2018/09/09 のログ
レイン・レジネス > 「えー。体験者なら分かってくれると思ったのに……」

一家に一台の夢を否定されれば、不平の声があがる。
子供染みた反応を示しながら、然し始まる行為は決して幼げで免責されないもの。
少女の体を引き寄せ、額と額の重なりそうな程も顔を近づけ――

「でも、そっかぁ、気持ちいいかぁ……」

あまりに正直な答えが返った事に、思わずその距離で頬を緩める。
前髪のカーテンと珍奇な言動さえ無ければ、そこに見える顔は案外に整ったものである。
だが一方で、触手は一本で留まらなかった。
湯浴み着の隙間からまた一本、また一本と、太さが様々な触手が合わせて十数本。
それらは湯船へと侵入して、少女の足先に触れるや、そこからすねや脹脛を這うように、脚の付け根を目指して這い上がり始める。
そして、女自身の手は――

「ここのお仕事はね……入ってる人が気持ちよくなるほど、効率が良いんだって。
 つまり言い方を変えれば、君の仕事は、たくさん気持ちよくなることなんだから……」

少女の喉元へ伸びて、指と爪の先で、その柔らかい皮膚を擽った。
猫を鳴かせる飼い主のように指先を何度も往復させながら、湯船の中では触手達が少女の脚に纏わり付く。
体の中心へと触れるものはまだ無いが、それでも、媚薬の湯に浸かる少女の体には――。

ユリハ > 「べ、別に必要ないので……あっ」

触手で引き寄せられ、近付く顔。
吐息のかかりそうな距離で見たその顔は、触手の生えた女と言う印象から思ったよりも愛らしかった。
警戒心も少しばかりはおさまった……のだが、すぐに更に這い寄る触手に気を取られてしまう。

「あ、えっ……な、なんなんですか、あなた……ひぁっ!」

敏感になった足を触手に舐め取られ、甘い悲鳴を上げる。
侵入を拒むように脚を閉じるが、官能を与えながら割り入るとするならさほど難しいことでは無いだろう。

「はうっ、ぁ……そ、そうなんですか……?きゃんっ!」

そうかも、と心の中で呟く。
喉を撫でられ、優しく引っ掻かれる感覚に身震いする。
触手のおぞましい官能と、喉への愛でるような愛撫。
媚薬漬けの体が二つの快楽に苛まれる。
どこか敏感な所に触れたのか、大きな声を上げてびくんと体を跳ねさせる。
いまや触手女のなすがままであった。

レイン・レジネス > 「そうそう、お仕事お仕事。だから何も気にしなくていいの」

湯気さえも心を高ぶらせる空間と、耳へ囁かれる肯定の言葉。
これは仕事であり、少女の反応は寧ろ正しいものであると説く声。
両脚に纏わり付いた触手は、膝裏や腿といった敏感な部位を、湯を絡めたぬめるような体で這う。
伸縮自在の柔軟な触手達に掛かれば、閉じられた脚をすり抜けてその奥へ向かうのも容易い。

「気にするなら、むしろ……もっと沢山、湯に触れないとってくらいかな……?」

湯の中で少女が身を跳ねさせた時、触手達は、少女の尻肉や秘唇へ、先端を引っかけるよう触れた。
そして――広げる。手でならば左右にしか開けないが、四方から丸くこじ開けるように、前後二つの肉孔を広げようというのだ。
もしそうなれば、体内の敏感な粘膜を、媚薬湯が直接洗う事になるのだ。
その快楽は、果たして如何ばかりか――

「だから、君も……ほしがっていいんだよ。どうして欲しい、どうなりたいって、それくらいはさ。
 もちろん、自分の意志も確認されず好き勝手嬲られたいって、そういう子も大好きだけど」

近くに有った顔が、下へと逃げて行く――指の代わりに少女の喉へ触れる、濡れた熱いもの。
女の唇が少女の喉を食み、舌がその肌を這っていた。

ユリハ > 「おしごと、だから……んんっ、ひぁぁっ!」

肯定の言葉に、体だけでなく心が快楽を受け入れ始める。
相手が誰か、何故ここへ来て、何故触手が生えているのか。
そんな事は気にせず、ただただ気持ちよくなりたい。
媚薬に焼かれた神経が、女に身を任せればそれが叶うと訴える。
全体的に感度のいい少女の体の中でも、特に内ももや足の指の間からはいい反応を引き出せる事だろう。
勿論足の付け根に行けばそこも。

「お湯に……あぁっ、熱いっ!熱いの、入ってくるぅ……!」

体内へ熱い媚薬が流れ込む。
触手と湯によって分泌された汗や愛液が媚薬に変換され、粘膜を焼き尽くす様だった。
快楽が快楽を呼び、触手の中で激しく身悶えた。

「はぁっ、はぁっ……ひゃぁぁっ!」

喉を舐めとられ、ぞくぞくと背筋を振るわせた。
上を向いて喘ぐ様子はもっと舐めて欲しいと言っているようだ。

「あぁっ、やぁ……私はっ、私はっ……ぐちゃぐちゃに、して欲しいです……」

はぁはぁと息を荒げながら要望を述べる。
媚薬付けの頭ではこのくらいの曖昧な事しか言えないらしい。
涎を垂らした半開きの口から舌を伸ばし、女に差し出すような仕草さえして見せた。

レイン・レジネス > 自分自身が溢れさせた体液が媚薬となり、そのまま体を灼く。
快楽に灼かれた体は蜜を流し、それが少女の身を苛む。
一度回り始めればもう止まらない快楽の車輪――少女はそれに縛り付けられたかのようだ。
後はただ、誰かがその身を湯船から引き上げるまで、体は昂ぶり続けるのだろう。

「ぐちゃぐちゃに――いいよ。だって、それが私達のお仕事だもの。
 君は気持ちよくなる、私は気持ちよくする。何もおかしいことはないんだ――」

突き出された舌。どう応えるか。女はそれを、無造作に左手で掴んだ。
そして右手で湯を掬いあげると、少女の舌に、口内に、その湯を注いで行くのだ。
まずは一杯。飲み干すか零すか、いずれにせよそれが終わる前にまた一杯と。
湯に触れていなかった首から上ばかりか、体内まで全て蕩かしてしまおうと、女は少女の口に湯を注ぐ。

そして――丸く広げられた二つの孔に、押し当てられる二つの質量。
いずれも雄の根などと比べものにならぬ程長く、太く、歪な形状をした触手であった。
先端は男性器を模したかのように丸まって、何か液体を吐き出す為の口もある。
だが胴体部分には、肉瘤やくびれが不規則に混じり、往復いずれの道でも肉壁を酷くこそげるだろうことが窺えた。
生娘どころか、コトに慣れた商売女だろうが容易には飲み込めぬだろう大質量が、少女の二孔へその身を躍り込ませようと蠢く。
魔獣の根が如き肉塊は、少女の胎を完全に埋めるまで、侵入を諦めようとはするまい――。

ユリハ > 「はひっ、ひゃ、ぅん……ぐちゃぐやに、してくらさい……」

どこまでも転がり続ける車輪に囚われた体は、舌を掴まれる事でさえ快楽を得てしまう。
口に注がれる媚薬湯も必死に飲み干した。
舌が、口内が、食道が、内臓までもが度数の高い酒を一気に飲み干したようにかぁっと熱くなる。
唾液や胃液、その他の体液すら媚薬に変わっていき、細胞一つ一つを発情させた。
口から零れる湯が頬や顎をなでる、その感覚にすらきゅんきゅんと胎が疼いた。

「んぐつ、んっ……はぁ……んんっ!?んんんんー!!」

女にされるがままに湯を飲んでいる最中、下半身に異常な脈動を感じた。
押し当てられた感覚から大体どの様なモノなのかは想像できたが、彼女はこれを自分の中に挿れようと言うのだろうか。
今まで飲み込んできた何物よりも太く、大きく、奇妙な形をした物。
全身を媚薬に焼かれた状態でこんな物を宛がわれたらどうなってしまうのだろう。
きっと、気持ちよくて壊れてしまうんだろうな。
商売女ほどではないが、挿入に慣れた二つの孔が触手を迎える。
すんなりと入るはずもない。
媚薬と愛液や腸液を潤滑油に、無理矢理ねじ込まれる触手。
その衝撃に、口から湯を逆流させるほど声をあげた。
歪な肉塊が粘膜を削るたび、足が痙攣したように湯の中をばたついた。

レイン・レジネス > 「おっと……上がっちゃ駄目だよ。お仕事中だもの」

足を震えさせ身悶える少女の肩を、両手で上から押さえつける。
そうして、解放された舌が言葉を紡ぐか、それとも悲鳴を上げるかを楽しみにしながら、触手を動かし始めた。
下手をすれば人の腕にも近いか――或いは少女自身の腕より太いかも知れない。
そんな巨大な代物が二つ、呼吸を揃え、少女の腹を内側から膨らませている。
溢れ出る体液や、触手自体が染み出させる粘液や、媚薬湯。
様々な液体が潤滑油となり、少女の体に異形の肉を覚え込ませようとしていた。
子宮口を突き上げ、結腸口を突き上げ、膣壁を瘤で擦り立て、肛肉を傘で捲り上げる。
少女の体は二つの触手に埋められ、体が跳ねる程に突き上げられ――

「ぐちゃぐちゃに、してあげる。お腹の中も頭の中も、気持ちいいこと無しで居られないくらいに」

また別の触手が飛沫を上げて踊り――それは少女の手脚に絡みついた。
少女の体は湯船の中、両脚を限界まで左右に広げ、両手首は腰の後ろで束ねられる。
これでもう、自分で立ち上がって逃げることも、手を外へ伸ばして這い上がることもできない。
もしかすればこの光景を見ているものや、録画しているものがいるかも知れない。
だとしても、もう自分の体を手で隠すこともできない。

「沢山見せて欲しいし……見せてあげよう。
 君が壊れちゃくくらい、気持ちよくなってるところをさ……!」

触手の動きが早まる。吐精の直前、獣が腰を激しく雌へ打ち付けるように。
体内の触手が僅かに震えたと思った次の瞬間――湯よりは幾分かぬるい程度の液体が、二つの孔の中へと注ぎ込まれるだろう。
採取した魔獣の精液を、生かしたままに貯蔵した、樽の中身をぶちまけるが如き大量射精。
それは、孕むことの出来る子宮ならば、ただの一度で命を宿す程の射精量だった。
……とは言え、異形の子を望まぬならば。その精が湯に溢れるに任せれば、それで全てが済む。
淫液も雄の精も全て媚薬へ変える湯の中ならば、孕まぬように交わるなど容易いことなのだから。
だから何も考えず、ただ精を受け続けるのも良いかも知れない。
元より二つの肉幹で膨らんだ腹を、更に膨張させるように――。

ユリハ > 「はひっ!?ぎっ、ぁっ……あっ、ぎゃぁっ!」

媚薬に押し込まれ、許容量を遥かに超える太さの触手で激しく嬲られる。
自分の体よりも巨大な物に侵入されているような感覚。
もはや拷問のような責めすら狂うほどの快楽として受け取れているのは少女の素養のせいか、媚薬のせいか。
または既に快楽に狂わされているのかも知れない。
触手が奥を叩くたび、引く抜かれるたび、時には少しうねるだけで何度も絶頂を迎える程の快楽地獄の中。
僅かずつ、強引に肉の孔が作り変えられていく様だった。
異形を飲み込み、それでよがり狂い、そして異形に快楽で奉仕できる様な、そんな孔に。

「はぁっ、ぎっ、やぁっ!ごめんなざい!ごめんなざいぃっ!」

後ろ手に拘束されると、更に快楽が跳ね上がった。
まだどんな格好で犯されているかくらいの判断はつくらしい。
獣のような声で快楽を訴えながら、何かに謝罪している。
気が触れたのかと思うほどに蕩けきった顔からはやめてくれと言う意思は見えない。
恐らく本人にも何故謝っているのかは分かっていないのだろう。
もっともっとぐちゃぐちゃにされたい。
見られたい。
録画されているなら出回ってしまえばいい。
その後の事を想像してまた絶頂を迎える。
そんな浅ましい自分の事を詫びているのかもしれなかった。

「んぐっ……ひにゃ、やあああああ!」

触手の動きに雄の絶頂を感じ取り、呻き声を漏らす。
期待の声。
今まで受けたことのないような、そんな射精をその身に受ける事を喜ぶ、そんな状態にまで成り果てていた。
それが何の精液なのかは知らないし、考える余裕も無い。
舌を突き出すほどに口を開けて声を上げながらその時を待ち。
ついに決壊した瞬間、ほぼ同時に甘い声を上げた。
膣内を洗うほどの精液は、湯に溶けて媚薬となって内臓までをも焼く。
だがその全てが溶けてしまうはずもない。
受精し、着床するものもあるだろう。
それが何の子種で、人間の胎内に入る事で何になるのか。
それは分からない。
今はただ、ぬるい射精をその身に一身に受け、張り裂けるほどに腹を膨らませながらその余韻に浸る。
はぁはぁと大きく、しかし浅く呼吸を繰り返すその顔は、満足気でありながらも、誰が見ても正常ではない。
そんな蕩けきった表情を浮かべていた。

レイン・レジネス > 「んー……いい声……君、素敵な声してるね……」

悲鳴や謝罪の叫びや、そんな痛ましい音を、女は天上の楽の如くに聴いていた。
この女は倒錯している。同性を快楽と苦痛に貶め、身体を作り替えて行くことに悦びを感じるのだから。
初め、声を殺して快楽に耐えていた少女が、今は魔獣の性器さえ受け入れられるだろう孔へと調教されている。
そういうことに震える程、濡れる程の悦びを覚えるのがこの女だった。

ちゃぷ……と、手が湯船の中に沈んだ。
頑なに自らは湯に触れようとしなかった女だが、その両手は、少女の膨れ上がった腹へと触れる。
臨月を思わせる丸い膨らみへ、両手で柔く触れた女は――

「はい、一回目」

その腹を、強く押した。
両脚を左右に広げられ、逃げることもままならぬままの、少女の腹をだ。
二つの孔は、体内に注ぎ込まれた魔獣の精液――湯の作用で媚薬と化したそれを吐き出すこととなるだろう。
あたかも少女自身が、二つの孔から湯の中へ射精しているような錯覚を覚える程の勢いでだ。
それは少女へ、また更なる絶頂を強制することともなるだろうが、

『失礼します』

――そこへ割り込む、第三者の事務的な声。
この宿の職員の一人が、盆に水差しを乗せて運んで来たのだ。

「ああ、ありがとう、助かる。……ほら、君。疲れただろう、水を飲みなさい。
 こんな美味しいお水、中々どこに行っても見つからないんだから――」

女は水差しを受け取り、少女の口へとそれを注ぐだろう。
様々な体液を流した少女に水分を与え、身体を少しでも醒まして……無論それも、親切心などではない。

「――じゃあ、続けようか。まだまだ砂は……たっぷり有るね」

今にも砂が尽きかけていた砂時計に手を伸ばし、くるりと回してそこへ置く――と同時、再び動き出す二つの触手。
喘ぎ鳴く少女の舌に触れ、喉や耳に口付け、女は夜を尽くして少女を嬲り続けるだろう。
……ただ一つ。口付けだけはしなかったのは、本当に仕事と割り切っていたが故か。
或いは、〝こんな形では惜しい〟と、この先を夢見て欲を張っただけやも知れない。

ユリハ > 少女は女の言う”素敵な声”を力の限りを尽くして奏で続ける。
体が作り変えられていくのももはや悦びでしかなかった。
それで触手の主の彼女が喜んでいるのなら、それもまた嬉しいと思うくらいに溺れている。
それでも弾けるほどに射精を受けた腹を触られるのには少し抵抗があったらしい。
本当に弾けとんでしまいそうなほどにの圧力を感じていたからだ。

「ひっ!……んあああああ!」

腹を押されて吹き出る精液。
自分の物ではないにもかかわらず、その勢いに何度も仰け反りながら絶頂した。
粘膜を擦る媚薬精液。
肛門からは排泄の快楽も加わり、先ほどの暴力のような太さと激しさと射精を備えた触手による絶頂とはまた違う、解放を伴う絶頂であった。
もちろん、強制的に加えられる拷問のような快楽ではあったが。

「はっ、はひっ……んんっ……」

素直に水を飲む。
心も体も一度に壊されるような責めを受け、消耗しきっていた少女には確かに極上の甘露にも思える水であった。
職員に無様に拘束されてだらしなく涎と精液を垂れ流す姿を見られ、体の熱は水では冷ましきれないほど高まってはいたのだが。

「あっ……やぁ……」

反転する砂時計を見ながら、再び快楽拷問が始まる事を悟る。
上がるのは消え入るような絶望の声。
退路を絶たれ、再び絶頂地獄へと望むしかない少女の顔は、諦めたようでいて心なしか微笑んでいた。
触手責めへの期待か、それとももう壊れてしまったのか。
どちらにしても、触手のみならず女の指使いや舌の感触に、少女はいい声を上げ続ける。
声が枯れ、髪を振り乱しながらも奏で続けるだろう。
女が望むだけ、命のある限り。
指で舌に触れられるたび、その唇でも嬲って欲しいと思ったが、多彩な責めの中でそれだけは叶わなかった。
快楽にただ白く塗りつぶされる意識の中、その事もまた白く塗り込められてしまったが。
舌を意識するたびに何か引っかかるものを覚える様になるかも知れない。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からレイン・レジネスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からユリハさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 件の事件で、目に見える実害は無いものの、少しばかり動き難さを感じる昨今。
人目を気にするというのは性に合わないが、無理を押して悪目立ちするのも損と判断できる程度の分別はある。
ならば、何かしらの大きな仕事をと目論むよりも、日々の細々とした取引を堅実に行うが吉。
そう判断したら判断したで、妖仙自身が彼是駆けずり回らずとも、商いは回ってしまうもの。

「ん…くはぁ…っ…
 骨休めというには手頃じゃが、ゆるりとし過ぎて動かなければならぬ時に動けるか心配になってしまうのぅ。」

それ故の休養。
本来ならば娼館巡り等と洒落込みたいが、暫しは”健全”路線にした方が周囲の目も注意を払わなくなるだろうとの打算もある。
まだ、紅葉を眺めながらの入浴には至らぬが、虫の音がそこはかとなく秋が迫っていることを告げている混浴露天風呂。
その湯船の中で、小さな手足を思いっきり伸ばし、プカプカと浮いている。

ホウセン > 単純に水を沸かしただけでは生じぬ湯のとろみは、ここが地下から汲み上げた温泉であることを示している。
湯治等という民間療法もあるのだし、それなりに薬効は見込めるのだろう。
心持ち、血の巡りが良くなっているという自覚もあるし、傍から見ても色白な肌が赤みを帯びている事で知れること。
時間帯が遅いせいか、それともだだっ広いせいで人口密度が低いせいか、たまたまの偶然か。
湯気で視界の悪いこの露天風呂では、他人の気配をあまり感じることがない。

「貸切というのも王侯が如き贅の愉しみ方じゃが、味気ないといえば否定できぬ所じゃ。
 尤も、堪能せねば損故、気侭に過ごさせてもらうつもりじゃがのぅ。」

本当の子供のように、バシャバシャと水飛沫を上げて泳ぎ回るようなことはしないけれど、大の字になって漂っているのも、他の入浴客がいれば控えなければならぬマナー違反ではある。
ゆるりと、黒い瞳を閉じて、水中の耳に伝わる湯の音に意識を傾ける。
湯船の端から新たな湯が注がれる音と、湯船の縁から洗い場に零れる音。
静かだが賑やかという背反を愛でるのは、一応の風流の又従兄弟を名乗れるかも知れぬ行為だろうか。

ホウセン > 湯を漂ってどれぐらい経過した頃か、ザバリと音を立てて身を起す。

「ぬぅ。流石にこのままでは逆上せてしまおうぞ。」

滑らかな柔肌の上を、湯なのか汗なのか分からぬ透明な雫が流れ落ちる。
小柄な身体を大股で進ませ、程なくして湯から上がり、幼げな人外の姿は脱衣所へと消えて――

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からホウセンさんが去りました。