2022/07/17 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にシァンさんが現れました。
シァン > かこーんと軽やかに鳴る鹿威し、湯気に薄っすら浮かぶ灯籠や庭園。
外界が伺えぬ仕切りの中での箱庭的でもあるが風情たっぷりの温泉を、
さて、きちんとした目的で浴びに来ている者はどれ程か。

――少なくとも一名はきちんと、何も知らずにとも言うが、浴びている。

「ふぃー……」

頭にタオルを乗っけて縁に腕掛け、のんびりとしていた。

シァン > 若い娘が入っていったっきり帰ってこないの何だの、
黒い噂が湯気のようにさえ立ち上り、
若い娘は町娘だったはずが三助という体の娼婦になっていたの何だの、
下世話な話もこれまた立ち上り、
そんな話はまだまだ序の口とばかり知る人のあいまで真密やかに或いは大っぴらになっている中。

……そういう目的で来ている者たちがそそくさと出ていったのは男の体躯が筋肉に覆われているからだろうか。
否。
もしこの男の癪に障って暴れ出そうものなら癪に障った者からそうでない者まで漏れなく感電するからだ。
最悪ショック死も有り得る。
なにせここは、水場で、この男は、その体躯から電気を発する。

「……しかしなんだな。……貸し切りなのぁ気持ちいいが。何か悪いことしたな、
 いや、俺、常に電気放ってるわけじゃねぇんだけどな」

当の本人は、其処ら素知らず、気楽なもの。

シァン > そのうち、のちのち、そういう噂も耳に入る事はあろうが。
今は勘違いか見当違いか兎角ゆっくりと湯船で身体を温め、

「あ゛ー……」

おっさんみたいな声出したり

「……コーヒー牛乳売ってたっけかここ……」

お気楽に独り言ちたりして時間を過ごすのだった。
なお。コーヒー牛乳は売っていた。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からシァンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──あ゛ーぃ……」

日の高い時間帯。
太陽の下、変な声を漏らしながら露天風呂で湯に身を浸して寛いでいる金髪の男が一人。

湯船の縁の岩に背を預け、濡れて張り付いた前髪をかき揚げざま、頭に載せたタオルを手に取り
軽く顔を拭っては、ぷぅ、と息を吐き出し。

「……うむ、今日もいい湯だなと関心顔になる。ここの風呂のクオリティの安定感は圧倒的にさすがって感じですなあ……」

ハッハッハ……と何が楽しいのか笑い声を上げながら、タオルを頭に載せ直し。
そのまま湯を堪能しながら、やがて音程の外れた鼻歌なんかも響かせ始める。

そんな男の近くでは、なにやら小さな物体がプカプカと浮かび、湯面が波打つのに合わせて揺れている。
それは銀色のボディに赤いつぶらな瞳の、アヒルのおもちゃだった。目的は不明だが、男が持ち込んだものようで。
陽光を照り返すそのアヒルに時々ちらりと視線をやりつつ、男はのんびりと湯を楽しみ続けていて。

エレイ > そうして十分に湯を堪能し、男はやがてアヒルを回収して湯から上がり、ふらりと場を後にして──
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。