2021/08/10 のログ
メイラ・ダンタリオ > こういった素材を見たとき
唯の絨毯のようにしか見えない者は浪漫がない
この革で造る鎧 兜 盾 マント 果てには鞭だって面白そうだ
武器や防具を見るのと同じくらいに ナイフの鞘やグローブなど
革は冒険者を 漢をくすぐらせる素材なのだ

故に、傍でこの黒鎧を身に着ける儘に、メイラも蛮族風 ようは毛皮をつけたまま仕立てられた鎧
そんなものだって面白そうだと言っていると、イーヴィアが何を造るか決めたらしい
決断が速いことだと、イーヴィアに造るのか それともこの革を提供したい益荒男でもいるのか
答えを待っていると出てきたのは指差し一つ ビシリと向けて メイラ本人へのそれだった
流石のメイラも、キョトンと赤い瞳を丸くする ギザ歯が見えないくらいに、唇は閉じ切ったままだ

「なんですって?」

貴方のものですのよ? と口にしながらも、メイラがそういうつもりではないこと
それはイーヴィアがよく知っていた
ただこの赤髪の鍛冶師は この革素材を目の前にして 身に付けさせたい第一号に
メイラ本人を指名した ただそれだけなのだ まだ余るからいいのだと
マントを俺につくらせろと 素材を前にしたイーヴィアの制作意欲と興奮が、止まらない

「……。」

メイラは顎に手を当てて考える
鎧の制作と革の制作で言えば、今回の鎧はとても時間がかかっている
部品が細かい故に、メイラが先んじて述べた通り 砦 まで暴れにいけたほどなのだ
革を毛抜きし、鞣し、そして仕立てるのならば現実的に言えば一か月と少しでいいだろう

マントが最初からない理由は鎧を注文したということ
そして刃尾を際立たせる為だ
しかしこの革ならダメージもおそらくはなくせるだろうか

「まったく、貴方という男は。」

雨避け これからの季節での冷風避け 矢や礫をはじき落とす
用途はいろいろと思いつきながら、断れるわけもない

「これで断ったらダンタリオじゃありませんもの」

暴れ狂える理由を手放すなど、ありえない
メイラが受け入れながらも、その笑みは困ったようなもの
とても喜んでくれたのに、喜びを返されるなど、いつ以来か。

イーヴィア > 「考えてる事は何となく分かるぜ、鎧には尾刃が在るからな。
勿論、マント着用じゃ動かし易さに差は出るが、考えも有る」

(適当に思い付きを伝えた訳では無い。
打算計算諸々、兎に角、運用に問題が無い方法を思い付いたからこその提案だ
机の上に在った白紙の羊皮紙を一枚とり、ペンで其処に図を描く
通常のマントであれば、尾刃を持ち上げた時に如何足掻いても引っかかる
けれど、マントの中央にスリットを造った二枚式なら、尾刃を動かす余裕が出来る。)

「革の重みが在るから、風に靡いてバタバタもしづらい。
そもそも、戦場に出る時はマント何て付けないだろうしな
式典やら祭典やら、人前に出る時の為のマントってのが大概さ
そういう時には、逆に尾刃を隠してくれるって役割も有る。」

(其の上で、威圧感を損なわぬ狂獣革のマントだ。
此方は、防具としての性能もさながら、貴族としての女の利便性を考えている
防寒対策を優先するなら、スリットの中央に固定できる部位を造り
隙間を閉じれる様にすればいい。

其の辺りの、たった今思い付いた案を図に描いては、どうだ、と意見を問いつつ
早速、渡されたもう一つの報酬――酒、に手を伸ばせば。
部屋の隅にある棚から、グラスを二つ取り出して、己と、相手の前に並べ。)

「今夜は飲める日かい? 折角だ、せめて一杯でも付き合ってくれよ。
そうでなくても、これを引き渡したら、盛大に飲み明かす心算だったんだ。」

(酒瓶を、躊躇無く今開ける。 そして、早々に自らのグラスへと注げば
後は、相手のグラスにも、当然の如くに注ごうとするだろう)。

メイラ・ダンタリオ > 片側を留め具として包むようにするか
背中から前へと包むようにするか
マントの羽織方はいろいろとある中で、頑丈な革のマントという魅力
狂いきった獣の革ならばなおのこと、この黒鎧に格は見合っている

そしてイーヴィアの言う通り、唯一マントと兼ね合いが取れない部分が
この独特な剣尾だ 背中半ばから延びた獣を表すかのような幾つもの関節が連なる刃と黒ミスリルの尾
これを敢えて生かすためにと、マントの中央にスリット 切り込みをいれ
左右で伸びるマントにすればいいと述べた もっとも、切れ込みを入れているだけである極端な開きはない

それをメイラは考える 前のほうまで肩口を包む左右のマント
背中からは尾が少し覗けるようになるだろうか
あくまでもスリットだから、一枚布のマントであることに変わりはない。

「使えば使うほど皴と柔らかさが出てくるし、少しぼろくなったほうが味が出そうですわね」

なんなら王の前に出るときだけでもいいぞ そんなことを言われると首を振るう

「その実用性のあるマントを、王の前だけでいつまでも身綺麗にさせろと?
 わたくしなら弾き飛ばし、身を包んで守り、背中の巨剣を晒して水浸しにすることも防げるこれを
 お飾りになんてしませんわ。」

戦場では、動き方的に着る機会がないだろう?と言われると違う
歩兵突兵程度ならばともかく 切り込んで暴れ回るイカれた特攻隊長程度の働きはできるからと
敢えてこういったものを付けて目立たせることで 周りからの視線を集めるのだ
粉塵などの砂埃で鎧が軋むのも面倒だが、マントがあればそれも緩和される

「実用性のある狂獣の革マント 色も当然黒なのでしょう?」

そう言って、互いに革マントの受注という新しい枠が増えてしまった
その時のイーヴィアの、まるで子供のようなはしゃいだような笑みといったら。
終いにはガルガンチュアを惜しみなく開け、杯を二つとってきてはご機嫌に渡し、注いでくるのだ

鎧のせいではない
こうして身に着ける最適なものをいろいろと無勘定にやってくるそれが
メイラを愉快にさせているのだろう 赤琥珀が互いに注がれながら持ち上げ

「では、イーヴィアの素晴らしい仕事ぶりと、それに見合う結果を絶対に出して見せるこのわたくしに、乾杯ですわ。」

労い、祝い、そして飾りでは終わらせないと言って、互いにカチンとつけたそれをガバリッと赤琥珀のそれ
ギザ歯を開けた口の中へと注がれるように喉を鳴らせば、一瞬のウィスキーの芳醇な味が広がる
次の瞬間 喉を焼き、胃に熱を持たせて吐息が帯びるそれがやってくる

「  っ  はぁっ。 」

これは、ドワーフもきちんと満足できる酒だろう
エールでは水と言われても仕方ない。

イーヴィア > 「勿論、アンタが使うんだ。
実用性が無い物を渡すんじゃ、何の意味もないからな。」

(黒のマント、漆黒の鎧を包むに相応しい布地を
自らの作品を彩る、もう一つの作品を
他でも無いこの女に身に着けて貰う事に、何を迷う事が在ろうか
例え頼まれて居なくても、今なら其れが叶うのだ
自分の望みを、自分の直感を、自ら提示して何が悪かろう
その位の開き直りと、他でも無い揺ぎ無き自信が、そうさせる。

そうと決まれば、遣るべき事は定まった。
明日からまた、己は再び成すべき仕事に没頭するだろう
勿論、平常の鍛冶師としての仕事もおざなりにする心算は無い
仕事は純粋に増えるが、其れが如何した。望んだ事だ。)

「戦場を渡り歩けば、其の内そうなるだろうよ
とは言え、何せ狂獣の革だ、真っ当なマントとは違う。
身に着けた事を後悔させない仕上がりにしてやるよ。」

(酒を注いだグラスを渡した後で、少々血の香る部屋の中
二人だけの乾杯を交わし、酒精を一気に飲み干す。
咽頭を通り過ぎ、胃腑へと流れ込んでは、火を灯した様に加熱する吐息
エールも決して不味い飲み物と言う心算は無い、が
己にとってむしろ酒とは、こうでなければ張り合いが無いと言う物だ。)

「―――――――    ッはァァァ…!
最ッ高だぜ、仕事終わりに良い酒が飲める、何も言うこたぁないね。」

(一気に開け、早々に空になったグラスへと、二杯目の酒を注ぐ。
自らの鎧を身に着けた女を前にして、旨い酒を飲み交わすのだ
こんな贅沢な瞬間が有るだろうか)。

メイラ・ダンタリオ > 168㎝の背丈
女にしては大きく 男からすれば首ほどは違うのが大半だろうか
その背丈が、虎や獅子のように目の前で向き直り 巨剣を振るいあげ
懐に潜り込んでも、マントが防ぐか 双鉈剣が防ぎ、牙を剥く

飛び掛かり 飛び跳ねて 振るいあげるとマントと剣尾が同じく黒い軌道を描いて―――
メイラは本当に、これで王の狂犬として相応しくなった
狂った獣の革を纏って 黒ミスリルを身に着けた巨剣使いなど もはや相手にできるのは同じ化け物だけだろう

目の前の男が、メイラ・ダンタリオを撚り怪物に仕上げてしまった
満足のいく作品を渡して、さらにこれも身に付けろと願ってまで

メイラ・ダンタリオは狂っている
しかし獣にしたのは、イーヴィア・ヴァルケスだ

後々、そう同輩らが 魔族が シェンヤンが そうつぶやくのだろう

「正しくドワーフの本懐ですわね
 わたくしもそうですわ ダンタリオの本懐を往っている」

酒を喜び 酒を味わい 満足に浸り 更なる意欲を沸かせ積む
日常のヴァルケス武器防具店は、長い煙突のあの店がそうさと 言われるくらいには
共有のネタとなっているが。

本人が満足のいく作品を こういうやりとりを以って行ったのは
久しぶりのことだったと見えた。

次の赤琥珀をこちらにも注いできては、巨人が飲むに値する酒だけに
度数が高いそれは、魔族混ざりのダンタリオの身体でも、軽く酔ってしまう
二度目は、豪快にではなく、口の中で泳げるくらいにグビリと煽りながら。

「マントを身に着けたわたくしを見て、更に酒を飲むと もっとおいしいのではなくて?」

自意識過剰というもよりも、次の酒はもっと互いに美味しいでしょう というそれ
イーヴィアは目の前で、ニッと笑う漢らしいそれを魅せながら、メイラも又、ギザ歯をニィッと揃え
口角を三日月型に上曲げながら、片目を閉じて向けた。

イーヴィア > (必ずしも、自分が納得いく仕事が出来るとは限らない
とは言え、店に並べている作品に対して、熱意が籠って居ない訳では無い
だが、鋼鉄で出来る仕事とミスリルで出来る仕事には差が有る
自らの技術を生かし切る為の素材と依頼が無ければ
必ずしも達成感が得られるとは限らないのだ

だから、今回の依頼は、己にとっては願ったり叶ったりであった
鍛冶師としての心の炎を燃え立たせてくれたのだから。
酒の進みは早い、勿体無い、と思う事も無い
今この瞬間に味わう酒の特別を、後に持ち越す事なんて出来ないのだから。)

「――――……そうなったら、まさに完成だな。
其の時は、改めて乾杯を申し込むとするさ。 今度は、火を噴くくらい強い酒でも良い。
いっそ、酒飲み前提で軽く宴会でも良いかも知れないな。」

(テーブルに片手をついて、相手を眺めながらの酒
女を前にして飲む酒でも在り、戦士を前にして飲む酒でも在る
何より、其処に、己の理想とする完成系が存在するのだ
そりゃあ、酒だって進むと言う物だ。)

「……勝ちな。 勝ち続けて、証明してくれ。
俺の作った作品が、全てに通用するって事をな。
アンタのプライドの次いでで良い。 ……楽しみにしてるぜ。」

メイラ・ダンタリオ > 赤琥珀はどんどん消えていく
イーヴィアの酒の進みは速い
ガルガンチュアを、直感で選んだのは最適解だった様子だった
メイラは鎧以外でも、そういった点でも機嫌は良くなる

赤髪の益荒男とガルガンチュアはよく映えている
泡立つ冷えたエールを一気に煽る姿も気持ちがいいものの
こういった手間のかかっている酒を大きく一度、喉を鳴らして飲む姿はどっしりとしていていい
メイラがこうして雑談する男に抱く理想は戦場やこういった渋さや豪快だろう
味わい、熱で吐息が震えている

メイラは、そうやって琥珀を飲む姿を立ったまま眺めている

マントが出来上がった後の問いかけには、今度は宴会でもしたいなと述べている
それは、メイラと祝い酒程度の、こういった一杯ひっかけるものではなく
此処か、どこかで飲みにいかないかと誘うものだ

メイラは男にそうやって飲みに誘われること自体、非常に稀だ
機会としては戦場の同輩や不良貴族の3男坊以下らの、後ろをついてくる同じイカレが
お嬢、一杯やりましょう と酒樽を片手に誘うそれ

それが一対一で飲み食いしているなど知れるのは案外驚きだろう
イーヴィアはメイラを気に入っている様子だった
そしてメイラも、肩を一度持ち上げると笑みを浮かべ。

「ハンマー・ステーキの美味しい店を紹介してもよくてよ?」

トマホーク・ステーキならぬハンマー・ステーキ
メイラやイーヴィアに似合う分厚い肉を焼いたそれが振舞われる光景が想像につく
もっとも、小皿をいくつも並べ酒を食らう、肉の宴よりも酒宴のほうが好みだろう
ステーキの話はたとえであり、OKサインの印でもある。

そうやって宴の約束をしながらも、最後に締めくくる
年を重ねた男の声で、イーヴィアは鍛冶師として、メイラに勝利を
そしてヴァルケスがどこまでも通じることを魅せてくれと述べた。

「ダンタリオの名に掛けて誓いましょう
 わたくしは王の狂犬であり、イーヴィアを纏う戦士であると謡いますわ。」

それは鍛冶師としては、真っ直ぐに受け止め聞こえれる台詞だっただろうか。

イーヴィア > (―――己に出来るのは、造る所までだ。
其れを生かし扱い、名声に戦果に変える事が出来るのは
あくまで、相手の行動と実力次第でしかない
鍛冶師とは、この後は、待つ事しか出来ぬのだ
相手が掲げ歌う凱歌を、勝利の報告を。

故に、目の前の女が応えてくれるならば、今は其れが最高の言葉だ
期待も願望も何もかもを背負わせるのは己で、背負うと誓うのが相手
無論、あくまでその誓いの大半は、従うべき王に向けられて居るとも分かって居るが。)

「――――――……頼んだぜ。
アンタの戦果を聞きながら、ハンマー・ステーキを食うのも悪くは無い。」

(無論、酒席でも歓迎だが、と、付け足して笑いつつ。
ゆっくりと、グラスをテーブルに降ろす。
相手の前に立ち、鎧をまとう其の姿を、その肩を、一度両掌で掴んでは

――無機質な鎧だけではない。
纏うべき主の、その力強さを掌に感じ取りながら。
笑い、そして、表情を、鍛冶師の物へと戻して。)

「アンタが俺を必要とするなら、俺は喜んで力になろう
これからも、鍛冶師として支えてやると約束する。
――アンタは、俺の知ってる数少ない”本物”だからな。」

(ぽんぽん、と、肩を叩く。
其の程度の衝撃は、きっと微かにしか鎧の中には伝わるまい
そうして、掌を離せば、きっと最後に。 ――握手を求める。
本来ならば貴族たる相手、己は頭を垂れねば様になるまい
だが、今は――其れこそが、己が求める物であった)。

メイラ・ダンタリオ > 肉を食らい、酒を飲み、こんなことがあったと話し合う
相手がこれから寝る女ではなく、イーヴィアなら遠慮もないだろう
戦いを終え、帰還し、王の前で報告を終え 一人自由になった後で
イーヴィアと肉を食らい酒精を飲み干し談笑する それも、悪くない

そういった機会はメイラにとって、女と寝るのと同じくらいに希少だ
独り肉を食らい酒を飲む怪力令嬢に同伴させてほしいなどというもの好きはいない

そうして、互いに赤琥珀を飲み終えながら、マントの完成品を試着
その後の飲み喰い 事が終わった後での土産話の予定など思いつつ

この互いに依頼と完成 渋く決まる時間かと思えば意外とにぎやかになったものだ
威圧を纏う鎧であったとしても、目の前のイーヴィアは両肩にその体躯から延びる両手を乗せて触れてくる
普通の男でも、その重みや力みにちぢみそうなものを、メイラは立つ両脚に 胴に
まるで鉄芯でも入っているかのように ドシッ としたそれを押し返すように受け止めた。

その威圧と感触に笑みを浮かべるイーヴィア 間接的に、採寸以外での メイラの体の造りとやらを感じたのだろう
最後に握手を求めるそれは、互いに下げおろして繋ぐそれではない
互いに肘から先を上に向けて伸ばした まるで腕相撲のような握手
メイラは証明するように、イーヴィアのドワーフの握力を想定したうえで
ミシ ミシリ とゆっくり力を入れていく。
互いに強めに握り合うというだけのそれながら、力負けなど当然ない

「熱い言葉ですこと」

フフッと気持ちよさげに笑みを浮かべながら、ギザ歯を魅せつつも見上げ

「わたくしの私物整備で時折ここも顔を出したものですが
 そう言われてしまうと、貴方以外に頼む気がなくなってしまうじゃありませんの。」

メイラ・ダンタリオの身に着ける暴力の全てを、頼まれてしまえば総て引き受けると
鍛冶師としての熱い告白をされてしまい。

「ええ、貴方に総て任せましょう 証明は此処に有りますもの。」

専属鍛冶師などのは、当然浪漫だが無理がある
しかし、身に着けているそれを手掛ける全ては、イーヴィア・ヴァルケスが関わっている
時間や順列あれど、それはそれで好いだろうとメイラはイーヴィアが手掛けたもので好いと言った

イーヴィア > (専属、と言う訳にはいくまい
己もまた店を持つ身、誰かの生活を支える身だ
けれど、賓客として相手が訪れるのならば、きっと歓迎するだろう
寧ろ、そうあってくれるのならば、鍛冶師としての己を忘れずに済む
この獣に、この戦士に、見合う鍛冶師として更に研鑽を積まねばならぬと。

――故に、己はこの戦士に目を掛ける。
無論、相手が己よりも他の鍛冶師を気に入り、其方を頼るならば仕方あるまい
だが、頼られる限りは、己が腕を振るう場が在るのだ。)

「今熱くならなきゃ、何時熱くなるんだって話さ。
どんな話でも良い、気軽に持って来てくれ。」

(戦士と鍛冶師の関係なぞ、其れで良い。
其れが全てであると、そう思える相手が居るのは、在る意味で幸せな事だろう
握った相手の掌、その力強さを確かめれば、掌を離し
再び、グラスの酒精を一息に煽れば、未だ取り出されたままの狂獣の頭を、袋の中へと一度押し込み

――それから、ふ、と、戯言めいて問うてみよう。)

「解体したら、肉は食うかい?」

(――必要なのは皮と骨、其れ以外の部位は、必要な所に。
当然肉もかなり取れるだろうが、何なら、後で送り届けても良いぞ、と
そんな事を告げながら、きっと、余は更けて行く
今宵と言う一区切りを祝いながら、けれど、再び訪れる明日に向けて
きっと、別れる頃には、再び鍛冶師としての、日常の顔で、相手を見送る筈だ)

メイラ・ダンタリオ > 本当に随分とお互いを意識したものだ
武器と防具 それのやりとりで暴れている一人のそれを
注文を寄越す限り応えて見せると、約束した手前
男に二言はないと言ってしまうだろうか

メイラこそ、もう酒精は十分なものの、イーヴィアがその大き目の頭部をズタ袋へと戻しながらに
冗談を混ぜるように 肉好き なメイラへと呟いてくれるものの、肩をすくめて
頭部だけは骨や牙を含めてそのまま持ち込んできていた故の小話

互いに終われば後はマントの受け取りや小さな宴のやりとりだろう
最も、決闘や戦場などをいくつも終えてから、合間でのメイラの自由な時間で
互いに隙間を見つけては今夜のようなやりとりがあるはず

「ではおやすみなさい イーヴィア 願われたマントも含め、何れ酒でも。」

鎧姿で装備を身に着けたメイラが、その場所を離れた頃
イーヴィアは酒精を堪能し終えたならば
後日から自身で願ったマントを加工するため 革を加工するための行動を起こしていくはずで
正式に イーヴィアの黒鎧と銘打たれたこれを身に着け メイラが物騒な場所総てで暴れ回る
そんな話が耳にも届くだろう

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。