2022/07/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
■ナータ > やがて宿に着いた少女は
今日は満足げにぐっすりと眠ったという
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/夕方の市場」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 少し眉を顰めた、気難しい顔の男がコーヒースタンドに一人。
にぎやかな夕方の市場は見ているだけで気分が浮かれそうになるが、男には関係ないようだった。
男の前にサーブされた手のひらに収まるデミタスカップには、金色の細かい泡が浮いている。
小さくため息をつくと、一息に飲み干す。渋い表情。
「はぁ……」
男の近くにいた客の何人かは、男がした注文を聞いていたのだろう。狂人をみるような目を向けている。視線に気付いたのか、男は周囲を睥睨すると、貨幣を取り出して机に置いた。硬質な音が響き、注文を繰り返す。(金を払ってる以上出すがね)といった表情の店主。
「エスプレッソ、ダブルで。砂糖はいい」
■ヴァン > ただ苦いだけの飲み物。
今度は男は一息には飲まず、ちびちびと口に含み始めた。少しを口に含み、舌を使い口の中で転がす。苦味、苦味、苦味……飲み干す。小さな溜息。
周囲の人々は男に関わらないようにと距離をとる。店から出ていく者、他の客と話を始める者、新聞を読み始める者……。
そう広くもない店内で、男の両隣だけがぽっかりと空いている。
十分ほどしただろうか、小さなグラスがようやっと空になる。男は考え事をまとめようとしているのか、神経質そうに机を中指で叩く。周囲の喧騒で音が広がらなかったのは、男にも周囲の客にもいいことだっただろう。
メニューを眺める。同じものと頼まないだろうと予想してほっとした顔の店主。
■ヴァン > 店主の予想に反して、同じものが頼まれる。店主はげんなりした顔を隠そうともしない。
「すまんな。砂糖をたっぷり入れて飲むものだ、ってことぐらいは知ってる。
今は、なんというか……余計なことを考えてしまってね」
苦味に意識を向けることで、その余計な事から目を逸らしたい。そこまで男は告げなかった。
夏は日が長いとはいえ、あと一時間もしないうちに暗くなるだろうか。少しづつ、人通りは少なくなっている。皆家へと帰っているのだろう。どこか遠い国の景色を見るような目でそれらを眺める。
立て続けに注文が入ったからサーブに時間がかかるという店主の言葉。遠回しに出ていけという意思表示だが、男は気にするなとばかりに手をひらひらと振る。
最後の一杯を飲み終えたらここを出よう、と男は決めた。
■ヴァン > 供されるエスプレッソ。
一息で飲み干してカップを置いたその時、天使が通り過ぎた。
硬質な音が響き渡り、店内の視線が男に寄せられる。
「やれやれ……」
背の高い椅子から降りると、邪魔をしたとばかりに手をあげる。
店を出て、行く先は酒場か自宅か――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/夕方の市場」からヴァンさんが去りました。