2021/04/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリーティアさんが現れました。
リーティア > 日も暮れ始めた時間帯の大通り。
街の外からやってきた人に紛れるように王都にと入れば流されるままにそこへ。
大通りにつけばようやくといった様子で人ごみから抜け出して人の少ない場所に脚を向け。

「ようやく到着しました。ここが次の拠点になる訳ですが……」

そう言い周囲を見回すも全く土地勘のない街は何処に何があるのかもわからず。
向かうべき場所は何か所かあるが何処から向かうかと、行き先を探すように見まわし。

「先に行くのは宿探しかギルド登録か……鍛冶屋で武器の手入れも必要ですし…どこから回るべきでしょうか」

もう少し早く到着していれば全部回ることができただろうが今からでは厳しいだろうと空を見上げ。
宿を探すのは絶対として後は冒険者ギルドか鍛冶屋に行くかの二択。
どちらを優先するかとその場で考え込む姿は周囲から見れば浮いているのだがそれには気が付かないでその場で佇んで。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロゴスさんが現れました。
ロゴス > 金属質な足音が響き、思案するエルフの隣を人影が通り過ぎた。
猫のような耳と尻尾を持った、外見年齢はエルフと同じ程度のミレー族の少年。
鎧を纏い、剣を佩き、マントを羽織った姿はまごうことなき冒険者のそれであり。

「……ふわ、ぁ……」

少年は眠たそうに目を擦り、欠伸をしながら歩みを進めていく。
彼の後を着いていけば、目的となる場所は見つかるかもしれない。
或いは、声をかけてみるのも良いし、かけなくても良い。
判断はエルフの少女に任されていた。

リーティア > 優先事項は判っているが問題は場所がわからない。
誰かに聞くのが手っ取り早いのだが知り合いもいない地ではそれも難しく。
宿は大抵は酒場と同じ建物にあるので探すのは容易だが問題は後の二か所。
どうするかと考えていれば金属質な足音が聞こえ、視線を向ければ如何にも冒険者という姿の少年が目につく。

頭の猫のような耳にミレー族かと直ぐに察し、同時に冒険者ならば行きたい場所も知っていると思えば行動は早く。

「少し構いませんか?冒険者ギルドか鍛冶屋、ここから近い店を教えていただきたいのですが」

もし少年がただ帰るだけならばついて行っても付く先はおそらくは宿か自宅。
もし自宅だったなら目も当てれないとどちらかの場所を聞きておきたいと声を掛けて。

ロゴス > 「…………わっ」

少年はピタリと立ち止まった。
耳と尻尾がくるくると忙しなく動き回り、少年もすぐに後ろを振り向いた。

「ビックリした。声をかけたの、君?」

どうやら、エルフの存在は全く気にかけていなかったらしい。
或いは気付いてすらいなかったのやもしれない。
ともあれ、少年は無視することはなく立ち止まってくれた。
少年の眠たげな半目が真っ先に向かった視線の先は、エルフ特有の尖った耳。

「君は、エルフ? 街中で森の民を見るなんて、珍しいね。
 冒険者ギルドか鍛冶屋……って聞こえたけど、ここから近いのは冒険者ギルドだよ。
 僕もこれから寄るところだけど。良かったら着いてくる?」

少年はエルフの珍しさに言及こそしたものの、その後の対応は至極真っ当なものであった。
目的地が自宅でないとわかった以上、確かに口で説明するよりも、直接着いていった方が時間の節約にはなるだろう。

リーティア > 「驚かせてごめんなさい。私が声を掛けました」

声を掛けると直ぐに後ろ、自分の方を振り向く少年を見詰め。
声と忙しなく動く耳と尻尾に驚かせたと思いつつも言葉を続け。
様子からすれば気が付いていなかったようだがそれはそれ。
少年を見送れば次に冒険者と思える人を探すのは大変なので出来ればここで知りたい事を知っておきたく。

「えぇ、そうですよ。少し見聞を広める旅をしています。
そのどちらかを今日中に訪ねておきたいと思いまして…。
本当ですか?でしたら申し訳ありませんが同行させて頂きます」

この国でもエルフは珍しいのかと少年の言葉に尖った耳に触れ。
しかし変な対応はなく、案内をしてくれるという言葉に頭を下げてお願いする。
恐らくは場所を聞いてもたどり着けそうになく、少年の好意に甘えようと決めて。

ロゴス > 「ふぅん。見聞……」

相槌を打ちながら話を聞き、同時に少年は思考した。
ミレー族の自分を一も二もなく信用してくれる。
この人は『いい人』にカテゴライズされる、と。

「うん、いいよ。僕はロゴス。ロゴス・ナインライヴズ。見ての通りミレー族。
 良かったら、君の名前も教えて欲しいな」

軽い自己紹介と共に、少年はゆっくりと歩き出す。
その目は眠たそうな薄目だった先程よりは開いており、好奇心の輝きに満ちている。
どうやら、質問したいことはこのミレー族の少年にもあるようだ。

リーティア > 「森に居ても知らない事ばかりです。でしたらこうして旅をして自分で知るのもいいともいませんか?」

基本的には初めての相手にはそれなりに警戒はするのだが、少年は人間ではなくミレー族。
なので嘘はつかないだろうという考えがあり。
それに多種族というだけに見る目が変わる人間よりも信用できると考えていて。

「助かります。ロゴスさんですね。
私はリーティアです。家名の方は森を出ているので伏せさせて頂きますね」

勝手に森を出ている身なので家名は伏せて少年へと名乗り。
歩き出した後姿を追いかけるように歩き出し。
横に並ぶようにして少年を見れば先ほどよりも眠そうに見えた目は開いているように見え。

「しかし…この国でのミレー族の扱いは一応は聞いていますが…ロゴスさんは大丈夫なのですか?」

耳と尻尾を隠さずにいる少年。
案内をしてもらう中、ふとこの国でもミレー族の扱いを思い出し、大丈夫なのかと気になと問いかけてしまう。

ロゴス > 「そうだね。刺激があるから人生は楽しい。そして知らないことを知るのは、最高の刺激の一つだと思うよ」

少年は頷き、エルフの意見に肯定する。
言葉遣いにこそまだ幼さがあるが、その考えには一種の知的さを感じ取れるかもしれない。

「リーティア、だね。気にしなくていいよ、僕のも苗字じゃなくて称号だし。それも自称。
 九つの生のロゴス。それぐらい、僕は死ににくさには自信があるんだ」

ふにゃり、と気の抜けたような笑みを見せながら、自分の名乗りについての所以を語る。
その所作は、先程の知的さは見間違いだったのだろうかと思わせるぐらい、稚気に満ちていた。

「うぅん、全然大丈夫じゃないよ。でも僕は、それを純粋な力だけでどうにかしてる。
 そうすれば、自然と僕自身の実力の証明にもなるし……それに、こそこそと隠れて生きるのは、性に合わないから」

やはりというか何というか、相応に苦労はあるようだ。
だが、確かにミレー族でありながら堂々と冒険者家業を行っているということは、それだけで実力の証明になるだろう。

リーティア > 少年の肯定の言葉、それを聞けば笑みを見せ。
退屈な人生では詰まらない、知る事は最高の刺激には同感だと頷き。
同じ考えを持っている人に会えた事が嬉しく。

「そう言っていただけると助かります。
死ににくいですか?冒険者をやっていて死ににくい、生きて帰るは大事な事ですからね」

少年の名乗りの意味を聞けばよほど自信があるのだと感心。
知的に見えた姿は今度は別に見えてどちらが本当の少年なのだろうと首を傾げてしまう。

「やはりですか。しかしそれを実力で抑えているという事は凄いです。
実力の証明に危険な橋を渡りますね……でも、その考え方は私は好きですよ」

そういうの苦労を実力で如何にかしているという言葉に実は凄い瞳を瞬かせ。
正体を隠さずに歩ける実力の持ち主なのだと、最初の眠そうな様子に持っていた印象が変わってしまい。

ロゴス > 「でも気を付けて。この街は腐敗を招くほどの秘密に溢れているから。
 あまり踏み込みすぎると、戻ってこれなくなっちゃうよ」

秘密に満ちた組織は巨大になるにつれ、腐敗をもたらす。
そして革命が起きて、一から始まり……組織はそのサイクルを延々と繰り返す。
今は腐敗している真っ最中だと、エルフの少女に警鐘を。

「妹は苗字だと思い込んじゃってるけどね。そうそう、僕には双子の妹がいるんだ。
 ゾーイって言うんだけど、もし見かけたら手助けしてあげて欲しいな。
 あの子、僕ほど強くないのに僕の生き方に憧れちゃってるから、危なげでさ」

少年には妹がいる。
今この場に居ないのは、恐らくは妹も少年と同じくソロでの活動に重きを置いているからだ。

「そう? ありがとう。リーティアも、家名を伏せてるってことは強引に森を出たのかな?
 お互い、一度決めたら強情みたいだね。僕達、案外気が合うかもしれないな」

クスクスと笑い、歩きながら首を後ろに向ける。
両目で色が違う双眸が、優しげにエルフの少女を見ている。

「さ、着いたよ。この建物が冒険者ギルド。今ならまだ、冒険者登録も間に合うんじゃないかな?」

やがて少年は、一つの建造物の前で立ち止まった。

リーティア > 「……この国に入る前に聞いてはいたのですがそこまでなのですか?
判りました、十分に気を付ける事にします」

少年の言葉に来る前に聞いていた以上の状況なのだと察すれば助かりますと感謝を見せ。
もし知らずに何かの事に足を踏み入れていれば、文字通りに戻れなくなっていただろうと。

「妹さんがいるのですか?きっとロゴスさんに似てしっかりとしているのでしょうね。
えぇ、判りました。その時はそうさせて頂きます。
それは……危ないですね。お会いしたら気を配っておきます」

少年の言葉に小さく頷き。
恐らくはこの少年と同じように一人で行動をしているのだろうか。
そう思えばであった時には手助けできればと考えて。

「そんなところです。森も良い場所だったのですが……その何もないのに耐えきれませんでした。
そうでないと安全な環境から出てきませんよ。そうかも知れませんね」

案外、少年とは気が合うかも。
それを本能で察して声を掛けてしまったのかと納得してしまい。

「ここが冒険者ギルドですか。そうですね、では早速登録をしてきます。
ロゴスさんもギルドに用でしたよね?」

少年が立ち止まり告げられた建物を見上げてればここなのかと。
これで大通りからギルドまでの道は覚え、少年の言葉に早速と扉に手をかけるのだが。
寄ると言っていたことを思い出し、足を止めて少年を見て。

ロゴス > 「ここはまだ治安がいい部類だけどね。表通りを離れるに連れて、どんどん悪くなっていくよ」

事実、裏通りは常に何がしかのトラブルが起こってると言っても過言ではない。
富裕地区や王城も陰謀が渦巻き、決して安寧の地と呼べる場所ではない。
しかしそれが、マグメールという街なのだ。

「しっかり……うーん。僕、結構ゾーイに怒られるんだけどな。もっとシャキッとしてって。
 あはは。僕、戦いの最中は集中できるんだけど、それ以外はぼーっとしがちなんだ」

最初に見せた、眠たげで気の抜けた、鈍感にも見える様子はその所為だったらしい。
リーティアの呼び声に驚いたのもそのためだろう。

「その選択が正しいか間違いじゃないか、僕には何も言えないけど。
 リーティアがその選択に後悔しないことを、僕は祈ってるよ」

少年の方も、内心では嬉しく思っていた。
何しろ、とても綺麗な人だ。
もしも仲良くなれたら……と思う程度には年頃の少年であった。

「うん、依頼の報告にね。違う窓口になるから、リーティアとはここでお別れかな。
 この後、日が沈む前に宿屋も取りたいだろうから。あ、宿屋の位置は受付に聞くといいよ」

宿屋にまで案内しても良かったが、流石に会ってすぐ同じ宿屋に泊まるのもデリカシーがないと考え。
名残惜しいが、今日は一旦別れた方が良いだろうと、少年はそう判断した。

リーティア > 「この辺りは良い方ですか。……覚えておきます」

大通りで治安がいい方ならば離れたらどうなのかは想像もできない。
普通は大きな街になれば、近くに王城や貴族の屋敷があれば治安が良くなるのにそうではないという事にこの国の闇の深さの一端を見てしまい。

「妹さんはゾーイさんというのですね。いつも気を張っていては疲れますよ。
ですから私はそれでいいと思いますね」

戦いに集中するのは当然と考え、それ以外も常に気を張っていれば疲れるだけ。
なので少年の最初の気の抜けたような態度も仕方がないと苦笑を見せて。

「森を出たのは自分の意志です。
ですのでその選択を後悔しないようにするのは私次第です。
ふふ、ありがとうございます」

少年の心配をしてくれる言葉に大丈夫というように微笑み。
今こうしているのは自分の意志、ならば後悔をしないように自分で努力して見せると伝え、この街で最初に出会えたのが少年でよかったと思え。

「依頼の帰りだったのですね。私は本当に運がよかったです。
では、ここでお別れになってしまいますね。
今日は本当に助かりました。もし同じ依頼を受ける時がありましたらその時もよろしくお願いしますね。
えぇ、そうしますね」

最後に宿の事までアドバイスを貰うと重ね重ねと頭を下げ。
何時かこの恩を返せればと思うが今はまだこの街に来て直ぐで何もできず。
依頼で同行をするとき、もしくは妹さんの手助けをすることで恩を返せればいいと考え。
別れる前にもう一度軽く頭を下げては少年と判れて登録へと向かい、そこで宿の場所も聞く事になって…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からロゴスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリーティアさんが去りました。