2021/10/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロイスさんが現れました。
ロイス > テーブル席で、男が一人、机に突っ伏して寝ている。
何とも健やかな寝息を立てて、熟睡しているようだ。

「……んん……」

今日は、少し深酒をしすぎたのだろう。
冒険者にはよくある事であるが、基本的にはきちんと酒量を守っているこの男がそうなるのは珍しい。
酔いすぎると眠るタイプなのは自覚しているのだが、今日は大変な仕事の終わりで、つい酒量を越してしまったのだ。

男はそこそこ冒険者の間で信用を稼いでいるが。
それでも、此処は荒くれ者の酒場。
こんな所で無防備な姿をさらせば、何が起こるか――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 「~♪…やぁやぁ、ありがとさんだ。」
酒場の余興で歌を披露し終わり、ぐぅっ、と伸びをしながら小さな壇上から降りてくる小柄な男。おひねりを集め、懐がある程度暖かくなったところで、機嫌よく店主にレモネードなぞ頼みながら。

「あー…歌った歌った…っと…おや?」
座ったテーブルには先客が居たようだが…今はどうやらスヤスヤと眠っている様子…俺の歌を聞かずに寝こけるとは、失礼な奴め。
そんな思考が鎌首をもたげれば…ちょいとした悪戯くらいはゆるされるだろうと、隻腕を鼻へと伸ばし、むに…と軽く鼻をつまんでやろうと。

ロイス > 「ん……んん……」

鼻をつままれると、息苦しそうに寝息が変化して。
そして、ゆっくりと眼を開けると、その腕をゆっくりと払いのけようとする。

「何だよ君は……っていうか、しまった寝てたか」

などと言いつつ、身体を起こす。

ヴェルソート > 「ク、クク…おっと。」
息苦しそうな寝息にクスクスと笑いながらも、どうやら目を覚ましてしまったようで、払いのけられた手は大人しくグラスに戻り、届いたレモネードで喉を潤して。

「さっきまで壇上で歌を披露してた歌唄いだよ。それより…こんなところで寝てたら、財布スられても文句いえねぇぞ?」
ポケットは大丈夫かぁ?なんて体を起こした彼に、本来左腕が存在する場所をただ中身の無い袖が揺れる男が、首を傾げて問いかける。

ロイス > 頭を掻いて、周囲を確認する。
どうやら、結構寝ていたらしく、客の顔ぶれが随分変わっている。
此処まで寝たのは久々だな、と思うが、

「ああ、歌唄いさんか。っと、そうだ、財布……」

そう言うと、手元から財布を取り出して確認する。
一応、中身も確認するが、どうやら取られてはいないようだと安堵し、

「良かった。これ取られてたら支払いできなくなるところだった……。
いや、起こしてくれてありがとうね。深酒すると、眠くなる質なんで」

と、そこまで来て。
まだ、自分は名乗っていない事に気がついた。
そして、彼が登壇する前に寝てしまったので、彼の名前も知らないことも。

「あ、っと。俺の名前はロイスだ。君の名前を聞いてもいいかな?」

ヴェルソート > 「どういたしまして、サイフが無事なようで、良かったねぃ。」
己の言葉にサイフを確認する姿を眺めつつ、背もたれに持たれてクイ、とレモネードをまた傾ける。
甘酸っぱさが心地よい、酒は喉が酒焼けすれば商売に関わるので、めったに呑まない。

「ふはっ、支払いできなくて右往左往するのも見てみたかった気がするが…っと、失敬。……おや、壇上で名乗った気はするが、そうか…そのときにはもう寝てたみてぇだな。」
まぁ、男の歌唄いの名前なぞ、気にもしない奴も多いかもしれないが、名乗られたなら名乗り返そう。

「はじめまして、俺はヴェルソート。しがない歌唄いだ、よろしくな?……ん、ロイス?」
なんか聞き覚えが…と記憶をひっくり返すように考え込む、客…じゃない、敵…でもない。
なんだっけか…確か、ジーゴが…気まぐれに買った奴隷の少年が話してた気がする。と頭を捻り。

ロイス > 「あはは、本当にね。
まあ、支払いできなくても、実はツケは効くんだけど……若い子が覚えると後々トラブルになるし」

それは流石にギルドの人達に悪い。
そもそも、男はあまりツケというものが好きではない。
金銭上の借りというのは、例え少額であっても重いものだからだ。

「いや、悪いね。どうやら、仕事終わりで随分気が抜けてたみたいで三時間ぐらい寝てたみたいだ。
ヴェルソートね。うん、よろしく……?」

と、こちらも挨拶を返した所で。
目の前の男が急に首を傾げた。
どうしたのだろうかと思うが、もしかしたら自分の名前を聞いた事があるのかもしれない。

「うん。冒険者のロイスだ。
結構この仕事をして長いから、もしかしたら何かの時に名前ぐらいは聞いたことあるかもだけども」

彼がまさか、前に親切にしたミレーの主人だとは思っていないが。
それでも、稀に相手が自分が知っている事はあるので、特に驚きもしないのであった。

ヴェルソート > 「まあ、手元に金が無くても金が使える方法なんて、覚えない方が良いわなぁ。」
クセになるとロクな事にならねぇ、と肩を竦めて同意する。
まあ、帰ったら払う、と願掛けして少量のツケを残していく冒険者も、居ないこともないが。

「…3時間も寝てて無事だったのは奇跡なんじゃねぇか?」
最悪スッポンポンでもおかしくなったんじゃなかろうか、と彼の言葉を聞いて思う。
それよりも、だ…彼の名前に聞き覚えがあって首を傾げた、ジーゴが関係していた気がするのだが…おそらく話半分に聞いてて記憶にあまり残っていないのだろう。

「あー、まあ俺も冒険者の登録はしてるからな、もしかしてギルドで見た事あるかも、か?…でもなぁ、ジーゴからなんか聞いた覚えが…なんだっけか。」
もしかしたら同名の別人、という可能性もあるが、一度頭にひっかかると気になって仕方ない。
首を傾げ、頭を抱えて数十秒…うんうんうなってから、結論を出す。
「駄目だ、思い出せねぇ。」

ロイス > 本当に金が無い子には最終手段として教えることもあるが、正直あまり良いことではない。
冒険者ギルドも、少額とはいえ不良債権を抱えたくはあるまい。

「それは確かにそうだ。運が良かったとしか言えないかな。
ただまあ……盗まれたとしても、取り戻す自信はあるけどね。
特に此処じゃ、俺はちょっとした顔だし」

と、ぽんやりとした苦笑いに、何処か凄みを忍ばせる男。
実際、彼が後輩に景気良く支援したり、ギルドの厄介事を引き受けたりするのは、善意だけではない。
そうすることで、彼らに貸しを作っているという側面もあるのだ。
滅多にそれを取り立てる事はないが――いざとなれば、ギルドの冒険者や職員が、ロイスの"眼"となってくれる。

尤も、そうは言っても油断のしすぎなのも確かなので、そこは反省すべきだろうとは思うが。

「まあ、俺もしょっちゅう入り浸ってるからなあ……って、うん?ジーゴ?」

と、そこで意外な名前が出た。
彼がそれなりに良く世話をしている者の名前だ。
最近は、冒険者として逞しくなってきたので、会う機会も少し減ってはいるが。

「もしかして、君ジーゴの知り合いかい?」

と、聞いてみる。
まあ、それなりにフットワークの軽そうな少年だったから、そこまで意外でもないが。
世間は狭いなあ、などと思いつつ。

ヴェルソート > 「ふむ…随分とまぁ、自信がおありだぁね。」
良いことだ、とクスクス笑う。
ぼんやりとした苦笑いに、どこかピン、と張り詰めるような雰囲気を感じて、ほう…と感心して。
確かに、うすぼんやりとした雰囲気だけではないらしい。
抜け目の無い様子は、確かに熟練の冒険者のそれであった。

「ん?…おう、ジーゴ。……まぁ、知り合いというか、同居人というか…一応保護者、になる、のか?……あぁ、そうか。」
呟きで名前を出してしまったのに、今更気づいて、聞かれれば小さく頷き答えるだろう。
まあ、保護者も何も、買ってその名前をつけたのは自分である。
そして、ようやく記憶の引き出しから見つけたのは、色々教えてもらった!と尻尾を振らんばかりに食事のときに教えてもらった名前だった。
となると…一つ聞いておかねばならない。と神妙な顔になり。
「あー…うちの子、何かやらかしてない、か?…人のもの勝手に盗んだりとか、食い逃げしたりとか…。」

ロイス > 「ま、自信が無きゃ冒険者なんて出来ないよ」

などと嘯いてみせる。
傲慢になるつもりはないが、卑屈になるつもりもない。

「ああ、彼保護者がいたのか。
まあ、単純に逃亡していたミレーにしては、妙に屈託のない感じだったからなあ」

ミレー族というのは、その境遇の厳しさ故に捻ねた性格になりやすいが。
彼には、あまりそういう所がなかった。
余程性根が良いのか、と思っていたが、保護者がいるならば、また性格も違うのだろう。
そして、そこで神妙な顔になった男から来たのは、ちょっと意外な質問だった。

「いや、今の所そういう"やらかし"は聞かないな」

まだ新人の、角の取れていない冒険者にはありがちな事だが、ジーゴにはそういうやらかしの話はあまり聞かない。
尤も、男の耳に入っていないだけかもしれないが――幾ら彼でも、自分から仕入れようと思わない限り、他の冒険者の情報などそうそう手に入るものではない。

「何か、そういう心配事があるのかい?
詳しく話してくれれば、こっちもフォローがしやすいのだけれど」

一度ならず世話した少年だ。
能力もあるし、できればそういったやらかしで失いたくはない。
故に、ちょっと前のめりになって彼の話を聴く姿勢に。

ヴェルソート > 「ははっ、まあ何か会っても自業自得の商売だもんなぁ。」
そう嘯かれれば確かに、と小さく笑う。
まあ、卑屈な冒険者も、傲慢な冒険者も、掃いて捨てるほどいる世の中ではあるけども。

「まあ、たまたま見かけて、なんとなく?といっても、保護者らしい事なんてロクにしてねぇけどな?
 飯食わせて、身繕いさせて、なんか悪さしたらげんこつするくらいさね。…そっか、やらかしてないなら良いんだけども。」
神妙な顔はしたものの、言われれば少しばかり安堵に眉根が緩む。
まるで子育てでもしてる気分だなぁ、なんて今度はこちらが苦笑いなぞしながらも…続く質問にはまた顔を少しばかり引き締める。

「心配事、というかまぁ…なんていうか『良識』が欠けてんだよなぁ。
 前にりんごを盗んで来たことがあって、まぁ叱るだろ?人のもの盗むなって。
 でもあいつ、なんで盗むのが駄目なのか理解できてねぇんだよ。
 『他人から盗んだのがバレたら俺に怒られる。』って学習して表立ってやらなくなっただけで、なんで俺が怒るのか、何で駄目だって怒られたのかわかってねぇというか…。」
人のものを盗むなと言い聞かせたときに、心底不思議そうに「なんで?」って言われたのを思い出して苦い顔。
「常識」を誰からも学ぶ機会がなく、さらに人から何かを奪われることになれすぎて、そのへんが完全に麻痺してるんだろう。
と予想はついたのだけど、どうやってそれを理解させるかは未だに頭を抱える案件である。

ロイス > 「いや、それはもう普通に保護者らしい事なのでは……?」

飯を食べさせるだけならまだしも、身繕いまでしてるのはそれはもう保護者だろう。
男ですら、そこまでの事は滅多にしない。
まあ、彼が異常に面倒見の良い人間という事なのだろうか。

「あー、成程。異常な環境に慣れすぎて、その辺理解できてないのか。
まあ、たまーにそういう冒険者もいるけどねえ……」

所謂『癖の強い』冒険者というやつで。
良くも悪くも常人とは価値観が違うので、トラブルを起こしやすい。
それでも、今までトラブルに発展しなかったのは、彼の行いの成果だろうが。

「とはいえ、こればかりは直ぐに解決するもんでもないしなあ。
冒険者として仕事する中で、身につくのを期待するしか……」

今でこそ、ミレーの教育らしき事をしているが、それはあくまで技能面の話であって、倫理や道徳を教え込むのは話が違う。
何とかしてやりたいと思うが、下手に部外者が手を出したら拗れかねない問題でもある。

「こういう場合って、友達とかを作ると大きく改善することも多いんだけどね……」

とはいえ、冒険者は20代30代が一番多い職業だ。
先輩後輩ではなく、友達という関係性を構築するのも難しいかもしれないが。

ヴェルソート > 「いやだって、俺が買ったのに着の身着のまま襤褸のまま、じゃあ俺が酷い奴になるじゃねぇか。」
買った以上はまあ、それなりに面倒見る気はあるけども、正直情操教育とかどうすればいいかわかんねぇ、というのが実際のところ。

「そうなんだよなぁ、多分このままにしたら後々マズいのはわかるだけにこう…どうするかなぁ、と。」
下手に叱るだけだと、隠すのばっかり上手くなってより悪質化するのでは…というのが、主な心配。

「正直、悪いことすんなとは、俺口が裂けても言えるような立場じゃねぇけど…やるならせめてそれが悪い事だと自覚しろというか…。」
いっそ、盗賊ギルドに放り込んだ方が理解しやすいのでは、と思ったこともあるが、正直それは最終手段にしたいし、ギルドがら絶対文句言われる奴なので避けたい。

「んん…といっても、友達まで世話するとなると…なんか違うしなぁ…なんかきっかけあるといいんだけどな。
 まあ、俺が言うのもアレだけど。気がついたら見てやってくれると助かるさね。さて、と…一仕事したし、昼寝でもするかねぇ。」
起こしてやった礼はそれでいい、なんて図々しく言い放てば、レモネードのお代をおひねりから出して、席を立つ。

ロイス > 「って、君がご主人さまなのかよ。
そういえばご主人さまがいるって言ってたな……っていうか、だったらもう保護者以外の何物でもないでしょ。国公認じゃん」

無論、マグメールの奴隷制度は、主人が負うべき義務があまりないが。
それでも、主人である以上は、建前上はヴェルソートが彼の保護者になるはずであった。

「まあ、気持ちは解る。俺も、あまり良くはないと思うしね……」

罪悪感のない悪人ほど、始末に負えないものはない。
願わくば、あの少年がそうならない事を祈るが――しかし、それは今心配すべきことではない。
少なくとも、今の彼はこの主人の言うことは聞くのだし。

「まあ、俺も何かできないか考えるよ。
お疲れ様。俺はいつも此処にいるから、彼の事で何かあったら言ってくれ。力になるよ」

と言って、彼は酔い醒ましの飲み物を貰うことにする。
せっかくなので、先程まで彼が飲んでいたレモネードを。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からロイスさんが去りました。
ヴェルソート > 「まあ、一応?別に逃げるにしろ何にしろ、好きにすりゃいいとは思ってるけどな。」
まあ、自分のところに居たら世話はするさ、程度の気持ちでいるとか、なんとか。

「ん、そう行ってもらえると助かるね。…じゃ、俺ぁこのへんで…良かったら俺も、買ってくれても良いけどな?」
なぞと最後に冗談をつげれば、金を払ってこの場を後にしようか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 「もー、ひと声。いやァ、おっさん、こりゃ高ェよ。なあ。」

休日の広場、賑わう人の中で、ひときわデカくて目立つ男が難癖付けていた。
正確には値段交渉――、なんでもありのがらくた市で、これを売れ、アレを値切れと言いまわって、笑っていた。
こっちの迫力に気おされたのか、高いと店主も思っていたのか、しぶしぶの値下げでよくわからない陶器を買う。
別に金が惜しいわけじゃあない、やり取りが楽しい。

「おう、ウン、掘り出しモン、掘り出しモン。よくわかんねェけども。
 ――さァて、これどうすッかね。」

小脇に紙袋を抱えて、中身をどうしたもんかと思案する。
どうせがらくた市の品物だ、いっそどっかに売り払ってもいい。値段相応の値が付くかは知らないが。
ついでに小腹でもすいてきた気がする。美味いメシ、なんかないか、――面白いものでもいい。
何かないだろうかと、視線をぐるりと回してみる

イグナス > ――なにがあるでもなかったが、まあ、この場自体が、たのしい。
そのまま見物で、ゆると歩き回っていって。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。