2021/09/12 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からアークさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にラチェルさんが現れました。
ラチェル > 「……これは、どこ風、というのかしら……?」

湯治に訪れた母親と侍女たちを客室に残し、一人歩きを敢行したのは、
ひとえに、この旅籠が王都では見慣れぬ、異国情緒に溢れていたからだ。
板張りの廊下、フスマだとかショウジだとかいう、紙で出来たような扉や窓、
そして今、娘が身に着けているのは、宿備え付けのユカタと呼ばれる衣である。
侍女たちにとっても慣れないものであるからか、いささか襟元がゆるく、
着崩れ気味であるのはご愛敬か―――着ている本人が、こういうもの、だと思っているのだから、
これで問題は無いだろう、と思われる。

――――――誰か、よからぬ輩に行き会ったりしなければ、の話ではあるが。

「―――――――― ?」

ふ、と、布製の室内履きを履いた足が止まり、娘は怪訝そうに背後を振り返る。
誰かの足音が、あるいは、誰かの気配が、背後に迫っていた気がしたけれど、
気の所為だろうか、それとも――――――

ラチェル > 振り返った先にある曲がり角を、じっと見つめること暫し。

「………気の所為、かしら」

動くものの影は見えない、耳を澄ませても、物音も聞こえない。

溜め息をひとつ、目指していた方へ振り向いて歩き始めた。
ぺたりぺたりと柔らかな足音が、のんびりと続き――――――――。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からラチェルさんが去りました。