2015/10/12 のログ
ロザリー > 「……ここまで弱まっておるのか」
自分自身に呆れたように肩を落とす

退魔の加護、太陽光、月の満ち欠け
3つも弱体化の要素があるとはいえここまでとは

「……面倒なことだな」

普段ならば意思と動作に付随して発動させることが出来る程度の魔術に
わざわざ陣を組み魔術式まで起動させねばならない
これでは人間の高位魔術師以下である

よく考えればあの強力無比な魔王アスタルテでさえ手をこまねくほどの加護なのだ
憎らしいものである

ロザリー > いざ魔術式を組もうとすると転移系の魔術は複雑である
空間制御の魔術をいくつも組み合わせねばならない

「……」

ちらり、と先ほど仕掛けたエンチャント・フィールドを見る
あれが発動するまで待てば、加護が薄れる
そしたらいつもどおりさっさと帰れるはずだ

「……待つか」

ふぁ、と小さな欠伸をして、その場に座り込んだ
式を組むのが相当に面倒くさかったらしい

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にノイギーアさんが現れました。
ノイギーア > 大通りを歩くノイギーアは突然足を止め僅かに飛び退いた。
近くの貴族達が怪訝そうな目を向けたが、女の衣装が魔女のそれである事に気づけば、所詮魔女のすること気にしてはならぬとすぐに各々の談笑に戻る。
――術式の一つ目とふたつ目が置かれた中間地点。そこを白い魔女帽の女は横切らんとしていた。
足元に感じた僅かな魔の《脈》に、思わず後ずさったのだ。

「……」
首を動かさず、目だけで辺りを伺い、そっと杖の先を何かを感じたポイントに置いた。繊細に、位置を気取られぬように……魔術の逆探知を試みる――

ロザリー > 「!」

ぴくり
何かを感じ、自身の置いたエンチャント・フィールドの起点へと目をやる

感づかれた?
いや、余程高位の司祭や聖騎士でもなければ、術式の起点を見つけない限りはわからない
もしくは、魔性に所縁のあるものならば気付く可能性はあるが……

「…今ここで退魔の者とやりあうのは面倒だな」

とはいえ、感づいたものがいるとしたら起点を破壊される可能性がある
ならば待ち伏せて…始末するか

空を見上げる
陽が沈むまでにはまだ時間があるようだ

ノイギーア > (……困ったな)
苦々しい表情を浮かべて魔術のラインを探るのは……決して国や、ましてやこの地域の富裕層を慮っての事ではない。
他人の縄張りになるのなら近寄りたくはない。それだけの事だ。
(通りづらいな、しかし、今一番困るのは……)
己の商圏が潰される事である。辺りの地図を脳裏に浮かべ、平民地区の方角を意識に置く。
並行して――たん、たんたん、と杖でモールス信号のように地面を軽く小突き、探知の魔力を送る。
(……一つは、いかにもな路地裏。もう一つは……富豪地域。)
ぺろりと唇を舐めて思考する。路地裏はどう見ても危険だ。だがしかし術式の開始点はおよそここであろう。富豪地域ではそうそう大きな事は起きないであろうが――術者がいる可能性が高い。
杖を離し、また苦々しい顔をする。怪訝そうな貴族たちの忍び笑いも、魔女の耳には入って居ない。

(……)
げぇ、とでも呻きそうな表情と共に――魔女はロザリーの居る方向へ歩いていく。
もし術者と会ったなら会ったで、ノイギーアにも何かがあるようだ。

ロザリー > 「(探っている者がいるな)」
形成され、発動を待つフィールドの流れの中に僅かなノイズを感じ取る

国が魔族の国を警戒して編成した退魔の一団かとも思ったが、
連中ならば場を見つけた時点で対処に入るだろう
起点を見つけずとも流れを断ち切る術くらいは連中ならば用いていそうなものだ

となれば、これはそれとは異なる者か

中継地点の位置は豪邸と豪邸の間の細い路地
大人が4人横に並んで通れるかどうかというような場所だ
近くには大通りもある
何か特別な用事でもなければ立ち入らないだろう

つまり、誰かが訪れたならばそいつが、探っている誰かだ

ゆっくりと立ち上がり、路地の入口を見据え、その者が訪れるのを待つ

ノイギーア > (……)豪邸と、豪邸の合間に差し掛かり……ロザリーの視線を感じた時。
「げっ」思わず声を上げて杖を取り落とした。見れば解る……これは非常に不味い相手だ。
びりびりと全身の毛が逆立つのを感じる――久方ぶりに冷や汗という物が湧いてくる感覚に、奥歯を噛んで笑いを堪えた。いやはや、こういう相手に狙われ始めたか、王都!

「……お取り込み中失礼致しました。邪魔をする気はございません」
はぁ、と息を整えてから、杖も拾わずにささやかな語り声を路地に向ける。この相手なら聞こえるだろう、と思っての声量だ。
両方の手のひらを向けて、敵意を否定するようにひらひらと振りつつ――隠された副腕で非常用の印を切る。護身用の防御陣は常に展開しているが、目の前の相手にどこまで保てるかは解らない。

「見慣れぬ魔力を感じまして、どのようなお方でありますか。ひと目、と思いまして……」
媚びへつらうというわけでは無く、まるで引っ越しのご挨拶とでも言ったようだ。

ロザリー > 「………」
深くかぶったローブの中から僅かに覗く鋭い目線が、その女を捉える

なるほど、魔術の専門家とも言える者か
ならば感づいてもおかしいことはない、そして怪しんでここへ辿り着いたといったところだろうか

さて、どうするか
たかが人間一人、消してしまっても構わないが、騒ぎに鳴れば
折角面倒な思いをしてまで設置したものまで見つかってしまう危険性がある
同じことを二度するのは嫌いなのでそれは避けたいロザリーだった

何やら言葉を投げかけているがその内容をそのまま信用するわけにもいかないだろう
知られたというだけでも結果的に邪魔になる可能性はある
敵意はないように見えるが……

「来い」

一言だけ、強い口調でそう言うと手招きをする
感づかれている以上は何もせず見逃すわけにはいかない
特に何をどうするか決めているわけではないが

ノイギーア > 「いや無理っす」
素である。即座に、素の返答である。思わず声量も普通になるというもの。……素の返答をしてから……初対面の相手にちょっと砕けすぎたと僅かに恥じた。近くを歩く貴族が変人に対する視線をちらりと投げて歩き去って行く。両方の掌をもう一度、仕切り直しですとでも言いたげにロザリーに向けた。
「わたくしその辺のどこにでもいるような木っ端魔女でございますので……そのー、この辺りを"獲られる"のでしょうか?」
密やかに仕切りなおす。
……目の前の者は、確実に魔の者だ。興味はあるが命は大事だ。三十六計逃げるが最高。ノイギーアはしたたかに退路と人の流れを確認する。
「私の事情で申し訳ないのですが、できれば揉め事等からは離れて生きとう御座いますので……どの辺りを目標にしてらっしゃるかお教え願えればと」
ロザリーの視線を痛いほどに感じながら、視線に視線で返礼する。

ロザリー > 「吾の敷いた術式が何であるか、そして吾が何者であるのか、
 おおよその推察くらいは出来ているのだろう?三度は言わぬぞ、此方へ来い」

質問には応えず、強い口調は変えず、睨めつけるような視線が続く
この女がこの路地の入り口にいるだけでも良くない視線を集めるのだ
若干の苛立ちをその声に含める

女が路地裏に踏み込めば、入り口に幻影の術式を発動させるだろう
それくらいの魔術は体に刻み込まれている呪印から即座に行使することが可能だ

ノイギーア > (まいったね、こりゃ)
苦笑して首を傾げると、杖を拾いながら静かに路地裏に入る。怪訝そうな目を向ける貴族の従者は、ノイギーアが路地裏に入ると、その存在がすっかり頭から消え去ったように目をしばたかせて己の仕事に戻っていった。
自分の背で術が動くのを感じる。が、狼狽える訳でもなく近づく。およそお互いの声が正常に届く範囲だ。

ロザリー > すん、と小さく鼻を鳴らす

女が近づいてくると、香るのだ
芳醇な魔力に満たされた血を持っているようだ

「何処にでもいる木っ端な魔女に、
 相手からの未知の攻撃を警戒しつくすだけの実戦経験があれば魔女狩りなどそうは起きぬであろうな」

こと魔力の流れには敏感である
目の前の女が言葉とは裏腹に安全を確保するための魔術を腹に潜めていたことくらいはお見通しだ

「邪魔をしない、と言ったがそんな者の言葉をどう信じろというのだ」

ローブで自身を覆い隠した状態でもわかるくらいに大仰に肩をすくめる少女

ノイギーア > 相手の呼気の変動を感じる――察知。そう、獲物の香りを嗅ぐ動作だ。魂喰らいや食人鬼、吸血鬼の類……どちらにしても、陽の高い内に一人で歩く実力者だ。今の状況をどうするか、のんびりとした表情のまま脳をぎゅるりぎゅるりと駆動させている。

「やあ、ああいったもので狩られるのはだいたい唯の娘子ですからね」
世間話のように、控えめににこりと笑って――
「魔女狩りのだぁいたいは異端審問サマがたの"ご趣味"だろうと私は思っておりますね」
そういったお役人に対しても、どうやら仲が良くなさそうな雰囲気を醸し出しつつ笑う。

"どう信じろというのだ"と言われれば考えるように杖を持ったまま腕を組んで口元に指をやりながら――副腕を『お手上げ』のポーズでひらひらと振った。隠す意味も無かろうという判断だ。
「うーん、そう申されますとごもっとも。しかし用心せねば魔女なんてやっていけませんし……まあ、この地域がどうなろうとも、どうでもいい事なのですよ。ひとさま(?)の縄張りには入りたくは無いのですよ」
斜めに被った帽子の下で、紫の目がちらりと輝く。

ロザリー > 「そうなのか?人間どものやることはよくわからんな」
魔女狩りで狩られているのが普通の娘であると言われれば意外そうな顔、
が、特に話を反らせたわけでもなくすぐに本題に戻るリアリストなヴァンパイアだ

「まぁ良い。折角であるし今日の夕餉は貴様にしてやろう。
 此処のところロクな血を飲めていなくてな、少々腹のたまりが悪い」

フードから覗く蒼碧の瞳が怪しく輝く
この地がどうでもよかろうが、縄張りを荒らす意思がなかろうが、無関係なのだ

吸血鬼の凝視
それ自体が人間の体を麻痺させるような力を持っている
なんらかの対抗手段がなければ危ういだろう

ノイギーア > (なるほど、吸血鬼さんでございましたかァ――)
と思ったのも束の間、圧倒的な視線の力に目を細めた。魔女は己の眼に抗魔の仕組みを取り入れていた。それでも尚脳に向かって直接指先を伸ばされているような強い呪力を感じながら。
「け、け。困りますよ。というか……私処女でも若くも、ございませんよ」
息を乱さぬよう、それでも尚笑みを返しつつ二人の間に薄膜のように魔力を貼る。

「何しろナルラート朝よりも前より、おりますので……」
仕草の一つ一つにまじないを込める。防壁、鏡、抗魔……己の周りに、控えめながらも濃密な防御の陣を。常時の物にも更に重ねて張り上げる。
その手際こそ、ノイギーアが見た目通りの年齢ではないという事を表していた。

「吸血されるとやれ死ぬとか隷属だとか、そういうのがあっては非常に困りますので……」
若干困り顔で、口を隠すように掌をそちらに向けて重ねる。

ロザリー > 「魔力の高い者の血はよく腹に貯まる」
くすりと口の端に笑みを浮かべる
勿論生娘であるにこしたことはないが、と付け加えて

「口ぶりの割に、冷静であろう?
 …並の魔術師なら吾のひと睨みで動けなくなるものだ。
 したたかなやつめ」

ノイギーア > ロザリーの僅かな言葉の圧にすら弾かれるように、幾つかの防御陣が玩具のように上空へ舞った。
「血は情報、情交よりも熱い繋がりの証でございます。よって用心して生きる魔女としましては、血すらも秘匿しとうございますから……」
眼で追うことはせず、のらりくらりと拒絶の言葉を返す。……しかし、逃げようと思えども極僅かに、半歩にすら満たぬほどにしか足を動かせなかった。

(いえいえ、ここ何十年ぶりの危機を感じておりますよ……)
あくまでも、気圧され過ぎぬように……エンチャント・フィールドの力が高まりつつある事にも注意を払いながら、高速で身を護っていく。

ふと、魔女の瞳がぴくりと動く。
「――そうですね」
豪邸の窓の一つをぴっと指差せば、三階の窓が開いていた。
何も知らぬ年若き娘が一人……窓際に飾られた花を愛でているではないか。
幸か不幸か、隠蔽されたこの二人の空間には気づいていないようだった。
「あちらの娘と交換できませんか」
非道な提案をあっさりと提示した。

ロザリー > 「何?」
まるで予想外の提案に少し驚いた表情をフードから覗かせた
つられるように見れば、見目麗しき若き娘
それはもう芳醇な血の持ち主だろう

「……自らが飲まれるのを逃れるために、見も知らぬ娘を犠牲にするとはな。
 いや、人間とは元来そういうものであったか」

肩を竦める、が…

「吾は強欲故にどちらも欲しいと考えるが、さて?」

別に、どちらかでも良いのだがどう反応するのかに興味があり、そう答えた

ノイギーア > 一般的であれば批難の言葉だが、魔女にとっては大した問題でも無かった。
「御覧くださいませよ、このご時世にこんな豪邸に住んで。花を愛でる余裕あふれる、良家のお嬢様でございます……」
まるでとびっきりの品物を紹介するように、バスガイドめいて手で指し示しつつ勝手に少女を紹介する。
「どちらも欲しい、ええ解りますが。しかし――」
刹那。副腕が少女の向かって突き出されると同時に短く一声魔女が鳴いた。ロザリーとその少女にだけ、猫めいた音の響きの呪文が見えただろう。当然、ロザリーには効くはずもない――しかし、少女は我を失ったように宙を仰ぐと……ぽん、と窓から飛び降りた。

副腕が印を切ると、少女の落下速度は鳥の羽根のようにふわりふわりと緩やかになり、石畳の上に――ロザリーとノイギーアの間にぽとりと座り、呆けたように幻惑に囚われている。
「ご進物として、こちらでお見逃しいただけませんか――わたくしの抵抗は、ちょっと大げさになると思いますので……」
ぱちりと指を鳴らすと、少女は意識を取り戻す。――あらかじめ魔女によって声は塞がれているが、状況を全く把握できずに声を出す事すら考えられていないようだった。

ロザリー > 「…クク、身の守り方をよく知っているな?」
目の前に献上された少女を見下ろし、笑みを浮かべる

「貴様と遊ぶのも面白そうではあるが、
 折角のエンチャントを崩されても面倒なのでな。
 よかろう、見逃してやろうではないか」

こういった手合は珍しい
わざわざここで血を獲らなくても良いだろう
別の食事の宛もできたことだ

「貴様の名を聞いておいてやるぞ」」
偉そうにそう言い放つのだった

ノイギーア > 魔と魔の二人に挟まれた少女は――
『――』
(あなたたち、どなた?)
『――』
(おとうさまの、おともだち――?)
青い蒼い、少女の宝石のような瞳は日陰の元でも尚輝いて二人を見つめた。
この後に何が起こるかなど、爪の先ほども想像ができないであろう純真さで……

一方の魔女は呑気な声で商談の成立を喜んだ。
「はあ~、そう言って頂けると。有難いことです」
自分のよく行く場所が巻き込まれないかどうかだけ知って置きたかったが、目の前の強大な魔に対して要求をする程の豪胆さは僅かにも持ちあわせて居なかった。

「ノイギーア、と皆は呼んでおります」
魔術師であるため、偽名である事は間違いないが……少なくとも、魔法店などではそれで通している真っ当な名前ではある。
ぺこりと一礼をして――次にロザリーが少女に意識を払えば、魔女は即座に退散するだろう。

ロザリー > 「ノイギーアか、覚えておくぞ」
言いつつ、戸惑う少女の頬にそっと手を触れて微笑む
それは安心させる笑みではなく、良い食料が手に入ったという笑み

「吾はキルフリートの城主ロザリア。
 そのうち茶会にでも招待してやろう、クク」

おそらく来ないだろうが、愉しげにローブの少女はそう言って嘲笑う

この魔女は大きな力を隠している
日の高い時間、この場であれば自身とやりあってもあるいは───

ノイギーア > 『――』
恐怖を認識する前に、目の前にある、この世の理を外れた美を、力を――少女は心に打ち込まれた。
歯の根が、カチカチとささやかな音を立てる。これから何が起きるかも理解はできていないのに、防衛本能だけが少女の脳裏で、無力の内に叫んでいた。

震える娘など意の外にあるように、ノイギーアは会釈した。
「キヒ、恐縮です」
不器用な笑顔を向けると、ぱちんと空間の弾ける音がして魔女は消える。
正確には、先程飛んでいった小さな防御陣を転移陣に書き換えたのだ。
日の当たる場に出て尚、ノイギーアは警戒を解くことが出来なかった。

『――ぁ、あ』
魔女が空の青、雲の白に溶け込むのと、生け贄の娘の――祈り、懇願、恐怖、困惑の詰まった――ほんの僅かな呻きを漏らすのは同時だった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からノイギーアさんが去りました。
ロザリー > 「やはり人間の街にもたまには繰り出してみるものだな」

虚空へと消え去った魔女を追うように空へと目を向けて

「…では参ろうか、娘よ。
 ……ふふ、心配はいらぬ、甘美な時を過ごすことができるぞ」

少女の肩を抱くようにして、どこからともなく夜の帳のようなマントを羽織る
包まれるままに、無数の小さい蝙蝠になって飛び去った

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロザリーさんが去りました。
ご案内:「貴族のお屋敷」に魔王アスタルテさんが現れました。
ご案内:「貴族のお屋敷」にエルレストベーネさんが現れました。
魔王アスタルテ > (ここはとある貴族のお屋敷にあるベッドやテーブルがある豪華な密室。
 貴族とは言っても、魔王軍に所属する魔族によるものだった。
 この王都では、魔王軍の手の者がいくらでも王族や貴族になり代わっている。
 
 エルと魔王アスタルテは、そんな貴族のお屋敷に移動する。
 配下の魔族一同も、もちろん同行している。
 四天王の一角である触手のロータスが家主の貴族に話を通して、中に入れてもらう。
 そして、配下の魔族には別の部屋でゆっくり過ごしてもらい、アスタルテはエルを密室にまで連れてきたわけだ)

(アスタルテは、密室にあるベッドに足を組んで座る。
 そしてにこりと笑みを浮かべて、隣をぽんぽんと叩き、エルを招いた)

「ここならゆっくりと話せるねー」
(そして先程の話の続きに入る)
「そっかぁ、君は“嬉しい”とは思うわけだね。
 舞ったり、刃を交わしたり、肉を裂いたり骨を斬るのが“嬉しい”んだぁ」
(アスタルテは楽しげに笑う。
 相手を傷つけたら“嬉しい”、それは拷問機械、殺人機械ならばよく搭載されている感情だと言える。

 だけど、はたして本当にそれだけかな?
 魔導人形エルが激しくぶっ壊されたり、嬲られたり、いじめられたりされたら、はたしてどんな感情が沸くのか。
 もしかしたら、それでも“嬉しい”と感じてしまうデザインなのかもしれない。
 アスタルテには、そんな思い当たる節があった)

「その“嬉しい”というのも君の知りたい“感情”、その一つだという事は理解しているよね?
 他に、どんな事している時にその“嬉しい”と感じちゃうかな?
 人を傷つける時だけ?」
(エルにいくつか質問を投げかけてみる)