2020/11/06 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「~♪」

夜。
ピーヒョロロと下手っぴな口笛を吹きながら、館内の廊下を一人のんびりと歩く浴衣姿の金髪の男が一人。
着込んだ浴衣は客室に備え付けのものであるが、男の着こなしは何故か妙に様になっていた。

それはそれとして、男は現在旅籠内を探検という名の散歩中である。
この旅籠は知らないうちに道が変わっていたり施設や仕掛けが増えていたりするので
男にとっては適当に歩き回るだけでもなかなかいい暇潰しになるものだった。
知り合いの従業員に聞いたところによると、その妙な特性のおかげで主に女性が迷ってしまう確率が高いらしいが……。

それはさておき、やがてT字路に差し掛かると、男は一旦足を止めて。

「──さて……どっちに行くべきですかねぇ」

右か左か。
廊下の中央で仁王立ちしながら、男は顎に手を当てうぬぅ、と唸りながら思案し始め。

「んんーむ……よし左だな、左へ行くべきと俺の中の何かが囁いている──おおっと!」

しばらく悩んだ後、男はおもむろに左側の通路へと踏み出し──その途端に、
ちょうど通りかかった誰かと出くわし、思わず足を止めて上肢をのけぞらせた。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にグノーシスさんが現れました。
グノーシス > 身長165cm14歳。外見の年齢にしてはやや背の高めな容姿で、浴衣の前を重ねて帯を下手に締めており、備え付けの履物。

旅籠の中をどう歩いて部屋へ戻るべきか、風呂から上がり道に迷っており。
布で拭っただけの髪が濡れて、冷たさを纏っており、体が冷える程ではまだないにせよ、時間が経てばわからず。

周囲を見渡しキョロキョロとしておれば、通路と通路の境にて、見知らぬ男性と思わずぶつかりそうになって一歩後ろへと、急ぎ足を引いて、左の肘を曲げて己の前で軽く拳を握り。

「………っ、わ!気をつけて!」

きつい印象の眼を大きく広げてやや幼げな声を張り上げて。自分のことは棚に上げて注意を促し。

エレイ > お互いに足を止めたことで衝突する事態は回避され、男は体勢を整えると改めて
出くわした人影──割と身長の高い華奢な印象の少女の姿を確認し。
そうしていれば投げかけられる注意の声に、眉下げた笑みを浮かべて頭をカシカシと掻き、

「──おうすまぬぇ、ちょっと僅かに注意力が散漫になっていた感。そっちは大事ないですかねぇ?」

と変な口調で素直に非を認め。相手を気遣うような言葉も返しつつ、笑みのまま軽く顔を覗き込むようにして。

グノーシス > 自分より背の高い異性に覗きこまれることへ、森の中で育った魔女はあまり慣れてはおらず。
ぎっ、と鋭く睨んで強がって見せ、内心では冷や汗ものであり、口は下がって体は上半身を後ろへ引いて傾がせて。
横合いの癖のない金髪をかき上げて、耳後ろへかけながら、目を逸らして、頬をさきほどの興奮と緊張でちょっと赤くして。

「ふ…ふん。少し驚いただけよ。気にしないで。ところで、あなたも迷っているのかしら?なんだか迷路みたいで、体が冷えちゃうわ。」

腕組みの姿勢で、浴衣を着た腕を摩りながら、困った様子で眉を下げ。

エレイ > キツめの目元で睨まれても男の表情は変わらず。
ゆるい笑みを浮かべたまま、緊張と警戒がありありと見える少女の姿を、どこか微笑ましげに眺めていて。

「そうか無事なら何よりだべ。──ン? 俺は……ああうん俺も少々道がわからずウロウロしていた
ところで今キミに出会った系の話があるのだが……」

自分は別に迷ってはいない──と言おうとしたが、ここは彼女に合わせたほうが良さげと判断し、
へらりと笑いながら嘘を吐いて。

「キミはどうやら風呂上がりのようだし迷子状態を早く終わらせるためにもここは
一時的に行動を共にしたほうが良さそうだったな。
ああもちろんそんなん余計なお世話だというなら俺は謙虚なのでクールに一人で去るが……いかがですかねえ」

それから、人差し指をぴ、と立てて同行を提案。
迷惑であればと遠慮する姿勢も見せながら、相手に判断を委ねてみることにして。

グノーシス > 怪しげな男の口調と笑みが気にかかるものの、世間慣れしていないため、怪しいという以上の感情は今は持てず。
ちらちらと男の様子を窺って、顎へ指をついて少しだけ考えると、応じて。

「ここで意地を張って、馬鹿みたいに風邪を引くのは許せないわ。
ええご一緒しましょう?旅籠の果てまで。」

狭い距離感であるが、胸の前で右手の指を揃えて手の甲を上に差し出して、エスコートを願い出る所作。
伏せた睫毛を上向かせて、ぱちぱちと瞬きをして顔を見上げ、口角を上げて微笑みを浮かべてみせるか。
奔放な性格も手伝って、ここは男に任せてみたいという心持。

エレイ > 「フフ、キミはなかなか面白い娘ですなあ。OK、じゃあちょっとした冒険旅行に出発するとしまひょ」

思案した後でエスコートを乞うてくる彼女に、軽く瞬きをした後くく、と愉快げに笑みを漏らしてから
差し出された手をやんわりと取ると隣に立ち、その手を引いてゆっくりと歩き出そうとする。

「……ところでどれぐらいの付き合いになるかはわからんが一応お名前を伺っても良いかな?
ちなみに俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが呼ぶときは気軽にさん付けでいいぞ」

それからふと、彼女の名前を訊ねてみる。また珍妙な口調で自己紹介も繰り出しつつ。

グノーシス > 「エレイ…さん?よろしく。冒険は楽しくてスリリングな言葉でいいね。」

さん付けへ少々戸惑いがちに、顎を引いてわずかに首を傾げたも、了承して言われた通りに呼び。
前足から運び出して歩調を彼より早めに繰り出して行こう。緩い歩みをしてくれたため、急ぎ足にならずに済んで。
歩調のこともあり少しの安堵を浮かべて、体の底から柔らかな笑みが沸き上がって、表情が優しくなり。

「わたしは、グノーシス。なんだか長いので、グノと呼んで。魔女なの。森の生活が長くて、あまり沢山の人を知らないわ。」

世間知らずを露呈することがどういうことを意味するかはあまり気にかけずに、己のそのままの自己紹介をして。

エレイ > 「グノちゃんだな、こちらこそヨロシクだぜ。──ほう森の魔女であるか。言われてみればそこはかとない
ミステリアスさがオーラとなって見えそうになってるような気がするな」

こちらへの警戒も薄れたか、表情が柔らかくなった彼女にこちらも重畳そうに目を細めつつ、
緩やかなペースで彼女をエスコートしつつともに歩みを進めてゆき。
森にいて世間を知らない、ということを明かされれば、感心したように頷いてみせながら、
自分の言うことを意外と素直に受け入れたのもそれ故か、などと内心で納得して。

「──で、その魔女のグノちゃんはまた何故森を出て王都(こんなところ)まで出張ってきたのかな?
なにかこっちで欲しいものでもあったとか?」

と、首を傾げながらそんな疑問を投げかけてみて。

グノーシス > 差し出された手を握り返して、歩みを進めてゆく廊下内。同じ景色の繰り返しのようで、気が遠くなるような感じに眼を薄らと細めて、唇から吐息が漏れて。
左手を頬の隣へ掲げ指をついて、壁を眺めて。

「あなたは、親切で、優しい人に見えるけれど、どこか腹の窺えない感じがするわ。こちらの警戒心のせいなら、謝るけど。」

少女の鋭敏な感覚で、実際はどうだかわからないが、感じ取ったままを口にして、唇を引き上げて微笑んで見せ。

「ううん。そうね。退屈な時間を過ごすのに飽きて、人に会いにきた感じかしら。
欲しいものなんてのは、欲しがると逃げてったりして、なかなか手に入らないもののような気がしてる。」

エレイ > 「そうかね? 俺はどちかというとオープンな方だと自負しているのだが……
何、初対面の相手を警戒するのは普通の反応なので別に謝る必要はにい。
むしろそれなりに警戒心系のものは持ってないと何かと危ないからな」

微笑む彼女の言葉にわざとらしく首をひねったり、ケタケタと笑ったりとコロコロ変わる表情を見せて。
特に当て所を設定する事なく歩いているためか、歩を進めど景色に大きな変化はなく。
これもこの旅籠の怪しげななにかだろうか、などと頭の片隅で考えたり。

「なるほど刺激を求めに来たわけであるか。そうなると、いきなり迷子になってしまった今の状態も
これはこれで刺激的な経験の一つってことになるかね?」

なんて、現状をからかうような言葉をくつくつと笑いながらのたまい。

「その意見は『確かにな』と認めてはいるし欲しがるほど手からひゅんひゅんすり抜けて
行ってしまうことは稀によくあるな。だがまあ求めなければ手に入らないものがあるのも事実でなあ……難しいものよな」

グノーシス > 「オープンスケベというやつ?ん、違う?」

握った手を大きく前後に揺らして、足を互いの内側へ踏み込んで、体を右側、彼が歩くほうへと寄せて。
浴衣の袖、腕が擦り合うほどに近くへ寄り、その顔を見上げて、まじまじと観察する目線でも這わそう。
瞼をしっかりと開いていても、目つきは笑いでもしなければ少々悪く。

「心に刺激と栄養は、必要なことだものね。
迷子が刺激?笑わせないで…!永遠にここから出られなくなったら、エレイさん、あなたを巻き込んで泣くよ。」

口を尖らせてちょっと睨んでから、そっぽを向いて、少しだけ身を離し逃げようとして。

エレイ > 「どちかというと大正解だな。だがまあ安心していいぞ俺はもっとご立派なボディの娘を
好み手だからな。グノちゃんでは少々不足している感」

体を近くまで寄せて見上げてきた彼女に、何が楽しいのかワハハ……と笑いながら
オープンスケベという言をあっさりと肯定し。
そして彼女を上から下までジロジロと眺めながら、余計な一言も付け足したりして。

「フハハ、グノちゃんに泣かれるのは困ってしまうのぅ。まああ安心すろそんな
永遠に迷子とかってのはねぇーから。歩いてりゃどっかには出るべ」

口尖らせてそっぽを向くその幼い仕草に喉を鳴らして笑いながら、身を離そうとする
彼女の頭をくしゃ、と軽く一度撫で付けて。

グノーシス > 立派なボディが好きだとのたまってジロジロと見る目つきは、なんだか、肉食獣が性的でない食事の品定めをするのに似ている気がして、背筋が少しだけ寒くなり。
口を横へ引いて、喉を小さく鳴らして、背筋と膝をしっかりと伸ばし。

「この国では、男に見られる体を持つ女性が最高だと小耳に挟むわ。
なんだか、悔しいけど、そのうち心も体も大きくなって見返してやるから。」

口の中でころころ転がるような声を立てて、前を見ながらそう言うが、大して想像がつかないようで、眼差しは少し遠く。

「大丈夫。滅多に泣いてみせたりしないから。あなたを信じるよ。」

まっすぐに揃えた灰金髪は、見た目より柔らかな感触を返すことだろう。手を振ってしっかりとした歩調で。

エレイ > 「ほうそいつは楽しみだなという顔になる。でもまあ心はともかく、グノちゃんは身長(タッパ)は
すでに結構高い方だと思うが。そのぶん細さが目立って折れそうに見えるので
もっと肉付きが良くなったらちょうどいい感じになると思うんだが……ふむ、そうだな……」

自身の将来が想像できずに遠い目をする彼女に小さく笑いつつも、何やら真顔でむむ、と唸って考え込み始めて。

「フフ、そいつは重畳。そのついでに、というのもなんだが……グノちゃん、
『大きくなった自分』というのをちょっと体験してみたくはないかね?」

信じる、と言われて気を良くし、笑みを深めつつ柔らかな髪をゆるゆると梳くように
撫で続け。そうしながら、男は不意にそんな謎めいたことを言い出した。

グノーシス > 「折れないよ。筋肉はあるもの。」

互いの手を外し、ほら、と言って腕まくりをして肘を曲げ、手の平を握ってみせ。腕の内側でぽこっと少し盛り上がる肉の塊。

「アリスの大きくなる薬みたいに?それとも、歳が上がるかしら。」

髪を撫でる手が心地よく目を細めていて。撫で続けられると安心して、少しだけ眠くなってくるのも事実で。緩い瞬きを繰り返して。
自分の魔法は頼りなくて、体を大きくするなんて以ての外。体験したことがなくて、首を傾げて。

エレイ > 筋肉はあると主張する彼女が、二の腕の筋肉を盛り上げて見せればほほー、なんて言いながら
それを軽く撫でて確かめてみたりしつつ。

「フフ、そうだのう……それはまあやってみてのお楽しみ、という奴だが……もし興味があるなら
そのために必要なものが俺の泊まっている部屋にあるので、このまま連れて行こうと思うのだが、どうかにゃ?」

やや眠そうな様子の彼女を、支えるように肩に手を回し、冷えた二の腕をゆるゆると
撫でさすって。首をかしげる彼女の疑問には、今はハッキリとした答えは返さず
悪戯っぽい笑みを浮かべてみせるだけで。それでもその怪しげな提案に乗るなら、部屋まで案内すると言い出して。

グノーシス > 筋肉を出した二の腕をスポーツ感覚でなのか撫でられると、なんだか、ぞわぞわと、ジンと腕の芯が熱く痺れるような感触に、よくはわからぬが己を内側から支配する感情が沸き上がり、ゆったりと双眸を細めて、浅い息を落として。
腕をすると抜いて仕舞い、袖を落として。

「なんだか怪しいなあ。でも、そういうの、もっと後のお楽しみにとっておくね。
またねエレイさん!今日はありがと!」

男の体が密着するのは温かくて心地がよく、眠気が少しずつ覚めるほどであったが。
髪の水分はだいぶ乾いてしまい、体は確かに冷えてはいるものの、屋内で温められた空気が浴衣の隙間から肌を撫でて入り込み、寒くはなく。
彼のテリトリーを潜り抜けて、浴衣の襟や裾を直してから、去ってゆくか。
明るい場所はもうすぐ目の前で、カウンターに腰を掛ける気難しげな老人に声をかけて道を教えて貰う心づもり。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からグノーシスさんが去りました。
エレイ > 「おうそうか。じゃあ元気でなー」

腕から離れ、去ってゆく少女を笑って手を振って見送り。
さて次はどこへ行くかと、男は再び廊下を歩き出して──。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にイグナスさんが現れました。
イグナス > だいぶん、冷えるようになってきた。まだ雪は降らないが、夜は冷える。
――で、そういう日だからこそ、お風呂がいいんだ。
大きな大きな露天風呂、たっぷりと湯気が上がる混浴風呂だ。
他に人もいない中で、ざぶん、と巨躯の男が湯に浸かっていた。

「あー………やばい、溶けるこれ。」

ふへーって相変わらず口元をだらんと緩めて、頭にタオルを乗っけてその温さを味わってた。
男の傍には湯に浮かぶ桶がひとつ、どうやら、酒なとを同伴させてるようだった。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」にヨミさんが現れました。
ヨミ > とある冷え込み始めた日の夜。寒さが肌に染み込む様な、そんな日には――

「お風呂っ、おっ風呂♪ 今夜は~、広い露天で~っ♪ おっ風呂~~~♪」

――そう、露天風呂である。少女はタオル一枚を巻いた姿で上機嫌に脱衣所から入室する。

「ふん……ふん……♪ ふふん……っ♪」

赤貧である少女にとっては久しぶりの入浴。だからこその上機嫌。だからこその鼻歌。
手早く掛け湯を済ませてしまえば、スキップでもしそうな軽い足取りで湯へと向かう。
湯煙漂う広い浴場の中、まるで貸し切りの様な開放感にニッコニコの笑顔で。

「あぁ~、暖まっちゃう~♪ 冷えた身体が、私の身体が~♪ 暖まっ――……、…………っ!?」

ちゃぷん、と波紋を拡げながら湯に脚を浸し、身体を覆うタオルを取り払った直後。
少女は先客の存在に初めて気付く。気付いてしまえば嗚呼、気まずい。

(い、居る――っ、他にも人居る――っ、は、恥ずかしい……ッッ)

高らかな歌はピタリと止み、まるで隠れるかの様にコソコソと湯に身体を深く沈める。

(……って、ぉ、男の人!? 大きい男の人!? ぇ、なんで? あれっ? もしかして……混浴だった!?)

先に浸かっていたと思われる男性の方を横目でチラチラと伺いながら気まずそうに小さくなる。
入浴を始めたばかりで出るのも忍びない。けれど、異性との入浴は気恥ずかしい。けれども――
浸かり始めたばかりなのに少女は湯の中で目を回していた。主に、混乱と葛藤で。

イグナス > 声が聞こえた。首をかしげる、えらく能天気――いや失礼、上機嫌な女の声だ。

「お?」

首を傾げる。こちとらだいぶ機嫌よく飲んでいるのである。
同じような客であればもちろん、受け入れる気はしっかりあるわけだが。
――途中で元気な声が消えた。
どうやらほかに人間が――しかも、男がいるのに驚きでもしたか。

くっくく、とその様子に喉を揺らして笑う。
面白いもんでもみた、というように。

「おいおい、さっきの元気はどーしたンだ。
 ………入口、混浴ッつって立て札してあんの、見えなかったか?」

ぐび、と酒を一口。安酒だが、風呂と合わせればそれはそれで味わいだ。
機嫌よくまた、ククと笑って。

ヨミ > 「…………へぁっ!?」

思わず素っ頓狂な声が出た。話しかけられるとは思っていなかったからだ。
このまま暫く黙って浸かり、身体が暖まった頃にあがろうと、そう思っていた。
他に入浴者は居ない。つまり、どう考えてもこの男性は自分に語りかけている。

(って言うか明らかに私の方見てるし――……って)
「……へ? あっ、いえあの、そ、その……ぅ……」

久々の入浴に舞い上がって居たからか、立て札を見る事もしなかった。
が、確かに思い返せばそんな事が書いてあった様な気もする。少女は内心深く溜め息をついた。

「ぉ、お恥ずかしながら……確認不足で……ぁ、あはははっ!」

笑い声を上げる事で羞恥心を誤魔化しつつ返答を返す。
返しながら男の方をチラと見やれば、一献する姿が目に入る。

「わ……露天でお酒、ですか? 良いですね。こんな日には、とても」

どことなく堂々としたその様子に何やらほっと安堵を覚えて、小さく笑顔を向けて声を掛け返す。

「ぁ、あー……ぉぉお酌でもしましょうかっ!?
 聞き苦しい歌を聴かせてしまったお詫び~……とか……で……」

暗に他言無用を男に強請る様に両手を合わせながら、苦笑いでそんな申し出をしてみる少女であった。

イグナス > なんだその声は、ってけらけらと笑う。
男の楽しそうな声が風呂の湯気に溶けて消えて。
――どうやらこちらが声をかけたことには、気付いてもらえたようだ。
じっと視線を向ける。湯と湯気でだいぶ隠れてはいるけれど。

「なるほど、そりゃ確認不足だ。――ま、そう恥ずかしがんな。
 別にとって食いやしねェよ、たぶん。」

たぶん、とつけておきながら。酒をくいくいともうひとくち。
うん、うまい。酔っぱらいはふつうしないけど、この空気に酔ってしまいそうだ。

「ン?おう、そう、いいだろう。おれのお気に入りだよ、これは。
 ―――あン?……っく、く。なんだ、そのお詫び。」

口元に手を当てて、くくく、とまた笑い。
なんだか素っ頓狂な申し出にも聞こえるが、面白い奴だ。
すうと目を細めて、湯気の奥の女の姿をじっと見ながら。

「ンじゃあ、遠慮なく。俺ァ、イグナスと云う。おまえは?」

ヨミ > 「お恥ずかしい限りで……あはは。
 とって食われる気はありませんよ、こう見えて強いんですからっ。
 は、恥ずかしいのは仕方ありません!歳頃なんですからっ」

酒を進めながら、どこか上機嫌に話す相手に少女の固さもやんわりと解れる。
笑顔を向けたり思い出した様に恥じらったりと表情をコロコロと変えながら――

「ぁぁあんな大声で歌っていたのを聴かれたとなれば、末代までの恥というもので!
 故に!故にです!ここで口止めというヤツをせねば、私は湯から上がるに上がれないのです。わかって下さい……!」

笑われてしまうと、湯の暖かさとは別の理由で頬が赤く染まる。
了承を得れば男の傍へと近寄って湯の中に座り直す。
改めて男を見れば、その体格の良さと身体の大きさに思わずぽかんと口が開いたが――

「ぁ……はいっ?えぇと、ヨミ!私の名前はヨミと言います。姓はありません、只のヨミですっ」

名乗られれば名乗り返し、おずおずと酌を始めながら小さく会釈をする。
湯煙多く立ち込める浴場の中であるからある程度は大丈夫かと、
酌の為に少し湯から身体を出せば、少女の豊満な身体のシルエットが目に入る事だろう。

イグナス > 「強い?へえ、そうは見えねえけどもなァ。
 はい、はい。混浴なンてのはそんなもんだから、あんま気にしすぎんな。」

ころころと表情を変える様にも、楽し気に笑みを。
一人風呂と一人酒に、来訪者。それはなかなかに心地よい。

「そう下手な――いや、…んー、……へんてこな、歌であったか。」

思い出せば、確かに。末代あるような家なのかはともかくとして。
表に出たらなかなか恥ずかしいかもしれない。
いい弱みを握ったとにやり、ちょっと意地悪く笑って見せたりもしつつ。
傍に寄ってくる姿、驚いたような表情は慣れっこだ。

「ヨミか。うん、おれもイグナスでいい、冒険者をしてる。
 酒はコレ。……お前もまあ、ほら、飲め。」

酌を受けて、その次には返す。
そこそこ強めの酒を勧めながらも、その肢体に視線が行く。
ほう、――と。豊満な肉体を無遠慮に。
ふむふむ、とじい、…体に視線を這わせて。欲望、隠す様子もない。

ヨミ > 「あっ、信じてない顔ですねっ!
 闘技場界隈では結構名が知れたりしてるんですからっ。
 あまりの強さに何件か、出入り禁止を頂く程度には!……はは……」

出禁が増えに増えてしまっているからこその赤貧を思い出し、乾いた笑いが漏れる。
気を取り直して一献すすめる中、"下手な"と聞けば耳聡く――

「今っ、今下手って、下手って仰いました!? いえまぁ、下手ですけれどっ!
 は、歯に衣着せぬ方ですね……まぁ、小気味良いと言えば、良いですけれど……」

頬を膨らませてむくれて見せるも、不思議と気分は悪くない。
少女の口から漏れた言葉通り、男に対して小気味良い清々しさを感じた。
暗部の仕事も少なくない少女にとっては、こうした雰囲気は癒やしだ。とても、尊いものだ。

「イグナス……さん。はい、私はヨミですっ。ふふ。
 ……へ? わ、っとと……良いんですか? じ、じゃあ、お言葉に甘えて……っ」

酌を返された事に驚き目を丸める。その瞳は次の瞬間にはキラキラと輝いた。
酒などという嗜好品を嗜む余裕の無い少女にとっては、またとない機会。好機も好機。
まるでお菓子を貰った子供であるかの様に爛々とした顔で返しを受け、ぐいっと一息に飲み干した。

「――……ぷはっ。 はぁぁぁぁぁぁぁぁ~…………♥」

思わず緩みきった声が唇から漏れて出る。美味い。これは、美味い。
風呂での酒という嗜好が初めてのものであった少女は感動を覚えながら
舌を転がり、喉を下っていく酒の甘さと鼻腔を通る酒気に恍惚と瞼を細めた。

美酒に蕩ける少女は未成年。強い酒であるならば余計に弱い。
湯の温度ですぐにも火照る中、男の視線に気付けば再び湯の中に身体を隠しながら――

「な、ななっ、なんですかっ、ジロジロ見て……っ。
 なんだか視線がいやらしいですよイグナスさん。いやらしい、ですっ」

両腕で胸元を覆うと、豊満な乳房が寄せられて湯から些か顔を出す。
じ、っと上目遣いで睨む様に男を見上げながら嗜める少女は、けれども嫌悪感は抱いていない様だった。

イグナス > 「へーえ、お前……あー、ヨミ?が、ねえ。
 ふうん、………。」

ほんとうかー?って胡乱な視線を向ける。闘技場の類はあまり、出入りしない。
冒険者とかなら、それなりにしっていたかもしれないが。

「ま、怒るな怒るな。歌の上手い下手はともかくとして、お前みたいに元気がいいのは嫌いじゃない。
 だからほれ、飲め、飲め。――っく、っく、いい飲みっぷりだ。」

追及されそうなところはゆるりとかわしながら。
でもお互い、その小気味良さやらは気に入ってる。
心地よく笑い、酒を飲ませて――いい飲みっぷりにご機嫌に笑う。
ほらもう一杯飲め、と酌しながら。

「こーゆーのも悪くねェだろう?……ウン、それにこれも、悪くない。
 …せーっかくの混浴で、いい女いンだから。そーゆー目になるのは当たり前だろ。
 お前の体がエロいのが、悪いー。」

にまーって笑いながら、欲望たっぷりの笑みと視線を向ける。
そこまでしっかりと嫌悪がないならば、手まで出してしまおう。
ぐいと手を伸ばして、肩に手を回して引き寄せてしまおう、と。

ヨミ > 「ぁ、は、はい……あのでも私、その、懐事情がですね……
 お恥ずかしい話なんですけれど、お礼をする持ち合わが……」

酌をすすめられれば気まずそうにしながらも、美酒の美味さには逆らえず、一口。また一口。また、また――
いつしかすっかり身体が火照り、目元もとろんと蕩ける様に。瞳は熱で潤み始めてしまっている。

「ぃ、良い女、ですか? あ、あははっ、……ぁ、ぁは……っ」

緩んだ気の中で褒めそやされれば、少女の頬がふにゃりと綻んだ笑顔を見せる。
気恥ずかしそうにはにかみながらも嬉しさが隠しきれない様な、そんな表情だった。

「ま、まぁー……そう言われれば悪い気はしませんし……ひっく。
 いやらしい目で見るくらいは、お酒に免じて許し……きゃっ」

男の大きな手が肩に回り、引き寄せられればふらつく身体。
酒気で酔った少女はバランスを崩して、男の胸元に抱き着く様な形になってしまう。
そうすれば、身体と身体が密着し、少女の柔らかな乳果が男の逞しい胸板に押し付けられ、
むにゅぅぅぅぅ――と、その形を潰しながら柔らかさを男に伝える事となる。

「び、びっくり、しました……ひっく。ぁ……ご、ごめんなさい。
 酔っ払っちゃったみたいで、ついフラフラとしてしまいました……ひっく」

潤んだ瞳で男を見上げる。眉尻は下がり、申し訳ないという様相で。
男の物怖じしない態度と酔いからか、嫌がる様なそぶりは微塵も無い。
むしろ男に迷惑をかけているだろうと謝る辺り、好意的な様子にすら見える。

イグナス > 「あ?……あほ。金なんざせびるか。
 ……なんだ金なしかお前。討議場界隈じゃ、知りわたってンじゃねえのか。」

話が本当なら金に困らないだろーにとちょっと呆れ気味
けれども酒をここまでおいしそうに飲む様は、その話が本当でもあるように。
ちょっとずつ酒で、あとは風呂で、だろうか。その心地よさに判断があいまいにもなっているような、女。
呆れたように面白がるように、くっく、と笑い。

「いい女、良い女――なんだお前、ちょろいやつだなー。
 ほら、こっち、こいこい。
 んー…いい、身体だ。」

引き寄せて抱きしめる。やわらかい乳房の感触が実に良い。
うん、うんと満足げにうなずくが、もちろん、これで終わるわけがない。

「いーのいーの。ちぃと酔っちまったモンな、介抱してやンねえとだ。
 ほら、こっち向けー。」

こっちを向かせて、唇を奪う。はむ、――じゅぷ、と音。
唇を甘く、それでいて強めに奪い、吸い上げる。
どろどろの、甘い音。女が少々拒否したところでお構いなしという風。
頭ン中まで蕩けさせる様に、貪り

――そのまま、襲い始める。もうここまで来たら、止まらない。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からヨミさんが去りました。