2022/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にジールさんが現れました。
■ジール > ――平民地区冒険者ギルド前
夕方も過ぎ、空に薄闇が広がり始めた頃。数人の男たちが一人の青年を囲っていた。
囲いの中心に居る青年はジール、最近冒険者ランクが上がったばかりの新米冒険者。
囲っている方もこれまた冒険者。中堅どころよりやや下ランク、それでもジールよりは上の面々。
事のきっかけは依頼を終えたジールがギルドに報告に戻ったところ、
他所の町から来たというギルドのパーティが一人の少女冒険者にしつこく言い寄っていたのに出くわした事から始まる。
頭にバカを付けても可笑しくない真面目さと正直さ、そして性根の真っ直ぐさから男たちのナンパに口を挟んだジール。
口を挟むどころか半ば強引に割って入って、少女をさっさと帰らせるまでしてしまった。
勿論当然の様に怨みを買い、その上で更に馬鹿正直な物言いで自覚無しに煽るものだから、こうして一触即発の状態で囲まれているのである。
「―――あのさ、何度も言ってるけど怪我人出たら迷惑だし、やめとこうよ。」
穏便に、ね?と爽やかな笑みと共に男たちを宥める様に告げる。
間違ったことはしていないという自負があるので、たとえ嘘でも謝罪はする気が無い。
その姿勢が男たちの神経を逆撫でしているという自覚は当然無い。
■ジール > 「お互い手荒な事はしたくないでしょ?町ん中だしさ。
それにほら、お腹も空いちゃうし。ね?……ダメ?」
なるべく穏便に済まそうと、明るく振舞ってはみるがどんどん事態は悪くなっていくばかり。
いよいよ怒りが納まらなくなってきた男たちの中の一人がパキパキと拳を鳴らし始める。
それを見れば流石のジールも後戻りは出来ないと判断したのか、諦めたように溜息を吐き、顔から笑みが消えて。
『生意気な新人にはちとお灸をすえてやらねえとなぁ!』
多分日頃の憂さ晴らしも兼ねているのだろう、男の中のリーダー格が声を荒げると、じりじりとジールと方位する男の輪が狭まっていく。
軽装の、それも得物を持たないと見えるジールを相手に武器を抜く者は居ないが、
それでも腕の太さなんかはジールの二回りほどもある男たちが迫る中、ジールはふへぇ、と気の抜ける様な溜息を溢した。
「そういう態度、あんまよろしくないと思うよ?」
呆れ顔で告げる言葉に男たちの怒りが頂点に達する。
口々に大声で罵りながら、一斉にジールへと殴りかかって―――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシアン・ファーガーソンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にソラムさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からソラムさんが去りました。
■シアン・ファーガーソン > 平民地区といっても治安が悪い場所は悪いもの。
しかもその場所が目的地であるギルドの前であるなら足を止めるしかなく。
何処かのパーティー同士のもめ事なのだろうかと様子を伺っていれば一人は以前にギルドで出会い共に依頼をした相手。
後は確か余りいい話を聞かないパーティの一団。
何があったのだろうと野次馬に聞けば、悪質なナンパをしていたのが知った顔の彼が止めたという事。
そして正論を口にしている彼に一団が怒りを見せて今に至ると聞き。
「…これ……止めないとだけど…」
今のところは止める者がいない野次馬と当事者たちだが衛兵が来れば一気に面倒ごとになるのは判る事。
まったく知らない顔ならばスルーするのだが片方が知っているだけにそれも出来ず。
仕方がないと一歩前に出て。
「いい加減にしないと…衛兵、くるよ。捕まって奴隷落ちでもいいの?」
殴りかかろうとする一団が気が付くかは賭けだが、聞こえればと願い普段はあまり出さない大き目の声をかけていく。
■ジール > 突然の少女の声に、男たちは虚を突かれたように動きを止めるものが半数、もう半数は勢いに乗ってしまいジールを殴ろうとして――
近い方から順に顔面にジールの履くブーツのソール跡をスタンプされていった。
大の男が容易く吹っ飛び、ギルドの壁にぶつかって沈黙していく。
それらを見て動きを止めた男たちも、傷一つ負わずに涼やかな顔で頭を掻いている新人冒険者がどれほどの実力かを察したらしい。
のびてしまったパーティメンバーを担ぎ、口々に罵声をジールへと浴びせながらその場を去っていく。
その姿を見送りながら、どこか遣る瀬無い顔で立っていたジールだったが、
「ごめんね、ありがとう。お陰で怪我人は少し減らせたみたい。」
と、声を掛けた少女へと笑みを向けてお礼の言葉を口にした。
■シアン・ファーガーソン > 掛けた声に反応をしたのは半分ほど、残りは聞こえなかったのか止める心算はないのか殴りかかっていく。
それを止めれるほどに近接戦は得意ではなく、彼が殴られてしまえば治癒するのが出いる事。
大怪我をしなければ良いなと考えていたが一人が吹き飛ばされギルドの壁に激突。
よく見ると顔にはブーツの痕が見え、蹴ったのだと気が付き。
一人が倒された事で残りはその一人を担ぎ何か言いながら去っていくのを見送り。
「私は何もしてないよ……手助け、要らなかったみたいだし?」
お礼を言われると緩く首を左右に振り、自分では分からなかった見事なカウンターを思い出すと余計なお世話だった?と見返して。
■ジール > 「いやいや、さすがにあの人数全員来られたら俺も危なかったから。
ホント気を逸らしてくれてありがと!って、シアンじゃん」
あの人数全員来られたら(処理する順番に迷って)俺も(加減が出来なくて、彼らが)危なかったから。
だいぶ言葉足らずだけれどお礼を重ねれば、彼女が誰であったか気付く。
以前依頼を一緒にこなした相手と知ると、ぱぁっと満面の笑みを浮かべ。
「ひさしぶりー、元気してた?」
とても直前まで喧嘩をしていたとは思えない明るさだが、本人は至って気にしていない様子。
にこやかに手を振りながら、再会を喜んでいる。
■シアン・ファーガーソン > 「本当?余裕に思えたけど……?」
危なかったというがあの体裁きを見た後では謙遜にしか聞こえず。
余裕だったでしょと逆に問い返して怪我のない様子を眺め。
満面の笑みを向けられると覚えいたと嬉しそうに口元を緩めて。
「本当に久しぶり、私はそれなりに。
ジールはあれから稼げてる?」
にこやかに手を振る彼に小さく手を振り返してそれなりに元気と返し。
そっちこそあれから大丈夫?と心配するようにして。
■ジール > 「うーん、俺の方も順調順調。
こないだ昇給してさ、受けれる依頼の幅も増えたから、これからもっと稼いでくつもり!」
今日もその一環で依頼に出た帰りに、この喧嘩騒動である。
そういえば絡まれてた女の子、無事に逃げ切れたかなと辺りを見回して。
ギルドの中に居るのだろうか、それとももう町の何処かだろうかなんて少しばかり思いを馳せる。
もう怖い思いしないと良いけど、とどこまでも根が善良に全振りの男。
「シアンも依頼の報告に? それとも次の依頼探し?」
ギルドに入るとこだったんでしょ、と首を傾げる。
■シアン・ファーガーソン > 「そうなんだ……だったらよかった。
昇給もしたんだ…それなら安心だね…」
あれからそれなりに経つが順調な様子に笑みを浮かべ。
もしかするとあっという間に自分を追い抜いていくのかと考え。
彼は自前で戦えるのだから直ぐに追い抜くかと直ぐにそこにたどり着いてしまい。
「私?私は報告……。ジールは…何で揉めてたの?」
彼の言葉にギルドに来た理由を思い出して口にし。
そう言えばと、何で揉めていたのか気になり問いかけながらギルドに目を向け。
話しながらでもいい?とギルドに入ろうと誘いをかけて。
■ジール > 「まあでも、まだまだ俺なんて新参者だから。
さっきみたいに絡まれない様にするためにも、頑張って上を目指さないとね。」
冒険者として知名度が上がれば変に喧嘩を売る輩も減るだろうと口にして。
その為にも今まで以上に冒険者としての活動を広めなければならないのだが、幸いにも親切な先達が居るからと本人は満足気である。
「そっか、シアンも報告か。……あ、俺?
いやあ依頼の報告しに来たら、女の子が絡まれててさー……」
促されるままにギルドの中へと向かいながら、事のあらましをシアンへと語る。
大したことじゃないんだけど、と締め括り子供じみた笑みを見せて。
■シアン・ファーガーソン > 「そんな事、無いと思うよ。
上になっても……今度はやっかみで、絡まれない…?」
知名度があればあればで倒して名を上げるというのが沸きそう。
それに上げ過ぎれば面倒な依頼の名指しもあり得るのでほどほどが良くないかなと満足げ気にしている彼を見てしまい。
「も、って事はジールも?
絡まれてた子、助けに入った……?
好みだった、とか?」
ギルドに入りながら話を聞けばそうなんだと少し驚きを見せ。
十分大した事と返し、ふとそんな事を口にして訪ねていれば受付にと到着し、収集品を手渡して確認をお願いをする。
■ジール > 「そうかなあ。
まあ、その時はその時って事で。」
あはは、と笑いながら頬を掻く。
結局のところ、なってみない事には分からないのだ。
今の内から色々と悩んだところでどうしようもない、というのが本音である。
「そ、俺は報告終わったあとー。
うん、ちょっと困ってたみたいだから、仲裁?しようと思ったんだけど、上手く行かなくって。
好みかどうかは分かんないなー……んー、正直、顔もあんまり覚えてない。」
困ってたから、助けに入った。本当にただそれだけの行動原理。
好みだったかと問われれば、どうにか思い出そうと首を捻るも結局諦めてしまった。
■シアン・ファーガーソン > 笑いながらその時はと言われるとそう言うならと見返し。
自分はそこまで行くという事は考えていないので、彼がそうなったら面倒ごとが起きないように祈ると告げて。
「そっか、儲かった?
困ってたって事は……無理やりだったんだ。
見た感じ荒くれだったし、仕方ないよ…。
それは残念……だね。向こうが感謝してたら、きっと声掛けてくるよ」
この国では珍しい親切な人だと珍しそうに見てしまい。
相手の顔を覚えていないと聞くともったいなかったねと小さく笑い。
相手が感謝していればきっとまた会えると笑い、受け取った報酬を見ると本当に小さく眉が動く。
■ジール > 「んー、ぼちぼち? そろそろ何か自分の武器を持たなきゃなーって思ってその資金を貯めてるとこなんだけどさ。」
今まではギルドが貸し出してくれる武器を持って依頼に出ていたのだが、昇級を機に自分の武器を持とうと決心したばかり。
とはいえまだ自分に合った武器が何かすら決まっていないのだけれど。
「多分無理やりだったんだと思う。最初から話聞いてたわけじゃなかったんだけどさ。
……まあ、別に下心あって助けたわけじゃないし、あの子がもう怖い思いしてないなら、それで良いんだ。」
勿体ないって何だよ、と訝しげにシアンを見て。
その後報酬を受け取ったのを見、お疲れさん、とねぎらいの言葉を掛ける。
■シアン・ファーガーソン > 「武器、持ってなかったんだ……。
だったら…使い慣れたの…がいいよ」
まさか自分の武器を持っていないという言葉には驚き。
自分でも家からの持ち出しではあるがワントを持っているから。
そして買うなら慣れたのが一番とアドバイスをして。
「そうなんだ……その子、逃げたなら…そうだよ、きっと。
無かったんだ……ジールって…凄く、真面目なんだね」
訝しげな視線に普通は持たないというように見返し。
労いの言葉に小さくありがとうと返して。
「そうだ……また、その内に一緒に依頼…いく?」
折角また会えたのだからとそんな誘いをかけて。