2023/01/06 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にインビジブルさんが現れました。
■インビジブル >
浴場、そこはいつにもまして煙が濃い。
いや、あまりにも濃すぎる。それもそのはず。この現場は獲物を誘い込むのにあまりにも便利だった。
風呂場には常に煙が漂う。普通の場で突如霧に囲まれれば怪しんで逃げ出される事も珍しくないが、この場で煙が濃くてもそういうお湯の日なんだなで済んでしまう。
そしてお湯に入った人間はそうそう早く外に出る事もない。
つまり、ここに居座る。それだけで獲物を捕らえる事が出来るのだ。いつものように追い回す必要もない。蓄えた力の一部を使って罠を張る必要もない。ほんの僅かでも具現化する必要もない。
この場は自分達にとって絶好の狩場だった。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にタムリンさんが現れました。
■タムリン > 顔見知りに「すばしっこいだろう」という雑な理由で頼まれたのは、
利用客が絶えた浴場を、出来る限りスピーディに清掃してきてくれ、というものだった。
なんで僕が、と反論したが、色々とタダにしてくれるという交換条件を持ち出されれば、話は別。
少年はさっと片付けて来るかと道具を引っ提げて浴場へ。
一日中あけている以上、掃除できるタイミングは貴重。そう長く時間はとれない。
ぺたぺた裸足で歩いて来ると、裏を洗ったサンダルを履いてから中へ。
普通に滑り止めがついている靴を履いてないと、腰を入れてブラシを使うこともできないし、
思いがけない落とし物で足の裏を切ったりもする。
「なんか、今日、湯気多くない? すごっ」
取りあえず、そう気付いたのは周囲が見通せないほどの湯気の中に踏み込んでから。
まるで濃霧だ。困ったのは、これだと掃除がしたくてもできない。
一回戻って顔見知りに文句を言おうか、その場で考え。
■インビジブル >
扉の開く音、声がする。声からは性別が判断しにくい。だがどちらでも構わない。自分達は男だろうが女だろうが、両性だろうが、皆等しく獲物なのだから。
「あら、どなたかいらっしゃいますか?」
1番釣りやすい声。優し気な声が響く。濃霧の向こう、わずかに人影らしきものが見えるだろう。それは女性のシルエット。
同時、異界へとつながる穴を2か所生成する。浴槽の近く、そして出入口近くの2か所。
もし近寄ってくるのならそのまま浴槽近くの穴に、急いで逃げ帰ろうとすれば出入り口付近の穴に。もし硬直すればタイムアップによる強制吸収。
どの手段で連れ去れるか。仲間内でのある種賭けだった。どこにはまるかで相手を変えようと。
■タムリン > 「ンなっ」
思わず、聞こえて来た声に絶句する。
誰もいないから掃除に行ってくれって言われたはずなのに、客が居るじゃないか──しかも女のひとが!
と、少年はうろたえた。
湯気の向こうに、女性のシルエットが見える。
これは、距離が近付けば裸を見ることになってしまう……?
「あ、あーごめんなさい、誰もいないと思って!」
冷静に腰を据えて事情を説明している場合ではない。
とりあえず、今なら相手の裸を見たわけでもないし、ギリギリセーフ……と、思われる。
大人だとそうはいかないかもしれないが、子供だしね。という打算もありつつ。
と、ありふれた筋書きというべきか、当然の行動というべきか、少年は出入り口に向かって小走りに。
そして、何も気付かないうちに、異界へと続く穴を潜ることに……
■インビジブル >
落ちた、それを確認すれば。
「私の勝ちですね」
優し気な声がする。
「えー! また姉さん!? というか、寄ってくると思ったのにー!」
不満そうな元気な少女の声。
「それはない。あの感じは固まるか逃げるかだよ。まぁ外したけど」
落ち着いた声が響く。
フフフと笑いながら。
「じゃあ、約束通り今回は私……ね?」
そういえば霧が晴れていく。しかしその場には女の姿等どこにもないだろう。同時に少年の姿も
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からインビジブルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からタムリンさんが去りました。