2023/03/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 王都マグメールの昼。余り人通りの無いその場所には立ち並ぶ商店街の商い人達が共用で借りている、在庫品の集まった倉庫群が犇めいていた。
普段ならば警備や衛兵の人間達が注意深く見張っているような場所なのだが、今は浮かれ気分の喧噪に満ちた大通りの雑踏に紛れ込んでサボタージュをキメているのだろう。此処に人気と言えるものは殆ど見掛ける事は無い。
その堅牢そうな建物に面する舗装された歩道上にだが。差し込む日向を浴びてその反射光を照り返すものがある。それは吃驚するぐらい無造作に捨て置かれている貴金属類だった。
より正確に描写するのであればそこらの宝石店で展示されていてもおかしくないような指輪に首飾り、腕輪、耳飾り、黄金を練り上げ、銀をあしらい、宝石を埋め込んだ装飾品ばかりがごろごろと転がっている。乾燥しきった冷たい風が荒む中、日光に照り返される高貴な金属光沢が点々と。
■ドラゴン・ジーン > それらを辿る者が、もしかしたらいるかも知れない。御伽噺に出て来る兄妹の落としたパン屑の痕跡を追い掛けるかのように。疎らな距離間隔でひた続いているそれが間も無くして辿り着くのは、先程にも描写した辺りの区画を埋め立てて倉庫群の中でも一際に立派な一つとなる。大人数のマグメールに在住する人々を賄う食料や日用雑貨品などの多くを集積している場所だ。
普段ならば厳重に閉じられている筈のその扉は薄っすらと開いており。光すらも及ばぬ倉庫内に満ちた暗がりの深淵への路は続いている。そしてあたかも怪物の口腔のように開け放たれたその内部にまで誰かの落としものの値打ち物は転がっているのだ。
■ドラゴン・ジーン > 倉庫内に尚も足を踏み入れるというのならば、その目に見えているものは次第に様変わりをして来る。陳列収納棚に多くの荷が押し込められている窮屈な倉庫内に続く黄金の道標。それは少しずつ金の輝きを損ねて石炭色の滴る何かの粘液に変質して行き。
そして驚くべきことにそれは見る間において渦を描きながら少しずつ形を変えて、豪華にして絢爛な装飾品にへと変身を遂げる、今まで落ちていたものと同様に。
「………」
そしてその終着点には数多くの物品の影の色に埋もれるようにして、ぬばたまの彩を湛えた一匹の怪物が潜んでいる。という所に対面する事になる。
何者かに刺し貫かれたか切り裂かれたのか下半身の一部が傷に開き、その粘膜皮の開口部からはだらだらに滴り流れ落ちる体液が床面にへと伝い。その剥離した体細胞の一部は瞬く間に装飾品の形状にへと擬態する。
つまるところは単純にして明解ながらに、目に見える宝物は、此処に欲の皮を突っ張らせた誰かをおびき寄せる為の罠という訳だ。薄暗い、人気など皆無に等しい冷たい空間に、怪物の触角の燐光が青白く瞬いている。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクル・コービンさんが現れました。
■クル・コービン > 【移動します】
■ドラゴン・ジーン > 『移動致します』
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクル・コービンさんが去りました。
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」にイェンさんが現れました。
■イェン > 「はい。相手は1匹ではなく4匹でした。私一人の力では討伐が難しいと判断したため、報告を優先しました」
(昼過ぎのどこかのんびりとした空気の漂う冒険者ギルド。その受付カウンターに、本日早朝討伐依頼を受けて街の外に出ていた新人が戻って来ていた。元々は斥候と思しきオークが、単独で村の近くをうろついているという情報を受けての討伐依頼。しかし、現場である森に到着したイェンがしばしの探索の後に目にしたのは、仲間との合流を果たしたらしい4体のオーク。2匹までならどうにかなっただろうが、4匹ともなると無傷での討伐はほぼ不可能。そう判断し手を出す事無く街に戻ったのだが、出来る事なら応援戦力を確保して、改めて討伐に乗り出したいと考えていた。)
『緊急の応援要請です。相手は4匹のオーク。その討伐をFランク冒険者、イェン様と共に行って下さる方を募集します。報酬は通常の討伐報酬に300ゴルドを上乗せします』
(早速ギルド内に居合わせた冒険者に声を掛ける受付嬢。300ゴルドの上乗せは何ともけち臭い物なれど、オークというモンスターは可食部が多く、睾丸もそこそこの値で取引されている。4匹の解体・運搬には苦労するだろうが、最終的な稼ぎは一人当たり400~600ゴルドとなるだろう。既に場所の特定も出来ている事を考えれば、小遣い稼ぎとしては悪くあるまい。受付嬢の傍らでゆるりと振り返ったのは、プリーツスカートとニーハイソックスの作り出す絶対領域も可憐な女学生。護身用と思しき短剣以外には武器らしい武器も携えておらず、Fランク―――鉄級冒険者の中でも特に頼りなく見える事だろう。しかし、己よりも余程に逞しい冒険者たちを値踏みする美少女顔には、気負いも媚びも存在しない。いっそ不愛想なまでの無表情は目尻を彩る朱化粧と共に、唯の駆け出しとは一線を画した雰囲気を漂わせていた。)
■イェン > (程なく一人の冒険者が名乗りを上げた。顔立ちに稚気を残した戦士はイェン同様の駆け出しではあったが、女学生の細身とは比ぶべくもない筋肉質な長躯は余程に冒険者らしく見えた。腰にぶら下げた手斧も身に着けた皮鎧もそれなりに使い込まれていて、これならば足を引っ張られる事もないだろうとイェンは彼との共闘を受け入れる。)
「よろしくお願いします。私はイェン。聞いた通りの鉄級冒険者です。詳しい戦い方などは道中説明しますが、見ての通り魔法使いと考えていただいて結構です」
(握手を交わしつつ互いに名乗りを済ませた後は、4匹の巨体を積み込める荷車をギルドで借りて街の外へ。運が悪ければ閉門に間に合わず、街壁外のバラック街で一晩過ごす事になるだろうが――――北方帝国からの留学生たる少女の冒険は果たして無事に済むのか否か。)
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド」からイェンさんが去りました。