2022/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にウェンシアさんが現れました。
■ウェンシア > 平民地区、中央通りにある割と大き目の酒場にて。たまたま前を通りかかった時、求人の広告が目に入った。『急募:厨房』…学生と言えども色々と入用になる。買い食いとか、服を買ったりとか、後買い食いとか。だから少女はお金稼ぎをしようと考えた。短期で厨房ならば接客をしなくてもよいだろう。料理ならそこそこ得意だし、これなら大丈夫。そういう訳で少女は無事、バイトを始める。
「…いらっしゃいませぇ…」
か細い声の入店挨拶を発する少女。なぜか少女は給仕の格好をし。今絶賛接客中であった。
塩対応で声も小さく、客と目線を合わすことなく事務的に淡々と注文を受ける少女。人見知りの性格が災いし顔を赤らめているのだが、その事が『大人しく恥かしがり屋の新人』として客に受けているようだ。
「なんで私がこんな事…厨房って言ったじゃん約束違うじゃん!…――エール2つ…ナッツ盛り1つ…。」
他称大人しく恥かしがり屋の新人少女は、厨房に戻ると文句を一つ。それでもきっちり注文を告げたのは、『給金に色をつける』の言葉が返ってきたからだ。少女は渋い顔をしながらフロアを睨み…もとい眺め、注文の声が上がるのを待っていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクレイさんが現れました。
■クレイ >
昼の仕事を終え、適当な酒場を捜し歩いて、ここで良いかと目に入ったのは大衆酒場。
比較的人が多く入っているこの店は少なくとも大外れはそこまで無いだろうと踏んでだった。店に入って適当な席に着く。
「あ、おい注文していいか」
その席から見えた店員、ウェンシアに軽く手を挙げて合図を出して。
懐からは何枚かのゴルド貨幣を取り出して。
「エール……んー、とりあえず3杯で良いか。空になった位で持ってきてくれ。後メシは……適当だな。肉とかチーズ系中心でそっちの出しやすいの適当に出してくれ」
と100ゴルドを机の上に置いて金はこれでいいよなと。金を前払いでチャラチャラとだす。後払いでも良いのかもしれないが、いつもの癖で咳払いで出してしまっていた。
■ウェンシア > 新たな入店を告げるドアベルが鳴ると、少女は一度、そちらをちらりと見た。酒場に相応しい冒険者にも取れる体格を持った男性だった。その男性が席に着き、こちらを見ながら手挙げた。一瞬『え、私?』みたいな顔をしてしまったが…少女は小さな溜息を吐きながらその客の下へ。
「エール三杯…肉とかチーズとか中心…」
彼の目を見ることなく注文を受けていると、その客はテーブルの上に代金を置き始めた。少女はどう対応して良いか解らず、口篭ってしまった。
「あ、あの…えっと…その…お金、じゃなくって代金は…後で良いので、じゃなくて、後払いになっており…ます?」
語尾が上がったのは厨房奥の店主に確認をしたからだ。店主は両手で大きな丸を作り、少女に応えてみせる。そのサインを受けた少女は、改めて客である彼に言い直す。
「…ます。」
■クレイ > 「ん、ああそうか。悪い悪い。いっつも前金で払っちまってたからな」
信用が取りにくい場所じゃ前金制の場所もそれなりにある。そして自分がいつもいくのはそういった所謂安い店なので色々と勘違いしていたらしい。お金を引っ込めて。
「じゃあさっきの注文で頼むって思ったが」
とさっきの様子を見て。
少し笑って。
「エール1杯。ソーセージとチーズの盛り合わせ。後はローストレッグに麦パン」
と適当という注文を取り消してそんな注文に変更をした。
「あんたまだ新人だろ。なら適当なんて注文受けても困るよな。悪かった。改めてこっちの注文で頼む。後チップだ取っとけ」
と5ゴルドをウェンシアに渡そうと手渡そうと差し出す。
■ウェンシア > 酒場という場所であるからして周囲には酔った客。概ね中年太りのオジサマだが中には冒険者らしき人、怖そうな人もいらっしゃる。少女は彼の体つきや口調から怖そうな客、と想像していたようだ。そんな少女の目の前で、彼が微笑み、注文を変えた。少女は慌ててエプロンのポケットからメモを取り出し、注文を書き込んでいく。――と、ペンが止まる。
目の前に置かれた5ゴルド。それと厨房奥の店主を交互に見て。…店主が両手で丸を作っていた。
「…あ、ありがと…ござます…」
噛んだ。チップを貰えたということは、接客がそれなりに出来ていたという証。そう思った少女は大きく頭を下げると5ゴルドを有難く頂戴し、エプロンのポケットの中に収めると、そそくさと厨房の方へ戻っていく。
「(優しい人でよかった…えへへ…嬉し…)」
クレームを受けてもおかしくない接客内容はあちらに投げ捨てて、少女は少し怖そうに見えていたお兄さんから頂いた5ゴルドをポケットの中で握り締めていた。
――程なくして少女は席に戻り、彼の目の前に配膳を始めた。ソーセージとチーズの盛り合わせ、ローストされた脚、麦パン、そしてエール。
「ご注文は、以上でよかった…じゃなくて…宜しかったですか?」
言葉遣いはまだまだ。しかし少女はしっかりと、彼の目を見て言葉を発した。
■クレイ >
「ああ、大丈夫だ、また追加の注文があればその都度させてもらうわ」
と返事をする。実際当初はエール3に適当で100ゴルド。つまり一般人の半日分程度のお金を払おうとしていたわけで。つまるところ全然足りない。
新人だから覚えやすいように少な目で最初は注文するか、程度の気づかいだった。
モサモサと料理を食べたりエールを飲んだりしながらふと、そっちに軽く目線を向けて。
「にしても、大変なもんだなこっちの方も。アンタくらいの年齢で働かないといけないなんて。この地区の奴なんて大体が遊んでるか学校行ってるもんだと思ってた」
貧民地区生まれの傭兵育ち。というわけでこっちの方の事情はそれなりに上級寄りの知識だけに固まっていたのであった。
故にウェンシアみたいな若い子が働かないといけないというのがどうにも頭で結びついておらず。そんな事を言って話しかけたのであった。
■ウェンシア > 彼が料理を口にし始めると少女は席を離れようとする。が、戻ろうとする少女に店主が両手でバツ印を作った。100ゴルドをぽん、と出せる客などそう多くない。所謂太客と判断した店主は、少女に話相手を勤めるよう、サインを送った。
給料絶対上げてもらうから、そう心に決めていると、食事を続けている彼がこちらを見た。少女は慌てて視線を逸らし、彼の言葉に応える。も、上手く言葉が出てこない。よくよく考えれば、見ず知らずの男性とこんな近い距離で話すのは初めてだったからだ。
「あ…その、私、学生、です。――――働いてるのは、欲しいの、あって…――――学校には内緒で。」
語尾が物凄く小さくなった。少女は学校に許可を取らずに働いていたのだ。
■クレイ >
内緒だと聞けば少しだけ目が動いて、それから少し笑った。
「なるほど、見た目によらず悪い子だったわけだ」
そういうのは結構届け出が必要だったりするもののはずだ。
だがそれをしていないという事は、学校関連にバレたら色々と面倒な事になるのだろうか。まぁここなら学生が来る事はないだろう。職員はわからないが。
「それにしても欲しいものか。やっぱり学生だと色々とあったりするのか。俺は行ってなかったからよくわかんねぇけど」
エールをグッと飲んでチーズを食べる。傭兵というだけあってかなり雑な食べっぷりではある。
色々と考えて。
「ああ、あれか。友達との遊ぶ金とか、デートの金とか。学生だしそういうの必要だよな」
学校とは友達や恋人をつく場所だ。そんな固定観念から生まれたのがそんな言葉であった。デリカシーなどは当の昔にどこかに落としてきていた。
■ウェンシア > 見た目によらず、との言葉を聴いて、少女はきょとんと目を丸くした。少女は視線を落して自分の足元を見た。…長いスカートを履いている。裾と肩紐にフリルがついたエプロンを着けている。そう、今現在少女は少女らしからぬ格好をしているのだ。それに気付いた少女は一気に顔が赤くなった。それでも『見かけによらず悪い子』なんて言葉は、裏を返せば良い子と言われているようなものでもあり、ちょっと嬉しい。
「うん、服とか欲しいし…美味しいもの食べたいし…友達は殆ど居ない、かな…デート?デートはしたこと、ないかな…お兄さんはデートとか、するの?」
そこはお客様と呼びなさい。と店主がハラハラしている中、そんな事はお構いなしに客に対する言葉遣いを捨て去った少女。彼の話術の高さもあるのだろうが、少し慣れてきたらしく少女は少女らしい言葉を発し始めた。
■クレイ > 「お、おうそれはなんか。悪い」
友達はほとんどいないという言葉を聞けばなんか悪い事聞いたなといった感じで一瞬狼狽える。
デートの有無を聞かれれば少し考えて。
「……微妙な所だな。2人で飯食いに行くとかどっか出かけるとかそれをデートと読んでいいならある。恋人とって意味なら無い」
仕事の関係上その程度の事は普通によくある。傭兵で同じ仕事をした相手と帰りに飯を食いに行くとか、水浴び場へ軽く汗を流しに行くとかは普通によくやる。異性でもそれは例外じゃない。だからそれをデートと読んで良いならある。
けど恋人なんていう関係は生まれてこの方作った事がない。だから恋人とお出かけという意味をデートとするなら無い。
「まぁでも、どっちにしても参考にはならなさそうだけどな。学生さん相手だと生きる世界全然違いそうだし。俺の場合傭兵だからどっちかというとアウトロー側だしよ」
傭兵全員が全員そうだというわけではないが、実際略奪などをしたり粗暴な輩が多いのは事実だ。それに自分も略奪などはしないものの、粗暴な面も持ち合わせているわけで。
だから学生相手には参考にならなさそうだなんて。
■ウェンシア > 「ん?悪くないよ?友達、そんなに欲しいと思った事、無いし。」
客に対してどころか年上に対してどうなんだと言われかねない言葉を吐く少女。貴族の学友にもこんな口調なのだから煙たく思われているのに、本人は全く気にしていない。それは勿論目の前の彼に対しても遺憾なく発揮される。店主が厨房の奥で頭を下げていた。
――彼の話をしっかりと目を見て聞いている少女。アウトローという言葉を聞いて少女は口を開いた。
「お兄さんと生きる世界、違うかもだけど、こうして話が出来てるの、なんか面白いな。――お兄さんって怖そうだけど優しいし、そこそこイケてると思うから、恋人とかすぐできそうだよ?」
怖そうな雰囲気を持った彼はその実優しくて話術もあって、少女からすれば普通。いつも遠巻きに悪口を言っているアイツやアイツなんかより余程素敵。だからすんなりと、そんな言葉が出てきてしまった。
■クレイ > 「アッハッハ。そうか、なら気にする必要ないな」
そうかそうかと相手の口調を聞いて気にせず笑った。口調どうのこうのなんて気にしていたら傭兵の世界で生きていくなど不可能である。というよりこの男自体も敬語のけの字も知らないのだからどうにもならない。
そして恋人ができそうという言葉には猶更深く笑った。
「そりゃずいぶん良い評価だな。ありがとな学生さん。けど友達が欲しいと思えないアンタじゃないけど俺も恋人がほしいとはあんまり思えないんだよな。ほら、俺は傭兵だろ。正直明後日に生きてる保障なんて全くないし。そういうの作るのもなぁっていう。こうやって適当な奴と話して遊んでってので十分楽しいしな」
今日が楽しければそれでよし。そんな未来をある意味捨てた思考。けれども裏を返せばどこまでも前向きな思考。それを吐露すれば残っていたエールをグイッと飲み干して。
ズイッとそっちにグラスを伸ばす。
「ま、これは考えがいきすぎだからアレだけどさ。そういうわけでエールお代わり」
■ウェンシア > 少女は相変わらず彼の瞳をじっと見据えながら話を聞いていた。変わらず少女の口調は生意気にも程があるものだが、彼の大きな笑い声を耳にする事ができた店主はほっと胸を撫で下ろしている。
そうか、彼は傭兵なのだ。生死を賭けた人間に相応しく、勇ましくも聞こえる言葉だが…少女は暫し考え、首を傾げながらこちらに伸ばされたグラスを抱いていたトレイに載せ、厨房へと戻っていく。
「明日死ぬかも知れないから恋人作らないって、恋人に悲しい思いをさせたくないってこと?それなら凄く優しいね。」
エールのお代わりをトレイに乗せて戻ってくると開口一番、そんな事を言い放つ少女。口調と共に柔らかくなった笑顔が彼に捧げられた。勿論営業スマイルなんて器用な事が出来る子ではない。
■クレイ > 「まぁそんなところだな。無駄に泣かす奴増やしたってつまらねぇし」
なんて言って持ってきてくれたエールに口を付けてグイと飲み進める。
肉も食べて。口を拭く。
「そういう学生さんはなんで友達要らないんだ? すっげぇ偏見だけど。友達とかそういうの欲しいっていう奴って結構多いイメージあったんだが。学生さんが明後日死ぬとかどうのこうのってのはなさそうだし」
むしろそんなバイオレンスな学校あってたまるかという話だが。
だがだとすると彼女が友達を要らないという理由が中々思いつかないのである。勿論そういう性格だからといえばそれまでなんだろうが。
ついでにチーズとソーセージのお代わりも注文し、残っているチーズとソーセージはパンの上にのせて挟んで食べている。
■ウェンシア > 先程から話をしながらも器用に食べ、飲み続けている彼。エールを飲み干す姿も乱暴ながら絵になるし。食べ方も美しいとは言えないものの実に男らしい。彼の口腔内から胃へと食物が落ちるに連れ、喉仏が上下に動いている。広い肩幅、グラスを持つ筋ばった手…そんな彼の男性らしさを拝見しながら、少女は彼の言葉に答えた。
「なんでだろ…どこから友達でどこまで友達か解らないから…かな?そもそも友達ってなんだか、よくわかんない…。あ、でも仲良くなりたいなって思う人は居るよ?」
そう聞かれると返答に困る。そもそも一人でもなんら寂しさを感じない人種だと自負しているものの、時折凄く寂しくなったり、不安になったりすることもある。だからと言ってそれを口にする事のできる相手も居らず、今まで全て、無理矢理消化して生きてきたからだ。
少女はその言葉を残して厨房へ。トレイの上にお代わりのチーズとソーセージを乗せて戻ってくる。
「…食べっぷり、凄いね…男の人ってこんなに食べるんだ…どうぞ。」
お代わりのチーズとソーセージをテーブルの上に置きつつも、自分の作ったものを誰かにガツガツ食べて貰える事を妄想する辺り、それなりの仲の人は欲しい様子であるが…妄想の中の大食漢の顔は未だ、黒塗りである。