2022/09/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区『公園』」にアルマさんが現れました。
アルマ > 「……ふあぁぁ…………。」

真昼間の公園のベンチに座り、大あくびを零す人影がある。
というのも冒険者ギルドに立ち寄りクエストを受けようと思ったがどれもパーティー推奨或いは高レベルの依頼しかなく、そんなの受けれるわけがないってわけで、クエストも受けずにこうして公園でのんびりとした時間を過ごしている。

本日の暇つぶしの友は苦い珈琲。
元々本日はクエスト予定だったので本は持ってきていない、なのでもう空に浮かんだ雲の数を数えるか、お節介をすることくらいしかやる事がないのだ。

娼館にいくにも財布は軽い。
買い物するにも物欲がない、もう何にもない。
だからひたすら空を眺めているしかなく……。

深くベンチに腰をかけたまま、「アアアアアー……。」と幽鬼が如く口から生気とヤル気を放出し、ただただ時間が過ぎていくのを待つ。

こんな時に限って師匠・店長、から急な仕事も入らない。

アルマ > 「いっつもなら絶対にこんなタイミングで配達の仕事が入るはずなんだけど、今日に限って……ゼロだよゼロ……。」

かといって実際に仕事が入れば悪態はつくが、ともかく暇よりは大分マシだと、眉間に寄せた皺を人差し指でぐりぐりと解しながら、またあくび、そしてあくび……。

のどかな時間である。
困りごとをしている人など現在この公園には存在しない、どころか公園にいるのはベンチに深く腰をかけてる自分だけ。
暑さもなく程よく暖かく時々吹く涼しい風がまた心地よく、本日幾度目かのあくびが自然と口から零れ、その自分の口を塞ぐべく、ポケットから先ほど買ったばかりの小ぶりの飴玉を取り出すと口に放り込んだ。

コロコロと舌で飴を転がせば唾液で表面がとけて、口の中にさっぱりとした甘みと薄荷の香りが広がるのである、薄荷は苦手だけども、購入した際は色々なフルーツの味がと聞いていたけども、薄荷のすーっとしたアレとちょっとした苦味が……。

アルマ > 「さぁーって夜の仕事頑張りますかっ!」

言葉の終わりに飴を噛み砕く、バキッと砕ける音を響かせ、後はバリバリガリガリと咀嚼をすると、ベンチから勢いつけて重たい腰をあげ、両腕を夕暮れの空へと伸ばして最後のあくびを零す。

目的地はお店。
足取りは比較的軽く、お店へとまっしぐらである。

夜の部の仕事を店長に確認し、あればそのまま配達になければ店番をするつもりで、今日も今日とて仕事にまい進するのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区『公園』」からアルマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマヨリカさんが現れました。
マヨリカ > 「えっ、…。

そう、ですか…わかりました。じゃあ、そのお値段で、だいじょうぶ、です。」

通りの奥まった場所にある美術商。
店の片隅にはギャラリーがあり、時折画廊としても開かれているようだが。
そんなよくある店のひとつ。持ち込めば物によっては買い取りもしている、と広場で街の人に教えてもらったので訪れてみた様子。

少し王都での生活も落ち着いてきたので、思い立って――
そして、新しい暮らしで、まだまだ金銭的にも余裕はあまり無く。
…元よりそう贅沢をする方ではないけれど。

そんな色々な思惑や事情と一緒に、胸の前に壺を抱えて。
普段は趣味としての意味合いが濃いので、あまり値段は気にした事は無かったが。

「今回は、ちょっと頑張って、いつもより気合を入れて描いてみたんですけれど…。」

カウンターの奥で此方に背を向けてほくそ笑む店員には気づかず。
小さく呟いて。ため息も小さく零れるが。
王都ですからやっぱりこのレベルの絵じゃあ難しいですよね、と納得し直して。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロロスさんが現れました。
ロロス > 人間、目も楽しませてこそ、とはどっかで聞いた話。
昔滞在していた村で聞いたのかもしれない、とか思考を部屋で巡らせていたら
無性に、芸術というものに触れてみたくなったのでふらふらと歩いては
美術商の場所を聞いて回って、奥まった場所へとたどり着いた。

ふむふむ、と外観を眺めた後に中へと足を踏み入れてみた。
片隅に見えるギャラリーに視線を向かわせ、あれが芸術かと興味深そうな表情をしたのだが
見えてくる、何かを抱えている女性の背中を見てはのそのそと近づいていこうと。

「お姉さん。それ買うんですか?」

なんて、呑気な口調で問いかけながら、抱えている壺の絵柄を見てみようと身体を彼女の前へ、移動させるか。
移動できたらそのまま、壺に描かれている絵を見てみようとするだろう。

マヨリカ > 「わわっ…」

一旦奥へと引っ込んだ店員が背を向けている間、ぼんやりと店内を眺めていた背に声がかけられて。
びくりと肩が跳ね上がるが、抱えた壺を落とす事は無かった。
勿論近づいてきた彼が気配を消している訳でもなければ扉が開いた事や足音に気付くのだろうけれど、生憎と未だに警戒感には乏しく、周囲に気を配るでもなく壁の絵を見上げていたようだが。

「わたし…ですか?
えぇと、今日はお買い物、ではなくて。
買い取って頂こうと思って…。」

声をかけてきた男性が前に回り込んで来れば見上げて。
視線の先に気づいて、彼の身長でも見やすいようにと抱えた壺を胸の前から少し持ち上げてみる。

ちなみに今日持ち込んだ壺。
青色の彩色で吹雪に舞う花を描いてみたらしい。
この季節に平原や雑木林でよく見られる自然に咲く菊のような花。
――モチーフの凡庸さだとか、画風の朴訥さだとか画力だとか。
そういったものはさておき。

効果としては『体力が無尽蔵に増える』おまけつき。
ステータスとしての数値のみならず、夜の褥での体力も底上げされる様子。

まぁ最も、それを目にした彼にとっては無用の長物だろう。

ロロス > 「あははー…驚かせてしまったみたいで。ごめんなさい」

ぼんやりと壁の絵を見ていたので、声をかけさせてもらった所驚いた様子。
それを見たら項を掻き、申し訳無さそうな表情を見せるものの
自分が問いかけた言葉の答えに、なるほど、とうなずきを見せて。

「おお、芸術家さんですか。あ、いや…それとも、誰かからもらったものです?」

少し持ち上げてくれたので、見やすくなったその壺に描かれている絵は
とても自分の好みに合っており、吹雪に舞う花は見ていてとても心地良い。
それに、とても綺麗だ。

「とても綺麗な絵ですね。描いた人の性格が現れているというか…
 描いた人はきっと、心のきれいな人なのだと思います」

顎に手を当て、ふむふむ、と半身を下げ膝に両手を置き、高さを下げ彼女の負担を減らすように動く。
ひと目で見て、描いた人のファンになったのだろう。
目を輝かせるように見開きながら、絵や、描いた人の事を思って感想を。
素人目ですが、と照れくさそうに言葉を重ねつつ顔をあげ彼女を見上げよう。

「契約がまだなら、俺が買い取ってもいいですか?」

視界には、絵の書かれた壺に効果が乗っていることももちろん、自分の目でははっきりと見え、分かる。
無用だとは思わないけれど、効果よりも、絵の方に目が行ってしまったのだ。
壺に書かれた絵を見て、初めて感じるこの心のざわめきは心地よいものであるのだ。
サインも見つけては、その名前を口に出し、ふふり、柔らかく笑んだ。

「ちなみに、これ描いた人わかります?」

マヨリカ > 「あ、いえいえ…。
わたし、よくぼんやりして、って言われるので…
気を付けます、ね。」

丁寧な謝罪に、ぱたぱた手を振って…
は、胸の前が塞がっているので難しく。
代わりに緩く首を振って、頭を下げる。

結っていない髪を肩口からさらさらと零した後、視線を持ち上げて。
幾らか高い処にある彼の顔が壺を眺めながら紡ぐ言葉に、段々と頬に朱がさし。
最初の方は持ち上げていた視線が、目元が赤くなるにつれ下がっていく。

「わわ…っ…気に入って、もらえたのでしたら、嬉しいです。」

実際に誰かが気に入って購入したり、使っている処を見たことは無かったらしい。
手放して褒められて、落ち着かない気持ちなのか、持ち上げた壺の底をぎゅ、と、顔の前で抱えてしまう。
いつの間にか、高い処から、随分と間近にあった彼の視線に見上げられて耳まで赤くし。

「ぇ…と、はい。
まだ、こちらのお店の契約書は書いていないので、だいじょうぶ…だと、思いますけれど。」

先程の店員さんには申し訳ないですけれど…と困ったように言いつつ。
先刻提示された金額を告げてみる。
金額としては、豪華な店で夕飯が食べられるかどうか、といった微妙なところ。
陶器そのものや画材の値段を差し引いても大した儲けには勿論なっていない。

「ぁ、の…。わたし、マヨリカ、っていいます。」

柔らかい笑みが視線の端に見えて、顔をそろりと出しながら。