2022/03/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」にアライダさんが現れました。
■アライダ > 結論から言えば、今日はかなり、安い稼ぎだった。
2日も飲み食いすれば尽きる程度のカネを手に、女はふらりと平民地区へ立ち寄る。
こんな時は、さっさと安酒でも煽るに限る。
「……命がけでひぃこら働いて、このザマなんて笑えない」
そうぼやく唇には、言葉とは裏腹に自身への失笑が滲んでいる。
ハウスワインと呼ぶのも恥じらわれる程度の安酒をボトルで注文し、やってられるかとヤケ酒でも煽ろうとしたところで、わっと歓声がわくのが聞こえる。
見れば、白肌の屈強な女が、それはそれは潔く酒を口にしているところだった。胸のすく飲みっぷりとは、こういう事を言うのだろう。
常連なのか、店長と語らう様子には、こなれた雰囲気がある。
それなりの度数のものに見える酒を、平気な顔をして飲み干す彼女の姿を眺めながら、こちらも赤ワインをラッパ飲みする。
自分同様、戦場をねぐらにする女性なのだろう。
屈強な身体には、かなりの傷が見受けられる。
どこかの戦場で見かけたことがあっただろうか。
ぼんやりと思考を巡らせながら、ごくりと、ワインを飲み下した。
■ハヴァン・グレイナル > 二杯目に唇をつける前には、塩漬けの角鯨の肉を一枚食んだだけ。
塩分を洗い流すように、また黄酒をゆっくり傾ける。
おちょこやグラス 樽ジョッキなどではなく 一枚の平たい盃から飲み干すのだから
平たいその水気が口の中へと静かに消えていく。
臙脂色の長い髪 傷が多数ある肩口からのそれや、頬の一筋
見た目だけで言えば、冒険者とほぼ変わらない そんな姿に、周りは良い飲みっぷりだと手を当てる者もいる
しかし、中にはあまり触れない者もいる 身分違いのそれを知っているかのように
ハヴァンはと言えば、身分の違いも接し方にも、特に気にすることもないかのよう
逆に、ハヴァンの飲む火酒に興味を示し、一杯店主からきたものを、その場の勢いで流し込むと
度数の強さに喉を灼けつかせて水を欲しがった。
『馬鹿なことをするもんじゃねぇ こちらさんの酒は竜が好むような酒ばかりさ。』
酒を飲む理由は別にあるせいか、習慣的な、どこか義務的なもの
ハヴァンの、酒を楽しんでいるようにはあまり見えない表情でチラリと見れば
瞳は今だ蕩けず、少し頬に食熱程度の火照りがあるだけ そんな酒豪っぷりに んげっ と声が男からは漏れる
そういったやりとりの中で、後一杯といったところだろうかと、ハヴァンは3杯目を注いでもらう。
そこで、杯に壺酒から注ぎ足していた店主がこっそりと左方向を見るように指を立てた。
褐色のいい女が、おまえさんを見ていると ただ素性は安いほうだという
ハヴァンも見てわかる 酒を飲むせいか 銘柄が安い葡萄酒の類である。
装備も使い込まれたという言い方を使えるかわからないくたびれ具合だ。
「……アライダか?」
というのも、ハヴァンからすれば既知ではあった
二人の関係性は 剣 金 体 酒 この四つだけで結べる程度の
深くもなければ都合だけの関係だったものの、互いの剣の切っ先は 同じ方向を向けていた仲なのだ。
ハヴァンの疑問は、褐色肌とグラマラスと呼べそうな体でありながら
あの時よりも装備が新調されていない具合からだろうか
髪型の違いもひょっとしたらあったかもしれない。
アライダも、ハヴァンをハヴァンと知れると、自然とカウンターに席を寄らせるだろうか。
■アライダ > 名前を呼ばれ、確信に至る。
やはり知った相手だ。
「ハヴァンさま。ご無沙汰しています」
赤ワインのボトルを片手に立ち上がり、相手の隣へとさりと座る。
「こんなところで飲むなんて。……ご満足できる酒が、ありました?」
敬語を使うのは、相手の素性が決して安くはないと知っているからだ。
こんな場所で飲み明かしていても、その正体はれっきとした高貴な血を引くもの。
どんな戯れなのか、あるいはその気概がそうさせるのか、平民の暮らす場所へ、嫌な顔一つせずにぶらりと立ち寄るこの貴族の娘には、どこか好感が持てる。
幾度か、互いの熱を逃がすように肌を重ねたことはあった。
焼き尽くすような苛烈な熱と、一晩中女を抱いても尽きぬほどの欲。
それがその信仰によるものだと知ったのは、しばらく経ってから、娼婦の口から、まるで神話のたぐいのように聞かされたときだった。
そのせいでどうにも、うずく。
若さゆえの炎で、また己を焦がしてくれないかと、腹の底で思う。
自分の装備はあの頃からさして変わりもせず、相変わらずの古ぼけた剣と、安物の甲冑。
どれだけ儲けることがあっても、好きに飲み食いするうちに消えてしまう。
戦場が好きだが、己の身体以外に金をかける気はあまりなかった。
もともと命を投げ捨てるために向かっている場所だ。とっくの昔に死ぬべきだった人間が、潰える場所を探してフラフラさまよっているだけに過ぎないのだから。
今の己に忠義はなく、金さえ貰えれば、どんな汚れ役でも買って出るだろう。
だがそんなのは、野暮な話だ。
酒があって、つまみがあって、縁があって、命が、ある。
であれば、自分が何を信じて剣を振るうかも、相手が何を思って戦うかも、些末なことだ。
「どうです。せっかくだし、再会を祝して一杯」
乾杯、と軽く口にして、グラスを掲げてみせた。
■ハヴァン・グレイナル > 様付けと敬語 先ほどまでの粗野な態度が消え目上としてみてくる態度
周りは、軽鎧軽装 消耗品の中間剣数本を所持している程度の、垢がないだけの体に対し
そう扱ってきた安葡萄酒の女の装備の具合 アンバランスさに興味を持っているものの、店主も間隔を開けて火酒を飲み干しにくる
この常連に対して、知り合いというのならと邪見にもせず引っ込んだ。
アライダは、余計な媚びも会話もせず 硬い態度を消さないままのハヴァンに再会の酒を望むのに
ハヴァンはその安葡萄酒の色の具合をチラリとみてから、黄酒をチュピ、と口に含むようにつけ。
「店主 黄火酒をもう一つ。」
そう言って、アライダには酒が一つ 平たい盃のそれが注いで渡されたのなら
互いに同じ銘柄を飲むということになるだろうか。
「私たちは明日、異国の武器に叩き潰されて死ぬ 酒くらい楽しんでおけ。」
道楽 娯楽 なんであれ ハヴァン達は死を身近に置く場所にいるせいか
長生きを望むよりも、今のこの時、楽しめない道理は無いと。
誓った相手がいたとしても、尚さらに。
ハヴァンが同じ酒を度数があったとしても渡しているのは
それが二人の間柄によるものだということは、二人にしか知れないことである
ハヴァンが戦場でも、酒を毎夜 飲み干すことを続けていれば、その酒につられて
同じ酒を口にするために寝床にいつづけた相手がアライダである。
ハヴァンも、少し懐かしむ気持ちがあった現れだろうか。
同じ酒を飲む時間は、確かにあったのだ。毎夜のように。
そういって、今だ食熱程度の 寝るときの体温に困らない程度にしか熱を持っていないハヴァンと
安酒から壺酒を注がれた盃に切り替えられたアライダ
二人で火酒に口をつけ、度数に身を灼けつかせながら、ハヴァンは十分捧げた頃合いかと
胸の動悸が熱を持ち、アルコールが血管を巡る様子に酒を干す速度はゆったりとしていた。
隣に飲む相手がいるせいもあるだろうか。
■アライダ > 女剣士二人は、歓談にふけりながらのんびりと酒を嗜んだだろう。
夜はのんびりと、更けていき――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」からアライダさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」からハヴァン・グレイナルさんが去りました。