2021/02/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 安酒場」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ > 貧民に落ちぶれるほど稼ぎがないわけでもないが、しかし日の当たる街を闊歩するのは得意ではない。
血の流れる稼業を営む者には一定数そういった性質の人種がおり、この男もまた、そのなかのひとりだった。

異様な両眼はフードを目深に被ることで隠せるが、尾はそうもいかない。
最近は隠すことにも飽きて、トレンチコートの裾から鋭い鱗のついた先端がちらちらと揺れている。
まだ空には陽が昇っている時刻だが、建物に光を遮られている裏路地は仄暗い。
時折向けられる道端の浮浪者からの視線を無視して、いつもの道を辿り、馴染みの酒場の扉を開けた。
扉を開けた先の地下へと続く階段は、あまり掃除をしていないのか埃っぽい臭いがする。
階段をくだって2枚目の扉を押し開き、酒場へと入っていく。
カウンターの端、入り口からは暗がりとなって見えづらい定位置が空いているのを確認し、他の席には目もくれずそこへ向かった。
フードを外し、ひとつ息をつく。

「――この間、新しく入れたばかりと言ってたエールがあったろ。あれをまたくれ」

互いの名すらも知らないが、酒場の主とは顔なじみだ。
主が注文を聞こうと歩きかけたのを遮って、やや大きめの声で注文を告げる。
ジョッキに波々と注がれた酒が運ばれてくると、ようやく落ち着けた気分になり、体を傾けて店内を見回す。
こういうところに、自分の顧客となる、トラブルを抱えた人間は多く転がっているのだ。
先客たちの会話を盗み聞きしようと、耳を欹てる。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 安酒場」からラッツィオさんが去りました。