2020/07/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にイルミさんが現れました。
■イルミ > 「はぁ、はぁ、はぁっ……」
比較的明るい月の夜に、暗い場所を求めて走る黒マント。とんがり帽子と小柄な体格が相俟って、その姿はまるで小さなテントのようでコミカルですらあるが、走っている本人は必死だった。
わざわざ好きでもない暗く入り組んだ場所を求めているのは、今まさに追われているからだ。長いとは言えない脚をバタつかせ、無闇に大きな胸をたぷんたぷんと弾ませて、およそ走るのに向いているとは言えない身体を必死に走らせる。
その甲斐があってか、息を切らして立ち止まった時には、後ろから追ってくる気配はなくなっていた。
■イルミ > 「な、なんでこんなことに……はぁ、はぁ、はぁ……」
走りに走って身体が熱い。こんなことならマントなんて脱いでから逃げればよかった。
なんの建物かもわからない壁に身体を預けてへたりこむと、ひどくのどが渇いていることに気づいた。
「ば、バレたってわけじゃ、なかったみたいだけど……」
追ってきたのは間違いなく衛兵だった。自分の正体……魔族だということがわかったのなら、追ってくるのはなんらおかしな話ではない。しかし、自分が例外的に貧弱虚弱なだけで、普通魔族というのはたった一人でも強大なもの。一介の兵士が数人でしつこく追い回すのは少しばかり不自然だ。
「ミレーとか、魔力の高い人が捕まってるって噂は、あったけど……」
もしかしてその関係か?と考え付きはしたものの、確信はないし、確かめようもない。とりあえず、しばらくは王都に近づくのはよした方がいいかもしれない……息を整えながら、そんなことを考えていた。
■イルミ > 「それにしても、あっつ……」
息が整うと、ますます暑いのが気になってきた。帽子をはたき落とすように脱ぎ捨て、マントもはずすと、その下のワンピースドレス、そしてそれに包まれた身体のラインがあらわになる。
「……魔力が高い人が狙われるなら、お店に帰るのもまずいかなぁ……」
街道沿いの自分の魔道具店は、おせじにも流行っているとは言えないが、誰も知らないというわけでもない。もし国が、魔力のある人間を片っ端から捕らえているとすると、目をつけられている可能性もないではない。じゃあどこへいけばいいのか……へたり込みながら一人で考えていると、なんだかひどく絶望的な気持ちになってきた。
■イルミ > 「というか、私もそんなにすごい魔力があるってわけでもないし、役に立たないと思うんだけどなぁ……」
連れていかれたら何をさせられるか知らないけれど、たぶんろくなことにならないだろう。自分にとっても、それ以外にとっても。とはいえ、そう言って見逃して貰えるとも思えない。
とにかく、カモフラージュのためにしている『いかにも魔女』という格好も、今は逆効果な可能性がある。
「とにかく、一休みしたらこのままどこかに逃げないと……」
どこかとはどこのことなのか。そう考えるとまた行き詰まって、うつむいてしまう。今の家も、苦労して手に入れたんだけどなぁ……なんて思い出しつつ、立ち上がる気力が回復するまで座り込んでおこう。この調子だと、いつになるかわかったものではないけど。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にスミデーさんが現れました。
■スミデー > (比較的治安がいい平民地区とはいえ、路地裏に入れば色々なトラブルの種が転がっている。
そういう種は上手くすれば面白いことのネタになるので、そう言ったものを探して路地裏に入り、ゆっくり周りを物色しながら歩いている)
「偶に面白いネタが転がってることがあるんだけどな、今日のところは空振りになるか、それともあたりになるか……当たりだと嬉しいんだが。
ん?なんだ……?あんなところで何してるんだろうな……」
(座り込んでいる小柄な人影、近づいて行けばその人影が自棄に胸の大きな少女であることに気付いて、今日は面白いネタが見つかったかも知れないなと思いながら、声をかける)
「おーい、そんなところに座ってると危ないぞ?
ここ、他に比べればいくらかマシとはいえ、いつ襲われたって可笑しくない場所なんだからな。
なんで迷い込んだかは分からないけど、良かったら安全な場所まで……ここの出口まで送ってやろうか?」
(なるべく優しい顔で、優しく声をかけながら笑顔を見せて。
座り込んでいる少女へと、この場所の危険さと、良ければ出口までの案内役をと買ってでる)
■イルミ > 「ひっ……!」
追われている身で、しかも『男』に声をかけられて、ビクッと身体を跳ね上げる。が、そこで動きは止まってしまい、
「あ、あぇ、ぁ、そ、その、ええ、と……」
男の人だ、しかも大人だ。なんだか容姿から察するに普通の人間ではなさそうだが、兵士やその仲間というわけでもなさそう。じゃあ信用していいのかというとそれはまた別の話で……。
などと頭の中では考えているのだけど、脚が固まって立ち上がることすら出来ず、口はもごもごするばかりで意味のある言葉を紡げずにいた。
■スミデー > 「あー、怯えさせたか。
まぁ、こんなところでいきなり声をかけられたら怖がるのも無理はないと思うけどな。
取りあえず、危害を加えるつもりはないぞー?」
(手をひらひらとさせて敵意と害意はないことを示しつつ、少女の方へと近づいていって。
屈んで相手と目線を合わせ、安心させるようにと、にこりと微笑んでみせる)
「なんか、随分と疲れてるみたいだな……それに、なんだろうな。
んー、何か、違和感が……ああ、もしかして御同輩、魔族だったりするか?
それなら大丈夫だよ、俺も魔族だから……ほら、怖くないだろ?」
(少女から感じる微かな違和感、良く認識しようとすれば召喚術士である自分にとってはなじみ深い魔力の感覚。
どうやら魔族であるらしいと分かり、自分もそうだから、と安心させるように笑い、そっと手を伸ばして頭を撫でようとする)
■イルミ > 「まっ……魔族……?あなた、も?」
一口に魔族といっても、力も考え方も容姿も多種多様。相手が仲間だから信頼できる、という性質のものではない。
が、しかし、少なくとも王国の兵士やその仲間ではないし、害意もなさそうということがわかれば、少しは落ち着いて話せる……と、思う。たぶん。
「あの、えっと、私、兵隊に、追いかけられて、その私、えと、へっぽこだから、走って逃げてて、あの……はい……」
何が『はい』なのか自分でもよくわからなかったが、とりあえず伝えたいことは口に出来た。目をそらしながら、顔を真っ赤にして、やや早口で。
なんで真っ赤になってるのか自分でもわからないけれど、少なくとも走ったせいではなさそうだった。
■スミデー > 「ああ、まぁ、魔族だって証明してみせろって言われると困るんだけどな?
流石に街のど真ん中で派手な召喚する訳にもいかないし」
(魔族?と問われれば頷きつつも、それを証明して見せろ、と言われれば困るけどなと笑って。
魔族特有の特徴的な容姿が分かりやすくあればいいものの、それが自分にはなくて)
「兵隊に追いかけられてって何かやらかした……ああ、何もしてなくても狙われそうだな。
ふふっ、取りあえず怖がられなくなったのは一歩前進だな。
立てるか……って、無理っぽそうだし。
ん?顔が赤くなってるけど……どっか具合でも悪いのか?」
(目を逸らす相手、顔が真っ赤になっているのに気付けば頬やおでこに触れて、熱がないかと確認するようにゆっくりと優しく撫でる)
■イルミ > 「っ……ぁ、だ、大丈夫、大丈夫です、その、つかれてるだけ、だから……ひゃうぅっ……」
顔を近づけられると、怖いやら恥ずかしいやらでますます萎縮してしまう。
魔族だという彼の手が頬に触れそうになると、息を飲んで、
「んんっ……!」
きゅっと目を閉じてこらえる。ここで『魅了』が発動するのはマズい。興奮させてしまうだけならまだいい(全然よくないけど、まだいい)が、喧嘩を売ってると判断されたら、そのまま殺される可能性もないではない。だから、一生懸命こらえて、
「っ……!」
効果音でいうなら『ぷしゅっ』っと、ピンク色の魔力が漏れだした。制御なりになんとか押さえ込んだ結果の、催淫の魔力のひとかけらだ。