2021/08/03 のログ
■イーヴィア > (知って居る相手だからこそ、察せる物は在る。
そして、其の実力も、何より己が目で幾度も確かめて来た
そんな相手からの依頼だ、受けぬ筈も無い。
暫くして、響くノックの音に立ち上がる。
鍵は空けてある故に、先んじて入室して来た客人に
己も又、敬意と礼儀をもって、胸に手を当て、礼を返そう。
堅苦しいのは普段苦手故に、少々し慣れぬ気配が在るのは、容赦願いたい所。)
「ようこそ、ヴァルケス武器防具店へ。 歓迎するぜ、メイラ。
大事な話だろう、奥に来てくれ。 案内する。」
(立場として、隠れてこそこそ行動しなければならない相手ではない
あくまで商談を、覗き見されぬような配慮、と言う意図だ
片手を店の奥側、談話用の小部屋へと向けては
先んじて奥へ進み、案内するだろう。
部屋の中、丸いテーブルの片側、相手用の椅子を引いて
そして、自らが其の反対側へと回れば、座る様にと促し。)
「……にしても、修理は何度かしてるが、製作依頼は初めてだな。
何か在ったのか? ……や、言えない事情なら、別に首突っ込む気は無いけれどよ。」
(戦場で、其の装備の調整や修復に携わった事、幾度か。
現在の彼女の装備については、其の関係である程度予備知識が在る。
けれど、決して付き合いが短い訳では無いが
こうして、新たな装備の製作依頼を出されるのは、初めての事だった)。
■メイラ・ダンタリオ > メイラとイーヴィア
黒と紅が向き合い、礼儀を交わす
歓迎の言葉と同じく名前を呼び捨てにし合うそれ
貴族立場や王の狂犬呼ばわりをされるメイラであれど、先だって述べている通り
王以外には皆平等 呼び捨て程度を無礼とも思わない
そして互いに気質を知り友在る関係だからこそ呼びあうそれ
「ええ、宜しくお願いしますわ。」
特徴的な赤い瞳とギザ歯
口角を上げると三日月を描きそうなそれを魅せつつ
この店の主にしては、丁寧な案内によるエスコート
互いに余計な言葉もなく、再び向き合うのはこういった内容を相談しあう談話部屋で腰を下ろし合ってから。
メイラ自身、王城に武器を卸す関係上何度か修繕や研ぎを任せることもあっただろうイーヴィア
しかし、始めから終わりまでを全て任せる制作依頼を向けられたこと
造る者として、度々直してきたものとして 自身が生む子も同然な武器や防具を
なぜ望んでくれたのか それを知りたがるのは自然なものだろう
そして、メイラもまた、そういった事情を一々隠すつもりもなかった
メイラは、笑みを浮かべるままに黒鉄の手首から指先だけの
手袋丈のガントレットの指先で片方だけに伸びる編み込みを弄りながら
ためらうこともなく談話を続けていく。
「わたくしは、今は鋼の鎧にも負けるつもりもない
狂獣の革鎧を愛用しているのは知っているでしょう?」
戦場に於いて傭兵の在り合わせや、騎士の身に着ける上質な金属鎧とは違う
理を以って使う革の鎧を何度もイーヴィアは見たことがあるだろうか
実践ならば、修繕や煮込み洗浄をする必要があれど、金属に左程負けていないそれ
「しかし、鎧姿での王との場 儀礼の場 などを含めると一手不足していると思うようにもなりますわ。
使えば使うほど味もでるし、柔軟になっていくといえども。」
メイラは、愛用する革の鎧を自由騎士や遊歴の身ならば理想的といえども
王に絶対的に仕える身では、一手不足している
革と金属鎧の求める差がそこにはあった
メイラは、王との向き合う際の、愛用する鎧に負けぬ鎧を求めてここに来た
「でもそれは半分」
そう言って、メイラはイーヴィアの瞳を見上げる。
フフッと笑む口元を、丸めた黒鉄の指で隠すような素振り
しかしその三日月は隠れ切ることはない
「総て貴方が手掛けた鎧を着たいと望んだから これで全てですわ。」
ダンタリオの名に負けぬ鎧を イーヴィア 貴方なら造ってくれるでしょう?
王の前で傅く際に身に着ける、それに見合った鎧を打ってくれるでしょう?と
赤い瞳はそう語っていた。
■イーヴィア > (其の程度では手打ちにされる事も無いと、そう分かって居る
寧ろ、其の辺りの礼式に煩い相手であったなら、店に呼ぶ事もあるまい
貴族として、言える事言えぬ事は在るだろうと思って居ても
何ゆえに、と言う純粋な疑問は、矢張り当然で
だからだろう、相手が其の理由を、凡そ己が納得できる話をしてくれるのなら
暫し聞き入り、幾度もうなずいた後で、成程なぁ、と小さく呟き。)
「――――……俺は実用性重視だからな
ソイツに合ってる装備が一番だとは思うが…騎士、となるとそう言う物か。
確かに、あの革鎧と遜色無い物をってーと、そんじょそこらの鍛冶屋じゃ無理だろうさ。」
(そも、狂獣とは、只でさえ討伐が難しいとされている異常個体だ。
下手な刃や矢を通さない強靭な皮膚と、異様なまでの身体能力を誇るが故に
狂っている、と評された呼び名であり、特定の獣種を指す物ではない
一般的な鋼鉄製の鎧に等しい強度を誇るため、加工も難しく
何よりも軽量である為、動きやすいと言う一点において
目の前の相手に此れ以上無く相性の良い装備だと言える
故に――暫し、考える。 革ではなく、金属鎧で。
相手の戦いの長所を損なわぬ物を如何やって造るか。)
「――――……難題だぜ、簡単とは言えないな。
けど……、……ったく、そう言われちゃあ、やる気も出るってもんだよ。」
(相手の瞳が、己を見据える。
信頼、或いは――挑戦、も僅かに混ざって居るだろうか。
他の誰でも無い、己にこの話を持って来たと言う事を
やはり、何よりも光栄に思うのは、鍛冶師としてのプライドが在るからだ
真剣な顔で考え込んではいたが、ふ、と口元に弧を描き
断る、何て選択肢は初めから無いと、そう告げては。)
「――良いぜ、請け負って遣る。 なら、後は相談か。
判ってるとは思うが、あの革鎧自体は相当にヤバイ代物だ
其れに喧嘩を売るってんなら、当然金額も相当に掛かる
特に素材だ、そっちが何か、鍛冶に使える希少な物を持ってるって言うなら
其れも鎧の素材として考慮に入れたいし、特に当てがないなら、俺の責任で考える。」
(製作は、請け負う前提で。 もう少し踏み込んだ話へと、展開する。
本来己が店は、素材の持ち込みを許容している。
相手の予算を聞き、持ち込みの素材を鑑定し、其の上で製作費と合わせて請求する事になるが
今回に至っては、兎角、普通に鉄を打ち込むだけでは到底足りないのだ)。
■メイラ・ダンタリオ > 暴れることに 王へ貢献することに そして王の前で認められるその際に
あの鎧は、一点だけが欠けていた メイラが気に入り身に着けるに足る物であったとしても
故に、メイラは黒い鎧を望んで見せた あの狂った獣に負けぬ、狂っているダンタリオに叶う鎧を。
質実叶えど、王の前では欠けるから、あれに負けぬ そして超えられるのなら超えてほしい
適った貴方の鎧を身に着けたいと望んだ
イーヴィアは全て理解してくれた
あの革の鎧の質やメリットを理解した上で、一点だけのデメリットを受け入れてくれた
メイラは三日月の笑みを浮かべながらも、肩の力は抜けている 嬉しい笑みだった
そして理解してくれているからこそ、あの革の鎧に匹敵 超えられる鎧を造る難易度
それを想うと短い間といえど唸っていたのを見つめる
しかし、メイラはイーヴィアが断るとも あれに負けるともとれる台詞を出すとは思えなかった
だからこそ、やってやると取れるような笑みと共に、さっそく素材の提案
そして資金はどうするのかと、踏み込んだ話に入る
足を組んだメイラも、あの革の鎧こそ、メイラが選んだ最高の鎧の一つだった
あれを超える鎧を、材料込みで提案しようというものはない
故に手荷物だったそこから革袋三つが詰まれる
金のゴルドが詰まったそれが、貴族として 戦で貢献し続けた者として
ダンタリオの所有する資産を示す様に積まれた
「まず支度金として三つ 出来上がった際の礼金としてさらに三つを予定しておりますわ
しかしイーヴィア 貴方のことですもの さらに超えるというのなら、それでも構いませんわ。」
材料含め 全て貴方に任せますわ
メイラは言葉通り、総て貴方が選んだ鎧で、と告げる。
それだけの価値があった この漢なら応えてくれると信頼しきっている
■イーヴィア > (店に置いて在るどの製作物も、決して法外な値段を付けてはいない
利益は出さねばならないが、其れが適正で無ければ意味が無い
そう言う意味では、自らの製作物に嘘は吐かないのが主義だ
だからこそ、金が掛かる、と正直に告げたのも又、主義による物
安値で出来ます、だなんて適当な事は言うまい
相手が望んで居るのは量産品では無く、唯一無二のマスターピース
積み上げられた金額にこそ、其の本気度を見て取れるのだ。)
「―――――……嗚呼、わかった。
恐らく、安上がりで済むなんて事は無いと、先に言って置くぜ。
こっちも本気で、前金使い潰す心算で贅沢させて貰うからな。」
(――多分…最終的な儲けは、見目ほどには出ないだろう。
けれど、其れで良い。 鍛冶師として、幾度と無い挑戦でも在るのだ。
寧ろ、挑ませてくれる事にこそ、感謝したいくらいなのだから。
積まれた袋の中身を確かめはすまい、相手に限って、そんな事は必要ない
なら、今この場では直ぐに出ない素材の問題はひと先ず横に置き
一度、椅子から立ち上がって、部屋の隅にある棚の引き出しを開けに行けば。)
「こんな時間に来るって事は、まだ忙しいんだろう?
良けりゃ、今の内に採寸だけ済ませたい。 抵抗は在るかい?」
(手にしているのは、採寸用の紐。 そして、羊皮紙とペン。
革鎧であれば、ある程度相手の体型に合わせて柔軟に調整できるが
金属鎧となればそうはいかない、初めに厳密な採寸が必要になる
特に、相手の様に細身であれば猶更だ、体型に合わない鎧では
間違いなく、動き辛さに直結するし、負担が掛かる
無論、男であれば頓着せずに図ろうとするのだが…
"一応"、其の辺りは問うておこう)。
■メイラ・ダンタリオ > 材料持ち込みであればの 総てが始まりからであればの差
全て理解していても、材料からしてイーヴィアが手掛けるとなればこれは最低限でもなければ
最高額でもない どこまでに上るかがお互いでもわからなかった
メイラの望む最高はイーヴィアが求める最高であればこそ
この金額全てを使い潰してでもまずは模索から始まり、そして打ち
納得がいかなければまた初めからとなる と言われても
メイラは笑みを浮かべて頷くのみ
「ええ 全て承知しておりますわ わたくしは、ダンタリオですもの」
王の為に 強くあるだけの為に混ざった狂人なればこそ理解している
この無理難題を受け入れたのだから ゴルドも無理難題となる
メイラの怪力に耐え 暴れ狂う そんな鎧を金属で求めているのだから
そして、ひとまずと まずは採寸から始めたいという
想定して造らなければいけないのだから最もな話
それを踏まえたうえでメイラが理解ていることをどうせ知っている上でだと
そう、お互いは確認しあうだけなのだ
「あら、わたくしを見くびらないでくださる?
ちゃんと図りやすいように運動用の上下にしておりますのよ?」
お互いに自然と言葉のやり取りに笑みを浮かべていたかもしれない
想定したうえで、メイラは勝負下着のような黒レースや紐でもなく
黒のスポブラやスパッツタイプともいえるものを身に着けてきていた
それを表す様に、お待ちなさいなと一言いえば 黒髪をピンとクリップで先に止め始める
背中が露出できるように、手慣れたような一人作業が終われば、テーブルにではなく椅子に
白ネクタイを解いてかけ、上下に分かれた黒の夏向けな一張羅を外していった
テーブルで書き込む作業を、衣ごときで邪魔するなど言語道断
貴族であれど、脱がす着せるを侍女任せは戦人に有らず
そんなお飾りがダンタリオであるはずもない
性別的な凹凸考慮か、スパッツタイプの下は膨らみも全て潰れた仕様か
筋肉質な、傷だらけの首下躯体 黒の上下だけになるよう
特徴的な両手のガントレットですら外して見せた
無論両足のブーツすらも、メイルを解き、ブーツを脱いでタイツ姿になっている。
目の前で測らせることを想定した、豊満な戦乙女の身体を魅せると両手を腰に着け
「さぁ、存分に測りなさいなイーヴィア もちろん、計った後で肥えたなどという
愚か者でもなくってよ?」
ウィンクをしてみせると、ドレスや鎧の仕立てに於いて貴族あるあるを一つ加えた
鍛えている者も ただの肥え豚貴族であろうとも 筋肉増量や贅肉増量で寸法合わせた鎧が無理になる
そんなことがあるのだ。 ベルトの調節が勿論備わっていようとも その恰好は頭に不がつくだろう
■イーヴィア > (妥協は無い、自らが作る製作物全てにおいて、だ
其の一点においては、常と変わらないのだろう
自らの鍛冶の腕において、怠ける事だけは、無い
其処に金銭的な支援が在ると言うのなら、目指すべきクオリティに
上限など無いに等しい
後は、自らの腕と知識を全て掛けて、造るのみ。)
「そりゃ話が早い、なら、其処に立ってくれ。
最初は素の立ち姿で、上から順に図って行く。
其の後、普段獲物を構える時みたいにしてくれ。
御前さんの場合、力が入ってる時は多少寸法が変わりそうだからな。」
(生憎ながら、相手に決まった流派の型が在った印象は無いが
武器を振るう想定で、立ち姿の寸法を測った後、軽く動いて見て欲しいと。
革鎧ならば、柔軟に伸縮するだろう所だが、実際にどの程度の差が生まれるのかは、把握して置きたい
革鎧が己の製作物であったなら良かったのだが、生憎違う故に
この段において、遣るべき事は遣って置きたかった。
紐を手に、女の傍へと立てば、その首元から採寸を開始する
――其の作業も眼差しも、真剣其の物。
例え女の身が、数多の羨望を受け、数多を魅了する美しきモノであったとて
己が鍛冶師で、仕事中、である限りは、採寸と言う目的以外は何も見えていない様だった、か。)
「……男の金属鎧よりも、前後の重みを調整しないとか…。
動きやすさを兼ね備えるなら、プレート型は微妙だな…いっそスケイル型ならアリ、か…?」
(独り言、増える。 採寸を進めながら、頭の中に早速完成品の図面を思い描いているようで)。
■メイラ・ダンタリオ > メイラが下着姿になり、素足となる 無論、鎧は 胴体 手足は何らかに包まれた上での想定
故に、手足は素のままでも、グローブとブーツを身に着けた状態も含めて測らせるだろう
イーヴィアはプロ故に、中着を含め、可動域を想定し書き込んでいく
メイラは頭部の兜というものを普段身に着けていなかった
鎧という言葉にし、首下から全てで考えて見てもらっている
故にどこまで動くか どこまで曲がるかまでも見せていた
革と金属の差 工夫 蛇腹にするのか 関節部位の自由度などはどうするのか
イーヴィアはメイラの動かす事柄を含め、さらには腕や足の筋肉が最もつく根本からのふくらみ
そこの部位もきちんと気にしている 故に、メイラも笑みのまま頷き、 ミシリ そう拳が造る様に
やはり握りこぶしと力瘤が盛り上がるそこも、計られていく 足も同様だった
踏ん張った際の力みと膨らみ 硬さ 測り 掴み 触れていく
使う武器はなんだ と想定するのも、鎧系職人の基本
どう腕や腰 足は動かしているのか 利き腕は右だったかと
言葉をつなげていくことで イーヴィアの脳内で描く図面は埋まっていく
「獲物は戦場と外に出る際で違いますが 現在ですとそうですわね……。」
脳内に描くのは、メイラが現在使う獲物の幅だ
それはメイラが気に入るものから、狂人故に振るえるものまで様々に
「まず大型のものですと、あの巨人の槍の穂先を用いた大剣擬き
これが一番暴力的で、身体も使いますわ 筋肉も膨らむことでしょう」
もっとも体を動かし、両肩から指先 腰 足を使うのはそれだ
これに加え、鎧姿であるならば、とするとメイラは思案し
「豪刀に大刀 特大盾などもありますが、やはり大剣擬きを基準に考えればすべて収まりますわね。」
可動域や自由度 鎧がどう動くのかを考えるにあたり、大剣擬きを一番に出した
これ以下の武器は、大剣擬きほど動きを大きく使わないだろうとのこと
どう動くのかと聞かれると、武器が無くても通じるものの、一本手短な握れるものを望む
それが剣であれ唯の木の棒であれ、両手で握った際の持ち方
横に寝かせて構える向き 振るう際はどうするんだと言われれば
怪力令嬢に恥じぬ大ぶりな、且つ速度もブレもないものを、怪力と経験に言わせて
唐竹にも袈裟にも振るわせると伝え、一定の動きを見せる。
互いに、笑みはもうない まるで戦場で陣形を練るような互いの顔つき
―――しかしそれでも、わたくしはこの行為に一定の楽しさと
―――俗に言う湧き上がる期待 わくわく と簡潔に述べるそれが胸の内で打たれている
「革鎧も蛇腹式ですわね 傷や劣化ごとに部位を取り換えれば済むという利点と強靭
そして可動域の増える者も併せられますもの。」
ガントレットやブーツメイルも同じくである
イーヴィアの独り言に、相槌を打ちながらも、計られていくそれは細かい
今、イーヴィアの瞳には、どんな図面を描いているのか
このメイラの体の上に、もしくはどんな黒い鎧を何度も着せているのだろうか?
二人は暴れ狂い捧げる者 適えるまで打ち続ける者
少ない言葉を交わしながら、ダンタリオの黒い鎧は決まっていくだろうか
それは、どんな狂った造形になってしまうのか
―――王に、地獄まで供をせよ と言われたら、わたくしはこのイーヴィアの鎧を身に着け
―――そして地獄の悪鬼らに武器を振るいましょう
メイラは、一人 真剣に身体を見つめられ、描かれてしまえば
自然と王と煽情に対する立ち居振る舞いに、そう想ってしまう。
■イーヴィア > (此処は武器屋だ、握らせる物なら幾らでも在る。
室内故に、長物を持たせる事は無い物の、例えば小剣
或いは武器の、握りの部分だけ、と言った代物も
必要に応じて用意し、細かな記録を取るのだろう
目測だけでも正確性には自信が在る、だが、敢えて記録に残す慎重さ
相手の身体がどう動き、如何武器を振るい、如何受けるのか。)
「例えば、武器を受ける時は如何する? 大剣で受ける時だな。」
(己も又、戦場に出た経験が在る
例えば、と言う前置きで、剣を構えた敵を演じ、女に一撃を入れる振りをする
其れに応じて、攻撃だけでなく防御の際の動きも確かめては
幾つかの動きを、なるべく、極端なパターンを記録して行った
防具の本懐は、防御。 敵の攻撃を防ぐ事。
攻撃の邪魔をせぬ事だけではなく、本分を忘れてはならない
相手の命を鎧が守るのだ、其れは、己が腕に相手の命が掛けられて居ると言う事。)
「……修理の面まで考えるなら、そうなるな。
ただ、修理費迄クソ高くなりそうなのがアレだがね。
其の辺り、何か解決出来そうな素材が手に入れば、一気に進みそうだが…。」
(女が元々着用している装備の型であれば、完成した後の着用感も近い物になるだろう
違和感が少ないのは大きな利点だ、余計な気を回さずに集中できる
となると、矢張り問題は鎧の素材となるだろう、此ればかりは出会い次第。
――そうして、一通りの採寸が終わるまでに、恐らく随分と時間を取らせた筈だ。
下準備にこそ時間を掛けるのは、戦争も、鍛冶も同じ事
故に、当然の事として、謝罪したりはせずに居よう)。
■メイラ・ダンタリオ > 調べ尽くされていくメイラの身体
攻撃の振るう様を、大剣の握り柄だけを持たせたイーヴィア
互いに、少し場を広げ、全長と身幅をキチンと提示した上で振るう
また、大剣を扱う際での防御について
これは少し癖があった
一般的な大剣の身は平たく収まるものだ
巨大な剣という鉄塊 そして鉄板
槍の穂先という事柄は、身が少し膨らんでいる
中心から先端へ向かって平たく 中心から根本へ向かって膨らんでいる
それを考慮しても、背丈より少し先にある大剣を用いて
身体に対し盾のように、握り柄を上に向けた構え
やや斜線に寝かせ、肩につけて衝撃を受け止めながらも、それが勝手に流れていく構え
そして突撃してくるケダモノに対し、それの硬度にもよるものの
切っ先を地面に向け、縦に構えることで受け止め、そのまま勝手に裂けろとする構え
大剣を真横にし、その剣身を向けて受け止める構えなど
大剣での受け止める防御の姿勢は、やはりどこも共通だろう
そしてそれらは全てが受け止める構えならば、脚と腕は相応に硬く膨らみ
ギシリギシリと鎧が悲鳴か 受け止める咆哮を上げるのだ
細かく聞かれ、細かく応える
自然とメイラの額には汗がにじんでいた
それは気温というほかに、目の前で浮かべている光景が自然とイメージされたものであり
筋肉もきちんと膨らませている 想定訓練と同じだからだ
「それは承知の上ですが……何度もイーヴィアに依頼にすることになりますわね。」
金銭面 技術面 適う鎧は叶えた者にしか扱えぬ
悩ましくしている相手に対し、メイラも思案貌だ
「再び打ち直しても強度性は低くなるでしょうから、新たにその部位を造り、繋げることになりますわ……。」
互いに、理解した上で言葉にしながらもメイラはふと、おとぎ話のような夢物語を口にする
「ソードビーイング 生きている剣のように、リビングアーマー 生きている鎧ならばと
誰もが思うでしょうね。」
呪われた魔剣や知恵ある剣のように 意思や間違いなく金属であるのに生きているそれら
鍛冶師からしてみれば、一線を越えたものかもしれないそれ
しかし、メイラからしてみれば それらはふぅと息を吐く程度の夢物語。
■イーヴィア > (例えば戦場にて、己と相手とが出会った場合、負けるのは己だろう
其れだけ、純粋な戦闘技術には差が有る
鍛冶屋である以上、大抵の武装は使いこなせるのが己では在るが
一つ一つの練度と言う意味では、常に戦いへ赴く相手には適うまい
相手の動きは、己にとっても良い勉強となるのだ
戦うための技術は、其の儘鍛冶師が作品に生かす為の知識となる
生かすも殺すも、己次第だ。)
「力任せな俺とは違うな、言われりゃ判るが、良くもまぁ出来るもんだ。
……同じ素材を修理用に備蓄して、其れでも相当な出費になるだろうさ。
だが、そうだな。 ……心配すんな。 俺が口にしてるのはあくまで一般論だ。
解決すべき課題を一通り口にして、全部乗り越える。 ……その為の下準備だからな。」
(ひとつ――女の言葉に、顔を上げる。
相手が想像しうる、防具の理想形が己の想定と合うかは未知数だ
だが、相手が頼んで来た物が普通では無い以上、己が想定するのも又普通では無い。
リビングアーマー、と口にした相手に、口元へ描く弧線。
悪くないな、と、戯言でも、冗談でもなく、そう呟いては
自らを、親指で指示してみせるのだ。)
「俺を誰だと思ってる? ……アンタに相応しい鎧を仕上げてやる。
ドワーフの誇りと、ヴァルケスの名に懸けてな。」
(幻想を、形にするのが、ドワーフだ。
確りと、驚かせてやる、なんて告げて、笑うのだ)。
■メイラ・ダンタリオ > 下着姿で、まるでジムトレのように体を動かしていくメイラ
それを見ながら、測る視線とイメージによる模索
互いに応え合い重ね合っていく また、メイラの大剣擬きに対する扱い方
身幅も丈もあるそれで受け止める構えをいくつか見せると
それはお互いに怪力あるからこそ適うものの 普通ならば絵物語の話
イメージが付きにくいのは、大剣類を自在にぶん回せるメイラのような類が少ないからだろうか
―――そんな時だった わたくしが口にした 英雄譚や絵物語に出るような
―――伝説の武具というわけではない しかし浪漫とは呼べそうな武器防具のたぐい
「昔は心躍ったものですわ。」
うん、と久しぶりに子供のころを思い出すような口ぶり
しかし、それの先では、何かを掴んだようなイーヴィアの貌
メイラも眉を片方持ち上げながら ん? と反応してしまう
まさか リビングアーマーを納得する形で打とうというのだろうか。
「……わたくしでも想像できませんわよ?」
吸血鬼のようにはいきませんもの、と口にする
月光という魔力の象徴を浴びることで身体を再生させることができるあれらのように
生きている鎧を造るというのだろうか?
材料も、造形もわからない
幻想を形にしてやると、サムズアップして述べるイーヴィア
本当に何かを掴んだようだ と、メイラは自身の一言で動き始める鍛冶師を眺め
「ダンタリオに見合う鎧としては、なんとも当て嵌まりそうですわね。」
総て委ね任せているのだ 二言もなく心配もしていない
額の汗を拭えば、やがて測り終えたことで白ネクタイをキュッと締め
ブーツをはき直し ガンレットもつけ直される
五指を握り、開きながらもメイラはイーヴィアを見やる
さて、ここからは一定の作成期間を約で定め、そこから伸ばす云々
資金追加云々のやりとりが手紙や直接的なやり取りも交えて交わされるだろうか
■イーヴィア > (何時だって、想像の先に、創造が在る。
己が鍛冶屋である以上、どんな理想形も決して不可能と断じてはいけない
自分には、其れを造り出せるだけの腕が在るのだと言う自負は
恐らく誰よりも強く、負けはしないのだから
リビングアーマーと言う形は、あくまで現段階では有力な要素の一つ
けれど、実際相手の戦闘を鑑みれば、理想に近い物だろう
思い当たる節が、全くない訳では無い。 無論、容易ではない、が。
其れでもだ、至極楽しそうに笑うだろう。)
「そうだ、念の為に聞いておくが、魔法は扱えるか?」
(ひとつ、此れもまた重要な要素だ。
相手に魔力が在るのか、其れを扱う力が在るのか。
参考までに問うては、採寸の為の紐を畳み、元あった棚へと仕舞った。
机の上に並んでいる羊皮紙は、十数枚にも及ぶ
採寸の詳細な記録と共に、走り書きのようなメモも混ざり
今宵交わした会話を、事細かに書き留めている。
再び、衣服を着直す相手を横目に、書き綴った紙を軽く整頓しては
此方を見る相手へと向けて、更なる話を、交わそうか
此処からは純粋に商談だ、納期を如何するのか、報告は如何するのか
必要な事を簡潔に、必要あらば、書面にて契約を交わし
そうして、詳細な”仕事”を請け負うに至る筈だ。
朝が近くなるほどに話し込み、相手を送り出す頃には、さて
心地よい疲労感すら、感じられる筈で――)
■メイラ・ダンタリオ > 着替え終わり、長い黒髪がもとに降りる
背中を覆うほどに長く横にもある黒髪
そして腕を組みなおすままに、テーブルにはメイラの事細かな情報が書かれていた
これだけで、一定の脅威がありそうに思えるほど
しかし互いにこれを渡すこともなければ、怯えにも値しない
笑みを浮かべ、止まりかけた手指と手足が再び稼働する中のイーヴィア
それを眺めるメイラに対し、もっともな質問が一つくる
それに対し、ダンタリオという魔族との交配族であるメイラは首を振るう
「魔族と交わることで得た怪力や体の衰えの無さ わたくしのを表すのはそれですわ
魔力事態は結構あるようですが、魔法も扱えませんし扱うつもりもありませんもの。
せいぜい前に試しに魔力を吸うという武器の類で遊んだこt―――」
言いかけて、互いに、ん?とまた一つ要素が生まれながら
自然と、本当に自然と積みあがっていく
そして事が終わるころには実に何時間立っていたというのだろう
あっという間なものだった。
夏の夜が短く昼が長いように、もう朝が近い
互いに話終わるころ
お互いに長時間かけて終わった依頼とそれに伴う模索の夜を費やしたそれ
帰るころには互いに笑みを浮かべてすらいるだろうか
「ではごきげんよう イーヴィア わたくしの鎧、楽しみにしておりましてよ。」
メイラの足取りは軽い そして重い
笑みを浮かべ、 ザスッザスッザスッ と歩むそれは
脚を軽やかに、しかしまるで爪先に爪でも生えているかのように力を入れている
心が今だ躍っているかのように。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にナータさんが現れました。
■ナータ > 「……あぢゅい……」
夜になっても気温が落ちることは―――勿論日中に比べればだいぶんマシなのだが―――なく。
平民地区の外れ、路地でとうとう蹲った少女は恨めしそうに夜空を見上げながら
呻くように零した。
少女の仕事は日雇いの配達人。
つまりは体力勝負。
こう暑い日となれば……体力の消耗も激しく。
それでも路地で倒れるわけにはいかない。
でも……と、暫しその場にとどまっていた。
■ナータ > 「あぶないあぶない……」
何時しか少女は眠ってしまっていたようで。
意識を取り戻すと頭を振って立ち上がり、何時もの亭宿へと……
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からナータさんが去りました。