2021/03/06 のログ
アルシェ > ぐいぐい押して、そのまま逆側の壁にまで押しやってしまいそうなほどの勢い。
けれども、さすがにそんなことを仕出かしてしまうまでに、相手が困ってしまっているのが伝わってくる。
さすがにこれは脈がないだろうと、ぎゅっと握っていた手を放し。

「うぅ、そうですか……
 お困りの人がいたら教えてください。荷物持ちでも、靴磨きでも何でもしますし。」

手を離したものの、まだ諦めたわけではないらしい。
未練がましく、どうにか飯の種を訊ねてしまう。
と、そこへ腹の虫も加勢とばかりに盛大な音を立てて。

「あはは……同業者さん、ですよね?
 パーティー募集とかされてませんか? 掘り出し物ですよー?」

さすがに気恥ずかしかったらしく。
視線を反らしながら、話題を変える―――と見せかけて、売り込み継続
だって、今夜のご飯が掛かっているのだから。

ミリア > 勢いのいい少女に押されてどうしたものかと困ってしまい。
それを感じたのか手を離されるとほっとして。

「えっとですね。
それでしたら日当の出る酒場の日雇いとかどうですか?」

困っている人は浮かばないが、何でもするという様子に直ぐに稼げる仕事。
どうしても仕事がないときにお世話になる日雇いを口にし。
そこで大きな音、お腹の音を聞くと切羽詰まってた理由がわかり。

「冒険者という事でしたらあっています。
パーティーですか?知り合いが来週に少し遠征するメンバーを集めていますけど、直ぐがいいのですよね?」

視線はそらされるが続く売込み。
来週ならと口にしては考え込むように顎に指を当て。
あ、と何かに気が付くと少女から離れて掲示板に近寄り一枚の仕事を手にして。

「明日でよければこの仕事に同行をしますか?
出来高払いですから人が多いと助かりますので」

そう言って見せるのは薬に使う植物の採取の仕事。
物は自分が知っているので一緒に運ぶ荷物持ちですけどと提案をして。

アルシェ > 「酒場? 日雇い?
 それって、賄いとか出ちゃったりします?」

訊くのは仕事内容ではなく、何より重要なご飯のこと。
またしても、ずずぃっと顔を寄せて。ただ今後は手を握らなかっただけ遠慮したと思って欲しい。

「………はい、できれば今すぐにでも。」

遠征のパーティーメンバーとか、それはそれで魅力的なお話なのだけれど。
実力や能力が云々の前に、それまで生き延びられるかが問題。
こくこくと勢いよく首を縦に振って、自分よりも小柄な少女の前で、待ての構え。

少女が手にした依頼書。
そこに書かれた内容を目にした途端、さっきまでの勢いはどこへやら。
そわそわと視線を彷徨わせ始め。

「……もしかして、その薬草に詳しかったりします?」

つい先ほど撃沈したばかりの依頼。
どうやら自分が達成できなかったせいで、未だに残ってしまっているらしい。
実は……と、かくしかと事情を説明し。

「荷物持ちでも、遣いっ走りでも、何でもやります! やらせてください!」

リベンジです、一攫千金なのです、とまたも相手に迫る。
でも、ここで逃げられては元も子もないので、やる気だけアピールして、ソーシャルな距離感は保ったまま。

ミリア > 「賄いですか?少しは出ますよ。
でも本当に少しですからね」

仕事内容ではなくまず食事の事を聞かれると少しだけと笑みを浮かべて告げ。
顔が寄ってくればまた気圧されてしまい。

「今すぐは…私も心当たりがありませんから」

少女が受けるはどうかはわからないが、そのメンバーを募集している人に少女の事を教えておこうと決め。
おとなしく待ってくれる少女に依頼書を手渡して。
するとなぜか視線が彷徨いだして。

「え?えぇ、採取の仕事を本業にしていますから。
このギルドで仕事で集める薬草は大体わかりますよ」

どうしてそんな事を聞かれるのか不思議であったが説明を聞くと納得して。

「そういう事でしたか。
それでは薬草を覚えるために一緒にやりましょうか」

錯綜の採取失敗をしていれば本当に食い詰めてしまう。
それは出来ればないようにしてあげたいと思うと教えようと決め。
一緒に行きましょうとその手を取って笑みを見せて。

アルシェ > 「助かった……!
 今夜はそれで凌げそう!」

賄いが出るのであれば、皿洗いでも給仕でも。
酌と言われると上手くできる自信はないけれど。
ご飯のためならば頑張ろうと気合を入れる。

とりあえず今夜の目途は立ったものの、明日は杳として知れないまま。
そんな前途多難な先行きにも、少女は希望を与えてくれる。

「い、良いんですか…!?
 お願いします、ぜひ……!」

手を掴む前に、今後は向こうから手を伸ばされる。
向けられた笑みに、こちらもぱぁーっと笑みを咲かせ、沈んでいたテンションを再上昇させていく。
わんこの尻尾も斯くやという勢いで、結った髪をぶんぶん揺らし。

「良い人です、命の恩人さんです。
 あ、私、アルシェって言います。よろしくお願いしますね!」

ミリア > 助かったと言い気合を入れている姿はそこまで困っていたのかとはっきりとわかる姿。
ただ賄いが出るなら店も選ばずをやるかもしれないのが心配となり。
自分が時々お世話になる酒場を紹介しようと。

「構いませんよ。困った時はお互い様ですから。
たくさん採取してしっかりと覚えましょうね」

困っている人はどうしても放っておけず、それにここまで感謝をされるとうれしくなってしまい。
わんこのように髪を揺らす少女にできるだけ色々と教えてあげたいと思ってしまって。

「でも……おいしい話には気を付けないと駄目ですよ?
私はそんな事をしませんけど、悪いことをたくらむ人もいますからね。
アルシェさんですね。私はミリアって言います。
では……どこかで食事をしながらお仕事の話をしましょうか」

名前を聞くとよろしくお願いしますと頭を下げ。
そして名前を名乗ると握った手を軽く揺らしては手を引いて歩きだして。

そうして案内をしていくのは安全な日雇い仕事もできる自分の良く利用をする酒場へ。
そこで食事をご馳走し、仕事の話や何が得意かなどを話していく事となって…。

アルシェ > 手を引かれるままに、その酒場にまで大人しく付いていく。
まさか食事までご馳走してもらえるとは思ってもみなかったけれど。

「ミリアさんは女神様です!」

ご飯の恩義には何事にも代えがたい。
ご飯の席で改めて自己紹介をしてから、そのあとは給仕のお手伝い。
それも次の日に備えて程々に。

ただひとつ想定外のことがあったのは、この親切で可愛らしい少女がなんと年上だったことで。
それを知った際には、酒場に響くほどの驚きの声を上げたとか、なんとか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からアルシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からミリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──~♪」

雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない住宅街の路地を、
下手くそな口笛を奏でながら、傘布の部分に赤いラインが入っている以外は全てが銀色の蛇の目傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
そんな奇っ怪な傘を差している代わり、普段羽織っているジャケットの姿はなく。

食事を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。

先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──

「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」

なんて、眉下げて笑いながら独りごち。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めがてら、なにか面白いモノでも出現しないか、などと
雑な期待をしながら、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続け。

エレイ > 歩くペースは変わらぬまま、男の姿は遠ざかり──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 雨の日の通路」にタン・フィールさんが現れました。
タン・フィール > きん…と冷えた空気の、平民地区の自然豊かな公園。
午後に入って氷点下に至る急激に下がった気温から人々は逃げるように散り、
はしゃぐ子どもたちやたむろする若者やくつろぐ老人の姿はない。

春を気長に待つ冬鳥や貪欲なリスを覗いて、そんな寒空の地面を裸足で歩んでいくのは、
裸に桃色のシャツ一枚のみを羽織った幼い薬師の姿。

その肌は乾燥した冷えた空気にも負けず、汗ばむ寸前のような潤いと、
胸元や生足の見える裾からほかほかとした湯気を立たせていた。

「―――っふぅ…あっつぃ…。
からだをあっためるお薬、これ…用法用量間違えないよう、気をつけてて作らなきゃダメだね…」

寒冷地の冒険者や、寒空の中でも野外で「おたのしみ」したい性癖やらの客に向けて開発した、体温上昇薬。

服用した少年の体感気温は30℃を超え、体温は常に37℃を超える人間カイロと化していた。

ついでではあるが高まった代謝が急速に体内のエネルギーと脂肪を燃やして発熱しているため、
冬場で体型を気にするお客にも需要が見込めるだろう、なんて商売人らしい考えを巡らせながら、
体と頭のほてりが少しは和らぐまで散歩しようと、あたたかそうな湯気をひきつれて静かな公園をのんびり散歩していた。