2022/11/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > 夜の王都。
外灯には火が入り、煉瓦敷きの街路を照らしている。
夜、とは言ってもまだ宵の口だからか、飲食を提供する店の松明は明るく燃えて、炊煙と、食欲をそそる香りが漂ってくる。

帰路に就く人々や、仕事を終えて繁華街に向かう人々。
そんな人並みの中で、修道女もいつものように遣いを終えた帰り道を、散策めいた歩みで通りを歩む。

季節の移ろいを示すように、街に飾られている草木の鉢植えがまた彩を変えた。

そんなものを目端に捉えながらの歩み。
向かうのは富裕区を抜けた先の王城だったが、さほど急ぎでもない所為か休憩がてらの散策に。

夏には涼みに人が集っていた噴水回りも、やや北風が優勢になってきた今のころ合いでは、待ち合わせに佇む人がまばらにいる程度となっている。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > ふらふらと道を歩く銀髪の男。
目は開いているのか閉じているのかわからず、糸目のようになっている。

危なっかしく見えるが、人の邪魔にならないように身体を捻ったり立ち止まったりするあたり、意識はあるようだ。
そんな事を繰り返しては、修道女の目の前でもぴたりと立ち止まる。

「――?」

半ば閉じられてた目を開けると見知った姿。やぁ、と照れくさそうに手をあげて笑う。

「こんばんは、マーシュさん。今、帰りかい?」

男の目の下に隈ができているのを、初めて見るかもしれない。

マーシュ > 「…………?」

歩を進めていると、行き交う人の中でふらりと揺れるように歩いている人物が目に留まる。
最初は遠目だったからかそれが既知の人物かどうかは怪しかったのだが、似た背格好だな、と何ともなしに目線で追いかけていたのだが────。

「…………、こんばんは……?」

半ばぶつかる間際で相手の歩が止まり、己を見やる。その時には相手が誰かは修道女にもわかっていることではあったが──。

とりあえず挨拶の言葉に静かにこちらも返した。
照れくさそうな笑いよりも夜眼にもわかる隈の浮いた目許に、さすがに双眸を瞬かせ。

以前のハードワークの時よりも随分と──疲労困憊した様子に首を傾けた。

「ええ、ヴァン様も、ですか?────……と、いうより、大丈夫ですか……?」

ヴァン > 目をぱちぱちとさせる。

「故郷に戻るにあたって溜まってる仕事を片付けようとしたら、際限がなくってね……。
夜遅くに帰る日が続いたんで、今日は早めに戻ることにしたんだ」

体力勝負の教官役よりも、デスクワークの方が男には堪えるらしい。
周囲を見渡すと噴水の周囲にベンチを見つけ、指で示して移動しようとする。

「夜は夜で、できるだけ家にある本を読んでおきたくて。ここ一週間酒を一滴も飲んでないと言ったら信じるかい?」

冗談めかして笑う。寝不足なのか、普段よりややハイになっているようだ。

マーシュ > 「ああ、里帰りされるのですね。……どれだけ書類たまっていたんです……?」

連日仕事詰め、との言葉には少々同情的な視線を向けながら。
疲労した相手を絶たせたままの会話に気が引けて、促されるまま歩きだした。
示されたのは噴水の傍にある休憩用のベンチ。人の気配もさほどないし、言葉を交わすのには十分だろう。
時折相手が立ったまま寝ないか視線を向けつつも、だが。

「差し迫った事態に陥って、さらに行動増やす状況ですね、それ。………そうですね、信じてもよろしいですよ?」

冗談めかした言葉に、こちらも軽い調子で応じながら、ベンチの座面に腰を下ろして、相手が腰かけるのを待ち。

ヴァン > 「……館長が悪いんだ」

男曰く、人員不足を理由に上司が断ったり後回しにしていた仕事が沢山あり、男が里帰りを上司に切り出した所、
お前が帰ってくる補償がないから片付けていけ、と無理難題をふっかけられたとのこと。
応じるあたり、男にも溜まっている仕事を傍観していたという後ろめたい気持ちがあるのだろう。

ベンチへ座ると背もたれに身体を預ける。

「故郷に戻る間、オリアーブから仕入れた本が読めないからね。今のうちに……と。酒を飲む暇がないなんて言葉を俺が言うとは……」

空から隕石でも降ってこないかと自嘲し、空を仰ぐ。街の光で霞つつも、星々が冷たく輝いている。
出し抜けに男は呟いた。

「……マーシュさんには感謝してるんだ。
焚火の時に君が図書館に来なかったら、故郷に帰ろうとは思わなかっただろう。いいきっかけになった」

上半身を相手へと向けて、真面目な口調で話す。目が少ししょぼしょぼしているせいで様にならない。