2022/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にウェンシアさんが現れました。
■ウェンシア > 平民地区繁華街にて。突然の夕立に見舞われた少女は、カフェの軒下で雨宿りをしていた。左手に鞄を持っている所を見ると放課後の余暇を楽しんでいたのだろう。右手にはカフェで買った苺のジュース、それをストローで啜りながら恨めしそうに空を眺めていた。
「なんで買った途端に降んのよ…あったまくるなぁもー。」
ほんのちょっとの苛立ちは口腔内に広がる苺の味で見事誤魔化され、ちょっと目を丸くした後ににんまりと微笑み、『イケるじゃん…』と零した。凍った苺と氷を砕いただけのものだが、苺の糖度が少女の頬を緩めている。
「えへへ、買って正解♪」
激しい雨音の中軒下での雨宿り。そんな憂鬱な時間が、ほんの少し素敵な時間になった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフリージアさんが現れました。
■フリージア > カフェの店内席で食事を取っていたアタシ。
この店はカフェだけどがっつり昼食も出してくれるので、アタシみたいに遅い食事を取ることがある
人間には貴重なお店だったりする。
お腹いっぱいに食べて、傘を差して帰ろうと思っていた所で学院の制服の子を発見。
後姿だからよくわかんないけど、なんとなくあまり話したことがなさそうな子。
こっちが出席日数少ないから当然なんだけどね。
アタシは傘を広げ、隣に立ってから声を掛ける。
「かーのじょ♪ 一人で雨宿り?」
見れば分かるだろうけど、こっちも制服姿だ。
だから声を掛けるのは問題ないはず。
■ウェンシア > このまま走って帰ろうか、途中で止んだら嫌だな…そんな誰でも一度は遭遇したことのあるシチュエーション。当然少女もジュースを啜りながらそんな事を考えていた。と、そこに声をかけられる。見れば自身と同じ制服姿の彼女だ。
「…え?…あ、うん…そうだけど…ども。」
突然の声掛けに困惑したのだろう、少女は小さくぺこりと会釈すると、ずぞぞぞぞ…とストローを鳴らしてジュースを啜った。間が持たない…少女は数秒の間を置いた後、
「…雨、酷いよ?も少し店の中、居た方がいいんじゃない?」
と視線を逸らしたままそう告げ、再びずぞぞぞぞぞぞ~…と音を立てた。
■フリージア > 「じゃあお店の中にはいっておこうか。
序でに何か頼む?
あ、アタシ今日はお金持ってるから大丈夫だよ。」
天の声か分からないけど、めっちゃ雨が降ってくる。
跳ね返りで足元とか凄いことになりそうだ。
だからアタシは大人しく傘を閉じた。
女の子も飲み干しちゃったのか、ほとんど空気を吸っている。
そして、向こうは人見知りするタイプなのかな?
となると、こっちがグイグイ行く方が多分いいよね。
と言うことで、カフェ席の一つへ女の子の手を引いて、半ば強引に誘導する。
「まともに喋るのは初めてだよね。
アタシはフリージア。 混合クラスの生徒だよ。」
■ウェンシア > 押しの強い彼女に少女は困惑の色を露にしていた。初めて会った相手にこうして屈託無く話す事が出来る彼女をちょっと羨ましくもあり、鬱陶しく思っている所もあり。
「え、でも悪いよ…初めて会って奢って貰うなんて…え?え?ちょ…っ…」
彼女は自分の言葉を聞いていないかのように手を引き、店の中へ誘おうとしてくる。強引なその行動にも、先頬と同じように羨ましいくもあり、鬱陶しくもあり、なんか嬉しくもあり…どうして嬉しいんだろう?
「あ、私平民クラス。ウェンシア…ちょ、ちょっと引っ張んないでよ…」
嬉しいと思った理由が分かった。同室の先輩を除いてこうして誘われる事が恐らく初めてだったからだ。それでもその感情を表に出さないよう、怒った様な口調で彼女にそう告げた。しかしその足取りは軽く、少女を店に連れるのは至極簡単だった事だろう。
■フリージア > あ~、この子アタシに対して戸惑ってるわね~。
おまけにちょっとウザイとか思ってそう。
ちょっとだけ年下のこの子の思ってそうなことが概ね想像できた。
別に読心術とかじゃなく、冒険者活動してて色んな人と会ってきたからね。
それでなくてもこの子は多分分かりやすい。
だから強引に手を引き、椅子に座って貰った。
店員さんもこっちの遣り取りを見てたらしく、メニューを持ってきてくれる。
「アタシ、普段は冒険者してるんだけど。
最近依頼が上手い事いってお金あるんだ。
だから今日はなんでも食べていいよ。
その代わり、学院内で困った事があったら助けてね。」
出席数の問題でどうしても知り合いが少ないアタシ。
この子は親しくなっても良さそうに思えた。
正直、中には近づきづらい怖そうな人も居たりするし。
■ウェンシア > あれよあれよという間に席へと導かれ、当たり前のように座っている自分に戸惑う少女。そして目の前に届けられるメニュー。同時に自分にかけられる言葉…戸惑いながらも冒険者をしていると話しかけてくれる彼女の姿を見た。先程は傘が邪魔してよく見えなかったのだけれど、美しい金の髪や焼けているのだろうか、健康的に見える小麦色の肌が少々羨ましく見えた。
「助けるって…私、何も出来ないケド…」
必要以上に彼女を見詰めているは癖もあり、羨望もあり、この人何を考えているんだろう、という疑問もあり…少女はテーブルに肘を突き、頬杖をしながら
「…あのさ、フリージア…さん。なんで私、貴女に連れられてるのかわかんないんだけど…」
単純な疑問だった。同じ学校というだけでここまでグイグイと押される理由がわかんない、そんな怪訝な表情でもう一度彼女の顔をじっと見詰めた。
■フリージア > 「え、同じ学校で話できそうな相手が居たらとりあえず
交流作っておくべきじゃないの?
少なくともアタシはそう思ってるけど。」
頬杖をついたウェンシアが妙なことを口にしてくる。
アタシは思わず目を丸くしていた。
他の学校に通った事がないんだけど、少なくとも学院についてはそういう場所だとアタシは思っている。
「それとも、アタシみたいなのとは仲良くなりたくない?」
小首を傾げ、瞳をキラつかせてみた。
■ウェンシア > 話ができそうな、に自分が該当すると思っていなかった少女。素っ頓狂にも聞こえたのだろう、少女は目を丸くして
「…え?そ、そなの?いや、私は…そんなに友達、欲しくないし…もしヤな人だったらヤでしょ?」
そんな事を言いながらも続けられる言葉に再び戸惑いを。
「仲良くなりたくない訳じゃないケド…別に仲良くなりたいって訳でもないよ?会ったばかりだし…」
言葉と共に投げてくるあざとくも可愛らしい仕草。少女は可愛いな、なんて思いつつもそんな事は口に出さず、今まで凝視していた視線を逸らしてメニューへと下げた。
それでも…『仲良くしてくれるのかな』なんて密かな期待を寄せてしまうのは、友人の少ない少女だからであろう。
■フリージア > 「その時はすこ~しだけ距離を取れば大丈夫よ。
アタシも依頼主が嫌な人だったパターン多々あるし。」
差し出されたメニューは二部。
だからアタシはウェンシアとお話ししながら目を通す。
と言ってもさっき食べたばかりだから紅茶くらいかなぁ。
「それにアタシも結構寂しい思いしてるのよ?
学校ではどうしても友達少ないし。
だからこれはもう運命だと思う。」
ちょっと大げさに言ってることはあるけど、本当の事。
アタシはまあ学生で通っている子の中では年も多分上の方。
おまけに現役の冒険者となるとどうしても話が合わないみたい。
元々貴族や上流階級の子が通う所だしね。
「で、決まった?」
■ウェンシア > 「そのすこ~し、が難しいじゃん?私、嫌いになったらとことん嫌うし…少しとか無理。」
少しだけ距離を取る為には大人の理知が必要だ。冒険者として社会に入っている彼女とは違い、少女はそれが出来ず、だから人と距離を取っている。
「運命って…大袈裟。冒険者とかにさ、知り合いとか友達、居るんでしょ?」
彼女の雰囲気に流されているのだろう、ゆっくりとだが饒舌になっていく少女。第三者から見れば仲良くも見えるかもしれない…いつの間にか、極自然にそんな雰囲気になっていた。
「…ん…これ…いい?」
彼女の声に少女はメニューを指差した。それは先程まで飲んでいた苺のジュース。指し示しながら彼女に『美味しかったよ?お勧め。』なんてはにかんで見せた。
■フリージア > 「そうなの? ウェンシアが社会に出る時には必要になると思うけど。
多分だけど、魔術師志望だよね。
ま、どうしても苦手なら相性良い相手とだけ組んで仕事するのもありだね。」
魔術師志望と言ったのは身なりや雰囲気からだ。
だからまあ、実は戦士志望です~ってパターンも存分にあり得るわけだけど。
それと冒険者の中でも人付き合いの苦手なタイプはいる。
そういう人は社交性の高い仲間がいたりするから意外とどうにかなる。
「冒険者の知り合いとか友達は今の所そんなにいないわよ?
皆パーティーとか組んでるけど、アタシは基本的にソロだから。」
あれ、考えたらアタシも寂しい奴だ。
最初の頃になんとな~く仲間作りそびれたんだよね。
「さっき飲んでたのだよね。
アタシもこれにしよっと。」
店員さんを呼び、苺のジュースを二人分。
なのだが、暫くして持ってきたのは確かに苺のジュースを二人分。
なのだけど…。
「えっと、なんでこうなったのかしら。」
二人分のジュースが入った大きなカップにストロー2つ。
仲良く飲めってことかしら?
■ウェンシア > 「うん、よく分かったね。志望って訳でも無いかもっだけど…相性の良い相手だけ、っていうのが難しいのも分かってるから…相手に合わせるのも面倒だし、多分凄く疲れちゃうだろうし…」
遠回しに愚痴を言ってしまっている少女。初対面の相手に短時間でこんなに話をしたのは始めての事だ。彼女の強引さが良い方向に導いてくれている。
「えー、それだけ可愛かったら沢山居そうなんだけど…?」
『性格が悪かったり?』なんて冗談が出てくる辺り、少女もこの雰囲気を楽しんでいるのだろう。自分が勧めたものを頼む彼女に対して『お代わり欲しくなるかもよ?』なんて笑顔も毀れてしまっている。きっと第三者には仲の良い少女達に見えているに違いない。
そんな二人に届けられるジュースはそんな二人を見ていた店員からのサービスなのだろうか、とても大きくシェアし易いようにストローが二本刺さっている…そんなサービスは要らない。
「…えー…あー…飲んでいいよ?私はいいから…」
どんな風と聞かれると困るが、そんな風に見えたのだろうか。これにお互い口を付けると言う事は、ああいう形になるわけで…恥かしくて無理。少女は数秒固まった後、そう彼女に伝えた。
■フリージア > 「そのうちそんなに疲れない相手が見つかるんじゃないかな。」
確信はないからなんともなんだけど。
少なくとも人の出入りがある学院にいれば大丈夫だろう。
その一人にアタシがなってあげたらいいな、とも思うけど。
「あ~~、どうかな。」
可愛いかどうかはさておき、性格に難があるのかもと言われると…。
否定できないので両手の人差し指をツンツンと付き合ってみたり。
いや、冗談で言っているのは分かってるんだけどね?
それでもちょっと自覚してることだけにね?
「そんなこと言われても、アタシも二人分はきついって…。」
二人でジュースを見合いながら、微妙な空気が。
アタシも正直、これ以上飲むとちゃぽちゃぽだし。
「…とりあえず、半分ずつ交互に飲んだらどうかな?
どちらかが飲み終えたら渡すってことで。」
■ウェンシア > 短気で、ぶっきらぼうで、その癖人見知りで、そんな自分を知っているからこそ、彼女の言葉通りの疲れない相手が見つかる訳が無い、なんて考えてしまう少女。少なくとも目の前の彼女は、今の所まったく疲れない相手なのだろうが…。
「指、突き合せるの、それって癖?可愛いじゃん。」
意地悪そうな顔を晒しながら微笑む少女。先程までの口足らずが嘘のように饒舌になっていた。そんな自分にふと気付き、そして彼女の言う疲れない相手が目の前に居る事に気付かされた。
そんな彼女との間に、大きなジュース、二本のストロー。正直、気恥ずかしい。
「…ん、そうしよっか…」
少女は彼女の言葉に頷くと、どちらから飲み始めるかを伝える事を忘れてカップに手を伸ばし、ストローに顔を近づけてしまう。もし彼女が同様の行動をしてしまったら…
■フリージア > 「えぇぇ!?」
おお、ここでまさかの追撃。
アタシって意外と少女趣味だったのだろうか。
なんだか随分と翻弄されてる気がする。
「残したら勿体ないしね。」
と、お互い常識的な対応になったのだけど。
アタシもウェンシアもどっちが先とか何も決めてない。
普通はじゃんけんとかコイントスとかするんだろうけど、今日は全く思いつかなかった。
なので自然と二人してストローに口を付け、ジュースを飲んでいただろう。
少なくとも、アタシがその事実に気づいたのは半分くらいなくなった頃。