2022/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
■ナータ > 「あーーーーーづーーーーーいーーーーー……」
太陽は誰にも公平に降り注いでいた。
富裕地区のように日陰を生む庇など備えた建物は少ない。
折角の休み、安宿でごろごろしても仕方ない―――
というよりも、空調などないその部屋の中にいるのも躊躇われるほどで。
とはいえ外に出たところで直接陽に当たる羽目になったのだが。
少女は息も絶え絶えとなった様子で、行く当てもなく彷徨い続けていた。
■ナータ > 「こう……なんか……ない、かな……?涼しくて……できれば、タダ……で……」
ついつい独り言が漏れる。
周囲を気にする余裕もなく、それでも最後に付け足すのは
実際懐に余裕はないから。
フラフラと道を進み、少しでも快適な場所を求めて。
とはいえやはり平民地区にそんな場所は少なく
室内―――何かの店に入るのは冷やかしにしかならないのを承知している。
少女にそんな度胸はなく、道を進むしかないのだったが。
■ナータ > 「うううう……ダメ、休憩……」
うろつき続けた少女。
漸く見つけた木立の陰にふらふらと吸い寄せられて。
そのまま座り込むと背中を靠れぐったりとして。
行き交う人を見つめながら、元気だなぁ、と他人事のように。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフリージアさんが現れました。
■フリージア > 今日のアタシは店番のアルバ…依頼を順調にこなし気分が良かった。
あとはこの鬼のような日差しの中を突破し、家に帰還するだけ。
だったのだけど、木陰でなんだか具合の悪そうな人を見つけてしまう。
何をしてる人なのか知らないけど、この季節外を歩くには随分と暑そうな格好をしている。
多分、知らないふりして通り過ぎても良いのだろうけど…。
まあ、可愛い顔立ちしてるし…。
「かーのじょ。 随分と辛そうだけど大丈夫?
アタシの家で良かったら冷たい飲み物くらい出るけどどうする?」
わざわざ元気のなさそうな少女の元へと近づき、声を掛けた。
まあ、情けは人の為ならずとか言うしね。
■ナータ > 暫くとぼんやりしていた。
陽が陰ってくるにつれ気温も下がってきたがまだ暑い。
「ほへ……?」
暑さに頭もぼーっとする。
そんな折、声をかけてきた相手。
「暑い……暑くてぇ……ダメです……」
幾分間抜けな顔に見えたかもしれない。
やや顔も赤く、口も半開きに。
今の自分の顔を見たらいてもたっってもいられないだろうが。
とりあえず、返事だけはできた。
■フリージア > 多少日が陰ったくらいではこの暑さはどうにもならない。
何せ、熱風とも言える空気がずっと纏わりついている。
アタシも長い事ここにいるつもりはない。
「じゃ、とりあえず家に連れて行くわな。
立派な家じゃないからそこは我慢してくれよ?」
段々受け答えも怪しくなってきているので、優しいアタシは肩を貸した。
幸い家は近くなので、このまま連れて行って休ませるとしよう。
■ナータ > 「お家……家の中……暑く……ない?」
まともな判断力もなかったろう。
見ず知らずの相手、同性とはいえ容易く誘いに乗る―――
連れ込まれるといった方が正しいか。
ともあれ、抵抗することなく立たされて。
ふらつく体を支えられるように肩を貸され
とりあえず木陰から離れていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフリージアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > じゃらじゃらじゃら。
牌をかき混ぜる音。酒場の隅、入口から遠い一角で、男達は今日も博打に興じているようだ。暑気払いも兼ねているのか、傍らにはエールの入ったジョッキ。
「お、それあたりだ。悪いね」
銀髪の男は手元の牌を倒すと、たった今牌を切った大工風の男に右手のひらを差し出す。大工は晒された牌を見て、計算でもしたのかゴルドを渡す。銀髪はまいど、と呟き笑う。
半刻ほど後、テーブルの連中から均等に少しづつゴルドを稼ぎ、男は席を立つ。勝ち逃げか、という問いには全員へのエールの奢りで誤魔化して。壁が背になる席に腰掛けると、泡立つ液体を呷りながら呟いた。
「最近は女の子の挑戦者が来ないなぁ」
■ヴァン > 夜伽の相手は欲しいが、男にも好みがある。
春を売ることが稼業の娘達は行為に慣れているから、自室に招いても面白味がない。花街に行けばいいだけだ。あまりに幼くては身体を傷つけかねず、心配を先にして伽どころではない。噂を聞きつけて博打にのるような、ある意味切羽詰まった女性が男の好みのようだった。
「逆に考えれば、世の中平和ってことかね。藁を掴もうなんて思う人がいないのはいいことだ」
入口を見やった後、まだ人通りのある道路からの音に集中するように目を閉じた。表の喧騒の中で、この酒場兼宿屋を目指す足音は聞き取れただろうか。
■ヴァン > びくり、男の身体が震えると目を開けた。
どうやら目を閉じて外の音を聞いているうちに、うたた寝をしてしまったようだ。気恥ずかしさに軽く笑うと、ゆるりと首を巡らし、自分の醜態を目にした者がいないかを確認する。大きく、酒を抜くように息を吐くと、ジョッキを手に取った。
「この程度で酔う訳はないんだが……疲れが溜まってるのかね、俺も。もしくは……歳か」
そうひとりごちると、軽く伸びをする。眠るには早すぎる時刻。それしかやることがないように、男はエールを注文した。
■ヴァン > 空になったジョッキが2つ。
男はふらりと席を立つと、扉を開けて通りへと出た。夜も更けたからか、穏やかな風も心地よい。
「明日も晴れるのかな。図書館務めには楽だが、警邏兵や門番にとっては地獄だろうな」
酔いを醒ますためか、店を出た時に店員から受け取った果物を齧る。ほぼ水とも言える果実をしゃりしゃりと音をさせながら口にし、ぷっと種をふきだす。酒場の外壁に背をつけると、星空を眺める。商店の灯のせいか、昏い星は目立たない。
■ヴァン > 「酔い覚ましに、ちっと歩くか」
果物の皮を道の隅に寄せ、ふらりふらりと歩き出す。いつしか姿は消えて、通りから人気が絶えた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/酒場」からヴァンさんが去りました。