけじゃあないさ」

黙してイアの身体を慰めていたヴァイルが、ようやく言葉を発する。
胸を愛撫していた手を離し、くしゃくしゃと手入れの足りていない黒髪を撫でた。
自身の腰の上に座るイアの身体を、少しだけ横にずらし、こちらを向かせる。
楽しそうに笑う紅い瞳の少年の白い顔が近づき、黒髪の少年の唇にぶつけるように奪った。

じゃれつくような動きだったヴァイルの手が、
ぴんと張り詰めた竿をしっかりと握りしめる。
イアの熱を余すところ無く味わおうとするかのように、身をぴったりと寄せて。
奪った唇をこじあけ、熱い舌がその奥深くへと侵入していく。

五指が竪琴を奏でるように繊細に、しかし有無を言わせない強さをもって、
リズミカルに揉みしだき、絞り上げる――

イア > 「それ、でも……っ」

自身の零した不満の声に返された言葉に、尚も重ねた声もまた甘い。
胸から手が離れると安堵したような、どこか残念そうな吐息を漏らして。
くしゃりと撫でられれば、伏していた瞼を薄く開き。
身体をずらされて、楽しそうに笑う白皙の少年の顔が近付いて、はつりと瞬く。
その間に、ぶつかるように唇を奪われた。
緩く噛み締めていた唇が衝撃に解け、薄く開かれる。

少年のようやく温かみを帯びた手が自身の竿を握りこむ。
びくん、と期待にそれが震えてしまう。
ぴったりと寄せられた身体は、快楽によって生まれた熱で火照るようで。

熱い舌が自身の奥へと侵入してくると、恐る恐る、舌先でそれをつつく。
喜んで迎え入れるにはためらいがあり、けれど拒むほど頑なではない。
それと同時にか。
白い美しい手が、楽器でも奏でるような手つきで、しかし力強くしごき始めると、たまらず淡い声を上げた。

「あっ、は、っ、くっ……んっ」

与えられる刺激に正直に、男根は反応を返し、跳ねて、快楽に透明な雫を零し出す。
次第に、先端が張り詰めたように膨らみ、限界が近いことを知らせて。

ヴァイル > イアの厚い唇の感触を楽しむように、ふにふにと押し付ける。
伸ばされる舌が唇の裏側、頬肉、舌先をなぞり、味わい、唾液を啜る。

責められる少年の声が弾み、ヴァイルの手が雫に濡れる。
それに応えようとするように、抱きつく力を強め、
男根に伸びた手はそのままにイアの身体を倒す。

ぱ、と糸を引いて唇を離した。
股間に顔を埋め、露出させた陰茎を口でくわえ込む。
熱く濡れた肉が、敏感になった先端を迎え入れ、舌が絡みつき、吸い上げた。

イア > 自身の荒れた唇に、少年の綺麗な唇が押し付けられる。
傷つけてしまわないだろうか、と気にする余裕もなく、快楽に浮かされたよう。
彼の舌が口腔内をなぞるたびに、くぐもった嬌声のようなものが滲む。
遠慮がちだった舌先が、次第に求めるように少年の舌へと絡み、追いかけて舐める。
唾液を啜られればとろりと薄めた瞳の眦が下がり。

男根を責める手はそのままに、力が強まれば少年の膝の上、上体をくたりと横たえて。
互いの口端から銀糸が引いて、虚空に途切れる。
名残惜しむように舌先覗かせていたが、少年の顔が自身の股間に向かえば、え、と小さく声を漏らし。

「ひ、ん~~~っ」

陰茎を口に咥えられると限界間近だった敏感な先端を、あたたかくぬめった感覚が包み。
舌が絡みついて吸い上げられればもう耐えられなかった。

「い、っく」

短く呻き、両手はすがる場所を探して少年の、焦茶の髪に行き着いて。
どくん、と大きく脈動し、少年の口内へと白濁を放ってしまう。
並よりも熱い陰茎からとくとくと、吐き出される精の量も小柄な体躯にしては多い方で。
絶頂の余韻に荒い呼気を繰り返し。

ヴァイル > 口内に吐き出される精を受け止め、んくんくと喉を鳴らして嚥下する。
イアの両手に頭を抱えられたまま、指で竿の根元を支えて、じゅうじゅうと啜り取る。
長い射精が途絶えれば、鈴口と亀頭を舐めて掃除する。
ぷは、と口を離し、雪のように白い顔を上げる。
にい、と不遜な笑みを作ってみせた。
あれだけのことをしておいて、紅潮すらしていない。

余韻に浸るイアの身体に寄り添うようにして、
乱れた衣服をそっと整えてやる。
それが済むと、黒髪をぽんと撫でて、頬に小さく口づけを落とした。

少しすれば、用は済んだ、とばかりに、身を離しておもむろに立ち上がる。
《夜歩く者》の身体からは、すでに温かさは失われていた。

イア > 少年の口内へと放ってしまった精を、喉を鳴らして飲む様子を、快楽の涙が滲む瞳で見遣り。
根元を支えて啜られると、腰が抜けそうになり、がくがくと震える。
丁寧な仕草で後始末までされて、赤く染まった顔で少年の白い顔を見ることとなった。
浮かぶ不遜な笑みに、反感はないが恥じらいはある。
しかし、寄り添うようにして衣服を整えられる間も、抵抗などしようはずもなく。
むしろ。
自身の黒髪をまたひとつ撫でて、頬に小さく落とされた口付けに、あ、と声を漏らし。

身を離して立ち上がる少年を、まだ腰を地面につけたまま見上げる。

「あ、りがと」

不自然な気はしたが、他にかける言葉を思いつかなかった。
いつの間にか、先の客に与えられた痛みや不快感は消えていて。
だからか、どこか未だ甘い余韻に浸ったまま。
何者なのか、浮かんだそんな問いかけは飲み込んだ。

ヴァイル > 「おいおい!
 魔物にそんな間抜けな言葉をかけるやつがあるか」

とうに背を向けていたヴァイルが、顔だけで振り向く。
嘲るような笑みを見せて。
それは最初に見せたのとほとんど同じ笑い方だった。

そうして今度こそ立ち去る。
両腕を楽しそうに広げ、ヒールをかつかつと鳴らしながら、威風堂々と。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヴァイルさんが去りました。
イア > 少年が顔だけを振り向かせて、告げてきた言葉に一瞬声を失った。
綺麗すぎて恐ろしく思える顔に嘲るような笑みを浮かべて。

「ま、もの……? え、ぁ」

最初に見せたのと変わらない、整って怖いくらいの笑みに。
自身が浮かべたのは呆然とした表情。
それから、恐る恐る片手を首筋にやった。
自分では目視できない場所にある、出血は止まった噛み跡のあるはずの場所を。
触れて、もう一度、え、と呟き。

「そんな堂々としてんなよ……」

と苦笑じみたものを作った。
そうして去っていく堂々とした背中を見送って、ようやく自身も立ち上がる。
忘れ去られた外套を我が物のように羽織って、冷たい風から身を守るようにして、塒へと戻る。
少年の身体は、今はまだ、あたたかかった――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からイアさんが去りました。