2022/08/20 のログ
■ヴァン > 「何も知らない、どの国でもない人が二つの国をみたら、シェンヤンの方がいい国なんだろうな。
俺はなるべく偏見を持たないつもりだけど、それでも家族や住み慣れた故郷があるからね。マグメールの考え方をしてしまう」
人への変化にはこれまで見てきたものの影響を受けるものだと思っていたか、意外そうな反応をする。
人間にしては左右対称に近い整った顔をまじまじと見る。自然に整うものかと頷く。
「あぁ、そう、房中術。
陰陽ってのは光と闇か。あんまり偏ってるとよくないとか。
で、男女で……こう、ごう……」
だんだんと理解してきたか、伸びる手が男の身体に触れる前に掴み、その場で留めようとする。
天を仰ぎ、空いている手で額と目を覆う。自己嫌悪か、あーという音が濁点付きで漏れる。
己の発言を思い出し、客観的に考える。女性に対して房中術を教えてほしいと多くの人がいる前で言う。
悪戯好きの男としては意図的に言うのは好みだが、そうでないのは不本意らしい。
「……大変失礼しました、メイメイさん。
えぇと、そういう意図ではなくてですね。単純に昔の疑問を解決したいというだけで……」
素直にセクハラ発言を詫びる。掴んだ手はゆっくりと少女の方に押し戻そうとするが、力は弱い。
■メイメイ > 「そうとも限らぬぞ?画一的な規範があるのは人の子が生きていく上では生きやすい。
対してシェンヤンの考え方では己は己としてこの世界に立たねばならぬ。
規範は己の中にのみある。それは、常に己が何者かを問われ続けるという事。
マグメールより心休まることは無かろうなぁ」
世界は全て表と裏。だからこっちの方がいいとは単純に決められないと語る。
まじまじ見られれば、少し胸を張る。見られることはそれなりに承認欲求を満たすらしい。
そして、房中術の下り、手を取られれば、何を言ったかを理解した様子。
ならばその手は戻るだろう。
「気にするでないぞ、ヴァン。おぬしが聞いた通りでは何の事かはわかるまいて。
ただ……おぬしの話をそのまま考えると、邪仙にたぶらかされたでのは無いか?
房中術自体は仙術の一環じゃが、本式はとてもまじめなものじゃ。
快楽を得ることが目的ではない。
まぁ、目的でなくても得れてはしまうのじゃが……とて、それを目的にしているように聞こえたのじゃ」
もし、実はそうではなくて友人を侮辱していたら申し訳ないが、とそこは付け加えて。
■ヴァン > 「なるほど。どちらも一長一短、ということか」
少女の言うことを理解したらしい。
「あぁ、いや……その爺さんとはシェンヤンの酒場で会って一度話したきりさ。
たった数時間だが、色んな話を聞かせてくれたし、いい人……人?だったよ。
邪仙ってのはあれだろ、悪徳を積むことがメインの連中。
今思えば、ありゃ多分俺をからかってたのかもなぁ。詳しく教えなかったのは。
……あああ、ジョセンに聞けって女性の仙人ってことか!完全に今の状況を狙ってたなあの爺さん。
まぁ……いい勉強になったよ。仙人を目指す人間じゃなければ、意味はないんだろう?
それとも、メイメイさんの鍛錬のお手伝いは俺みたいな一般人でもできるのかい?」
余裕が戻ったか、ふっと笑う。続く発言は、今度は意図してのものか。
■メイメイ > 「なるほど、おぬしが事を知らぬと知って、からかわれたという事か」
男の説明で大体の事を理解すれば、そういう仙人は多いかも知れぬな、と笑う。
どうやら名の知れぬ仙人への誤解は解けたようだ。
そうしていれば、続く言葉は男からの冗句とも似たもの。
故に、口元にんまりと笑みを刷かせて
「仙人になろうとする者でなくては意味はないのぅ。
とて、わらわはそもそも人ではない。
更にいうなれば、獣に近しい存在じゃ。
故に、わらわにとって房中術は然程意味がなく、
ただ、喰らいたいを思えば喰らううだけのもの。
じゃが……おぬしがわらわと交わることを、真に望むかどうかはわらわの本性を知ってなお、そう言えるかによるかのう。
……これでもわらわも学生での。今宵はそろそろ寮に戻らなくてはならぬ。
故に、本性のみをお見せしようか?それでもなお、わらわを求めるというのなら……」
ここまで口にしてから、ふわり、風に舞うかのように宙を舞えば、ヴァンの耳元で
「次に会った時に、一度相手をしてやっても構わぬぞ?如何する?」
と囁けば、少しだけ遠い所に着地する。
いつしか人もいなくなり、この場は男と少女の二人きり。
■ヴァン > 「獣、ねぇ。これだけ話が通じる人はそうこの街にはいないよ。
……本性、ね。200歳で小娘の種族、か。興味はあるが、街中で見せて大丈夫な性質のものなのかい?」
先程までの軽薄な表情はどこへやら。真面目な顔になる。口にする言葉から感じられるのは、少女自身への配慮と、街への配慮。
人気がなくなったことはしばらくして気付く。これも少女の仙術によるものか。
これまでの会話から、人間に対して友好的な存在であることはわかっている。
「そうだな。見せてほしい。……メイメイさんが俺みたいな人間でもいける口なら」
耳元での囁きに、男が震えたのがわかるか。
■メイメイ > 己が言葉に男が返した言葉。
それを耳にすればさらに笑みが深まっていく。
可憐と妖艶を交えたような笑みを。
「よかろ。では、その目でしかと見よ。そして我が香を感じて見せよ。
そしてその姿を見てなお、わらわを求めるというのなら……」
やや芝居がかったような口調でそう朗じれば、少女の姿が膨れ上がる。
そしてその場に現れたのは、空高くに飛び上がらんとする30メートルほどもある、シェンヤンの龍。
その姿がふわり、とヴァンの周囲を一周しながら続く言葉はメイメイのそれ。
「求めるというのなら……契りあおうぞ?」
その言の葉と、桃と梅の花の香りをその場に残して、いずこかへと龍は飛び去って行った。
■ヴァン > 変化する姿にほう、と息が漏れる。
男からは恐怖や拒否といったネガティブな感情は読み取れない。
言葉には出さないものの、龍の最後の言葉にはっきりと一度、首を縦に振った。
「美しい……。
龍、か。こんな間近で見るのは初めてだ。
この香りは。何だったか……?」
桃も梅も、男には縁遠いもの。遥か昔、シェンヤンの地で知ったものか。
飛び去っていく姿が見えなくなるまで、男は広場に立ち尽くしていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からメイメイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 大通りからすこし離れた小さな公園。遊具よりも緑が多くて、のんびり過ごすのにちょうどいい場所で、木陰のベンチに腰かけて、図書館から借りてきたばかりの本を読んでいた。
すっかり集中してしまって、時間が過ぎていくのもあっという間。気がつけば周囲が薄暗く、もうそろそろ夕日も沈みそうな時間になっていて。
本から顔をあげて、空の色が変わっていた事にまず驚き、それからそわそわと周囲を見回す。
今まで読みふけっていたものが怪奇小説だったせいか、あたりが薄暗くなりはじめていると、急に不安になってしまう。真夜中でもないから、そんなに臆病にならなくてもいいのだろうけれど。
「……っ」
風がふいて藪ががさがさと音を立てるだけでも、臆病にびくんと震え上がった。
そんなわけないと思いながらも、死角や背後が気になって。そこになにかがいるような気がして仕方がない。
■ミンティ > ついじっとしてしまいがちになるけれど、ここでずっと座っていたら、本当に夜になってしまう。読みかけだった本を胸に抱えて立ち上がると、なるべくまわりを見ないようにしながら、ぱたぱた小走りに公園をあとにして…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。