2015/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 広場」にカレンさんが現れました。
■カレン > (甲冑に身を包んだ騎士たちが模擬戦闘をしている。
その数はおよそ50対50、合わせて100。
訓練や鍛錬ではなく、見世物というべきだろう。
軍事力を誇示するため、また治安の悪化を食い止めるために行われているのだ。
しかし、ただの見世物にしては素人目に見ても練度が高いことがわかるだろう。
見入るのには十分な演舞だ)
これで少しでも効果があればいいのだが。
(見物人の中に紛れるように、最前線で見ているカレン。
カレンこそこの騎士たちを束ねる長なのだが)
■カレン > (「観客」たちの会話に耳を傾ける。
主に貴族だろうが、貴族たちが何を思ってこれを見ているかがなんとなく伝わってくる。
真に受けるほど馬鹿ではないが、子供騙しとみるほど危機感がないわけでもなさそうだ)
まあまあといったところかな。
(こんなことをして大きな意味があるとは、カレンも思っていない。
ただ今が戦時中であり、敵軍に大きな動きがあったとしても、
王国は安泰であるという安心感が少しでも生まれればいいのだ。
それすら見透かして、王国側は危機的状況だと穿ちすぎるものもいるようだが。
感じることは人それぞれだ)
■カレン > 全員訓練やめ!気をつけ!
今日の模擬戦闘はこれまで!
寮に帰って休息を取れ!
(カレンが一歩前に出て号令をかけると、声が届いた順に騎士たちの動きが止まっていく。
整列し、命令を受けた騎士たちは、行進して王城の方角へ向かっていく。
カレンも一緒に戻るところではあるが、少し様子を見ておきたい。
「指揮官」に集まった注目が薄れるまでしばらく佇んでいる)
■カレン > さて、帰るか。
(平常通りの人通りになるのを見守ったあと、自分も去っていく。
この行動がどのように見られるかはわからない。
しかし、税金で養われている部下たちである。
戦場には出なくともこの程度のことはやっておかねばなるまい。
いつか戦場に出る時までは)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 広場」からカレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルーキさんが現れました。
■ルーキ > 夜の帳が落ちた頃に、裏通りをうろつく影が一つ。
別段何かを企んでいるわけでもないのだが―――
「……何を根拠に、わたしに因縁をつけたんだろうな……」
軽く肩を回す仕草。
先程路地の突き当たりに、一方的に打ちのめした男を捨ててきたところだ。
息はある。死体となられたら面倒なので、気を失わせただけなのだが。
「……さて。続きと行こうか」
呟けば歩き出す。
ティルヒアの反乱という一大事において、貴族達は何を企むか。何を考えているのか。
それを少しばかり探りに来た態。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にキスカさんが現れました。
■キスカ > 戦場から届く勇ましい報せに子供たちは英雄たちの夢を見る。
眠る街のそのまた裏の、人気もまばらな裏通りを二頭立ての馬車が軽やかに走る。
どこかで見たような商標入りの幌馬車が遙か彼方からやってきて、ルーキのそばを通り過ぎていく。
間もなく場違いに明るい声がして、堅牢な四つの車輪に急ブレーキがかかった。
「ストップストーップ!! 待って今ルーキの匂いが!……いたいた!!」
荷台の後ろから頭だけ出して、闇夜に猫の目を凝らすまでもなく生き人形の姿を見つけた。
「グッイブニンお久しぶり! こんなところで何してるのさー?」
身を乗り出しすぎて荷台から落ちそうな身体をいくつもの手が引きとめる。
よく見れば子供の手ばかりだ。痛々しくも擦り切れて、生傷も癒えぬままの。
■ルーキ > 二頭の馬車が傍らを通り過ぎるのを見届け、また歩き出そうとした矢先。
その場に似つかわしくな賑やかな声が自身を引き止めた。
振り返る。身を乗り出している見知った顔が視界に入った。
「あぁ、キスカ。久しぶりだな。……散歩?」
適当に答え、肩を竦める。
馬車に近づく最中、彼女を捉える子どもの手が痛々しく傷を帯びているのを見、眉間に皺が寄った。
「……どこの子?」
■キスカ > 「じゃあこっちにおいでよ。あと一人くらいなら入れるからさ」
手招きして、右手を差しのべる。荷台に乗りやすいように引き揚げるつもりの様で。
「海の向こうから来た子たちって言えばわかるかな」
「この近くにマックスのお屋敷があるから、今夜はそこで泊まっていくつもり」
荷台の中では獣の耳のついた子供たちが八人ほど。毛布に包まって身を寄せあっていた。
一番年嵩の子でさえ、キスカよりは二回りほど幼いくらい。
分厚いカンバス地の陰からこわごわと覗く瞳は見るからに警戒している様で。
■ルーキ > 「……そうだな。……じゃ、失礼するよ」
彼女の手を掴み引上げてもらう最中、警戒の眼差しが此方に向くのを感じた。
自分達よりは大分幼い子どもが幾人か。
その頭に獣の耳が生えているのを見、全て合点したようで。
「……なるほどね。これだと下手な真似をして見つかるわけにもいくまい」
自然、キスカの隣に身体を落ち着けながら小さく呟いた。
■キスカ > 「海の向こうの本土には、魔物もいないし戦争もない」
「安全な暮らしと温かいごはんが…今よりずっといい世界が待っているはず」
「そんな噂がひとり歩きして、たくさんのミレーが海を渡ろうとしたんだけど」
「その仲介業者っていうのがさ」
難民を乗せた船が奴隷船に早変わり。
大乱の裏で繰り返される無数の悲劇のひとつ。悪名高い組織犯罪を仄めかして。
ルーキとキスカの顔を交互に見上げる黒猫の少女。
視線があえば不安げに俯く細い身体を膝にのせて抱きしめた。
「王国のあちこちに商会の土地があるから、そこに新しい入植地を建てるんだってさ」
「それとね、いま読み書きが教えられる先生を探してるんだ」
「この子たちが大きくなったら商会の手伝いをさせるんだって。さすがマックス。商売人だね!」
■ルーキ > 「……こんな情勢だというのに。金持ちの考えることはいつも変わらない…か」
「父や兄はそうではないだろうが……」
王族にしては比較的前面に出ることのない家族をぼんやり気にかける。
背を凭せ掛けるようにして寛ぐ。
キスカの膝の上にのる少女を見、思わず微笑んだ。
「読み書きか。……キスカは出来ないのか?」
「何にせよ、最近はミレーにも寛容な人が増えてきている。難しくはないだろうさ」
■キスカ > 「その手の船って普通の航路は使えないから、マイナーなとこ通ってくるわけなんだけど」
「今は沿岸警備も手薄になって、通りすがりの海賊が出たりしてさー」
黒猫の少女がキスカの顔を見上げてカイゾク、と繰り返す。
「え? い、いや私はどうかな…悪いまれびとをやっつける方が得意だからさっ」
「ルーキもどう? 小さい子ってあったかいんだ。ぬくぬくだよ!!」
疲れきってうつらうつらしている茶トラの子をルーキの膝の上へ。
つやつやの黒髪を静かに撫でつつ、眠る子を起こさないように声のトーンを落として。
「無傷で押さえられた船は艤装を変えて使えたりもするんだけど…そういう船は次から次へと押し寄せてくるから」
「業者の元締め…っぽい人は向こう側にいるみたい。その誰かを倒すまで、この戦いは終わらない」
「マックスからの頼まれごともあるし、向こうに渡ってみようかと思うんだ」
■ルーキ > 「……海賊か。まぁ、王国の注意は今の所ティルヒアに向いているから」
「その間隙を縫って…ということもあるな」
茶トラの子が膝の上にやってきた。
起こさないようにそっと抱きしめれば、その温もりに緩く瞳を細めて…。
「―――大丈夫なのか? …確かに、元を断たなきゃ収まることはないだろうけど…」
「……こんなことを言って良いのかはわからないが……心配だよ」