2019/08/18 のログ
■エレイ > ──が、いいタイミングで現れてくれるような誰かとの縁に、今回は恵まれなかったらしい。
しばらく経っても人っ子一人来ない状況にやがてやれやれ、と肩をすくめ、湯から上がると場を後に。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にグレンダさんが現れました。
■グレンダ > ジリジリと太陽が地面を焦がし空気を熱するこの季節、その日差しは火や熱に耐性がある竜種の末裔にも辛く降り注ぐ。
ましてや、普段籠もっている鉄火場は外部からの熱を受けこの季節、さながら大型の蒸し焼きの釜の如き状況になる。
これでは流石に仕事にならないと踏んだ女職人、予定していた仕事を終えると早々に店を閉じ、九頭竜の露天湯へと癒やしを求めて駆け込んでいた。
■グレンダ > 「はぁ……生き返るというか生きているのを実感するというか…たまらんさね、これは」
己以外誰もいない露天風呂にて、悠々と足を伸ばし身体からじっとりと粘りつくような汗が流れ出るのを感じながら時折湯船の縁に置かれた桶の中から瓶を取り出しそれを傾ける。
この空間を独占し、時間を気にせず振る舞うという一人での贅沢を堪能し、女は溜息を吐き出した。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にアルファさんが現れました。
■アルファ > 地に残る熱の残滓が夜になっても肌を苛む。夜を生きる眷属の地をひいたとて、半分は人の身の男にも堪える季節の夜。
ふと、懐かしさを覚えて水浴び場に訪れた。遅い時間帯で人気が無い温泉に、置かれた桶で頭から掛け湯をすれば髪先まで宿る水滴を首を振って払い。
「さて……」
入ろうかなと思った矢先、風が吹いて晴れる湯気から先客の姿が見えて、目を瞬いた。
出直そうか、そう考えながらも、何やら飲みながら心地よさそうな姿には惹かれるものがある。
そっと、タオルを巻いた腰を湯の端に落とし、長い脚だけ湯に浸からせながら声をかけた。
「気持ちよさそうだな。ご一緒してもいいかい?」
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にグレンダさんが現れました。
■グレンダ > 湯船の上を爽やかに吹く風に身を任せボンヤリとしていたさなか、チャポンという音が耳に入り音の方へ視線を向ける。
見えたのは一対の脚、そのまま視線を上の方に上げればスラリとした色白の男の姿が目に映った。
「いいさね、別にここを貸し切っている訳じゃないしね」
女湯に入ったつもりではあったが男が入ってきた事に戸惑いはなく、浴槽に放り出した体を戻し、そそくさとバスタオルを巻く。時間によって男湯女湯は愚か浴槽の種類まで変化することがあるこの宿においてこういったことは珍しいことではなかった。
■アルファ > 自分を見てバスタオルを巻き始めるのに視線は相手から湯気で霞む朧月を見上げ。
「もしかして、ここはもう混浴じゃなくなったのかな?」
さても半妖でも人の地のルールには従う。どこか気まずさに眉をさげながらも先程の楽しげに湯に浸かる女の姿が焼き付き。
自分もそのひと時を味わおうと迎合の意味を込めて笑顔を浮かべ、静かに波紋を広げながら浸していく体。
「熱いな」
そう呟く肌はほんのり薄紅に帯びていく。そして前へと伸ばした長い爪先が空を斬り、そこから生まれた空間の歪めに手を伸ばして
取り出したのは、冷え冷えと水滴を浮かべるワインボトルと透明なグラス。
右手にもったグラスになみなみとワインを注いでから静かに唇へ傾ける。
■グレンダ > こちらがタオルを巻く仕草にどこか気まずそうな様子を見て、女は小さく手にしていた小瓶を横に振った。
「なぁに、私が入ってきた時は女湯だっただけさね、気にすることは無いさ」
言葉と共に湯船の脇に置いた桶の中に視線を向ければ女がこの露天にいた時間を示す大量の空瓶が転がっていた。
「へえ、ずいぶんと上品に酒を飲むもんだねぇ、くくっ、同じ湯に浸かってるのに私とは大違いじゃないか」
気品ある白い肌が熱気にて上気し色合いを帯びる姿といい、いかにも良さそうなワインをグラスへ丁寧に注いで飲む所作といいその姿は粗野な自らとは対極に位置するようで。そのおかしさで女は喉で笑いながら自らが手にしていたは酒の残りを瓶をひっくり返すかのように飲み干した。
■アルファ > 東方の酒とは違い、冷やして飲むワインは湯に浸かりながら飲むのには些か味わいが悪い。
隣の女性は美味そうに飲んでいたのに何が違うのか――そんな風に眉を顰めてグラスを見ていたが。
「ぇ?」
笑い声が聞こえてくるのに不可思議と顔をそちらに向ける。そうして気づく桶の中身。
ボトルは同じでも酒の種類が違うことに気づいて、まだ残る闇色の空間の歪めに空のグラスを投げ入れる。
酒を味わいたい気持ちより、その飲みっぷりを眺めると、手で小さな拍手を送り。
「良い飲みっぷりだ。ワインよりも、そうやってボトルをそのまま飲むほうが見ていて気持ちいい。
俺はアルファ。燃える髪の人、アナタの名前は?」
そう尋ねた後は、見せつけるように自分もワイングラスをラッパ飲み。喉仏が見えるほど傾けて
「ふぅ~、キツいな。ハハッ」
幸せそうにも湯と酒の相乗効果の熱にやられたようにも、紅いまぶたで笑いかけた。
■グレンダ > 突然この色白の男がグラスの中身を一気に飲み干すのは流石に女にとっても驚きだった。男がしたグラスと共に笑みにこちらも満面の笑みを返し拍手を添える。
「いいねぇその飲みっぷり、てっきりお忍びの貴族様かと思ってたけれど見かけによらずかなりイケる口じゃないか」
思わぬ楽しみに満足しながら湯船から身を乗り出すよくにして手にしていた空瓶を桶へ入れ、今度は先程とは違う瓶を手に取って戻ってくる。
「私はグレンダ、グレンダ・ヘヴィサイドさ。今はこの街で武具やら防具やらを作って売ってる。水、飲むかい?おたくのワイン程は冷えてないけど」
そう言って先程手にした酔い覚まし用の水か入ったボトルを差し出してみせ
■アルファ > 金色が眩い目がひらいて驚きを物語るのに、切れ長の薄紅は嬉しそうに細まる。
「そりゃアナタが気持ちよさそうに風呂に入ってるのを見て。俺もそれを味わいたくて同じ湯に入ったのだ。
真似をさせてもらっただけさ……が、ワインの一気のみは初めてだ」
慣れた味わいの、慣れない量に赤い舌先を飛び出させて喉を擦っていたのだが。
ふと、差し出される透明な瓶に気が付き、その冷え冷えとした表面を掌で掴んで、だらしなく開いた唇を微笑みに塗り直した。
「ありがとう。グレンダか。その立派な体も鍛冶の賜物とみた。
縁があれば取引させてもらおう」
少しずつ、少しずつ、水を嚥下して。心地よさそうに零す吐息も、やはり熱い。
元より闇と冷気を愛する血が半分はいっているから、少しばかり赤い瞼を重たそうに下げ。
それでも笑う顔はまだこのひと時を望む。
「グレンダ。よければあちらの方にいって飲み比べといかないか?」
指し示すのは広い湯の中で湯気が少ない場所。広大な露天だから、場所によって温度が違うそこを指し示して少し首を傾げる。
■グレンダ > 「そりゃ光栄だね、店に来たらサービスさせて貰うよ」
こくりこくりと喉を動かす男を楽しそうに見つめながら、右腕は再び桶に突っ込まれ新たな瓶の行方を探していた。
「飲み比べかい?嫌いじゃないけどお互いこの様じゃ勝負なんて出来るかねぇ?それより…」
言葉と同時に女は男は入って来る前のように伸ばした脚を湯船に放りだし、浮かばせてみせ。
「何かの縁か知らないけどせっかくこんな場所で同じ目的の人間が出会ったんだ。もうちょっとだらりとしていこうじゃない」
お酒は後からでも飲めるだろう?そうつけ加えると女は自らも水の入った瓶を傾け、二口、三口と喉を鳴らした後ほぅ、と息を吐いた。
■アルファ > 「ありがたい。銀製の武具以外を沢山用意しておいてくれ」
移動を促した半妖も、その気がない相手を見れば、酒よりも水。飲み比べよりも穏やかな時間を楽しもうと。
時々、片目でみやる相手の見真似で、片方の膝頭だけ湯の中から覗かせ、リラックスできる体勢で水が入った小さなボトルで体を冷やす
「そうか。これが温泉か。出会った者同士、だらりとして過ごすのだな。」
冷水で体をひやし、傍らに親しいやすい女性と会話を交わし、そして空を仰いでゆっくりと流れる時間を楽しむ。
「楽しいものだな」
そう呟く顔はまだ赤みが残るが熱でほぐれたように柔らかい表情になる。