2022/04/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/庭園」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 平民地区と富裕地区、その境目にある緑地帯の一つは、庭師の手によって整えられた庭園として一般にも開放されていた。
露店の連なる広場とはまた違う、開放感。己のような非戦闘民が赴くには少々危険な街の外の自然地帯には及ばないが、整えられた緑の美しさがそこにはあった。
ゆったりとした装束の裾が、歩調に合わせてふわ、と広がる。
頬を撫でる風に穏やかな風貌に浮かぶ微笑。先日購入した書を手に、独りそぞろ歩いていた。
一応庭園と言えども一般公開されている以上、時折は王国兵士の見回りなどもあるからこその気の抜き方ともいえるのだが。
整然とした形だけではなく、場所によっては動物の形を模したトピアリーの造形を楽しみながら、石畳の上を遊歩する。
とりあえずは花のアーチを潜り抜けた先の四阿にでも腰を落ち着けて、書に目を通そうというつもり。
先に通り抜けた広場通りで何か飲み物でも手に入れていればよかったのかもしれないが、それはまたそれとして。
四阿に辿り着くと中に設えられている石造りの長椅子に腰を下ろして、一息ついた。
思惑通りに一人、であれば───当初の予定通りに携えた書を開いて、静かな午後の時間を満喫するつもりだった。
■シシィ > ───そうして、女の周囲ではひどく静かに、緩やかに時間は過ぎてゆくことになるのだった
ご案内:「王都マグメール 平民地区/庭園」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にグラムヴァルトさんが現れました。
■グラムヴァルト >
王都マグ・メール。
これだけの巨大都市となれば、存在する酒場の数もまた膨大な物となる。そうした酒場の中でもここは特にカジュアルな店だった。女学生に女冒険者、女給やメイド、中には娼婦などもいるだろうが、そうした若い娘も気軽に訪れる事の出来るこの店には、一夜の火遊びを目的とした男達の狩場にもなっていた。
そんな店にも時折、妙な物が紛れ込む事がある。今日もそうした厄日らしい。その異物は、少なくとも人の形はしていた。
浅黒い強肌にニットチュニックと黒色のブレーを纏い、節くれだった長指で骨付き肉をひっつかんではバキバキと音を鳴らして噛み砕く。邪魔な小骨などはプッと地面に吐き捨てて平気な顔の無法者だ。
190の大台を超える長身は一見スラリとスマートだが、袖から突き出た二の腕やヘンリーネックに覗く胸板などは、鋼糸を束ねたかの様な強靭な筋骨で形成されていた。
特に肩や背中の筋肉の発達ぶりは著しく、拳ダコもはっきりと目につく剛腕に打たれたならば、肉は潰れ、骨は砕け、臓腑は弾け、命は潰えよう。
それだけでも人を遠ざけるには十分だったが、最たる原因は灰色髪の頭部にこそ存在した。
彫深く鼻筋の通った顔立ちは精悍な整いを見せてはいるが、眉庇の作る昏い影の中、銀光ギラつく三白眼は間違いなく人を殺した者のそれ。ここに来る前数人殺して来たと言われても納得出来る物騒な目付きが、男の座すテーブル席から人の気配を遠ざけていた。
■グラムヴァルト >
バリバリゴリゴリ、ゴキッ、ベキ、ガリリッ。
異様に発達した犬歯の奏でる咀嚼音がようやく止んだ。指先を汚す肉脂を行儀悪くも舐めしゃぶり、唾液に濡れたそれは着衣で擦って拭い去る。顔を顰めたくなるようなテーブルマナー。それを咎める者はいない。
ジョッキに注がれた真水をゴッ、ゴッ、ゴッと飲み下し、無数の空皿を積み上げた飢狼の食事が終わった。
「フ―――……。ま、悪くはねェな。中々いい肉使ってやがった。……さァて、腹もくちたしお次ァこいつか。」
牙間に挟まる肉片を指先で摘まみ見下ろす先は、はっきりと勃起の見て取れる股間の膨らみ。食欲が満足したなら次は性欲という訳だ。ますます獣じみている。
ギロリと蠢く銀眼が辺りを見回せば、サッと顔を背けて身を竦ませる惰弱な男達。悲鳴を上げて皿を落としかけるウェイトレス。そして、彼らの好奇と畏れの目とは異なる視線をちらちらと向ける女達。強いオスの種を望むメス共の発情のサインだ。
この店にはやたらと食い頃の女が多い。連中の発散する性フェロモンのせいで、食事の中頃から先は股間が窮屈でならなかった。その責任はしっかり取らせてやらねばなるまい。
そんな物騒な思考と共に店内を巡る三白眼が獲物を探す。
男のケツに注ぐ種など持ち合わせてはいないし、枯れ木みたいな年増を抱く趣味も無い。孕む事も出来ないガキにも興味は無いが―――
「―――ま、孕む事さえ出来ンなら、ガキみてぇな身体のチビも悪かねェがな」
苦笑めいて口端を吊り上げた呟きは、小柄な商店主を想っての事。肉付きの良い女ばかりを襲ってきた男が、平坦な胸のチビでも楽しめるのだと知ったのは間違いなく彼女との出会いが影響しているのだから。
■グラムヴァルト > しばらくの間店内を見回していた男は、何かを妥協するような表情で立ち上がると無言のまま女の一人に近付いていく。女同士で連れ立って酒を飲みに来たらしい一団が小声できゃあきゃあと盛り上がり、グラムヴァルトの銀眼に射すくめられた女の小脇をつつく。
長躯の歩みは着衣越しにもはっきりと剛直のサイズが浮き上がる股間の膨らみを隠しもしない。怯えと興奮で硬直した女の眼前にそれを突き付けるかの様に立ち止まり
「――――オゥ、この女ァ、ちぃと借りてくぜ。」
同じテーブルに着く女達に傲然と言い放つと、未だ硬直したままの娘の手首を鷲掴み強引に引き立たせる。周りの女達は『後で感想聞かせてね。』だとか『がんばって!』だとか、軽い声援を送るのみ。そのままグイッと胸元に引き寄せ腰を抱くと、無法者は女を伴いずかずかと乱雑な足取りで店を出ていった。ちなみに払いはテーブルの上、複数枚の金貨を置いて済ませてある。そのまま夜の街へと消えた狂狼は、果たして渦巻く肉欲を満足させる事が出来たのか―――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からグラムヴァルトさんが去りました。