2021/10/10 のログ
ロイス > 「ああ、そうなのか。いや、ごめんごめん。
そうか、君の場合、街道から追い払うんじゃなくて、根を叩く側になるわけか。
――それはなんていうか、大変だな……」

と、ちょっと労る様な目になる。
流石に自分の専門外ではあるが、動物や魔物の巣の同定さえ、一苦労するのに、自ら積極的に痕跡を消す盗賊の巣窟など、余程の根気が要るだろうと。

「いや、それは知ってる。実際、娼館の警備みたいな仕事もした事はあるし……淫紋持ちの人も知り合いにいるし。
ただ、ね。お金で女の子を買うっていうのは、やっぱり嫌なんだ。
何ていうか、これはもう善悪っていうより、俺の未熟さというか……」

葛藤するように眉根を歪めるのは、娼婦という存在が悪とは言えないという事を理解しているが故である。
それでも納得しきれないのが、男の男たる所以である。
まあ、実際、こういう性格だから、女性冒険者にもある程度信用されているというのもあるが。

「いやもうそういう言い方が何というか世慣れしているというか。
……でも、あれか。要するに、一人一人に誠実に対応しようっていうか、そういう感じ?」

女性関係のトラブルは酷い事になるとは聞くが、さりとてその詳細までは知らない故に。
青年の話は純粋に人間関係論として興味深い。
同僚が語るナンパの武勇伝などは、正直あまり好きではないのだが、彼の場合は純粋な技術として語ってくれるのでこちらも聞きやすい。
実際、少しは女性と打ち解けたいというのもあるので、これは好機である。

「まあ、名前が売れる様な事してないからねえ。
っていうか、俺の名前出したのは良いけど、駆け出しのヒーラーで、それも女の子て。
それ、別に俺を紹介しなくても良かったんじゃないかな……?」

ヒーラーなど、この業界では売り手市場だろうにと首を捻る。
変なパーティメンバーを掴まされるリスクはあるが、中年の一人やもめの冒険者など、彼女の側から見ればそれこそリスクしかなかろう。
便宜を図るのはやぶさかではないが、まず彼女が相談しに来るだろうかという疑問はあった。

「まあ、実際同じ様な物を見出したから、話しかけてくれたというのは納得する。納得はするんだけど、君本当に凄いな。
俺、君頃の年齢の時はもう少し考え足りなかったと思うけど……」

正直、今の段階でも彼のほうが考えが行き届いている感じはする。
此処まではっきり、自分がやるべきことをはっきりと自認している冒険者は稀である。
自分に対して見切りが早すぎる、とも言えるが、自分を過信するより百倍良い。

「ああ、そういうタイプの仕事なら、ある程度付き合えるよ。
ただ、駆け出しの子のお手本にするには……。

正直、ダーディだったり、信用が前提のコネの通し方が多すぎて、参考にならないんじゃないかなと……」

信用を得た顧客や、以前助けた人間をコネとして使った情報収集や、場合によっては裏社会の人間との取引にも手を染めたりしているので、正直あまり駆け出しの子に見せるべきではない気がする。

聞き込みより早く正確なのは確かなのだが、その分余計な苦労をしょいこむ可能性が高く、前途ある若者に教えるのはちょっと躊躇われる。

「あー、手先を極限まで鍛えるなら、寧ろ指先の筋肉が必須になるわけか。
船乗りの壊血病は、かなり極端なケースだけど……まあ、理論としては同じかな。
魔物がいるようなとこだと、風邪を引いただけで命取りになりかねないしね。後、野菜によっては体力も補われるし。損はないよ」

まあ、そういう意味では、コルボは全く風邪を引きそうにない、健康優良児に見えるが。
長くやっていけば行くほど、健康の有り難みが身にしみるのが冒険者。
なので、できるだけ後輩には野菜は摂って欲しいというのが本音である。

「いや、だって長期の外の仕事じゃ、性欲も溜まるし……って、マジで言ってる?
いや、確かに今も一冊ぐらいはあるけどさ」

そう言って、彼にちょっとだけ見せるのは、挿絵付きの艷小説で。
タイトルは『令嬢アリスとの恋』
貴族の少女アリスに恋に落ちた騎士が、騎士道と肉欲の間で葛藤しつつ、恋に溺れていく様子を描いた本である。

コルボ > 「まー、たまに新参がいて、そっちの洗い出すだけでも金になるからいいっちゃいいんですけどね……。」

 その辺が冒険者相手に依頼として流されるわけで。
 しかして、女性の扱いともなれば。

「それは未熟なんじゃなくて、ロイスさんの人の良さっスよ。
 この腐った国に在って、良くも悪くも正気っつうか……。

 んでも、抱く中で、ひとしきり終わった後に、ロイスさんみたいな相手だと
 心中ぶちまけられる、そういう相手探してる奴もいるもんでね。」

 だからこその良くも悪くも。貴方だからこそ救える娘もいるのだろうと踏んでいて。

「誠実、とはまた違うかなぁ。俺が誠実じゃねえッスもん。
 ただ腹の内探ってこの辺くすぐったら、つうか、ギブアンドテイクっつうか。
 ヤる代わりに情報教えたり色々都合つけたりとか。

 そういう意味じゃ利益を介さない人間関係より線引きできるって感じッスかね」

 実際女を気持ちよくしてるのではなく、自分を気持ちよくしてもらってるという考えな以上、
 先の娼館ではないが見返りがなければ寝覚めが悪いというか。

「ん-、そう思ったんスけど、妙にプライド高くて。
 下手な駆け出しより、落ち着いたロイスさんなら良いとこ咬み合うかなってのも込みなんですよ。

 なもんで、もし会うことがあればちょっと気にしてやってくれないッスか?」

 この辺りも、自分が”気持ちよくしてもらった”見返りなのだろうと言外に漂わせつつ。

「……んー、多分経験次第ッスかね。俺も昔は気が逸ってたけど、恩人じゃねえが、
 考え変わるきっかけになった人がいたもんで。
 結局、出会いとか次第なんですかね。」

 暗に、失敗も含め、いさめてくれた人がいたのだと言いつつ。
 その人の影響で、自分から見出したわけではないのだと。

「あー、ああー、あー……。まー、誰もがそこに行きつけるわけじゃないしなあ……。
 下手にかじらせてもイキるだけか。ん-、難しいな。」

 この辺浅いのは若さゆえか。駆け出しの頃の気持ちを忘れ、それを振り返るにはまだ青くて。

「実際携帯食はドライフルーツとか多めッスね。後スープ。
 全部煮込んでエキスまでっつうか。でも一仕事終えるとどうしても肉に流れるのもリアルッスわ。へへっ。

 ……と、これ、あー……。旦那、実はこれ、意外と読んでる女多いんスよ……?」

 アリス目線で見る女性も多いのだと、話題は広がっていくばかり。
 酒を煽りつつ、飯を食らいつつ、夜更けまで話は尽きることなく―

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド-酒場-」からロイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド-酒場-」からコルボさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
ナータ > 「ふぅ~……満腹満腹ぅ……」

平民地区の路地、中央区域からやや外れた場所で
満足そうにお腹を摩り笑みを浮かべ歩く少女の姿。

つい先日開店した安食堂。
開店セール、とばかりに割引されたおかげで
何時もの予算で1品多く注文できた。

味はまあ、それなりの。
安食堂ならではのものであったが不満はない。

明日への活力か、ここぞとばかりにかしっかりお腹へ詰め込んで
その帰路へついていて

ナータ > 腹も少しこなれたのか
少女は宿へと戻っていった……

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にピッチさんが現れました。
ピッチ > 平民地区と一口に言っても、相当な広さがある。
富裕地区であればとうに整備されてしまっているだろう区画。
一仕事終えた少年が今歩いている場所は、そんな区画だった。

入り組んだ路地がまるで迷路のような様相を呈しており、
歩き慣れた者でなければ方向感覚が狂ってしまうかもしれない。
たまに口を開けている廃墟はもともと民家だったものもあれば、
何を祀っていたかも分からない教会だったものある。
中には廃墟を装った怪しい建物もあり…

一言で言うと治安が悪い。
身を護るすべに長けている者が見れば、趣き深い光景とも言えようが、
少年にとっては仕事で無ければ踏み入れたくない一角だ。
魔物が出没したという話も小耳に挟んだことがある。
少年はさっさと宿に戻るべく、足早に暗い路地を歩いていた。