2020/08/14 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にフルーアさんが現れました。
フルーア > (とても、とても静かな夜。
微かに湯船の揺れる音。木陰から届く虫の声。
その程度だけで満たされる時間帯を、入浴の為に選んだのは。シンプルに、温泉それ自体を愉しみたかったから。

掌に掬い上げては。また落とす。
透き通った湯は、しかし勿論、温泉としての効能が有るらしく。
少し温めの湯船の中で、じっくりと長時間浸かり続けていれば。芯まで温もりを覚えてくる。

やはり。来て良かった。
現在寄生している相手の一人、年嵩の貴族が此処に来るというので。無理矢理くっついてきたのだが。
その貴族は、当然一晩精力が保つ筈もなく、早々に寝入ってしまった。
だからきっと。朝までたっぷり自由時間。
この先の予定は、さて、どうするべきか。考える時間もまたたっぷりと)

フルーア > 「そもそも物足りない…もう少し頑張ってよ」

(今は亡き。もとい死んではいないが、腰を云わせた老人を思い出すと。思わず溜息。
頑張って一晩中、お互い良い思いが出来ていたなら。
独り遊びを考える必要など無かったのだと。

取り敢えず。物足りなさは本当だ。
相手としては頑張った、二度も三度も精を注いだ、つもりでも。
あんな物、軽い湯浴みであっさり洗い流せてしまう、その程度の量。
いつまでも若いつもりで居るのなら。其処も頑張って欲しかったのにと。
思い出しては目を細める。億劫げに溜息を吐く。

やっぱり。夜遊びの内容は限定されそうだ。
半端な熱をどうにかしないと、落ち着いて眠れそうにない)

フルーア > (そう、決めたなら。湯船から立ち上がる事にした。
本当ならば湯を愉しむ事を、最優先としておきたかったものの。思い立ったが何とやら。
その上、似たような目的の者達が。する側もされる側も、大勢集っていそうなのが、この宿。
うかうかしていると、美味しい獲物はたちまち、他者に掻っ攫われてしまう早い者勝ち。

立ち上がり、歩き出し。湯船から出たその際。 にまり。)

「…心配しなくても。君達にも御馳走してあげるから。ね?」

(それは、足元の影へ。正確には、その奥に息づき蠢く者達へ。向けた言葉。
ソレ等が餌を欲しているなら。どうやら今夜の残りは。される側から、する側へ。回る事になりそうな。
ぺたぺたと小さな裸足の足音は、やがて宿の屋内へ消えていく。

その先、程無く。響いた悲鳴は、喘ぎは、一体誰の物だったのか)

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からフルーアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「~♪」

夜。
ピーヒョロロと下手っぴな口笛を吹きながら、館内の廊下を一人のんびりと歩く浴衣姿の金髪の男が一人。
着込んだ浴衣は客室に備え付けのものであるが、男の着こなしは何故か妙に様になっていた。

それはそれとして、男は現在旅籠内を探検という名の散歩中である。
この旅籠は知らないうちに道が変わっていたり施設や仕掛けが増えていたりするので
男にとっては適当に歩き回るだけでもなかなかいい暇潰しになるものだった。
知り合いの従業員に聞いたところによると、その妙な特性のおかげで主に女性が迷ってしまう確率が高いらしいが……。

それはさておき、やがてT字路に差し掛かると、男は一旦足を止めて。

「──さて……どっちに行くべきですかねぇ」

右か左か。
廊下の中央で仁王立ちしながら、男は顎に手を当てうぬぅ、と唸りながら思案し始め。

「んんーむ……よし右だな、右へ行くべきと俺の中の何かが囁いている──おおっと!?」

しばらく悩んだ後、男はおもむろに右側の通路へと踏み出し──その途端に、
ちょうど通りかかった誰かと出くわし、思わず上肢をのけぞらせた。