2022/06/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド 修練場」にハクさんが現れました。
■ハク > 「はてさて、何が一番あうやら、でござるなぁ」
他の利用者が今は居ないことを確認し、修練場の一角に足を踏み入れたハクはひとまず隅っこの方に移動して空間魔法の倉庫からいくつかの武器をとりだし地面に置く。
それらは投擲ナイフ、小刀、鞭、手斧……といった軽量の武器類だ。
というのも、最近冒険者ギルドの依頼で魔物討伐を行う際、子供姿ではあの刀を満足に振る機会が本当にない、と自覚したためだ。
子供姿では魔術の方がうまく扱え、身体能力も低いので憧れだった剣術はまともに使えない。
使えなくはないが、使ったところでゴブリンと戦うのが精一杯、という程度だ。
……であれば、この子供姿でも使える武器も所持するべきでは、という考えに至るのも当然だろう。
刀を扱えない理由の主なものは重量、次に長さ。
であれば軽量かつ持ち手が短いモノを選べば問題ない。
そう考えて資産をいくつか崩し、いくらかの試用武器を手に入れてやってきたのである。
「よ、っせっ」
羽織も脱いで魔力皮膜1枚のみの姿になり、まずはナイフを手にとる。
見よう見まねの素振りは、その武器を得手とするものであれば悲惨に近い動きにしか見えないだろう。
それでもいくらか試行錯誤しながら武器を振っていく。
■ハク > 「……んー……」
いくらかナイフを振り、少し汗を帯びたところで一度動きをとめる。
少し悩んでいるのはナイフであってもイマイチ動きが機敏にできないところだ。
そこで、ふと思いついたことを試してみようと思い、修練場隅にある射的の前にナイフを構えて。
「は、っっ!」
投げる瞬間、風の魔法を発動させる。
するとそれは狙い通りに風の矢と共に鋭く飛翔して的に見事命中した。
「やっぱ、魔法の方が通るでござるか。うーむ……うーむ……」
であれば、と少し悩みながら小刀を手に取り、それを振る瞬間に手に風の魔力を生み出し、放つ。
すると――
「うひゃおっ!?」
大人姿で振った時と同様、下手すればそれ以上の鋭さで小刀を振り抜く事ができた。
できたが、それを踏ん張る足腰がない。そのため勢い余ってぐるんぐるんと3回ほどくるくるまわってどすんと尻もちをつくはめになってしまうのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド 修練場」にネメシスさんが現れました。
■ハク > 「むうう……素直に戦闘力あげるなら、こっちで修練するほうがマシにござるな……」
ふらふらと起き上がり、尻をぱんぱんとはたき。
試しに鞭を持って振ってみるが、やはりそのままではへにゃっとした鞭打にしかならず、あたったら子供なら泣くかもな、程度の威力しか出ないことはもし見ているものが居ればそんな感想を抱くだろう。
続いて風の魔法をあわせて発動させてみる――と、今度は鞭の動きが素早くなる。
なるが、先程の投擲ナイフのようにまっすぐ、ぴんと伸びるだけだ。
鞭としての利点がまったくないような軌道になる。
「む、むうう……これはちょっとむずかしいでござる……」
試しに振り抜き、横方向に鞭をしならせるも、そのまま勢いよく鞭がくるりと回って自分の体に巻き付くハメに。
魔力皮膜があるので怪我にはならないものの……体に巻き付いた鞭を恥ずかしそうにはずしていく。
鞭はあわない、と思って手斧も持つが……
「これもやっぱ、投擲でござろうなぁ。……うーん、これもいいでござるか?」
とりあえず振れそう、という考えで選んだ手斧だが、先程の投擲ナイフよりやや大ぶり、といった程度のサイズであればこれも投げるほうがいいかと考える。
試しに今度は火の魔法も同時に発動してみると……
「ひゃ!!」
ぽーん、と放物線を描いて飛ぶ手斧は刃部分に炎をまとわせ、そのまま落下していき。
的とは見当違いの場所におちるも、落ちた瞬間そこで小規模の爆発を起こした。
「……おぉう……」
■ネメシス > 「ふうん…なんだか面白そうな人が居るわね。」
金属音を響かせ、歩いてきたのは白銀の騎士。
お供である武装した男女数名を引き連れ、爆発音の発生源であろう狐耳の少女の元へ近づいていく。
「随分と楽しそうだけど、見たところ武器の試し打ちって所かしら。
一人での訓練も良いでしょうけど、ここに暇を持て余した冒険者が居るわ。
どう? 実践訓練と言うのは。」
白銀の騎士は値踏みするかのように視線を上下させ。
少女の反応を心待ちにしているようであった。
■ハク > 手斧が爆発したが、炎が収まったところを見ると手斧自体が爆発したのではなく火の魔法が炸裂しただけだったようで、若干焼け焦げた手斧が地面に刺さっているのを見て少し安堵する。
そこで金属音を響かせた足音が聞こえるとまず耳をぴくりと反応させ、近づいてくるのを感じるとそちらに視線を向ける。
そこに居たのは、こちらに向けて歩いてくる白銀の鎧を着た騎士のような女性を筆頭にした数人の男女で。
「む、む?あー……」
近づいてきて友好的に声をかけてきた相手に、どう返答しようか少し悩む。
薄く黒い魔力皮膜に包まれた体を見られるが、体を見られる事には慣れている様子で特に恥ずかしがる様子は見せない。
「説明が難しいでござるが、一言でいうとこの姿では武器が扱いづらいので、合った武器を探しているところでござる。
実践訓練、というのは打ち合いでござるよな?
ううむ、助かるでござるが……正直、魔法ナシではそれがし見た目通りの能力しかないので楽しめないかもしれないでござるぞ?
そして魔法アリではまだ始めたばかりなので手加減が効くかわからぬ。下手すると怪我させてしまうかもしれぬ」
狐尾をくねくねと揺らしながら、手にとりあえず持ったままの小刀をぶら下げて初対面の相手への説明に悩む。
もし、それでもいい、というのであればお願いするところではあるが――
「あ、自己紹介しておらんかったでござるな。それがし、ハクと申す。よろしく頼むでござる」
ぺこり、と頭を下げて自己紹介を行う。
もし少女、ないし背後の男女に平民地区の娼館巡りの趣味を持つものがいれば、名前を知っているかもしれない。
■ネメシス > 「へ~、なるほど…。
確かにその姿じゃ武器選びは大変そうね。
ぱっと見た所だとやはり弓とかの投射武器が良さそうに見えたけど。
小さい弓とかで闇討ちでいくならいけそうじゃない?
魔法アリってのがどれくらいから分からないけど、私はどっちでも構わないわよ?」
左右に揺れる尻尾はなんだか可愛らしい。
実年齢は分からないが、あどけない表情も含めてネメシスの劣情を刺激していた。
無論、そんなことは顔には出さないが。
今は気さくな女のフリをしているつもりだ。
「あれ、ハクって……私知ってるかも。
たまに娼館通りに居るわよね?」
どうりで可愛いわけだと一人で納得している。
ちなみにネメシスの家は娼館経営も行っており、めぼしい娼婦のことはある程度耳に入っていたりする。
「ちなみに私はネメシス。
宜しくね。」
会釈を返すと、カシャリと金属音が響く。
■ハク > 「あー……なるほど、弓、は考えてなかったにござる……」
元々が近接武器、大太刀を振り回す戦闘しかやっていなかったために、投擲にも使えるナイフや手斧を用意こそすれ最初から遠隔攻撃メインの弓などは考えていなかった。
確かに、先程の感覚で言うと弓は割りとアリだな、と尾をゆらゆら揺らしながら考えて。
「助かるでござる。今度、弓も用意してみるでござるよ。
ふむ、魔法アリ、でいいのであれば……ううむ、できるだけ制御がんばるので、頼むでござる」
提案もしてくれて、笑顔も浮かべる気さくな女性ににこにこと笑みを浮かべてお礼を告げ、魔法ありでもいい、という事であれば、と小刀を構える。
といっても構えも正直チンピラよりはマシ、といって良い程度。
剣の振り方を覚えているようではあるが、明らかに体格にあっていない、というのが武器を扱うものには手に取るようにわかるだろう。
「むぁ、そちらで知ってたでござるか……?お客様に、お主のような女性は居なかったと思うにござるが……」
そのまま、娼館通りの話を出されると耳をぷるっと震わせ尾を立たせながら、少しばかり恥ずかしげに呟く。
その様子は女性の言葉を認めているのと同意で。
娼館事情に詳しいのであれば、ハクという名前の狐系ミレー族の事は浮かぶかもしれない。
その場合、娼館に登録している『再生体質なので毎日処女に戻る』『避妊処理済み』という情報やら、割りとオープンにしている性感帯や性癖といった情報もまた知られているかもしれない。
「ネメシス殿でござるな。よろしくお願いするでござる。
えっと、後ろの方に開始の合図をお願いしてもいいでござるか?」
会釈され、軽く頷き。
ネメシスが武器を構えるのを待ちつつ、訓練開始の合図を彼女の後ろのメンバーに出してもらおうと考えてそちらにも視線を向けた。
■ネメシス > 「咄嗟の思い付きだから、責任は取れないけどね。
力での勝負はその体じゃ辛いでしょう。
後は毒針とか使えば更に良いわね。」
揺れる尻尾がとても可愛らしい。
ボディラインが露になる服装と合わさって釘付けになる。
「まあ、無茶苦茶されても死にはしないでしょうから大丈夫よ。
私の方こそ、ちょっとは腕試しになるよう頑張るわね。」
どうやら見た目にそぐわず彼女も猛者の様だ。
ネメシスはそう判断すると、腰の剣を抜く。
白銀の刃が僅かに輝き、ネメシスの体内に魔力が生じる。
「私はまだお客になったことはないわね。
評判を知ってただけなんだけど。
こんなに可愛いのならもっと早くから行けばよかったわ。」
狐耳が震える様をまじまじと眺めては、思わず舌なめずり。
当然少女の身体についての情報も脳裏によぎる。
特異体質だとは知っていたが、これほどの上玉とは知らなくて。
「「はじめ!」」
お付きの一人が、双方が構えを終えたタイミングで合図を出す。
ネメシスの方は少女の魔術に興味があるらしく、両足を左右に広げて構えたまま動かない。
■ハク > 「毒針も、たしかにいいでござるな。不意打ちには最適そうでござる」
弓に続いての提案にも、なるほど、と頷く。
責任を取ってもらおうとはもちろん思っていない。
ただ、自分の思いつかなかった案に感謝するように尾をぶんぶんと振っているだけで。
「ただ、サムライではなくニンジャになってしまいそうでござるなぁ……
まぁ、いいでござる。今日はネメシス殿の胸をかりるでござるよ!」
先程の投擲ナイフといい手斧といい、この子供姿では完全に魔法主体になるのは半ば諦めつつ納得していた。
その追加の攻撃手段も遠距離・暗殺に寄ってしまえば……武士道ではないなぁ、という気持ちが少しは湧く。
湧くが、それはそれとしてこの姿での戦闘力を上げることには抵抗はないため、今後の算段をつけつつやや前傾姿勢になる。
「女性相手はあまり経験は薄いでござるが、うむ、もし来ていただけるならサービスするでござるよっ。
後ろの方々も、ぜひでござる!」
娼婦としての客になってくれるのも、また喜ばしい事である。
今日別れる時にでも娼館の案内と、数枚手渡されている割引チケットをお礼に渡すかなぁ、と考えながら合図をまち。
はじめ、との合図がかかった瞬間、足裏に勢いよく火魔法の爆発と背中に風魔法の噴出を発動させる。
すると……
「っのわっっ!?」
瞬間的にトップスピードに乗った軽い体はネメシスの横を通りぬけ、後ろの男性のところにまで突進してしまう。
慌ててその男性の胸元に飛びつき、両足をその胸鎧にあてて。
「すまぬっ!」
今度はその男性を蹴り飛ばし――恐らく風魔法の反動で、男性も後ろに吹き飛んでしまうことだろう――、結果的にネメシスの背中側から勢いよく彼女に向けて突進していくことになる。
その動きは明らかに制御不足で、ムラがありすぎるもので。
■ネメシス > 「でしょ?
毒はうちにくれば格安で分けてあげるわ。」
にこやかに営業スマイル。
詰まる所、人に分け与える程毒を備蓄しているわけだ。
「いいんじゃない? この国で正々堂々と戦ってる人なんてそれ程いないんだし。
ニンジャでもサムライでも勝てばいいんでしょう?
さ、まずは楽しみましょう。」
目の前の少女の姿では正面切っての戦いは辛そうだし。
魔力で膂力を強化しているタイプは見たことあるが、そうでなければ武器に振り回される。
それはそれで見てて楽しそうだが。
「「よっしゃ!」」
ハクの言葉に歓びの声が複数上がる。
後日チケットを持った男女が数名指名してくるだろう。
「え、なにあれ…。」
足元が突然爆発したと思えば、真横を通り過ぎてしまう少女。
ネメシスが呆気に取られている最中に、お供の一人が足場にされて吹き飛ばされる。
だが、飛ばされた男は何故か幸せそうな表情をしており、それが一同の笑いを誘う。
「随分と身のこなしが良いのね。」
反動を使って近づいてくる少女を迎え撃つネメシス。
まずは腕前を見せて貰おうと、剣の柄を両手で掴み、刃の部分で受け止める様だ。
上手くいけばそのまま少女ごと弾き飛ばすだろうか。
■ハク > 「たす、かる、っに、ござーるっ!!」
風魔法と火魔法の組み合わせによる高速機動を行うつもり、だが……
うまく制御できれば確かに鋭角的に高速で動き回れて撹乱行動もできるだろうが、今はまだそんな領域にはない。
術こそ無詠唱で扱え発動も問題ないようで、吹き飛ぶような動きの中でもネメシスにお礼を告げる事はできた。
楽しもう、という言葉に笑みを浮かべて彼女に向けてようやく突撃するも、手持ちの小刀の一撃はあっさりとその剣で受け止められることになる。
体重の通りひどく軽い一撃で、その代わりか慣性により今度は剣と刀の接点からくるりと回転してしまい。
「のわっ!」
そのまま回転すると地面に再びぶつかってしまうので、再度風魔術を使って真上に向けて飛び上がる。
「身のこなしは、直感でござるっ!」
そして空中で少し滞空した後地面にいるネメシスに向けて再び風魔法による突進攻撃を行う。
その動きは完全に獣のような直感的なものであるため、読み、というものはやりづらいかもしれない。
■ネメシス > 「う~ん、なかなかにやっかいな魔法よね。」
体格差から、刀での一撃は剣で容易くいなすことが出来た。
そのまま足元に伏せて終わると思っていたが、意外にも少女は頭上へ。
ネメシスは上空から降りてくる少女を見上げると、今度は魔力を全身に纏う。
「ほら、これはどうかしら?」
ネメシスは両手で構えた剣で少女からの一撃を受け止める仕草を取りつつ、
同時に周囲の地面から魔力による電撃を見舞う。
それらは投網のように広がり、少女に電撃による痛打を与えつつ、自由を奪おうとする。
まさしく得物を捕らえる蜘蛛の巣のように。
「すばしっこい相手にはやっぱりこういうのかしらね。」
■ハク > 加速と加速と加速。脚を止めずにただただ突進を繰り返すだけの戦法になっているが……
今のところはまだ戦闘にはなっているだろう。
高く飛び上がったハクにネメシスとその配下の視線が集まる中、尾をふりっと1回ふってからの急落下攻撃に入る。
「な、ぅっっっ!?」
だが、それを待ち構えていたかのように剣を構えながらの電撃が地面から湧き上がって。
それに対する防御の術を瞬間的に発動するも、全身を守る事はできなかったためにその蜘蛛の巣のような雷に絡め取られてしまう。
「きゃうんっっっ!!」
ばしんっ!と音をたてて弾き飛び、およそ最初の立ち位置に墜落してしまう。
雷による直接被害は風でなんとかそらしたものの、魔力皮膜は魔法によるダメージで一部穴が空いてしまって素肌を晒してしまっていた。
「ん、んぐぐ……なる、ほど、そういう広範囲攻撃を、うけてはダメでござるなぁ……」
ふらふらと地面に膝をつき、小刀を杖のようにしながらギブアップするようにもう片手をあげてひらひらと振る。