2020/11/23 のログ
ミンティ > しばらく待っていると、注文したものを厚めの紙袋にまとめて差し出された。こぼさないようにと気づかってくれる店主に、ぺこりと頭を下げて、代金を支払い踵を返す。
冷めてしまう前に、持ちこみを許してもらえるお店を探して入ろうか、そんな事を考えながら歩きはじめて。小さな姿は雑踏の中へと紛れていった…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール平民地区 広場」にソーニャさんが現れました。
ソーニャ > 朝まだき、人影も疎らな広場に佇む小娘の前には、常設の掲示板がひとつ。
次回のバザーの開催予定から、叛逆貴族の公開処刑予定、更には個人的な求人広告まで、
無秩序に様々な掲示が幾つも重ね貼りされたその前で、それらを興味深く眺める、というより、
明らかに興味無さげな面持ちで、欠伸を噛み殺しながらぼんやりと。

「……どうせなら、昨日来るべきだったかしらね」

掲示されているのは今後の予定ばかりではない、既に行われた行事の詳細を伝える、
瓦版めいたものも有る。
そのひとつが報じているのは、昨日、この場で行われていたという公開処刑の模様。
どうせならそういう催し物がある時に来るべきだった、などと、退屈そうに緩く瞬いて。

ソーニャ > 他にも幾つか、掲示を眺めてみたけれど、小娘の気を惹くものは無い。
そろそろ人通りも多くなり始める頃合いか、人間たちの喧騒の中から、
面白そうなものを見つけるのも悪くはないと思ったが―――――

「………ね、む」

結局は、好奇心が眠気に負けた。
ふにゃりと何度目かの欠伸を噛み殺し、小さく肩を竦めて歩き出す。
何処か、邪魔されずに朝寝を楽しめる所を求めて―――――。

ご案内:「王都マグメール平民地区 広場」からソーニャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロイスさんが現れました。
ロイス > 冒険者ギルドに併設されている酒場の隅っこにある広い机で。
男が一人、依頼書の束に目を通していた。
冒険者ギルドに入ってきた、依頼書の中で、所謂一般向きのものの、ほぼ全てだ。
男はそれを、次々と分類していく。

「えーっと、これは初心者向け、これは中堅向け、これは多分誰もやらないから俺が取る、これは……ゴブリン退治だけど依頼元が怪しいな……一応中堅向け……」

と、言って、書類を分けていく。
明らかに一冒険者の男が、何故こんなギルド職員っぽい事をしているかと言えば。
一重に、この冒険者ギルドが、人手不足であるに尽きた。
厳密には、最近できたばかりで、ベテランのギルド員が居ないのだが……

「(まあ、給料は安いけど、誰かがやらないと酷い目に合うしなあ。特に若い子が……)」

と、思いつつ、着々と依頼の束を整理していく。
それなりの速度でやっているのだが、バックヤードにはまだまだ書類があるのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > エメラルド色の小さな幼体の竜に引っ張られるようにして、冒険者ギルドに入ってきた少年が一人。
そこがギルドではなく併設されている酒場だと言うことにさえ、気がつくことができないまま、緊張した面持ちで周囲を伺っている。

そのまま、宙を飛んでいる竜に引っ張られるようにして、酒場の隅の机でなにやら作業をしている人物の前にやってくる少年。
しばらく、もじもじした後に、これまた竜に鼻先で押されて促されるようにしてようやく口を開く。

「あの、ここってギルドですか?おれ、しごとがしたくて」
ミレー族の尖った獣耳と獣の印象が強い目。見た目よりもやや幼い口調の少年がギルド初心者であることはギルドの受付ではなく、酒場に座っている事務員らしき人物に話しかけてしまっている時点で明らかだろうか。
少年が男に話しかけるとようやく、彼を引っ張ってきた竜は満足げに少年の肩の上に着地して、話の様子を伺っている。

ロイス > 「ん……?」

書類の仕分けをしていた時、ふとその少年の声が聞こえて顔を上げる。
見れば、少年が竜?らしきものを連れて、酒場の客に話しかけている。
確かに、彼もギルド職員ではあるのだが……すでに仕事を終えて、酒場で呑んでいる彼に話しかけても、相手などしてもらえないだろう。

「(仕事着で酒飲みに来るなよ)」

とは思うが、此処でモラルを云々してもしょうがない。
彼が文句を言い出す前に、男が駆け足で話に入ってくる。

「こんばんは。お仕事の相談かな?あ、仕事引き継ぐから、君は呑んでて――で、ギルドの受付は、あっちのカウンターだけど――」

酒を呑んでいた彼には、後は任せろと拳でさりげなく胸を叩いてサインを送る。
そして、顔を向ける先には、五人ぐらいの列の先に、カウンターがある。
別に、人が多い訳ではなく、人手不足と能力不足で客が捌ききれていないのだ。
カウンターの奥のバックヤードから、時折「もうちょっとお待ちを!」と声が漏れてくる。
あー、と何とも言えない顔で少年の方を見て、

「ちょ、ちょーっと今大変そうだね。良かったら、俺も此処のギルドで仕事してるから……良ければ、相談にのるよ?」

と言ってみる。
一応、嘘ではない。実際、彼は今ギルドの雇われである。
だがそれ以上に、流石に対応が大変な今、不慣れな彼の相手をさせるのはお互いにとって損であろうという思いがあった。

ジーゴ > 話しかける相手を間違えたことは、話しかけた後の沈黙の長さで分かった。もともと緊張している上に、自分にできる仕事があるだろうかと躊躇しながらも初めて来たギルドだ。
もうこのまま逃げてしまおうかと思ったときに、違う声が聞こえて、獣の耳が上に大きく立った。

「あ、オレ…おしごとしたくて…」
新たに現れた人物に向けるのはさっきよりも小さくなってしまった言葉。
それでも、相手が相談に乗ってくれると言うから言葉を続けた。
「オレ、ギルドのしごとってしたことなくて、あと、街からも出たことないから、でも…でも、洗い物とか洗濯とか、掃除とか…あと、あとは…さがし物とかあとは…いぬさがしもできます」
家政婦の募集でも探した方がいいんじゃないか、と思われるようなスキルの低さを披露する結果にはなったが、なるべく多く自分ができることを列挙して、
とにかく熱意だけはアピールした。
それをフォローするかのように少年の肩の上で竜が小さく鳴いた。

ロイス > 「成程……」

と、たどたどしく自分の出来ることを言っていく少年の話を真摯に聞いていく。
彼の口ぶりだと、戦闘技能はなし。肉体的にもそこまで鍛えてはいない。
探しものが出来るというのが、強いて言うなら特異な技能と言えるだろうか……と思考を進めてから、少年を置きっぱなしで沈黙していた事に気づいた。

「(いけないいけない……)」

と言うと、にこりと微笑みかける。
愛想笑いというか、後輩を萎縮させない為の、心配させないための笑みだ。

「オッケー。まあ、何とかなると思う。
取り敢えず、あっちの席で話そうか。
あ、俺ロイスって言うんだ。君の名前を聞いてもいいかい?」

と言いながら、彼の手を引いていく。
周りの冒険者達は、「またあいつ世話焼いてるなあ」と呆れ気味に見ている。